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皆さん こんにちは、千鳥銀です この《若葉亭》は将棋チェスネットの中でも初心者の方を対象とした会議室 ですので拙稿ながら、初級者の方の手助けが出来ればと思い『戦法図鑑』と言う やさしい手筋紹介を連載して行こうと思います 戦法を解説する手引書などは多数出ていますが 変化も多岐に渡り 初心者の方には読んでいても なかなか頭に入らないと言う事が有ると思います そこで今回は変化などは極力抜きにして それぞれの戦法の一つの狙い筋が 見事に決まる局面を紹介して行く事にします 柔道などの格闘技でも技を覚える為には まず見事にその技が決まって一本 と言う形を見て どういう技なのかを理解して行く物だと思います 今回は本当に将棋を覚え始めた方が では実際に序盤からどう指せば良いのか と言う事の道標になればと思っています その意味で【戦法図鑑】としました 解説は出来るだけ簡単にして行きますので もし内容について御質問が 有りましたら遠慮なくどうぞ そしてより深く知りたいと思う戦法を 見つけて頂ければ 定跡書などを選ぶ目安にもなると思いますので それではまず将棋の1手目についてから始めたいと思います 将棋は先手が第1手目を指して対局がスタートします ではその1手目は? 例外は有りますが初手には二つの最善と言われる手が有ります 下の図を見てください 先手と後手が1手ずつ指した所です 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=2 ▽3四歩(33) まで 将棋の駒の中で最も強力な駒が飛車と角の大駒ですが 初形では角は動けません その弱点と言うべき角の頭を 相手のもう一つの大駒の飛車が睨んでいます そこでこの二つの大駒を働かせる手 先手ならば▲7六歩と▲2六歩 後手なら▽8四歩と▽3四歩 それぞれこの2種類が1手目の最善と 言われているのです そしてこの互いの手の組み合わせによって 序盤の戦型が分かれて行く事になります ではまずこれからその 組み合わせによる 各戦型の序盤の形から解説して行きましょう |
飛車を並べたままの位置で使う事を居飛車(いびしゃ)と言います 先手、後手共に居飛車で戦う戦型を相居飛車 そしてその中で 先手が1手目に▲2六歩と飛車先を突き 後手も同じく▽8四歩と 飛車先を突いて行く戦型を相掛り(あいがかり)と呼びます また、このような出だしを相掛り模様の将棋という言い方をします 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=10 ▽2三歩打 まで この手順中,先手の5手目▲7八金で なぜすぐに▲2四歩と 突いて行かないか これは実は将棋の入門書には必ずと言って良いほど 解説されていますが 省く訳にも行きませんので簡単に説明しておきます 5手目に▲2四歩と行くと以下 ▽同歩 ▲同飛の時に▽8六歩と突かれ ▲同歩なら▽8七歩と打たれ ▲2三歩打 ▽8八歩成 ▲同銀 ▽3五角打 と先に取られた角で浮いた飛車を狙われ 先手が不利になります「図2」 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・|五 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=14 ▽3五角打 まで 先手が▲8六同歩と取った時に一歩持っているので▽8七歩と打てるのです そこで▲7八金と角頭を守り 後手も▽3二金とした時に▲2四歩と突きます 以下図1まで進んだ後 先手が飛車を2八に引くか 2六に引くかで また戦型が分かれて行く事になります |
互いに居飛車で戦う将棋の中で 先手が▲7六歩と角道を開いて始まる戦型に 矢倉と言う戦法が有り、そのような出だしを矢倉模様と言います 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=5 ▲6六歩(67) まで 5手目の▲6六歩では▲7七銀とする場合が有り 昔はそちらが多かったのと その手の方が先手側の矢倉が ほぼ決定的となるのですが 今はこの▲6六歩の方が多く指されるようになっています ただしこの場合は 先手が他の戦型になる可能性が有ります ただ居飛車にするなら この▲6六歩からも矢倉になるのが普通です 「図2」 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 上の「図2」の玉の囲いを矢倉囲いと呼び この玉の守り方を互いに目指すのが 相矢倉の将棋と言います 矢倉にはこの形とは別の囲い方も有りますが この”金矢倉”が最も一般的です |
先手が▲7六歩と角道を開ける所からスタートする相居飛車戦に 序盤から角を交換して 互いに角を持ち合って駒組みをして行く戦型が有ります これを角換り(かくがわり)の将棋と言います 図までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=11 ▲同 銀(88) まで 後手の▽8四歩に今度は先手が▲2六歩と飛車先を突いて行くと前回の 矢倉とは別の展開になり この角換りになる事が多いのです そうです戦型の選択権は例外は有りますが 基本的には先手に有るのです 角換りの場合はこの手順とは違うルートも有りますし 実際に後手の10手目 ▽7七角成と角を交換する手では▽4四歩など これを避ける手も有るので 先後共に了解済みで決定される戦型と言えます 上の図から以下▽4二銀 ▲3八銀 ▽7二銀 と言った進行などが 普通の流れですが他にも変化が有り またこの手順でも多彩な戦型に分かれ 少し戦法としては高度で難解な物となります |
相居飛車の戦型の序盤基本型として 横歩取り模様と言う物が有ります ▲7六歩と先手が角道を開けた時に後手が▽8四歩では無く 同じく▽3四歩と角道を開けた場合に この戦型になる可能性が有るのです 図までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 飛 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=11 ▲同 飛(28) まで 後手の2手目の▽3四歩に対して居飛車の意思表示の▲2六歩 そして後手も ▽8四歩と居飛車で来た場合 上図のような展開になります ここで▽2三歩打ならば飛車を引かずに ▲3四飛と横に有る後手の歩を取る と言うのが”横歩取り戦法”です 角道を開けた事によって相掛りの時と違い 後手の3四の歩が浮いているのを狙ったと言う訳です ただし後手側も相掛りと違い▲2三歩打とされても角は死なないので 今はここで▽2三歩打では無く ▽8六歩 ▲同歩 ▽同飛 と同様に飛車先を 切って来る手順が多くなっています ▽2三歩打 ▽8六歩からの飛車先交換のどちらの場合も 先手が横歩を取るか 取らないかは先手の選択に任せられることになります しかし実戦では取る方が 気合い負けをしないと言う意味で多いようです 4手目の▽8四歩までの出だしが 横歩取り模様と呼ばれています |
今まで先手、後手共に飛車を最初に並べたままの位置で使う戦型の組み方を 紹介して来ましたが 序盤に飛車を横の別な場所に移して戦う方法が有ります これを振り飛車(ふりびしゃ)と呼びます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲4八銀 ▽4二飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=8 ▽4二飛(82) まで 前回の横歩取りの時と同じく ▲7六歩に後手が▽3四歩と角道を開けますが 次の▲2六歩に▽4四歩と角道を止めて来る手順が 振り飛車模様となります もちろん絶対と言う訳では無いですが 可能性は高いと言えます なぜかと言えば振り飛車にする時は相手の飛車先の歩交換を ▽3三角と上がり 角で2筋を受けて防ぐ形になるので この時に角交換されない為です 「図2」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八飛 ▽8五歩 ▲7七角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=7 ▲7七角(88) まで 後手が▽3四歩としたのに対し 先手が▲6六歩と3手目に角道を止めて 振り飛車を目指したのが「図2」の局面です 先手の場合は後手が2手目に▽8四歩でも 後手の場合は先手の1手目が ▲2六歩でも 振り飛車にする事が出来ます 「図1」「図2」は共に四間飛車(しけんびしゃ)と呼ばれる代表的な戦型です |
序盤の形の最後として 互いに飛車を横に振る相振り飛車を紹介します 図までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3五歩 ▲6八飛 ▽3二飛 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=6 ▽3二飛(82) まで 前回の先手が振り飛車を目指して▲6六歩と角道を止めた時に▽3五歩と 角道を開けた3四の歩を更に伸ばしたのが 後手も振り飛車を目指す戦型 相振り飛車の代表的な手順です この他に▽4四歩と先手と同型に進むなど 形としては多種有りますし 互いに飛車を振る場所もいろいろです 将棋の戦型の中では比較的 決まった定跡と言った物が少ない未開拓な分野 と言える物で 実戦例も多く有りませんが面白い戦型と言えます これで先手、後手の初手から戦型の分かれる基本的な形を終ります しかし将棋は無限の可能性が有る知的で最高のゲームです もちろん紹介した他に例外も有りますが それはまた進行の中でと言う事で それでは以上基本の6パターンを念頭に置いて頂いて いろいろな戦法の 狙い筋がどんな物なのかを 次回から順次紹介して行きたいと思います |
今回から、いろいろな戦法の狙い筋が見事に決まる局面を紹介します まず将棋の戦法として基本中の基本と言える”棒銀(ぼうぎん)戦法” からスタートします この戦型にも相掛り型と、角換り型それに対振り飛車型 などが有りますが 今回は互いに飛車先を突き合う相掛り型で 棒銀の理想的成功局面を お見せいたします 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩 ▽8二飛 ▲3八銀 ▽6二銀 ▲2七銀 ▽5二金 ▲3六銀 ▽4一玉 ▲2五銀 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=23 ▲2五銀(36) まで 序盤の形1の相掛り型から 先手が飛車を▲2八飛と深く引く手を選び 真っ直ぐ飛車先に銀が出て行くのが 棒銀と呼ばれる戦法です 実はこの「図1」は既に先手必勝の局面になっています 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽2三歩 ▲同銀成 ▽同 金 ▲同飛成 「図2」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 龍v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 歩二 手数=31 ▲同 飛成(28) まで 2四まで進出してきた銀を▽2三歩と打って撃退しようとしても 2三に利いている駒の数が先手側が 飛車と銀の2枚 後手側が金1枚と 先手側が多いので▲同銀成と取られてしまい 以下▽同金 ▲同飛成 と「図2」まで相手の角頭に龍を作り必勝となりました これが棒銀の攻めが成功した理想的な局面です この狙いを完全に受け切る と言うのは意外に大変で 飛車を2八に引いて銀を3六まで出て行くと言う この手順は 以前は”原始棒銀”と言われ初心者専用の戦法だったのですが 最近ではプロ間でも指されています もちろん簡単にこの理想的攻撃が決まる と言う訳にはプロの場合は行かないですが この狙いを含みに相手の駒組みを 牽制すると言う闘い方をしています |
序盤の形5の振り飛車の中で 飛車を先手なら5八 後手なら5二に 振る形を”中飛車(なかびしゃ)戦法”と呼びます 今回は1手目でいきなり飛車を振ると言う 基本の6パターンからは 外れる原始中飛車と呼ばれる 初心者向きの中飛車を見て頂くとしましょう 「図1」までの手順 ▲5八飛 ▽3四歩 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲6八銀 ▽6二銀 ▲5七銀 ▽4二銀 ▲6六銀 ▽5三銀左 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5四歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽5三銀打 ▲5八飛 ▽4二玉 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v玉 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=20 ▽4二玉(51) まで ▲5八飛と振った後 前回の棒銀と同じく銀が飛車先に出て行き 後手も中央を守りに出た結果 銀がぶつかり合って「図1」となりました この局面も先手の必勝となっています 「図1」から「図2」までの手順 ▲5四歩 ▽4四銀 ▲5三銀 ▽同銀引 ▲同歩成 ▽同 銀 ▲5四歩 ▽6二銀 ▲5三銀 ▽同 銀 ▲同歩成 「図2」 後手の持駒:銀二 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v玉 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 とv歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=31 ▲同 歩成(54) まで ▲5四歩から5三に銀を打って行き 以下「図2」まで見事5筋を破って 先手の必勝となりました この例のように歩の上に駒を打ちこんで行く手筋は 俗に”重い手”と言われ 上手く行かない事も有るのですが ▲5三銀打が王手なので ▽5二歩打と受ける事がが出来ず成立しています 1手目に▲5八飛(後手なら▽5二飛)と回ったり 先に▲5六歩(5四歩) と突いてから2手目に中飛車にすると言う手は 前回の棒銀同様に 初心者専用だったのですが 最近はプロでも指されるようになりました 無論この例のように角道も開けず 単純に銀を繰り出して行く形では無く 戦型としては全く違いますし ▲7六歩から同じ戦型に持って行く事の方が 多いのは確かですが 昔なら、ほとんど有り得なかった事です そのプロ間で指される新型中飛車の紹介は いずれまたと言う事で 今回の原始中飛車と前回の相掛り棒銀は 将棋を覚えたばかりの初心者の頃 誰でも必ずと言って良い程 指したり逆に指された事が有る戦法です 頭の丸い(前に進めない)角を狙う棒銀 最終目標の玉を最初から狙う中飛車 どちらも理に適い尚且つ 狙いが分かり易いのが人気の戦法です |
棒銀、中飛車と言う 将棋を覚えて行く上で必ず遭遇する戦法を 見て頂きましたが この二つの例は超急戦の指し方で これだけで簡単に勝てれば良いのですが 将棋はそんなに甘く無く 本格的な戦型そして駒組みには 良い形を築く基本の原則が有ります 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v玉 ・v金 ・v角 ・|二 | ・ ・v歩v金v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 飛 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | 角 歩 桂 ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 「図1」を見て頂いて 先手と後手どちらが良い形に見えるでしょうか 先手の形が好形と見えた方は良い感覚だと思います 先手は将棋の3大原則を全てクリアしています 逆に後手は全ての点で 原則に適っていません それでは3大原則とは 1.飛車と玉は反対側に 2.玉の囲いは金銀3枚 3.攻めは飛角銀桂(時に香も) まず1は攻めの主力で有る飛車の近くは当然主戦場になるので 玉が足手まといになり 闘い辛く戦力が半減してしまう為です そして2は詰まされたら(逃げ場が無くなったら)負けになってしまう 大事な玉を相手の攻めから守る城と言える囲いの事です 「図1」の先手の守りが振り飛車の玉囲いとして最も良く使われる ”美濃囲い(みのがこい)”と言う非常に堅固で優秀な陣形です そして3は攻撃に使われる駒として 飛車と角の最強の大駒2つと 囲いに使われた銀と反対側の銀 それと飛車側の桂(場合によって香も) を全て攻撃配置につかせる事が出来れば理想的な攻撃陣になります 「図1」の先手の攻撃陣は”石田流三間飛車"(いしだりゅうさんげんびしゃ) と呼ばれる 振り飛車の中で左から3筋目に飛車を振る三間飛車の発展形で 正に飛角銀桂が全て活用できる理想形とも言える戦型です 2と3に関しては 各駒の配分や種類について例外も多々有りますが 基本としては この構成が良い形で有ると思ってください 以上の点から「図1」は先手の指せる(指しやすい、有利な)将棋と言い このような、駒のぶつかる前に優勢となる局面を作戦勝ち(駒組み勝ち)と いう言い方をします 最後に2と3に該当しない構成で 好形と言われる例外を2例紹介しておきます 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v飛 ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩v桂v銀v歩v銀v角v歩 ・|三 | ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 先手の戦型は対振り飛車の”居飛車穴熊(いびしゃあなぐま)と言います 金銀4枚を囲いに使い 攻撃力の不足を強靭な守備力で補う戦法です 後手の戦型は”ツノ銀中飛車”と呼ばれる本格的な中飛車戦法です 金銀が左右に分断されて玉の囲いは弱まりますが 全体的な守備力に優れ 隙の無いバランスの良さが特徴です どちらもかなり高等な戦法となります 初心者の方には指しこなすのは 難しいと思いますので 最初は2と3を基本としてください |
