本章では先手がゴキゲン中飛車を採用した例を見て頂きます
先手と後手で同じ戦法でも大きく変わってくるのは、どんな戦法でも
有る事なのですが このゴキゲン中飛車は特に先手番で指した場合に事情が
激的に変わるのです
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲1六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽8五歩
▲5八飛
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 角 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=7 ▲5八飛(28) まで
▲1六歩は▽8四歩を待ってから▲5六歩と突く為の手待ちです
この手ですぐに▲5六歩ですと角交換して▽5七角と打たれる手が有り
この時に8四の地点が塞がっていないので角成りが防げないのです
「図1」から「図2」までの手順
▽5二金右 ▲5五歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲5四歩
▽同 歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲7七角 ▽8九飛成 ▲2二角成
▽5五桂
「図2」
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・v玉v金 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ 馬 ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八
| 香v龍 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 歩
手数=20 ▽5五桂打 まで
▽5二金右と上がり▲5五歩に▽8六歩と言う、最も激しい変化に突入します
これは74章「図3」までの手順を先後逆にした物で▲1六歩と端歩が
突いて有る所が違うだけです
「図2」の▽5五桂打が、この局面での有力手でゴキゲン側にとって
警戒すべき手となります 迂闊に応じるといっぺんに負けになるからです
「図2」から「図3」までの手順
▲5六銀 ▽7七角 ▲4八玉 ▽4七桂成 ▲同 銀 ▽2二角成
「図3」
後手の持駒:角 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・v玉v金 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ ・v馬 ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 飛 玉 ・ ・ ・|八
| 香v龍 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩
手数=26 ▽2二角成(77) まで
▲5六銀と打つのは”桂先の銀、定跡なり”と言われ、桂に対する最強の受けと
されていて、事実4七と6七両方を同時に受け▲5五銀と取る事も出来るので
部分的には好手なのですが この局面では▽7七角と打たれて拙い事になります
この王手に、どう応じても桂を捨てて 以下2二の馬を取られてしまうのです
▲4八玉と逃げる所で▲6八銀としても▽6七桂不成(王手)で結果は同じ事に
なると言う訳です
「図2」から「図4」までの手順
▲4八玉 ▽9九龍 ▲2一馬 ▽6七桂成 ▲5四飛 ▽5三香
「図4」
後手の持駒:角 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・v玉v金 ・ 馬v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v香v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ 飛 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 ・ ・v圭 ・ 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八
|v龍 ・ 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 桂 歩二
手数=26 ▽5三香打 まで
ここでは▲4八玉と逃げる手が最善です 以下は絶対手順では無く一例ですが
手順中の▲2一馬は、後手番での手順では▽8九馬と言う事になりますが
実は後手番でのこの手は、思わしく無いと言う事になっています
では先手番では違うのかと言う事ですが、この局面では全く違ってくるのです
それは何故なのか 次章でその訳を解説します