本章では米長永世棋聖が四冠王となった時の、原動力とも言える後手番の
急戦矢倉を御紹介します
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲7八金 ▽3二金
▲6九玉 ▽4一玉 ▲5八金 ▽7四歩 ▲6七金右 ▽8五歩
▲7七銀 ▽6四歩
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・v銀v金v角 ・|二
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=20 ▽6四歩(63) まで
この「図1」は前章の矢倉中飛車の途中局面に似ています しかし後手が
飛車先を▽8五歩と突いているので、▽7三桂から▽8五桂と言う手が無く
矢倉中飛車での攻め筋を狙う事は出来ません
「図1」から「図2」までの手順
▲2六歩 ▽5二金 ▲2五歩 ▽7三桂 ▲7九角
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金v銀v金v角 ・|二
|v歩 ・v桂 ・ ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=25 ▲7九角(88) まで
「図2」で先手は2筋の歩を角で切って手得を狙います 対して後手側には
特にまだ仕掛けが有るようには見えませんが
「図2」から「図3」までの手順
▽6五歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽6五桂 ▲6六銀
▽8六飛 ▲8七歩 ▽8一飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角
▽2三歩 ▲4六角 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩
▽6六角 ▲同 金 ▽8六飛
「図3」
後手の持駒:銀 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀v金v銀v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩v桂 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・v飛 ・ 金 歩 角 ・ ・ ・|六
| 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩四
手数=46 ▽8六飛(81) まで
▽6五歩から仕掛けて行くのが、米長流急戦矢倉の最も早い時期の攻め筋で
手順中▽7五歩に▲同歩と取ったのが悪手で「図3」では後手勝勢です
▲同歩では▲3六歩として▽7六歩なら▲7三歩を狙うのが正着です
「図2」から「図4」までの手順
▽5三銀左 ▲3六歩 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩
▽6五桂 ▲6六銀 ▽8六飛 ▲8七歩 ▽8一飛 ▲2四歩
▽同 歩 ▲同 角 ▽2六歩 ▲5九銀 ▽7五歩 ▲4六角
▽6六角 ▲同 金 ▽5七銀 ▲6五金 ▽4六銀成 ▲同 歩
▽4七角 ▲5八銀 ▽5六角成 ▲6六歩
「図4」
後手の持駒:歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・v歩 金 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩v馬 歩 歩v歩 ・|六
| 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 桂 歩
手数=53 ▲6六歩打 まで
この「図4」までは、新鋭の渡辺明六段が森内俊之三冠王に挑戦する
第17期竜王戦第1局に現れた局面と途中の手順は違いますが同一局面です
この53手目▲6六歩が好手で以下、渡辺六段が快勝しました
以上130〜132章まで後手が先攻する戦法を御紹介しましたが共通して
言えるのは先手側は矢倉に玉を囲うのは危険だと言う事です