将棋の戦法を大きく分けると居飛車と振り飛車の2つに分かれる事は 序盤の形として、御紹介しましたが 駒組みの3大原則に添ったそれぞれ 代表的な戦法を一つずつ”駒組み編”と”戦闘編”に分けて解説いたします 本格戦型の為 初心者の方には少し難しいかも知れませんが ここではまだ 手筋など全てを理解すると言う必要は有りません ただこんな手順で 駒組みを進めて行き こんな闘い方をすると言った事だけを知って頂ければ 現時点では充分です では、まず居飛車の代表的戦型として 序盤の形2で御紹介しました 矢倉(やぐら)戦法から解説して行く事にいたします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲7八金 ▽3二金 ▲5八金 ▽4一玉 ▲6七金右 ▽5二金 ▲6九玉 ▽7四歩 ▲7七銀 ▽3三銀 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲7九角 ▽3一角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽3一角(22) まで 矢倉は将棋の戦法の中でも最も変化が多く この「図1」までの手順も 途中で多数の変化が発生しますが この局面が先後共に相矢倉としては 最も普通に進んだ形で実戦例も多い局面です ここから更に無限とも言える変化が有りますが 矢倉を完成するまでの 1例としての駒組み手順を、御紹介します 「図1」から「図2」までの手順 ▲3七銀 ▽4三金右 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽3四歩 ▲2六角 ▽4二角 ▲3六銀 ▽3一玉 ▲7九玉 ▽2二玉 ▲8八玉 ▽6四歩 ▲4六歩 ▽7二飛 ▲3七桂 ▽6三銀 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲4八飛 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲7六歩 ▽7二飛 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・ ・v角v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・v銀 ・v金v銀v歩 ・|三 |v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 銀 角 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ ・ 桂 歩 ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=52 ▽7二飛(75) まで 初手からここまで手数は長いですが 途中の手順は別として完成した玉の形を 覚えてください 相手の最強の駒で有る飛車に対して非常に堅固な守りとなる この陣形が”矢倉囲い”です 攻撃側は多数の戦型の一つですが 玉の囲い方は多少手順の前後は有るでしょうが だいたいこんな組み上げ方を して行く物なので囲い完成までの過程を 是非ご記憶ください 一つだけ補足しますと 途中▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽1四歩と互いに 端の歩を突き合っていますが 囲いの端は玉が広くなるので突いた方が得ですが 実は矢倉には端に絡んだ攻め筋が多数有る為に 端を突かれても受けて突く事は 少ないのです この局面では互いに端を攻められる形では無いので 受けていると思ってください もし序盤に突かれたら受けない方が良い場合が 多いのです その訳は後で、その実例を見て頂きます さて「図2」の局面ですが 実は既に先手の作戦勝ちになっています なぜなのか その訳は”戦闘編[1]”で |
それでは駒組み編の「図2」から先手が一気に後手の固い矢倉囲いを 木っ端微塵に粉砕する所を見て頂きましょう 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・ ・v角v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・v銀 ・v金v銀v歩 ・|三 |v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 銀 角 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ ・ 桂 歩 ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=52 ▽7二飛(75) まで 「図1」は駒組み編の「図2」と同一局面です ここまでの手順は前章の 駒組み編を見てください この先手側の攻撃陣は"矢倉崩し”と呼ばれる 矢倉に対する理想的な攻撃形の一つです そして陣形全体も9章の 駒組み3大原則を全てクリアしている事を確認してください 「図1」から「図2」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五銀 ▽同 銀 ▲4四歩 ▽5三金 ▲4五桂 ▽5二金 ▲6一銀 ▽8二飛 ▲5二銀成 ▽同 銀 ▲4三歩成 ▽同 金 ▲5三桂成 「図2」 後手の持駒:銀二 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v銀v角 ・v玉 ・|二 | ・ ・ ・ ・ 圭v金 ・v歩 ・|三 |v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 角 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ ・ ・ 歩 ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 手数=69 ▲5三桂成(45) まで 「図2」までとなって先手の必勝となります ここまでの手順で重要な ポイントとして▲4五歩 ▽同歩と取った時に▲4四歩と打つ手筋です この手で単に▲同銀と取ると▽4四歩と受けられ以下▲同銀 ▽同銀 ▲同角 ▽同金 ▲同飛と攻めても▽4三銀と受けられ思ったより うまく行かないと言う事です 失敗例として「図3」に示しておきます 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・ ・v角v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・v銀 ・v銀 ・v歩 ・|三 |v歩v歩 ・v歩v歩 飛v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ ・ 桂 歩 ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 歩三 手数=62 ▽4三銀打 まで 後手に▽4四歩と受けられないように▲4五銀 ▽同銀に再度▲4四歩 ▽5三金とさせてから▲4五桂と金取りで銀を取って行きます 以下「図2」となった局面では後手陣は収拾がつきません なお途中▲6一銀と飛金両取りに打った形を"割り打ちの銀”と呼びます 「図2」までの手順も変化は有りますが ▲4五歩の後どう指しても 先手の勝ちに変わり有りません それだけ「図1」の先手陣は理想形 と言える最高の布陣なのです |
矢倉戦において端歩が重要な意味を持つ事は駒組み編でも言いました それでは序盤に端歩を受けると どんな危険が有るか 戦闘編[2]では それを咎める代表的な戦法を見て頂く事にします <font face="MS ゴシック,Osaka-等幅"> 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽3一角(22) まで </font> 「図1」は駒組み編の「図1」と同型です ここまでの手順は前章同様 10章の駒組み編を見てください 「図1」から「図2」までの手順 ▲3七銀 ▽4三金右 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲6八角 ▽4二角 ▲7九玉 ▽3一玉 ▲8八玉 ▽2二玉 ▲2六歩 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽6三銀 ▲2六銀 ▽7二飛 <font face="MS ゴシック,Osaka-等幅"> 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・ ・v角v金v玉 ・|二 |v歩 ・ ・v銀 ・v金v銀v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 銀 歩|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=40 ▽7二飛(82) まで </font> ”矢倉崩し”では▲3五歩と歩の交換に出ましたが ▲1六歩 ▽1四歩と 端歩の突き合いが入った場合 別の攻め筋が発生します 「図2」を見て気がついた方もいると思いますが ▲2六銀と繰り出す 棒銀戦法の再登場です ただし矢倉棒銀の狙い筋は全く違います 「図2」から「図3」までの手順 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 香 ▲同 香 ▽1三歩 ▲1七香 ▽1二銀 ▲1八飛 ▽7五歩 ▲1三香成 ▽同 銀 ▲同香成 ▽同 桂 ▲同角成 ▽2一玉 ▲1二銀 <font face="MS ゴシック,Osaka-等幅"> 「図3」 後手の持駒:香二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|一 | ・ ・v飛 ・ ・v角v金 ・ 銀|二 |v歩 ・ ・v銀 ・v金v銀v歩 馬|三 | ・v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩二 手数=57 ▲1二銀打 まで </font> 「図3」で後手玉は詰んでゲームセットとなりました もちろんこれは すべて素直に応じた結果ですので この局面になる前に変化するとは 思いますが どう変化しても▲1五歩と仕掛けた局面からは先手優勢です ここでのポイントは▽1五同歩に▲同銀と銀で歩を取り返して行く事です 矢倉に限らず棒銀の別の狙い筋が この端攻めです あまり早く端を受けると この棒銀が有るため端を突かれても受けない方が 安全なのです 俗に”矢倉囲いに端歩は突くな”と言われる理由です |
序盤で横に飛車を振る戦型として 8章で原始中飛車を紹介しましたが 本格的な振り飛車では序盤の形5で 見て頂いた出だしで駒組みを進めて 行く事になります その中で最も多く指されている振り飛車として 6章の例として使った左から4筋目に振る”四間飛車戦法”を矢倉と同じく ”駒組み編”と”戦闘編”に分けて解説して行く事にいたします 振り飛車は後手番の時に使われる事が多いので 今回は後手側で四間飛車を 指す形で解説します それを先手番で使う事も容易に可能だからです 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲7六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲5八金右 ▽8二玉 ▲3六歩 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=20 ▽9四歩(93) まで 居飛車側の対振り飛車作戦は多数有りますが この時点の先手の陣形を "船囲い(ふねがこい)”と呼び ▲3六歩と突いた手により 急戦策を取る意思表示の可能性が高いと言える戦型です 端の歩は 狙う戦型によっては受けない方が良い事も有りますが 矢倉と違い 序盤で受けると拙いと言う事は有りません 特に本局面のように急戦になりそうな時は 突かれたら受ける方が得です 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八銀 ▽5二金左 ▲5七銀左 ▽4三銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで この「図2」の先手の戦型が”5七銀左型”と棋譜のまま呼び名になっている 対振り飛車急戦型の最もポピュラーな陣形です それに対して5七銀右と 上がる戦型も有ります 後手玉の囲いは9章でも御紹介した”美濃囲い”です 居飛車の▲5七銀左に振り飛車側の▽4三銀は 角の頭の守備を強化して 居飛車側の▲3五歩(▽同歩なら▲4六銀)と言う”ナナメ棒銀”に 備えた物です 5七銀左型の狙いの一つが、このナナメ棒銀と言う戦法で 通常の棒銀に比べて2四の地点を目指し斜めに銀が進むので こう呼びます この局面に至って 振り飛車を指す場合、序盤で角交換を避けるために なぜ角道を止めるか 御理解頂けるかと思います もし序盤で角交換されて▽同桂と取った形になっていたら 同じ局面まで 進んだ時 ▲2四歩 ▽同歩 ▲同飛と交換されて不利になります あくまで仮想図ですが「図3」として示しておきます 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v桂 ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=29 ▲同 飛(28) まで それでは「図2」からは”戦闘編”で |
”振り飛車には急戦を狙え”と言う将棋格言が有ります 最近では居飛車側も玉を固める 9章で御紹介した居飛車穴熊などが有り 対振り飛車の持久戦手段も多くなりましたが 急戦が有力な 対抗策で有る事に変わりはありません 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図1」は前章の駒組み編「図2」と同一局面です ここまでの手順は やはりそちらを見て頂く事として ここから先手が仕掛ける手順を 進めて行きますが 今回は四間飛車側の解説なので居飛車の急戦に 見事に応戦して有利に導いて行くまでを御紹介します 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八飛 ▽3二飛 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲3五銀 ▽3七歩 ▲同 飛 ▽2八角 ▲3四歩 ▽3二飛 ▲3六飛 ▽1九角成 ▲3七桂 ▽1八馬 ▲2六飛 ▽3四銀 ▲同 銀 ▽同 飛 「図2」 後手の持駒:銀 香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 飛 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・v馬|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=46 ▽同 飛(32) まで 四間飛車に対する急戦策として角頭を狙う と言うのは有力な仕掛けです そして攻められそうな場所に飛車を予め持って行くと言うのが 四間飛車、と言うより振り飛車側の常套手段となります ▲4六銀と攻め駒に銀の援軍を送って来た瞬間に▽4五歩とカウンターを 放つのが第二弾の迎撃法で 角を交換して▲3五銀と進出した時に ▽3七歩と打ったのが優勢を決定づける決め手となります 飛車を逃げると銀が取られるので▲同飛と取る一手ですが 以下「図2」まで 駒得で馬を作った上に飛車の働きにも大きな差が有り 後手優勢の局面です ▲3五歩 ▽同歩に▲4六銀とせず 単に▲同飛と飛車で歩の交換をするのは ▽2二角が好手で ▲3二飛成と飛車交換する一手となり▽同銀で「図3」 「図3」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v銀v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩 手数=32 ▽同 銀(43) まで この局面も四間飛車側に飛車を打ち込む隙が全く無いのに比べ 居飛車側には2七或いは2八など 飛車打ち込みの隙が多く やはり後手優勢となります ”飛車交換は振り飛車有利”と言うのが 急戦の場合は定跡となっています |
対振り飛車の急戦策として”振り飛車には角交換を狙え”と格言で言われる 仕掛けが有ります これは13章駒組み編の仮想図「図3」のような 局面を実現するのが狙いの戦型です 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 前章同様の「図1」から居飛車側が角交換を狙って▲4六歩と突いて行く もう一つの有力急戦策を採った場合を解説します この▲4六歩に▽5四歩のような手なら▲4五歩 ▽同歩 ▲3三角成 ▽同桂 ▲2四歩 ▽同歩 ▲同飛と言う手順が狙い筋です 居飛車の成功例として「図2」に示しておきます 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v桂 ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=33 ▲同 飛(28) まで この「図2」は13章駒組み編の仮想図「図3」と ほとんど同一局面です この後▽2二歩打でも▲3一角打で2筋突破となり先手優勢です ただし▲4五歩に▽同歩と取らずに▽6四歩と手待ちする手が有り それはそれで難解な将棋となりますが 今回はこれとは別の手段を解説します 「図1」から「図3」までの手順 ▲4六歩 ▽5四銀 ▲3七桂 ▽6五銀 ▲4五歩 ▽7六銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 角 ▲同 角 ▽同 飛 ▲7七歩 ▽8七銀成 ▲同 玉 ▽8四飛 ▲8六銀 ▽6四角 ▲9七角 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽9六歩 ▲同 玉 ▽8六角 ▲同 角 ▽8五銀 ▲8七玉 ▽8六銀 ▲7八玉 ▽8七銀成 「図3」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・|四 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・v全 歩 歩 銀 ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=54 ▽8七銀成(86) まで ▽5四銀で▲4五歩を防ぎ ▲3七桂と先手が戦力を増強して来た時に ▽6五銀と進出して行きます これを"玉頭銀(ぎょくとうぎん)”と呼び 振り飛車が時によって採用する手段です 以下予定通りに先手が角交換を 狙って行きますが ▽8七銀成から飛車を8筋に転回して「図3」まで 後手必勝の局面となりました 前章も含めて振り飛車の場合 攻めると言うより駒を効率良く交換したり 働きの良い場所に持って行くような指し方をします これを”駒を捌く(さばく)”と言います またこの捌くと言う性格上 振り飛車の陣形は3大原則の3 攻めは飛角銀桂と言う理想形には序盤で なりにくいですが 逆に飛車側の桂香が捌ければ優勢となる事が多いのです 以上、本格戦法の駒組みを6回にわたり解説しました 初心者の方には 少し難しかったかと思いますが これから順次見て頂く戦法も基本的には この2戦法のように 駒組みの3大原則に従って指し進めて行く物なので 解説する一手一手が何を目指しているのかが 理解しやすくなると思い この時点で解説いたしました ですから今の段階では、何となく分かった と言う程度で構わないと思います 次章からまた、いろいろな戦法の 成功局面を分かりやすく御紹介して行きますので御期待ください |
