本章では升田式石田流の強烈な狙い筋を見て頂く事とします
「図1」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v飛v金 ・ ・ ・v玉v銀 ・|二
|v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 角 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=23 ▲9六角打 まで
「図1」は前章「図3」と同一局面です この▲9六角打までの手順は
やはり前章を見て頂くとして 先手の玉形ですが美濃囲いの金が一枚
無い形で”片美濃囲い”と呼ばれる物です 金銀二枚の囲いですが
これでも充分固い陣形です
この▲9六角打は後手が飛車先を伸ばして来た8五の歩を取ってしまう
と言うのが当面の狙いです まずこれを防ごうとして来た場合です
「図1」から「図2」までの手順
▽9四角 ▲8五桂 ▽同 角 ▲8六飛 ▽9六角 ▲8二飛成
▽同 金 ▲9六歩
「図2」
後手の持駒:飛 角 桂
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v金 ・ ・ ・ ・v玉v銀 ・|二
|v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛 角 歩
手数=31 ▲9六歩(97) まで
▽9四角と打つのが8五の歩を守る唯一の手ですが それでも▲8五桂と
歩を取ります ▽同角に、そこで▲8六飛と回るのが好手です
以下、飛車角の総交換となり「図2」まで進んだ局面は後手の桂得ですが
先手の陣形には飛車角を打つ隙が無いのに対し 後手陣はバラバラで
▲6二飛打の王手金銀取りなど キズが多く先手の有利な形勢です
次は8五の歩を受けず後手が玉の囲いを進め 自陣の強化を図った場合です
「図1」から「図3」までの手順
▽3三銀 ▲8五角 ▽4二金 ▲8六飛 ▽1四歩 ▲6三角成
▽8六飛 ▲7二馬
「図3」
後手の持駒:飛 角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ 馬 ・ ・v金v玉 ・ ・|二
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩v銀v歩 ・|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金 銀 歩
手数=31 ▲7二馬(63) まで
▲8五角から▲8六飛と寄り ▲6三角成と銀を取って角を切る
これが升田式石田流の▲9六角と打った時からの狙い筋です
後手は▽8六飛と飛車交換に来る一手ですが そこで▲同歩と飛車を取らず
▲7二馬と金の方を取るのがポイントです これで飛車と金銀歩の3枚換え
”二枚換えなら歩ともせよ”と格言に有るくらいですから この交換は
大きな駒得で 更に飛車取りの先手(相手の手番で飛車取りが残っている)
となっていて「図3」は断然先手有利の局面です