本章では矢倉の先手5手目を▲7七銀から▲6六歩に変える元となった
後手の変化戦法、矢倉中飛車を御紹介します
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲7七銀 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金
▲6六歩 ▽7四歩 ▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽6四歩
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・v銀v金v角 ・|二
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 金 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=18 ▽6四歩(63) まで
以前はこの「図1」までのように矢倉の5手目は▲7七銀としていました
これには前章の右四間飛車は使えません ▲6六歩と突いていないので
6筋を争点に出来ないからです 後手が▽5四歩と突いたのを見てから
▲6六歩と突く訳です しかし▽6四歩と、ここで変化して来ます
「図1」から「図2」までの手順
▲6七金右 ▽6三銀 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽5二飛
▲5七銀 ▽3一玉
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v飛v銀v金v角 ・|二
|v歩 ・ ・v銀 ・v歩 ・v歩 ・|三
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 金 銀 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=26 ▽3一玉(41) まで
▽6三銀から▽5二飛と中央に飛車を展開するのが、後手の有力戦法となる
矢倉中飛車です
「図2」から「図3」までの手順
▲7九玉 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲5六歩 ▽5一飛
▲2六歩 ▽5四銀 ▲2五歩 ▽7三桂 ▲6八銀左 ▽6二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛
「図3」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v飛 ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・v金 ・v銀v金v角 ・|二
|v歩 ・v桂 ・ ・v歩 ・v歩 ・|三
| ・v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 金 銀 歩 歩 ・ ・|七
| ・ 角 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=43 ▲2八飛(24) まで
「図2」で▲7九角から玉を矢倉に入城させるのは「図3」の▽6二金を
▽7二金に変えて▽6一飛と回り、前章の右四間飛車に類似した攻撃態勢を
組まれると、一歩持っているので更に強烈な攻めを見舞われる事になります
実は一時は▲6八銀左と、上がった銀を戻した「図3」で後手の攻めは
受け切れていると言う事になったのですが
「図3」から「図4」までの手順
▽6五歩 ▲同 歩 ▽8八角成 ▲同 玉 ▽4四角 ▲7七角
▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5六歩 ▽6六歩 ▲5五歩
▽6七歩成 ▲同 銀 ▽6五桂
「図4」
後手の持駒:金 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v飛 ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・v金 ・v銀v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v角v歩 ・|三
| ・v歩v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v桂 歩 ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 角 銀 銀 歩 歩 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 歩三
手数=58 ▽6五桂(73) まで
「図4」までの攻め筋は▲6八銀左と引く防御布陣に対して生まれた物で
変化は有っても意外に受け難いのです そこで後手の中飛車を避ける意味で
矢倉での先手5手目は▲6六歩とするのが現在の定跡となっているのです
▲7七銀と上がって▲6八銀左と引く無駄な2手を指さず、先に中央を厚く
した上で先手は、後手の▽5二金を見てから▲7七銀と上がる訳です