三間飛車の中の一つの理想形に”石田流三間飛車”と言う戦型が有る事は 9章「図1」の解説で御紹介しました しかし居飛車側がこれを簡単には 実現させてはくれませんので 石田流本組を見る事は少ないのです ”石田流"と言う名の由来は 江戸時代の盲人棋客で石田検校と言う方が 創案したと言われている戦法だからです 今回は基本的には この石田流を目指しつつ別の狙いを持った戦法の 第一弾”早石田戦法”を見て頂きます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛 ▽8五歩 ▲4八玉 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=7 ▲4八玉 まで 振り飛車は角交換を避けるのが定跡ですが この早石田は▲7五歩と かまわず伸ばして行くのが特徴です さてこの局面は後手側に いろいろな手が有りそうですが この隙だらけに見える陣形は本当に 大丈夫なのでしょうか それでは、これから見て行くとしましょう 「図1」から「図2」までの手順 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲9五角 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=15 ▲9五角打 まで 「図1」で、まず見える手は▽8六歩と飛車先の歩を突いて行く手ですが ▲同歩 ▽同飛とした瞬間▲7四歩と突き▽同歩なら「図2」まで ”目から火が出る王手飛車”となり先手の勝ち ▲7四歩を取らなければ ▲7三歩成と7筋が破れます また▽6二銀と守るのは角交換の後 今度は▲7七角打で飛車銀両取りで 先手の勝勢です 「図1」から「図3」までの手順 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽4五角 ▲7六角 ▽3二金 ▲3八玉 ▽6四歩 ▲4六歩 ▽7二角 ▲7七銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛v角 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 角 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=17 ▲7七銀 まで 「図1」では角交換して▽4五角と打ち 2七と6七の両成りを狙う手も 当然有りそうですが しかしこれには▲7六角と打つ返し技が有ります ▽2七角成とするのは 先手も▲4三角成と桂取りで馬を作る手が有り この角成りは先手に分が有るので ▽3二金と防ぎますが▲3八玉で 後手の角はどちらにも成れず 以下「図3」まで失敗に終ります と言う事で隙だらけに見えた先手陣でしたが 意外に潰れる事は有りません 次章では後手が穏やかに進める手に対して 先手の方が激しく動いて行く 早石田の骨子となる攻め筋を御紹介します |
早石田の序盤の一見無防備に見える陣形に 居飛車側が仕掛けるのは 無理筋で失敗に終りました 今回は逆に先手側が急戦に持ち込む 早石田と言う名称本来の攻撃手順を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛 ▽8五歩 ▲4八玉 ▽6二銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=8 ▽6二銀 まで 「図1」は前章の「図1」の局面から▽6二銀と7筋の守備を固めた所です ここで先手が早石田戦法の狙いの攻め筋を展開して行きます 「図1」から「図2」までの手順 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲5五角 ▽7三銀 ▲7四飛 「図2」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ 角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=15 ▲7四飛 まで ▲7四歩 ▽同歩に角交換して▲5五角打 これで飛車銀両取りで決まったと 思った瞬間▽7三銀で見事に両取りを一挙に受け そこでまた▲7四飛と突撃 ▽同銀なら▲8二角成で飛車を取り返し馬を作って優勢 と言う狙いです とにかく派手に飛車角が飛び回ります 「図2」から「図3」までの手順 ▽6四角 ▲7三飛成 ▽5五角 ▲8二龍 ▽同 角 ▲8三飛 ▽7二金 ▲8五飛成 ▽9四角 ▲7五龍 ▽6四角 ▲6六龍 「図3」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v金 ・ ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 |v角 ・ ・v角 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 龍 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=27 ▲6六龍 まで 「図2」で後手は困ったようですが▽6四角と打つ手が有りました この手で▽3三角と打つのは▲7三角成 ▽同桂 ▲同飛成とされます この時に▲4八玉と上がっているので ▽9五角の王手飛車が無いのです 後手番で早石田を採用する時は 一手の違いが有るため、玉は5一に居て この王手飛車取りの筋が有るので気をつけてください 「図3」まででポイントとなるのは▲7三飛成の時に ▽5五角と角の方を 取る事です これで先手も龍を逃げる訳には行かず▲8二龍から 以下、飛車交換になり「図3」までとなります また▽6四角で▽3三角でも ▲7三飛成と銀を取れば結果は同じなので 後手番でも同様の局面になります 「図3」は冷静に見れば形勢不明と言う事になりますが 初級の方ですと この手順のように最善に受けるのは難しいでしょうし また「図3」でも 龍を作った先手を持つ方が 指しやすいと思われる方が多いと思いますから 実戦で試してみるのも面白いのではないでしょうか |
石田流から別の狙いを持った戦型に発展して行く戦法第二弾として 升田幸三実力制第四代名人の創案になる”升田式石田流戦法”を解説します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛 ▽8五歩 ▲4八玉 ▽6二銀 ▲3八玉 ▽6四歩 ▲7六飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7七桂 ▽4二玉 ▲2八玉 ▽3二玉 ▲3八銀 ▽7二金 ▲7八金 ▽6三銀 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛v金 ・ ・ ・v玉v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=22 ▽6三銀(62) まで 早石田では後手の8手目▽6二銀に▲7四歩から超急戦の仕掛けに出ましたが 最善に応接されると悪く無いまでも 思ったほどの戦果も上がりませんでした そこで仕掛けは見送り ▲3八玉と寄って美濃囲いを目指します 後手の▽6四歩は▲7四歩の防ぎです これで▲7四歩と来られても ▽同歩 ▲同飛に▽6三銀で7筋は受かります この局面を「図2」に 示しておきますので受けの形として御記憶ください 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・ ・v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ 飛v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=14 ▽6三銀 まで ▽6四歩に対して▲7六飛と飛車を浮きます これは後手に角交換の選択を 迫る手となります ▽8八角成とする手で▽6三銀などですと▲7七桂と跳ねて 9章「図1」の石田流本組を目指す事が出来ます つまり先手に 石田流の理想形を組ませない為には ここで角交換するしか無いのです その後▽2二銀と上がったのは 次に▲3六飛と3四の歩を狙う手が有るので その時に▽3三銀の受けを用意した手です 以下お互いに玉の整備をしますが 「図1」までの手順中でポイントとして 先手は▲7八金、後手は▽7二金と 金を玉と反対側に上がっている事です 序盤で大駒を交換している場合は 自陣に隙が出来ないようにするためです 後手側は更に7筋を強化すると言う 意味も有り この構えは石田流型の備えとして定番の形と言えます さてこれで どちらも固い構えで手が無いように見えますが ここで升田式石田流、狙いの一手が有ります それが「図3」 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛v金 ・ ・ ・v玉v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 角 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲9六角打 まで この▲9六角打です ここからは次章で |
本章では升田式石田流の強烈な狙い筋を見て頂く事とします 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛v金 ・ ・ ・v玉v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 角 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲9六角打 まで 「図1」は前章「図3」と同一局面です この▲9六角打までの手順は やはり前章を見て頂くとして 先手の玉形ですが美濃囲いの金が一枚 無い形で”片美濃囲い”と呼ばれる物です 金銀二枚の囲いですが これでも充分固い陣形です この▲9六角打は後手が飛車先を伸ばして来た8五の歩を取ってしまう と言うのが当面の狙いです まずこれを防ごうとして来た場合です 「図1」から「図2」までの手順 ▽9四角 ▲8五桂 ▽同 角 ▲8六飛 ▽9六角 ▲8二飛成 ▽同 金 ▲9六歩 「図2」 後手の持駒:飛 角 桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v金 ・ ・ ・ ・v玉v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 歩 手数=31 ▲9六歩(97) まで ▽9四角と打つのが8五の歩を守る唯一の手ですが それでも▲8五桂と 歩を取ります ▽同角に、そこで▲8六飛と回るのが好手です 以下、飛車角の総交換となり「図2」まで進んだ局面は後手の桂得ですが 先手の陣形には飛車角を打つ隙が無いのに対し 後手陣はバラバラで ▲6二飛打の王手金銀取りなど キズが多く先手の有利な形勢です 次は8五の歩を受けず後手が玉の囲いを進め 自陣の強化を図った場合です 「図1」から「図3」までの手順 ▽3三銀 ▲8五角 ▽4二金 ▲8六飛 ▽1四歩 ▲6三角成 ▽8六飛 ▲7二馬 「図3」 後手の持駒:飛 角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ 馬 ・ ・v金v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v銀v歩 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 歩 手数=31 ▲7二馬(63) まで ▲8五角から▲8六飛と寄り ▲6三角成と銀を取って角を切る これが升田式石田流の▲9六角と打った時からの狙い筋です 後手は▽8六飛と飛車交換に来る一手ですが そこで▲同歩と飛車を取らず ▲7二馬と金の方を取るのがポイントです これで飛車と金銀歩の3枚換え ”二枚換えなら歩ともせよ”と格言に有るくらいですから この交換は 大きな駒得で 更に飛車取りの先手(相手の手番で飛車取りが残っている) となっていて「図3」は断然先手有利の局面です |
”3手目に桂を跳ねれば、鬼のように強い猛者も倒せる”と言う ちょっと怪しげな戦法の紹介と その正しい応接方を解説します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲7七桂 ▽8四歩 ▲6五桂 ▽6二銀 ▲7五歩 ▽6四歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲5五角 ▽3三銀 ▲6四角 ▽5二金右 ▲7四歩 ▽6三金 ▲7八飛 ▽6四金 ▲7三歩成 ▽同 桂 ▲同桂成 ▽同 銀 ▲同飛成 「図1」 後手の持駒:角二 桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・ 龍 ・v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・v歩 ・v金 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 歩二 手数=23 ▲同 飛成(78) まで ▲7六歩 ▽3四歩と互いに角道を開けた瞬間 いきなり▲7七桂と桂を 跳ねるのが古来から有る”ハメ手(罠を用意して相手を陥れる)”戦法の ”鬼殺し”です ”桂の高飛び歩の餌食”と言われますが そんな事は お構いなく▲6五桂と飛んで行き ▽6四歩で桂を殺しに来た時に 角交換して▲5五角打 以下狙い筋が16章の早石田戦法に似た攻撃法で 「図1」までとなり先手の勝ちと言っても良い局面となります 早石田に桂が加わった分だけ 攻撃力が強力になっている訳です ここまで後手の指し手に悪い手が有ったように思えないですが まったく成す術も無しとなっています これが鬼をも倒すと言う理由です 実は普通は良い形の手が この鬼殺しに限ってだけ悪手になっているのです その手は何かと言うと これまで度々現れている▽6二銀に問題が有るのです この手では▽6二金が正解手です それでは今度は逆に鬼殺しを殺します 「図2」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲7七桂 ▽8四歩 ▲6五桂 ▽6二金 ▲7五歩 ▽6四歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲5五角 ▽6三金 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v金v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 桂 角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 ・ 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=12 ▽6三金(62) まで 「図1」までと同じ手順で進み 後手が▲6五桂と跳ねた時に▽6二金と上がる これで鬼殺しは、あっけなく潰れとなります 角交換して▲5五角と打つと言う ▽6四歩に対する同じ指し手に 今度は▽6三金と上がり6四の歩を守りつつ 2二の銀に飛車のひもが付いて(駒の利き筋が別の駒につく)両方を同時に 受けられて指し切り(攻めが途切れて無くなる)となり失敗です 先ほどの▽6二銀だと「図2」の6三が銀になる訳で▲5三桂成とされて 後手の不利となってしまうのです このように相手が罠に嵌らず正確に受けられると 後の収拾がつかなくなるのが ”ハメ手”の特徴で つまり引っ掛からなければ別の狙いに変える事も出来ず 潰れるだけと言う物なのです これで鬼殺しの解説は終わり と言うのが入門書など将棋の定跡書なんですが 私はこれでは不充分だと思っています なぜなら一般的に通っている この鬼殺し封じの裏をかく手順が有るからです それは次章で |
前章の最後で定跡の本に載っている定番の鬼殺し退治法では解説が不充分 と言った訳は ある変則手順が有るからです 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛 ▽8五歩 ▲4八玉 ▽6二銀 ▲7七桂 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=9 ▲7七桂(89) まで 「図1」の直前▽6二銀までは早石田や升田式石田流と同じ手順です そして、その後手の▽6二銀を見てから▲7七桂と跳ねます 「図1」から「図2」までの手順 ▽7一銀 ▲6五桂 ▽6二金 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲5五角 「図2」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v金 ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 桂 角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=17 ▲5五角打 まで ▽6二銀は鬼殺しには拙いとい言う事で 慌てて銀を戻し▽6二金と 金を上がり直しますが ここでの2手損は命取りとなります 前章の「図2」と比べて既に7筋に飛車が居て 7五まで歩が伸びているため 受けが間に合わなくなっています これは”鬼殺しには▽6二金”と ただ形だけで覚えてしまった結果です 「図1」から「図3」までの手順 ▽3二金 ▲6五桂 ▽7二金 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲4六角 ▽6四角 ▲同 角 ▽同 歩 ▲4六角 ▽6三金 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・ ・v金v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 桂 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=22 ▽6三金(72) まで 手筋は丸暗記するのでは無く その狙いを理解するようにしなければ意味が 無いのです そこで鬼殺しの狙いは何かと考えた時、8二の飛車と7三の地点 それから反対の2二或いは1一の地点 これを飛角桂で速攻すると言う事です そこで改めて「図1」を見た時 確かに攻撃形は普通の鬼殺しよりも 完成しています ただし速攻と言う事からは手が遅れているのです そう考えた時 鬼殺し側の手の遅れを咎めて狙いを封じれば良いと言う事が 策として浮かぶ訳です まず▽3二金と上がります これで狙いの一つは 消えました そして▲6五桂と跳ねて来た時に▽7二金と7筋も強化します ▽7二金では▽6四歩も 角交換から▲5五角が両取りにならないので ▽6五歩と桂は取れますが この局面では▽7二金の方が手堅く安全です ▲2二角成 ▽同銀 ▲4六角と残る飛車側を狙って打ってきた時に ”角には角対抗”と言う角筋を受ける最強の受けで▽6四角と打った局面は 鬼殺しを完封しています 更に▲6四角から再度の▲4六角には▽6三金で 「図3」となり もう先手側は万策尽きた状態になります 手順中先手の▲4六角は▲5五角より この場合は優れています ▲5五角が両取りにならないからです 特別な利点が無ければ飛車角は 遠くから睨みを利かせる方が良いのです このように形が変わっても 相手の狙いを一歩先に受けるようにすれば 鬼殺しは打ち破る事が出来ます |
2回に亘り鬼殺しのハメ手筋を紹介し その受け方を解説しましたが 改良された新鬼殺しと言う 米長永世棋聖が創案した戦法が有ります これはハメ手では無く 立派に一戦法として成り立つ物です それだけに難解で変化も多いので 今回は狙い筋の一例と後手側が これを避ける手段を見て頂き 鬼殺し編の締めとします 「図1」までの手順 ▲7六歩 △8四歩 ▲7五歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩 ▲7八飛 △7七角成 ▲同 桂 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=9 ▲同 桂(89) まで まずこれまで解説して来た石田流系の戦法は ▲7六歩に対して▽3四歩と 後手が来てくれないと使えないと言う事です 角道が開いていないと技が 掛けられないからで 2手目が▽8四歩で▲7五歩にも▽8五歩だと ▲7七角と通常の振り飛車のように上がらざるを得ないのです そして▽3四歩に▲6六歩と止めれば これはまた別の戦型となります 寧ろ、その方が一般的で 実戦例も多い戦型では有ります しかし新鬼殺しは ここで意表をついて▲7八飛と振ります ▽7七角成と角交換して▲同桂と取った「図1」が新鬼殺しの基本形です これまた一見隙だらけですが ここまで本講座を見て頂いた方には この形に不用意に仕掛ける手が危険極まる事は分かると思います 「図1」では▽8六歩と突くなど いろいろ手が見えますが 先手が仕掛けに出た場合の一例として▽5四角と打った変化を見て頂きます 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四角 ▲5五角 ▽2二銀 ▲8五桂 ▽3三銀 ▲7三桂不成 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・ 桂v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v角 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ 角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=15 ▲7三桂(85) まで 角を手放した瞬間に▲5五角と打ち ▽2二銀と受けた時に▲8五桂と こちら側に跳びます ▽同飛とは取れないので銀を3三に上がりますが ▲7三桂不成として先手優勢です 不成で行くのがポイントで ここを▲7三桂成だと▽8七飛成で成桂が遊んで失敗です 角を手持ちにしているので これ以外の仕掛けも、やはり同様に危険です それでは「図1」で▽6二金はどうかと言う事ですが この場合は▲8八飛で 別の将棋となりますが 鬼殺し以外では▽6二金は悪形になり感心しません 角が交換されていて駒捌きが楽なため 鬼殺しと違って戦型の組み換えが 可能なのです それではどうするか 「図3」までの手順 ▲7六歩 △8四歩 ▲7五歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩 ▲7八飛 △6二銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=8 ▽6二銀(71) まで 「図3」まで後手から角を交換せずに 新鬼殺しを避けるのが一番分かり易く 安全な対策です ここで▲2二角成から▲7七桂とするのは前章で解説した 対策と類似した局面となります また角道を開けるのを保留して玉を3二まで 移動してから▽3四歩とするのも 新鬼殺しを封じる策として有効です その場合も「図3」でも ▲6六歩と止めて振り飛車の基本に添った別戦型と なりますが それはまた解説する機会が有ると思います |
序盤の形1の相掛り型から 先手の利を最大限に活かそうとする ”縦歩取り戦法”を御紹介します まず1章で少しだけ触れた 互いに飛車先を突き合ってから5手目に ▲7八金とせず▲2四歩と先行した場合を解説しておきます 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽8七歩 ▲2三歩 ▽8八歩成 ▲同 銀 ▽3五角 ▲2八飛 ▽5七角成 ▲2二歩成 ▽同 飛 ▲同飛成 ▽同 銀 「図1」 後手の持駒:飛 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 歩 歩v馬 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 歩二 手数=20 ▽同 銀(31) まで 14手目の▽3五角打までは1章「図2」で見て頂きました 以下飛車が逃げ ▲2二歩成から角を取り返しますが「図1」まで馬を作られ先手不利です ▽8六歩に▲同歩と取る所で ▲2三歩と打てば先に角は取れますが 以下▽8七歩成 ▲2二歩成 ▽同銀となり 後手の飛車は浮いていないので 角を持っても手段が無く 結局▲2八飛と引く一手で▽8八と、と角を 取り返されて 歩を一枚損するだけとなります 手順中▲2二歩成を▽同飛で▽同銀と取るのは ▲3六角と打たれ▽6二飛と 受ける一手となりますが ▲5二歩打と言う絶妙手で逆転します 「図2」に特に示しますので この歩打ちの素晴らしさを感じてみて下さい 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v飛 歩 ・ ・v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・|六 | 歩 ・ 歩 歩v馬 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=21 ▲5二歩打 まで この▲5二歩を▽同飛と取れば▲6三角成 それ以外の駒で取ったり ▽4二玉と逃げるのは 飛車の横利きが消え▲2二飛成で先手勝勢です 以上の事から 相掛り手順で5手目に▲2四歩は無理で▲7八金となります 「図3」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽3四歩 ▲3六飛 ▽3三金 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=16 ▽3三金(32) まで 後手の角道を開けた3四の歩を▲3六飛として狙うのが 序盤の形4の 横歩取りに対して”縦歩取り戦法”と呼びます ここからは次章で |
縦歩取り戦法は別名”ひねり飛車”と呼ばれ 今はこちらの方が一般的に なっていますが ひねり飛車は縦歩取り以外の形からでも出来るので この章では縦歩取りとして解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=16 ▽3三金(32) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面です ここまでの手順は前章を見て下さい 序盤の形1相掛りの出だしから 先手が飛車を2六に引き後手の飛車先を 切らせないようにするのは先手の利を生かした”浮き飛車”と言う構えです 飛車先を切れない後手は▽6二銀と上がります 今は7二に上がる方が 多いのですが 今回はこちらに上がる形で解説します そして▽3四歩と後手が角道を開けた時 その歩を取りに▲3六飛と寄るのが 縦歩取りと言う名前の由来です ▽3三金と受けられ、大して効果が 無いように見えますが 実は歩を取ると言うのは真の目的では無いのです また▽3三金のところ▽8四飛と飛車で受けるのは▲2七銀から銀を棒銀風に 繰り出して行けば 7筋から4筋までの歩も突けず飛車の動きも不自由で 先手の指しやすい形勢となります 「図1」から「図2」までの手順 ▲9六歩 ▽4二玉 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲7五歩 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀 ・v玉 ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩v飛 ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=23 ▲7五歩(76) まで ▲9六歩と端歩を突いてから▲7六歩と角道を開きます この後▲7七角と されると後手は飛車先を切れなくなるので▽8六歩と突いてきます そして▲同歩 ▽同飛の瞬間に▲7五歩 これが縦歩取りの第一の狙いです つまり▲3六飛として飛車に紐をつけておき 飛車交換を迫る訳です 「図2」から「図3」までの手順 ▽8二飛 ▲7七桂 ▽3二玉 ▲4八玉 ▽4二銀 ▲9七角 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v銀v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | 角 ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=29 ▲9七角(88) まで この形での飛車交換は 先手陣に飛車を打ち込む隙が無いのに比べて 後手の陣形は隙が出来易く損となります この辺りは振り飛車対居飛車の 急戦型での飛車交換と同様です 後手は仕方なく▽8二飛と深く引きますが そこで▲7七桂と跳ねるのが縦歩取りの 次のポイントとなる一手です この時に9六の端歩が突いて無いと▽8七歩と打たれ、角か金を取られる事に なりますので気をつけて下さい また▲7七桂の時に▽8六歩として次の▽8七歩成を狙って来るのは ▲8五歩と打ってから▲8六飛と歩を取ってしまえば 後手は歩切れで8筋が 受からず先手の勝勢となります そして、あっと驚く▲9七角 この「図3」で▽8九飛成と飛車を成られて しまうのでは そう思われている方もいると思いますが しかし、これが縦歩取りの次なる狙いなのです 以下は次章で |
後手が角道を開けた3四の歩を▲3六飛と取りに行くと言う一見した所 何の意味も無いように見える一手から 思いもよらない展開となって行く 縦歩取り戦法の手順中でも 初めて見た時には誰もが驚くのが 前章「図3」の▲9七角だと思います 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v銀v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | 角 ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=29 ▲9七角(88) まで 「図1」は前章の「図3」と同一局面です ここまでの手順は 23章と24章を見て下さい この局面では当然ながら▽8九飛成と飛車を成る手が見える筈です それでは後手が飛車を成った場合はどうなるか 「図1」から「図2」までの手順 ▽8九飛成 ▲8八角 ▽7二金 ▲8六飛 ▽8三歩 ▲6八金 ▽4四歩 ▲5九金 ▽4三金 ▲7八銀 ▽8八龍 ▲同 飛 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v金v銀 ・v銀v玉v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v金 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 飛 銀 金 ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩二 手数=41 ▲同 飛(86) まで ▽8九飛成に▲8八角と戻すと後手の龍は動けなくなっています 次に▲8六飛と回られると ▲8一飛成が受からなくなるので ▽7二金として▲8六飛に▽8三歩と受けますが 以下龍を殺し飛車角の交換 となった「図2」では先手の優勢な局面です 手順中▲5九金が大事な一手で これを怠ると「図2」まで来た時に▽7九角と飛金両取りに打たれ ▲8九銀の一手となり ▽8八角成 ▲同銀と飛車を取り返されてしまいます このように飛成りを誘うと言うのが 縦歩取り側の罠だった訳です 「図1」から「図3」までの手順 ▽6四歩 ▲8六飛 ▽8四歩 ▲3九玉 ▽6三銀 ▲7六飛 ▽7二金 ▲6六歩 ▽4四歩 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲6四歩 ▽同 銀 ▲7四歩 ▽6三金 ▲6四角 ▽同 金 ▲7三歩成 「図3」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v玉v角 ・|二 |v歩 ・ と ・v歩 ・v金v歩v歩|三 | ・v歩 ・v金 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 桂 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=47 ▲7三歩成(74) まで </font> 後手が罠に気づけば飛車を成って来ませんが それも予定のうちで ▲8六飛と後手の飛車にぶつけます これこそが縦歩取りの本当の狙いです 飛車が2四〜2六〜8六と飛車を、ねじるように転回させる事から”ひねり飛車” と呼ばれる事が多いのです ただ縦歩取りの▲3六飛を省略して飛車を左辺に 持って行くひねり飛車も有るので 今回は縦歩取りとして解説しています 後手はここでも飛車交換は不利となるので受けますが ▽8五歩と打つのは ▲同飛と取られてしまうので ▽8四歩とするしか有りません 玉を3九に持って行き▲7六飛と7筋に回った先手の形は石田流に似た戦型と なりますが 二歩を持駒にしているのと、8筋と2筋の歩が切れている点が 違っています 対して後手の▽6三銀▽7二金は共に、この形の定番の守備です 以下は、その持ち歩を使った攻めの一例です ▲6四歩を▽同銀と取ると「図3」まで先手の勝勢となるので▽5四銀とかわし ▲7四歩 ▽同歩 ▲同飛と7筋の歩を切る将棋になると思いますが いずれにしろ後手側としては 先手にこんなに気持ち良く指されたのでは 面白くありません そこで陣形に改良を加えてきます 次章では その改良陣形に対する本格的縦歩取りを見て頂く事にします |
23章から25章までの縦歩取り戦法の手順は あまりにも先手の やりたい放題で後手に不満が残る為 駒組みに改良を加えて縦歩取り側に 指し手の選択を制限させる策に出てきます 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀 ▲3八銀 ▽3四歩 ▲3六飛 ▽3三金 ▲9六歩 ▽4二銀 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲7五歩 ▽8二飛 ▲7七桂 ▽9四歩 ▲4八玉 ▽4一玉 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・v銀 ・v角 ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=28 ▽4一玉(51) まで 「図1」は前章の「図1」の一手前に似ていますが 銀を7二に上がり ▽9四歩と端歩を突き 玉の位置も4一になっています 「図1」から「図2」までの手順 ▲9七角 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽8九飛成 ▲8六飛 ▽同 龍 ▲同 角 ▽8五歩 ▲同 桂 ▽8二飛 ▲8七歩 ▽8五飛 「図2」 後手の持駒:桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v銀 ・v角 ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | 歩v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩三 手数=40 ▽8五飛(82) まで 「図1」で前章と同じように▲9七角とすると ▽9五歩と突き捨ててから ▽8九飛成とされ ▲8八角の時に▽9八歩打で困る事になります ▽7二銀の形が先手の▲8一飛成を防いでいるので▲8六飛が効かないのが 分かると思います やむなく▲8六飛とここで飛車をぶつけますが 以下「図2」まで桂得で後手優勢となります 手順中▽8五歩に対し▽6二銀の形なら角取りにかまわず▲8三飛打と強く 攻め合う事が出来るのですが この場合は後手陣に隙が無く▲同桂と取るしか 無いのです この布陣に▲9七角とするのは無理筋となります 「図1」から「図3」までの手順 ▲8五歩 ▽6四歩 ▲8六飛 ▽8三歩 ▲7六飛 ▽6三銀 ▲6八銀 ▽3二玉 ▲6六歩 ▽7二金 ▲6七銀 ▽8四歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8五歩 ▽8二飛 ▲5六銀 ▽4四歩 ▲9七角 ▽4三金 ▲4六歩 ▽5四歩 ▲6五歩 ▽5三銀 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲6四歩 ▽同銀左 ▲6五歩 ▽5三銀 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲4五銀 ▽4四歩 ▲3四銀 ▽4二金 ▲2六飛 「図3」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛v金 ・ ・v金v玉v角 ・|二 | ・ ・ ・v銀v銀 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 銀 ・ ・|四 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 角 ・ 桂 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=65 ▲2六飛(76) まで 後手が▽7二銀の形では ▲8五歩と歩を打つのが定跡となっています 出来れば打たずに後手にだけ歩を受けさせたいのですが この場合は仕方が 無いでしょう 攻撃力増強に銀を5六まで持って行き▲6五歩と仕掛けます これを▽同歩と取れば 前章の「図3」で紹介した▲6四歩打からの攻めが 有るので▽5三銀と6筋を強化しますが 以下「図3」まで2筋が受からず 先手勝勢となります 途中▲3四銀を▽同金と取るのは▲5三角成です このように縦歩取りは左右どちらからも攻め筋が有る優れた戦法なのです ▽3三金と受けた形は作戦負けになり易いと言う事で 序盤で▽3四歩と突くのを保留して 縦歩取りを避ける策が現れます それに対して先手も更に工夫を加える事になりますが それは次章で |
縦歩取りの▲3六飛を避けるため ▽3四歩と角道を開けるのを 保留して来た場合 それでも▲3六飛と寄っておく手も有り その時の形が、猫が獲物(3四の歩)を狙ってかまえているように見えるので ”猫式縦歩取り”と呼ばれる戦型になります しかし本章では先手も▲3六飛を省略して 後手の角道保留に対抗する作戦を 見て頂く事にします したがって縦歩取りでは無くなりますので ”ひねり飛車戦法”として解説する事にします 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 ▽6四歩 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲4八玉 ▽4二銀 ▲7七桂 ▽4一玉 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v銀v金v角 ・|二 | ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩v飛 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六 | ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=26 ▽4一玉(51) まで 後手の12手目▽7二銀に、先手が▲1六歩と端歩を突いています 前回までは▲3八銀と上がっていました 実は現在では▲1六歩が最善と されています この手が最善と言う事を理解して貰うには それまでの経緯を順番に見ていただく方が良いと思い 前章までは ▲3八銀と言う以前に指されていた手順で解説しました ▲1六歩で▲3八銀だと 後手も▽3四歩は思わしく無いと言う事で 角道を保留して▽6四歩と突くようになったのです そこで▲2四歩打と再度歩を合わせて▽同歩 ▲同飛で6四の歩と ▲2三歩打を狙う”十字飛車”の手筋が見えるのですが 以下▽1四歩 ▲6四飛 ▽1三角 ▲4八玉 ▽2八歩打で「図2」になります 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・v角|三 | ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ 玉 銀v歩 ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=22 ▽2八歩打 まで この▽2八歩打で桂を取られてしまうので ”十字飛車”の手筋は不発で 不利となります 後手の▽1三角は▽2八歩打に▲2四飛と戻されない為です もし「図2」で▲1六歩と突かれていれば▲1七桂と逃げる事が出来るのです ▲1六歩に後手も▽1四歩と受けますが 受けなければ▲1五歩と突き越し ひねり飛車とは別の戦型を狙う事も出来ますが それはまた後の章で 後手も先に▽1四歩と突いておけば十字飛車の▲2四歩には ▽同歩 ▲同飛 ▽6三銀と守れるので(▲2三歩打には▽1三角と逃げられる)受けています 「図1」から「図3」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽6三銀 ▲2五飛 ▽2三歩 ▲8五飛 ▽同 飛 ▲同 桂 「図3」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v銀v金v角 ・|二 | ・ ・v歩v銀v歩v歩v歩v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・ 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩二 手数=35 ▲同 桂(77) まで 後手が▲7七桂にも飛車を引かない時は この「図3」までの手段が有ります ▲2四歩と前述の十字飛車含みの合わせ歩で 以下▽6三銀で防がれた瞬間 ▲2五飛と一つ引き 次に▲2四歩打から▲2三歩成を狙います 後手が▽2三歩打と、それを受けた時に▲8五飛と7七の桂の利きを利用して 飛車交換を実現した「図3」は先手有利な形勢です したがって後手も▲7七桂には飛車を引く事になります 以下は次章で |
この章では後手の最強の対抗策と それに対する、ひねり飛車側の 駒組み例を御紹介する事にします 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 ▽6四歩 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲4八玉 ▽4二銀 ▲7七桂 ▽8二飛 ▲7五歩 ▽4一玉 ▲8五歩 ▽6三銀 ▲7六飛 ▽3四歩 ▲3九玉 ▽3一玉 ▲6八銀 ▽3三角 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v銀v歩v歩v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 銀 ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=36 ▽3三角(22) まで 「図1」は▲7七桂に後手が▽8二飛と引いて自陣の整備を図った所です 後手の▽3二金と▽4二銀の形を”金美濃”と呼び 縦歩取りの章で 解説した陣形とは比べ物にならない好形です 「図1」から「図2」までの手順 ▲6六歩 ▽2二玉 ▲6七銀 ▽7二金 ▲5六銀 ▽5四銀 ▲9七角 ▽6三金 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二 | ・ ・v歩v金v歩v歩v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 飛 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | 角 ・ 桂 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=44 ▽6三金(72) まで 「図2」まで進んで見ると後手陣が固く非常に好形のため なかなか攻めの 糸口が掴めない状態となります これこそが後手が▽3四歩を序盤で突かず 狙っていた 対ひねり飛車の理想形です ここから▲6五歩と攻めても ▽同歩 ▲同銀に▽7七角成 ▲同飛 ▽6五銀と二枚換えされ 後手の陣形がしっかりしているので無理筋です この後手の布陣が優秀で ひねり飛車の勝率が悪かったために別の手法が 生み出されました 「図1」から「図3」までの手順 ▲5六歩 ▽2二玉 ▲2八玉 ▽7二金 ▲5七銀 ▽4四歩 ▲3六歩 ▽4五歩 ▲7九角 ▽5四銀 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4五歩 ▲3七銀引 ▽6三金 ▲8六飛 ▽8三歩 ▲5七角 ▽4三銀引 ▲9五歩 ▽同 歩 ▲9三歩 ▽同 香 ▲9二歩 ▽同 飛 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8二歩 ▲8三歩 ▽同 歩 ▲同飛成 「図3」 後手の持駒:歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 |v飛 ・ ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二 |v香 龍v歩v金v歩v銀v角v歩 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ 歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ ・ 桂 歩 角 ・ 銀 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=69 ▲同 飛成(84) まで ▲5六歩と、こちらの歩を突くのが後手の金美濃囲いに対して 指されるようになった有力な手段です この形のポイントとしては まず玉を2八まで持って行く事です 3九のままですと 敵の角で王手に当たる可能性が有り危険だからです そして銀を3七まで持って行った この形を”銀がさね美濃”と呼び 片美濃囲いに更に銀を縦に2枚重ねにした これも非常に固い陣形です 以下は狙い筋の一つですが 角を5七に転換して更に飛車を8筋に そして薄くなった後手の右翼を狙い 見事に8筋から破りました 手順中の▲9五歩からの端攻めは 特に御記憶ください ▲9三歩を取らなければ▲9五香 その後の▲9二歩を取らなければ ▲9一歩成で 共に先手有利となります このように次に成って と金が出来る場所に打つ歩を”垂れ歩”(たれふ) と呼び、あらゆる場面で応用される重要な手筋です |
27章で触れた 相掛りの先手浮き飛車型で、後手が先手の▲1六歩に ▽1四歩と受けなかった場合の急戦型戦法を御紹介します 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲1五歩 ▽6四歩 ▲3八銀 ▽6三銀 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩 ▽8二飛 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=24 ▽8二飛(86) まで ▲1六歩に後手が端を受けずに▽3四歩と突いてきた場合 ▲3六飛から 縦歩取りに行くのは ▲1六歩が全くの無駄手になってしまい損です ▲1五歩と突き越し 後手の飛車先交換にも普通に▲8七歩と打ち ひねり飛車にはせず 別の戦型を目指した方が得なのです 「図1」から「図2」までの手順 ▲3六歩 ▽4二玉 ▲3七桂 ▽5四銀 ▲5八玉 ▽5二金 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v玉v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ 玉 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=30 ▽5二金(61) まで ▲3六歩から▲3七桂と桂を活用して すばやく攻撃態勢を整えます 後手も▽4二玉から▽5四銀と繰り出してきます この▽5四銀と 5筋の歩の上に銀が上がる形を”腰掛け銀”と言います ▲5八玉は▲6八玉も有って難しい所ですが 超急戦を狙う場言は どこからも角筋で直接に王手が掛からない▲5八玉が良いようです 後手も▽5二金と締まり「図2」となります 「図2」から「図3」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲1四歩 ▽同 歩 ▲1三歩 ▽同 香 ▲2五桂 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲1三桂成 ▽同 桂 ▲3四香 ▽3三桂 ▲1四香 ▽1二歩 ▲2一角 ▽1一銀 ▲1三香成 ▽同 歩 ▲3二角成 ▽同 玉 ▲2五桂 ▽2二銀 ▲3三桂成 ▽同 銀 ▲同香成 ▽同 玉 ▲3四歩 「図3」 後手の持駒:角二 桂 香二 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v玉v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩v銀 ・ 歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ 玉 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 桂 手数=59 ▲3四歩打 まで まず▲3五歩と突き捨て、次に▲1四歩 ▽同歩 ▲1三歩打 ▽同香として ▲2五桂と跳ねる これがこの形の速攻手段です もし後手が▽1四歩と 受けている場合は▲1五歩 ▽同歩と言う形なので▲2五桂の時に▽1四香と 逃げられてしまい この攻めは無理筋となるのです 以下は変化の一例で「図3」では先手の勝ちとなっています 最終手の▲3四歩打に▽同玉なら▲4六桂打 下に下がるのは▲3三銀打で また▽4四玉と逃げるのは▲2三飛成で 後は平凡に追いかければ いずれも寄り筋(玉を追い詰める事が出来る形)です もちろん他に多数変化が有りますが▲3五歩からの攻め筋は意外に受けにくく 実戦では攻めている方が勝ちやすい形ではないかと思います 因みに「図3」の局面まで来ると ▲5八玉と上がった訳が分かると思います もし居玉ですと 途中で▽1五角の準王手飛車取りになってしまうのです 以上のような理由で 相掛り型での▲1六歩に後手も▽1四歩と受ける方が 安全と言う事になるのです ▲3五歩の突き捨ては非常に重要な手筋なので 良く御記憶下さい |
前章で▲1六歩に▽1四歩と受けるのが安全なのは分かりました その後、先手の15手目▲3八銀に ひねり飛車の解説では▽6四歩と後手が 指していますが ここでは他にも手が考えられる所です しかし実は、この後手の16手目も▽6四歩以外の手を指すのは難しいのです それは何故なのか 簡単に解説しておく事にします 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=15 ▲3八銀(39) まで 「図1」は問題の先手の15手目▲3八銀が指された局面です ここから、まず▽8三銀と棒銀で先攻する手はどうか 「図1」から「図2」までの手順 ▽8三銀 ▲7六歩 ▽8四銀 ▲7七角 ▽7四歩 ▲8八銀 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲2五飛 ▽6四銀 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲1四歩 ▽同 香 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 「図2」 後手の持駒:歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|三 | ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・ 飛v香|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=33 ▲同 飛(25) まで 先手だけ飛先を切っている、この局面での棒銀は▲7六歩から▲7七角で 後手は飛先が切れなくなってしまい 結果として、あまり得策では有りません ▽7四歩に▲8八銀と上がった先手の形が 棒銀に対する有効な迎撃形で 8筋を破られる心配は無くなります ▽7五銀と出た時に▲2五飛から ▲1五歩と端攻めに出て 以下「図2」では先手優勢です ▲1四歩に▽同香と取らなければ▲1五飛 ▽1二歩打と端を詰めて やはり先手が優勢となります 「図1」で他の手として▽4二銀は▲2七銀と逆に棒銀に出られて困ります また▽5四歩は、ひねり飛車から▲9七角とされた時にキズになり易いですし 場合によっては▲2四歩と合わす十字飛車も狙われます ▽4二玉とするのは 28章の金美濃に出来なくなる それでは▽4一玉はどうか 「図1」から「図3」までの手順 ▽4一玉 ▲4六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩 ▽8二飛 ▲4七銀 ▽3四歩 ▲7六歩 ▽6四歩 ▲5六銀 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽5四銀 ▲4五銀 ▽同 銀 ▲6三角 ▽4二玉 ▲4五角成 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v玉v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 馬 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 飛 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=39 ▲4五角成(63) まで 「図3」までは、たとえばと言う手順ですが 先手が▲5六銀と腰掛け銀に 変更した場合、後手の▽4一玉は位置的にバランスが良くない事になります この形の腰掛け銀には4二か5二が良いのです この他にも手は有りますが 先手が如何なる戦型になっても対応出来る▽6四歩が一番損が無いのです 以上の点から、ひねり飛車も含めて この相掛り型では16手目▽6四歩まで ほとんど必然と言う事になるのです ただし先手の13手目▲1六歩では、ひねり飛車の選択は無くなりますが ▲5八玉とする手も有ります しかし実戦例は少なく▲1六歩が一般的です |
現在のプロ棋界で最も多く指されている戦型の一つが、序盤の形4として 4章で紹介した”横歩取り戦法”です 26章までの縦歩取り戦法は、この横歩取りに対して命名された物で 実際に歩を取る場面は、実戦でも殆ど無いのですが 横歩取りの場合は 歩を取った所から多数の戦型に分かれて行く事になる激しい戦法です 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲3四飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=13 ▲3四飛(24) まで この「図1」の▲3四飛が横歩取りの基本形で 江戸時代から有った戦型です ただ昔は”横歩取り三年の患い”と言われ ▽2三歩と打たれたら飛車は 2六か2八に下がる物で 3四の歩を取るのは欲張った悪手とされていました なぜかと言うと「図1」から▽8八角成 ▲同銀 ▽2五角打と角を交換して 飛車取りと4三角成を狙う手が有るからです ▽2五角打で▽4五角打と、こちらから打つのは悪手で後手の不利となります それでは▽4五角と打つと どうなるか 「図1」から「図2」までの手順 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽4五角 ▲3五飛 ▽2七角成 ▲1五角 ▽4一玉 ▲3六歩 ▽1四歩 ▲4八角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v玉v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・v馬 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ 角 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=23 ▲4八角(15) まで 角を4五から打つと普通に▲3五飛と逃げて▽2七角成に▲1五角と王手で 打つ手が有るのです しかし玉を逃げられ▲3六歩と逃げ道を開けた所では 無意味な角打に見えますが ▽1四歩に▲4八角とした「図2」では次に ▲2八歩打で後手の馬を殺す手が生じています それが分かっていても 防ぐ手が有りません 結局▽4九馬と切らざるを得なくなります そうなのです▲1五角からの一連の手順は 一見無駄な手のようで 実は後手の馬を動けなくして殺すと言う恐るべき狙いが有ったのです したがって4五からの角打は無く ▽2五角打が正着と言う事になります 「図1」から「図3」までの手順 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2五角 ▲3二飛成 ▽同 銀 ▲3八銀 ▽3三銀 「図3」 後手の持駒:飛 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金 歩二 手数=20 ▽3三銀(32) まで ▽2五角打に▲3二飛成と あっさり飛車を切ってしまいます そして▲3八銀と角成りを防ぐ これが定跡と知らなければ これで良いとは、とても思えない手順です 後手側も▲2二角打を防いで ▽3三銀とした「図3」が、この形の基本形です 以下は次章で |
横歩取り系の中で後手が▽2三歩打とするのは 古典定跡とも言える戦型で 今は▽8六歩と指される事が多いのですが 最新型を知る上でも絶対に 知っておく必要が有る物です 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲3四飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2五角 ▲3二飛成 ▽同 銀 ▲3八銀 ▽3三銀 ▲1六歩 「図1」 後手の持駒:飛 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金 歩二 手数=21 ▲1六歩(17) まで 「図1」は前章の「図3」から▲1六歩と指した局面です 直前の▽3三銀に いろいろ手は有るのですが 実は現在この▲1六歩が最善とされています この手は次に▲3五金打で角を殺すのが狙いです 「図1」から「図2」までの手順 ▽2四歩 ▲3一金 ▽2二飛 ▲2三歩 ▽同 飛 ▲3二角 「図2」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ 金v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v飛v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=27 ▲3二角打 まで まず▽2四歩と突いて3四或いは1四から自陣に引き上げる道を作った場合は ▲3一金と打って2一の桂を狙うのが有効です ▽2二飛とするのが唯一の 受けですが▲2三歩打と空いた空間に歩を打ち▽同飛に▲3二角打で 先手が優勢となります 「図1」から「図3」までの手順 ▽4四歩 ▲6五角 ▽3一飛 ▲3六歩 ▽4二玉 ▲3七桂 ▽5二角 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲5六角 ▽2二銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2三歩 ▽3三銀 ▲2二金 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・v飛v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v角v玉 ・ 金 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩 ・v銀 歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 角 歩 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=37 ▲2二金打 まで 次に▽4四歩と、こちら側に逃げ道を作って来た場合は すかさず▲6五角と 打ちます この桂取りは▽3一飛と受けるしか有りません この手で▽2二飛と 受けるのは▲3一金打で困る事になります ▲3六歩から▲3七桂そして ▲4六歩と自陣の駒を活用して行けば 後手は2枚の飛車の活用が難しく 「図3」では先手の指しやすい形勢となります この2例の中でも更に変化は有りますし またこの他にも手は有るのですが 2五の角の処理が難しく「図1」は後手に苦労が多い局面です アマ有段者でも後手側を持って指すのは大変だと思います また後手の16手目▽2五角に▲3六飛と引く手も指されるようになり ▲2四同飛に▽2三歩と打って先手に横歩を取らせる実戦例は激減しました そこで、この先手の横歩取りに対抗するべく 数々の戦法が生まれたのです 次章からは後手が▽2三歩に変わり▽8六歩と突いて行く戦型を紹介します |
後手が前章で述べた▽8六歩と突く策に出た時に 先手側から 一気に速攻する手が有ります 本格的な後手▽8六歩型の解説の前に その変化を見ていただきましょう 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 「図1 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=14 ▽同 飛(82) まで 後手が先手の▲2四同飛に▽8六歩と突けば「図1」までは必然です ここから▲3四飛と横歩を取れば 華麗で激しい闘いの幕開けとなります しかしこの局面から先手に速攻する手が有るのです 「図1」から「図2」までの手順 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲7七角 ▽8九飛成 ▲2二角成 ▽同 金 ▲同飛成 ▽7九龍 ▲同 金 ▽7七角 「図2」 後手の持駒:角 銀 桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 龍 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・v角 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ 金 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 金 銀 歩二 手数=24 ▽7七角打 まで 「図1」で▲2二角成から▲7七角と打つ手が有り 一見これで先手の勝ちと 見えますが ▲2二飛成と角と金銀の二枚換えで飛車が成った時に▽7九龍と する手が有り ▲同金と取ると▽7七角打の王手飛車取りで後手の勝ちです ▽7九龍を取らずに▲6九金と受けても以下▽9九龍 ▲2一龍 ▽6二玉で 駒損が大きく先手の敗勢となります「図3」 「図3」 後手の持駒:角二 銀 桂 香 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・ 龍v香|一 | ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 |v龍 ・ ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 歩二 手数=26 ▽6二玉(51) まで 「図1」で▲2二角成 ▽同銀 ▲7七角打とするのは無理筋と言う事が これで分かりました しかしこの手順と筋は御記憶頂きたいと思います 別の戦型などでも類似した狙い筋が現れ 形によっては攻めが成立する時が 有るからです 「図1」で▲3四飛とする横歩取りの主流型を次章から解説して行きます |
古来から有る横歩取りが意外にも 旧来からの常識に反して有力な戦法と 言う事がプロのトップ棋士によって解明され 後手の対抗策も本格的に 考えられるようになったのです 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=15 ▲3四飛(24) まで 先手が飛車先を切って来た瞬間に▽8六歩と後手側も飛車先の歩を突き ▲同歩 ▽同飛に▲3四飛と横歩を取ったこの局面が基本図となります 次に▲2二角成とされては、それまでなので まず後手はこれを 防がなければなりません 「図1」から「図2」までの手順 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2八歩 ▲同 銀 ▽4五角 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩四 手数=20 ▽4五角打 まで 角交換して▽2八歩と打ち捨て▲同銀に▽4五角と打つ、この戦型を その棋譜のまま▽4五角戦法と言います ▽2八歩と打った訳はこれからの 手順の中で解説します 「図2」から「図3」までの手順 ▲2四飛 ▽6七角成 ▲同 金 ▽8八飛成 ▲2一飛成 ▽8九龍 ▲6九歩 ▽5五桂 ▲6八金 ▽6七銀 ▲5八金寄 ▽7八龍 ▲9六角 ▽5八銀成 ▲同 金 「図3」 後手の持駒:金 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀 龍v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・|五 | 角 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・v龍 ・ 金 ・ ・ 銀 ・|八 | 香 ・ ・ 歩 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 桂 歩三 手数=35 ▲同 金(49) まで ▽4五角の直接の狙いは▽6七角成から▽8八飛成ですが ▲2四飛の時に ▽6七角成とするのは「図3」の▲9六角打が好手で攻めが続かず 先手の勝勢となります ▲2一飛成と迫られているので後手もゆっくり 出来ないのです そこで▲2四飛に一旦▽2三歩と打つ事になります この時にもし▽2八歩 ▲同銀が入っていないと▲2八飛と下がられ 飛車の横利きが8八に通り▽6七角成が無くなってしまうのです 次章では▲2四飛に▽2三歩とした後の激しい闘いの手順を解説します |
それでは▽4五角戦法の本格的な闘いの手順を見ていただきます 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩四 手数=20 ▽4五角打 まで 「図1」は前章の「図2」と同一局面 後手が▽4五角と打った所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲2四飛 ▽2三歩 ▲7七角 ▽8八飛成 ▲同 角 ▽2四歩 ▲1一角成 ▽3三桂 ▲3六香 「図2」 後手の持駒:飛 銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀 ・ 馬|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 香 ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩四 手数=29 ▲3六香打 まで ▲3四飛に▽2三歩打 ここで飛車が逃げると今度こそ▽6七角成で 後手陣にキズが無く一方的に攻められる展開となり拙いので▲7七角打と 飛車取りで8八の銀を守ります 以下お互いに駒を激しく取り合って 「図2」となります 昔はこの局面で先手優勢と言う事でしたが 「図2」から「図3」までの手順 ▽同 角 ▲同 歩 ▽5四香 ▲6六角 ▽4五桂 ▲5六歩 ▽5七銀 ▲3三角成 ▽6二玉 ▲1二飛 ▽5六香 ▲3二馬 ▽同 銀 ▲同飛成 ▽5二金 「図3」 後手の持駒:飛 角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・ ・ ・ ・ ・ 馬|一 | ・ ・ ・v玉v金 ・ 龍 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・v香 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩v銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 歩四 手数=44 ▽5二金(61) まで ▲3六香を▽同角と切って落とし 返す刀で▽5四香と打ちます これが最強の反撃手段で 意外に厳しい事が分かったのです ▲6六角と打ち▽4五桂に▲5六歩と突きます ▽同香なら▲5八歩打で 受ける狙いですが▽5七銀と打たれ 先手も▲3三角成から▲1二飛打と 反撃しますが「図3」まで後手の勝勢となります 「図3」で▲4一銀なら ▽5八飛 ▲6九玉 ▲7八飛成 以下詰み 実は手順中の▲6六角が悪手です 正解手は次章で |
▽4五角戦法に対する先手の正しい応接を見ていただきます 「図1」 後手の持駒:飛 銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀 ・ 馬|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 香 ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩四 手数=29 ▲3六香打 まで 「図1」は先手が▲3六香と打った前章の「図2」と同じ局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽同 角 ▲同 歩 ▽5四香 ▲8五飛 ▽4五桂 ▲同 飛 ▽5七香成 ▲5八歩 「図2」 後手の持駒:飛 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀 ・ 馬|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩v杏 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 桂 歩三 手数=37 ▲5八歩打 まで 後手の▽5四香には▲8五飛と打つ手が最善となり またこの手で後手の 手段を封じる事が出来ます ここで▽5七香成とするのは▲5八歩打で 手になりません この時▽8八飛打が利けば後手の勝勢となるのですが ▲8五飛がこれを防ぐと共に▲8一飛成を狙っている訳です ▽4五桂 ▲同飛で▲8一飛成を無くして飛車の位置を変えましたが 今度は1一の馬が8八に利いて「図2」では先手優勢です これで終わりと言いたい所ですが この手順の中で▽5四香で▽5五香と打つ 一種のハメ手が有るので それを解説しておきます ▽5五香にも▽5四香の時と同じく ▲8五飛ですと▽2五飛と打つ手が 有ります この手に▲8一飛成では▽2八飛成が厳しく先手不利となるので ▲2七歩と受けますが そこで▽5七香不成(王手)▲5八歩打 ▽8五飛と 飛車を取られて負けになります このような手筋を”素抜き”(すぬき)と 呼びます「図3」 「図3」 後手の持駒:飛 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀 ・ 馬|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩v香 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=38 ▽8五飛(25) まで 以前にも述べましたが手筋と言うのは 単に記憶するのでは意味が無いのです 相手の手が変わった時に対応出来なければいけません この▽5五香には ▽5四香には悪手だった▲6六角が好手となります この場合は▽5四香の 時と違い▽4五桂には▲5五馬で香が取れるからです |
前章まで解説した▽4五角戦法は ほぼ先手が有利であろうと言う結論が 現在は出ていて、少なくともプロ棋界からは消えています この▽4五角戦法に似た狙いながら 実は有力な別戦型が有るのです 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽3八歩 「図1」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・v歩 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=18 ▽3八歩打 まで ▽8六歩からの横歩取り基本図より角交換するまでは▽4五角戦法と 同じですが2八では無く▽3八歩とこちらに打つのです 「図1「から「図2」までの手順 ▲同 金 ▽4五角 ▲2四飛 ▽6七角成 ▲同 金 ▽8八飛成 「図2」 後手の持駒:銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 金 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・v龍 ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角二 歩四 手数=24 ▽8八飛成(86) まで ▽3八歩には▲同金と▲同銀、そして▲2八銀と逃げる手が有りますが まず▲同金と取るのは角交換から▽4五角打で以下「図2」まで 34章の▽4五角戦法の変化と同じ進行となった時 ▽5八銀打からの 詰めろになるので▲2一飛成と出来ず後手が勝勢となります ▲3八金の形が 玉の逃げ道を塞ぐ壁となる悪形で これにより大きな違いを生じます 「図1」から「図3」までの手順 ▲2八銀 ▽2七歩 ▲同 銀 ▽3九歩成 ▲同 金 ▽4五角 ▲2四飛 ▽6七角成 ▲同 金 ▽8八飛成 「図3」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 金 歩 歩 歩 銀 歩|七 | ・v龍 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ 金 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角二 歩五 手数=28 ▽8八飛成(86) まで ▲2八銀と逃げるのも▽2七歩から以下「図3」まで▲同金までと同様 やはり▽8八飛成が詰めろで先手不利となります 「図1」から「図4」までの手順 ▲同 銀 ▽4四角 ▲8七歩 ▽7六飛 ▲7七銀 ▽7四飛 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・v飛 ・ ・v角 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=24 ▽7四飛(76) まで ▲同銀に▽4五角と打つのは▽2八歩 ▲同銀と取らせた形より▲3八銀と 取った形が むしろ連係が良く「図2」「図3」とは反対に先手が有利と なります そこで▽4四角と打ち▽8八角成 ▲同金 ▽同飛成を狙います 先手が▲8七歩打と、これを防ぎ▽7六飛に▲7七銀 ▽7四飛と 自然な手順で進みますが 実はこの「図3」は既に後手優勢となっています |
本章では横歩取りの中では実戦例が少なく 裏定跡とも言える ▽3八歩戦法の狙いとその威力を見て頂く事にします 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・v飛 ・ ・v角 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=24 ▽7四飛(76) まで 「図1」は前章「図4」と同じ局面で 後手が▽7四飛と下がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲2四飛 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽2四飛 「図2」 後手の持駒:飛 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角二 歩三 手数=28 ▽2四飛(74) まで 「図1」では次に▽2八歩打とする手が有ります これを避ける手としては ▲2四飛 ▲3九金 ▲1六歩などが考えられますが そのどれを選んでも「図2」までの飛車の素抜きが有って後手が有利と なるのです これを防ぐ▲3六飛は▽2八歩打で桂を殺され不利なのは 言うまでも有りません この二つの狙いを同時に防ぐ手段が先手に無いのです 実は「図1」までの手順に問題が有るのです この局面に至る前章での手順で ▽4四角に▲8七歩までは拙い点は有りません この手で▲7七角打ですと ▽同角成から▽8九角打で困る事になります 問題は次に後手が▽7六飛と 横歩を取った時▲7七銀と上がったのが 普通は形良く受けて正着なのですが この局面に限っては悪手となっていたのです ▲7七銀では▲7七歩打が正解です 以下▽7四飛に「図2」までと同じく ▲2四飛 ▽7七角成 ▲同銀 ▽2四飛と飛車を素抜かれても ▲1五角と打ち▽2三歩打 ▲2四角 ▽同歩と飛車角を変えれば 「図2」とは違って、駒の損得が無く形勢は互角です「図3」 「図3」 後手の持駒:飛 角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 歩二 手数=32 ▽同 歩(23) まで ▽3八歩戦法は冒頭に述べた通り実戦例が少なく 参考になる棋譜なども ほとんど有りません しかしそれだけに面白いとも言えます この▽3八歩戦法に限らず、これは横歩取り全般に言える事ですが 戦型を知らなければ見事に決まる率が高く 多少棋力の差が有る相手にも 勝つ事が出来る物なのです 特にこの▽3八歩戦法の場合は 相手が知らない可能性が高いので 一度試して見ては如何でしょう |
激しい展開になる事が多い横歩取りの中でも 最も過激な闘いとなる ”相横歩取り戦法”を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽7六飛 「図1」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=18 ▽7六飛(86) まで ▽4五角戦法また▽3八歩戦法と同様に角を交換した後 ▽7六飛と歩を取り 互いに横歩を取った形になるのが相横歩取り戦法です 「図1」から「図2」までの手順 ▲7七銀 ▽7四飛 ▲同 飛 ▽同 歩 ▲4六角 ▽8二角 ▲同角成 ▽同 銀 ▲5五角 ▽2八歩 ▲8二角成 ▽2九歩成 ▲4八銀 ▽3八歩 ▲8一馬 ▽3九と ▲同 銀 ▽同歩成 ▲同 金 ▽8三飛 ▲8六飛 ▽同 飛 ▲同 銀 ▽5五角 ▲7二銀 ▽3七角成 ▲4八金 ▽3九飛 ▲4九桂 ▽4八馬 ▲同 玉 ▽3六桂 ▲5九玉 ▽4九飛成 ▲6八玉 ▽6二金打 ▲6一銀成 ▽同 金 ▲8二飛 ▽3八龍 ▲7七玉 ▽7六銀 ▲同 玉 ▽7八龍 ▲7七金 「図2」 後手の持駒:金 銀 桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 馬 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 銀 玉 ・ ・ ・v桂 ・ ・|六 | 歩 ・ 金 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・v龍 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩五 手数=63 ▲7七金打 まで 「図2」で先手が勝勢と言う物ですが 初級の方ですとこの局面でもまだ 先手が勝ちと思えないのではないでしょうか 「図1」では他に▲7七歩や ▲7七桂と受ける手も有りますが いずれも難解です 実はこの【戦法図鑑】では、この難解な相横歩取りの定跡を解説するつもりは ありません 相横歩取りは変化も多く尚且つ、どの変化も激しく一手でも間違えると 奈落の底と言う恐い物です ましてこれを仕掛けて来る相手は相当に定跡を 勉強して指して来ている可能性が高いので こちらもかなり研究して変化を 知っていないと粘る余地すら無くやられてしまいます そこで、この講座では初級者にお奨めの対策を伝授したいと思います 次章では、その解説をする事にしましょう |
相横歩取りは現在では 先手が有望な変化が多いと言う事でプロ間では あまり指されなくなっていますが 結論が出ている訳では無く アマでは、これを得意としている方もいます ですから定跡を勉強して 様々な変化に対応出来るようにすれば それはそれで将棋の面白さを 味わえる非常に華やかな戦型なのですが もっと易しい対策をと言う方に 相手の狙いを外して緩やかな展開にする指し方を御紹介したいと思います 「図1」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=18 ▽7六飛(86) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面 後手が▽7六飛と歩を取った所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲7七銀 ▽7四飛 ▲3六飛 ▽8四飛 ▲8六歩 「図2」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | 歩 ・ 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=23 ▲8六歩打 まで ▲7七銀に▽7四飛と後手が飛車をぶつけて来た時に さっと▲3六飛と引き 飛車交換を避ける これで後手の飛車交換から激しい展開を狙う思惑を 全て外す事が出来ます 気弱な手のようですが相手の得意を外すと言うのも 立派な作戦です それに「図2」からの後手の指し手も意外に難しいのです 次に先手に▲2二歩と打つ手が有るので これを受けなければなりませんが ▽2四飛は▲1五角の準王手飛車取りで駄目ですし、▽3三桂と上がれば ▲6六角と打ち▽2四飛 ▲3三角成 ▽同金 ▲同飛成 ▽2九飛成 ▲3一龍で先手の勝ちとなります 「図2」から「図3」までの手順 ▽3三歩 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲4八銀 ▽4四角 ▲2五飛 ▽3四歩 ▲3八金 ▽2六歩 ▲7五飛 ▽5二玉 ▲7六飛 ▽3三銀 ▲6六銀 ▽7二銀 ▲7七桂 ▽8二飛 ▲5八玉 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・v玉 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v角v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 飛 銀 ・ ・ ・v歩 ・|六 | 歩 ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=41 ▲5八玉(59) まで 「図3」までは「図2」からの進行の一例です 「図2」では互いに横歩を取り合っているので駒の損得は有りません 違いは先手の7、8筋と後手の2、3筋の状態です 先手の駒の方が 手が進んでいる事が分かると思います 先手の考え方としては、これを活かせるように指し進めると言うのが 有利に導くポイントとなります ▽3三歩は次に▽2四飛が有るので▲2六飛とします 後手の▽4四角は 油断のならない手で▲2八飛と引くと ▽2七歩 ▲同飛 ▽2六歩 ▲2八飛 ▽7七角成 ▲同金 ▽2七銀で敗勢となります ▲4八銀 ▲3八金は横歩取り型では好形となる陣形の一つです 以下「図3」となって先手が▲8六歩と受けてからの構想が明らかになり 角を手持ちにして、持ち歩の数も多いなど先手の作戦勝ちとなっています 相横歩取りの定跡は非常に面白い変化を含み これを知る事は棋力アップに つながるので ご興味の有る方は専門の定跡書などで見てください しかし勝負としては相手の狙いを外すと言うのも有効な作戦となり この戦型を仕掛ける相手は「図2」のような展開は範疇に無いせいか 意外なほど上手く行く事が有ります |
横歩取りは現在のプロ棋界で、名人戦など大舞台で指される流行戦法ですが それは▽8五飛戦法と言う従来の形に工夫を加えた新戦法です これから順番に、この▽8五飛戦法までを解説して行きたいと思います まず一番元になった戦型が 歌手としても有名な内藤国雄九段創案の ”空中戦法”と呼ばれる物です 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽8四飛 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲8七歩 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=21 ▲8七歩打 まで 先手が横歩を取った手に▽3三角と上がるのが空中戦法の基本の一手です 次の▲2二角成を防ぐ手としては他に前章までの3戦法のように後手側から 角交換する手や▽3三桂と上がる手などが有りますが この▽3三角が 最も多く指されています ▽3三角に▲3六飛と7六の歩を守り歩得を維持します ▽8四飛に▲2六飛 と回りますが この手で先に▲8七歩を打つと▽2四飛と回られ▲2八歩打と 謝る事になり損です ▲2六飛に▽8六歩と垂らされる手が気になりますが ▲2一飛成 ▽8七歩成 ▲3三角成で先手の勝勢となるので心配有りません 「図1」で次に▲3三角成 ▽同桂 ▲2一角打 ▽4二玉 ▲3二角成 ▽同玉 ▲4二金と言う手が有るので これを防ぐ必要が有ります ここで▽6二銀などとすると この手順で負けとなるので要注意です「図2」 「図2」 後手の持駒:角二 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・v銀 ・ 金v玉v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=29 ▲4二金打 まで 「図1」から「図3」までの手順 ▽5二玉 ▲5八玉 ▽7二金 ▲3八金 ▽6二銀 ▲4八銀 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7四飛 ▲1六歩 ▽1四歩 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v金v銀v玉 ・v金v銀 ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v角 ・ ・|三 |v歩 ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=32 ▽1四歩(13) まで 後手は▽5二玉 これで上記の▲3三角成からの筋は▲2一角打の時に ▽3一金と引く手が有って防げます 先手も▲5八玉として互いに隙の無い 陣形を築いて行きます このように中央二段目に玉を据える構えを ”中住まい”(なかずまい)と呼びます 後手の▽7四飛は縦歩取りのように 7六の歩に狙いをつけて先手の動きを牽制した手で 有力な手段です ここからの闘いは次章で |
本章では空中戦法の骨子を理解してもらうための例を御紹介します 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v金v銀v玉 ・v金v銀 ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v角 ・ ・|三 |v歩 ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=32 ▽1四歩(13) まで 「図1」は前章の「図3」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲7七角 ▽同角成 ▲同 桂 ▽3三桂 ▲6八銀 ▽2五歩 ▲6六飛 ▽2三銀 ▲8六歩 ▽2四飛 ▲2七歩 ▽3四銀 ▲8五歩 ▽3五銀 ▲7五歩 ▽2六歩 ▲同 歩 ▽2八歩 ▲同 金 ▽2六銀 「図2」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v金v銀v玉 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v桂 ・ ・|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩|四 | ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ 飛 ・ ・ ・v銀 歩|六 | ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 銀 玉 銀 ・ 金 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=52 ▽2六銀(35) まで ▽7四飛は3筋から6筋の歩を突かせず 先手の手を限定させる目的なのです これに対し▲7七角は、以下▲8八銀から▲8六歩そして▲8七銀と ”銀冠”(ぎんかんむり)と呼ばれる布陣を目指します それを許すと後手が 指しづらくなるので角を交換して▽3三桂から▽2五歩と抑えます 下に逃げると▽7六飛と歩を取られるので▲6六飛と逃げますが、この手で ▲5六飛ですと▽4五角から▽1五歩 ▲同歩 ▽1八歩を狙われます 以下「図2」では後手の攻めの方が早く 先手不利な形勢です 「図1」から「図3」までの手順 ▲8六歩 ▽8四飛 ▲7五歩 ▽7四歩 ▲1五歩 ▽2五歩 ▲3六飛 ▽7五歩 ▲1四歩 ▽1五歩 ▲1七桂 ▽2三銀 ▲2二歩 ▽同 金 ▲2五桂 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v金v銀v玉 ・ ・v金 ・|二 | ・ ・ ・v歩v歩v歩v角v銀 ・|三 |v歩v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|四 | ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ 桂v歩|五 | 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=47 ▲2五桂(17) まで 「図1」では▲8六歩と突き、先に8筋から行く手も有ります 後手もここでは動きが難しいので この歩を狙って▽8四飛と回リますが ▲7五歩に▽7四歩で飛車の横利きが止まった時、▲1五歩と仕掛けます これを▽同歩とすると▲1二歩 ▽同香 ▲3三角成 ▽同桂 ▲2一角打の 金香両取りが有ります ▽2五歩は▲同飛なら角を交換した時に▽3三桂が 飛車に当たると言うのが狙いです 以下▲1七桂から桂を捌いた「図3」は 先手の優勢となります 途中の▲2二歩打は▽同角だと▲3二飛成で それまでと言う手で絶妙の一手です 以上「図1」から空中戦法の進行例を二つ見て頂きましたが 2例ともこれが 絶対手では有りませんし 形勢もこの局面の結論と言う訳では無いですが 先手、後手共に空中戦法の動きが それぞれ分かる好例ではないかと思います |
前章の空中戦を元に 後手の玉形に工夫を凝らした新戦型が 中原永世十段の手により生み出されます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽8四飛 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲8七歩 ▽4一玉 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=22 ▽4一玉(51) まで 「図1」は前章の空中戦法と21手目▲8七歩まで同じ進行で進み 先手の▲3三角成からの狙いを▽5二玉の中住まいでは無く▽4一玉として 防いだ所です この一手により全く違う展開となって行きます 「図1」から「図2」までの手順 ▲5八玉 ▽5一金 ▲3八金 ▽6二銀 ▲4八銀 ▽5四歩 ▲3六歩 ▽5五歩 ▲6八銀 ▽5六歩 ▲6六歩 ▽6四歩 ▲7七角 ▽7四歩 ▲5六歩 ▽7五歩 ▲6七銀 ▽6五歩 ▲5七銀 ▽7三桂 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v金v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v桂 ・ ・v歩v角 ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 飛 ・|六 | 歩 歩 角 銀 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ 玉 ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=42 ▽7三桂(81) まで ▽4一玉、▽5一金、▽6二銀で囲いは完成しますが、この形は中原流または 中原囲いと呼ばれています 中住まいから比べると見た目以上に堅固なのと 5筋から攻勢に出られるのが特徴です ▽5二玉形では中央からの攻めは 自玉頭を危険にさらす事になる訳です 「図2」までは、先手が固く守勢に出た場合の一例で▽7三桂と右桂を活用し 8から5筋にかけて広い範囲で攻勢をとります この「図2」では形勢はまだ 互角でこれからですが 実戦では攻めている後手が勝ちやすい局面と思います 「図1」から「図3」までの手順 ▲5八玉 ▽5一金 ▲3六歩 ▽5四歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五歩 ▽5五歩 ▲3八金 ▽5四飛 ▲6五角 ▽4四飛 ▲8三角成 ▽6四飛 ▲7七桂 ▽3六歩 ▲6八銀 ▽4五桂 ▲3六飛 ▽5四角 ▲4六飛 ▽8二歩 ▲6五馬 ▽同 飛 ▲同 桂 ▽6二銀 ▲5三飛 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一 | ・v歩 ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 飛v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 桂v歩v桂 歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 金 銀 玉 ・ 金 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=49 ▲5三飛打 まで 後手の5筋からの攻めには▲5八玉と上がった後、すぐに▲3六歩と 3三の角頭を狙いに行く手が有効です ▽5四歩には角交換して▲3五歩と桂頭に圧力を加えます 角交換をしないと ▽5五歩と飛車の横利きを通されます 後手も▽5四歩で▽6二銀とすると ▲3五歩とされて5筋が突けなくなるので 囲いを完成する間が無いのです 以下この形では▽7四歩には▲3四歩が有る為、右桂が攻撃に参加出来ず 逆に角を打ち込む隙が 後手陣に多く発生する事になるので「図3」では 先手が指しやすい形勢です この中原流もまた、先後どちらにも多数の変化が有り 答えが出ていない 空中戦法の一戦型です しかしもし後手の飛車の動きを、もっと楽に出来たら 更に強力な攻撃力を発揮する事が出来る上に 玉の固さが生きるのでは そんな発想から横歩取りの そして将棋の歴史を塗り替えるような 新戦法が生まれる事になるのです |
現在プロ棋戦で、タイトル戦などの大舞台でも指されるのが▽8五飛戦法と 呼ばれる横歩取りの一戦型で 中座真五段の創案で有る事から”中座飛車” とも言われる陣形です 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽2二銀 ▲8七歩 ▽8五飛 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=20 ▽8五飛(86) まで ▲3六飛に▽2二銀と先に上がり▲8七歩と打たれた時▽8五飛と引く この不安定な飛車引きが良い手で有るはずが無い プロでさえそう思い 実際その第一号局では相手の棋士が「引く場所を間違えたと思った」と 感想戦(対局後に検討する事)で言ったくらいでした しかしこの奇妙な飛車引きが 後手側の勝率が六割を超えると言う 将棋史上初の記録を残す、とてつもなく優秀な戦法となるのです 「図1」から「図2」までの手順 ▲2六飛 ▽4一玉 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲9六角 ▽6五飛 ▲6六歩 ▽6四飛 ▲6五歩 ▽8四飛 ▲6三角成 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v玉 ・ ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩 馬v歩v歩v桂 ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=31 ▲6三角成(96) まで ▽2四飛が有るので▲2六飛、そして▽4一玉で 前章の中原流と比べて 先手の飛車が8四と8五の違いだけになりますが ここで角を交換して ▲9六角と打つ手が有ります 手順中で▲6五歩を▽同飛と取るのは ▲7七桂 ▽6四飛 ▲6五歩で桂を跳ねさせただけ損です 「図2」で王手で馬が出来て先手優勢のようですが 「図2」から「図3」までの手順 ▽5二金 ▲2七馬 ▽4四角 ▲2四飛 ▽2三銀 ▲4四飛 ▽同 歩 ▲8八銀 ▽4五歩 ▲5八金 ▽6二銀 ▲7七銀 ▽6三銀 ▲6七金右 ▽9四歩 ▲6八玉 ▽9五歩 ▲6六銀 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽9八歩 ▲同 香 ▽9九飛 ▲8八金 ▽9六香 ▲9七歩 ▽8七歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・ ・ ・v玉 ・ ・v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v銀v歩 ・v桂v銀v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・ ・|五 |v香 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩v歩 ・ 金 歩 歩 歩 馬 歩|七 | 香 金 ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・|八 |v飛 桂 ・ ・ ・ ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩五 手数=60 ▽8七歩打 まで ▽5二金と受けた時に先手の馬の引く位置は幾つか有りますが 何処に逃げても▽4四角と打つ手が残ります この時に飛車香両取りに なるようにする為に9手目の▲6五歩を取らなかったのです ▲7七桂となっていると▽4四角が無いのです ▲2四飛として、▽9九角成なら▲8四飛の狙いで両取りを防ぎますが ▽2三銀と飛車角の交換を強要して 以下後手が指しやすい形勢となります ▽2三銀では▽7七角成の王手で▽2四飛と飛車を素抜く手も有りますが 馬を右辺に引いた場合は「図3」までの手順で馬を封じ込め左翼を狙う方が 得策です もし▽5二金に▲9六馬と逃げた場合は▲2四飛の時に▽7七角成 とする方が良くなります 先手の馬を相手にしないようにするのが ポイントです 以上間単に先手が角交換から▲9六角と打って8五の飛車を 狙う変化を解説しましたが 他に変化は有るものの、いずれもあまり 思わしい結果にはならないのです |
横歩取り▽8五飛戦法は、現在プロ間で盛んに指されていて次々と新手や 新手法が現れ、移り変わりも早く難しい状況ですので この戦法の特徴が 特に分かり易いと思われる局面を選んで御紹介する事にします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽2二銀 ▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽4一玉 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=22 ▽4一玉(51) まで この「図1」の後手陣が▽8五飛戦法の基本となります 先手には、この形から▲5八玉と▲6八玉の二つの戦型が有ります 「図1」から「図2」までの手順 ▲5八玉 ▽6二銀 ▲3八金 ▽5一金 ▲4八銀 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽2五歩 ▲2八飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲4六歩 ▽7六飛 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲4七銀 ▽2六歩 ▲7七歩 ▽8六飛 ▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽2五飛 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一 | ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 飛 ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 銀 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ 玉 ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=46 ▽2五飛(85) まで ▽7四歩で次に▽7三桂と活用する狙いに対して 先手も▲3六歩と桂の 活用を図ります ここで▽2五歩と8五の飛車の利きを利用して打ち ▲2八飛に▽8六歩 ▲同歩 ▽同飛と横歩を取りに行く手が有ります 以下は後手が飛車を大きく捌き「図2」の▽2五飛で飛車交換必至で 後手優勢となります 途中の▽2六歩を▲同飛は▽4四角が有ります ここでの飛車交換は先手側は左翼が壁で 後手陣は固く飛車の打ちこみに 強い形となっているので はっきり後手に分が有るのです 「図1」から「図3」までの手順 ▲6八玉 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽5一金 ▲3六歩 ▽7四歩 ▲3七桂 ▽7三桂 ▲4六歩 ▽5五飛 ▲同 角 ▽同 角 ▲7七桂 ▽7五歩 「図3」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v金v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v桂v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・v歩 ・v角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 飛 ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩二 手数=36 ▽7五歩(74) まで 先手が▲6八玉とした場合の一例で▽7四歩から▽7三桂で陣形を完成させて ▽5五飛と中央に飛車を据えて 先手の5筋に狙いをつけます 以下は▲同角と取った時の変化で これで▽4四角打の狙いも有り7筋が 受けづらくなっています この局面では後手優勢です 上記2例とも先手側に疑問手が有って後手有利となっていますが もちろん▲5八玉 ▲6八玉どちらも変化は多数有り また先手の別な手段も 考えられていて 今も進化し続けています 正直のところ初級者の方には難解な戦法と言えますが テレビ棋戦などでも 多く現れる戦型なので 少しでも知っておいて損は無いと思い ごく簡単では有りますが 御紹介しておく事にしました |
前章まで後手が▽3三角と上がる空中戦法を解説して来ましたが 後手側にはもう一つ別な指し方が有ります 採用率は低いのですが 意外に有力な戦法なので簡単に御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三桂 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀 ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=16 ▽3三桂(21) まで 前章までは先手が▲3四飛と横歩を取った時 ▽3三角と上がりましたが ここで▽3三桂と跳ねる手も有り これもまた後手の有力な手段となります 「図1」から「図2」までの手順 ▲2四飛 ▽4五桂 ▲2五飛 ▽5七桂成 ▲2二飛成 ▽同 銀 ▲2四角 「図2」 後手の持駒:飛 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩v圭 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=23 ▲2四角打 まで ▽3三桂に▲2四飛と戻すと▽4五桂と跳ねて決戦に出る手が生じます ▽4五桂に▲4八銀と守ると ▽8八角成から▽3三角と打たれて潰れですし また▲5八玉だと やはり角交換の後▽3五角と打たれて負けになります ここでは▲2五飛と 飛車の位置を変えると同時に桂取りに当てる手が有り 以下、飛車を切り▲2四角と王手で成桂を抜ける形になった「図2」では まだ難しい形勢とは言え やや先手が指しやすいと思います 途中▽5七桂成に▲2二飛成の所 ▲5八歩などと受けたりすると ▽8八角成 ▲同銀 ▽同飛成で ▲同金なら▽6八銀打の詰みになります 先手の▲2四飛に▽4五桂は少し無理が有り▽1四歩と突く事になりますが 以下は難解な将棋になります 「図1」から「図3」までの手順 ▲5八玉 ▽1四歩 ▲3六飛 ▽4二銀 ▲2六飛 ▽8四飛 ▲3八金 ▽6二玉 ▲4八銀 ▽7二玉 ▲9六歩 ▽6二金 ▲7五歩 ▽5四歩 ▲7七桂 ▽5五歩 ▲8五歩 ▽5四飛 ▲8六飛 ▽8三歩 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉v金 ・v銀v金v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v桂 ・ ・|三 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v歩|四 | ・ 歩 歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=36 ▽8三歩打 まで 「図2」までの進行は先手にとっても恐い手順なので ▽3三桂に▲5八玉と 上がる手も有ります これで▽4五桂跳ねの手は無くなり穏やかな流れに なります なお▲5八玉で▲4八玉とするのは形を決め過ぎて損です 急戦型では▲5八玉の方が 対応が広く指し手が楽になる事が多いのです 以下は互いの駒組みの一例ですが いずれにしても▽3三桂戦法には 決まった定跡が少なく 手将棋(その場の判断で進行する将棋)となるため それぞれの構想力が問われる難解な物となります |
今回は横歩取りと外れますが この後の章で解説する後手側が 横歩取り模様から先手を挑発する奇襲戦法のための予備知識として 元奨励会員(プロ養成機関の所属会員)でアマ強豪の鈴木英春氏が 創案した”19手定跡”を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲4八銀 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽8五歩 ▲5七銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=7 ▲5七銀(48) まで 飛車先を突かず▲4八銀と上がるのが ”英春流”(えいしゅんりゅう) と呼ばれる作戦です 後手番でも▽6二銀とする事になります ▽8五歩と伸ばして来た手にも平然と▲5七銀と上がります 「図1」から「図2」までの手順 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲7七角 ▽8九飛成 ▲2二角成 ▽3三角 「図2」 後手の持駒:桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 馬 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香v龍 銀 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=16 ▽3三角打 まで ▽8六歩からの飛車先交換に▲2二角成から▲7七角 勢い後手も▽8九飛成 そして▲2二角成に▽3三角と合わせる 激しく飛車角が飛び交います 「図2」から「図3」までの手順 ▲2一馬 ▽9九角成 ▲5五桂 「図3」 後手の持駒:桂 香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・ 馬v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 |v馬v龍 銀 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=19 ▲5五桂打 まで ▽3三角に角を交換せず▲2一馬 そして▽9九角成に▲5五桂打 後手も飛車角が成れて良い勝負のようですが 「図3」の19手目で ▲5五桂と打った局面では先手が勝勢となっています この手は▲6三桂不成の王手銀取りが狙いなので受けなければなりませんが そこで▲1一馬とされると後手の銀損になるのです もちろん手順中にも変化は有りますが それも含めて、この先手の 飛車先交換を誘う必殺の手順を”19手定跡”と呼びます この変化は他の将棋にも似た手順が現れますが 19手定跡が最も代表的です これを踏まえたうえで次章で解説する 横歩取り模様からの後手の奇襲戦法を 見て頂きたいと思います |
今まで解説した横歩取り模様の手順の途中で 後手が先手を挑発する ”ノーガード戦法”と言う奇襲策が有るので その御紹介と先手側の 対策を見て頂く事にします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=10 ▽同 飛(82) まで 横歩取り模様から先手▲7八金の時に 後手が▽3二金と上がらず 突如として▽8六歩と先に飛車先交換に出る奇策が 角頭を守らずに 打って出る事から”ノーガード戦法”と呼ばれています この挑発的な手段に 当然の事ながら▲2四歩と行きたくなる所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽3三角 ▲2一飛成 ▽8八飛成 ▲同 金 ▽同角成 ▲7七角 「図2」 後手の持駒:金 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 龍v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・v馬 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂 歩二 手数=21 ▲7七角打 まで ▲2四歩と突かせるのがノーガード戦法の狙いで 以下、前章の19手定跡に 似た手順で「図2」まで来ます ここから▽8九馬に▲1一角成としても 19手定跡と違い▽5五桂が無いので 先手が指せる形勢です また「図2」で▽7七同馬でも▲同桂で やはり先手の方が指しやすい局面 と言えるのですが かなり恐い変化ではないかと思います 手順中▲2一飛成に▽8八飛成と飛車から行く所で▽8八角成と角から切ると ▲同金 ▽同飛成に▲3三角打の王手龍取りで、それまでとなります 40章の相横歩取り編でも述べましたが 相手の研究を外すのも有効です そこでこの後手の挑発に乗らず 尚且つノーガード戦法を咎める手は無いか と言う事になりますが ここでは大人しく▲8七歩と受ける手をお奨めします なんだ、と思われた事でしょうが 気弱に受けただけの手では無いのです 「図1」から「図3」までの手順 ▲8七歩 ▽8四飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽3二金 ▲2六飛 ▽2三歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲3六歩 ▽6四歩 ▲3七桂 ▽6三銀 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・v飛 ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 飛 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=26 ▽6三銀(72) まで 「図1」で▲8七歩と受けた手に 飛車を引く場所は▽8四飛と▽8二飛の 2箇所となりますが まず▽8四飛と引いた場合は29章の相掛りの攻撃形を 築いて行きます 実は後手の▽8四飛と言う形は危険なのです ここから先手の攻めが炸裂する事になります |
後手の横歩取り模様からの奇襲 ノーガード戦法を撃破する手段を この章では解説いたします 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・v飛 ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 飛 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=26 ▽6三銀(72) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4五桂 ▽4二玉 ▲3三歩 ▽同 桂 ▲同桂成 ▽同 金 ▲3四桂 ▽同 金 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲6六角 「図2」 後手の持駒:角 桂二 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・v飛 ・v歩 ・ ・v金 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 角 ・ ・ ・ 飛 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=39 ▲6六角打 まで 相掛り型では後手の▽8四飛の形は 攻撃目標となり危険なのです 「図2」まではその一例ですが 「図1」では変化は有っても 先攻できる先手の方が有利なのです 手順中で▲3三同桂成を▽同金の所で ▽同角と取っても▲3四桂打で玉が逃げた時に▲3三角成 ▽同金に ▲6六角打で「図2」と変わらない結果になります 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=11 ▲8七歩打 まで 「図3」はノーガード戦法に▲8七歩と受けた所です 「図3」から「図4」までの手順 ▽8二飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽3二金 ▲5八玉 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ 玉 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=17 ▲5八玉(59) まで ▲8七歩に▽8二飛と深く引いた場合は 特に対策は無く普通の相掛り型の 将棋になりそうなんですが 先手が飛先を交換して▽3二金と後手が受けた その瞬間に▲5八玉とする手が有ります この「図4」で意外にも後手は 困るのです 次に当然▲3四飛と横歩を取るのが先手の狙いですが 後手には既に▽2三歩と受ける選択肢は消えています 横歩取り模様では 金銀を動かすのは危ないですので 再度▽8六歩と行く手も有りますが ▲5八玉の一手が入っている事により 今まで解説した後手の戦法の 狙い筋の大半が効かなくなっている事を確認してください 以上でノーガード戦法には▲8七歩と受けて後手の飛車の行き先を聞くのが 有効な対策と言う事が分かりました 本章で横歩取り編を一応終わりにしますが 初級者の方には難解な部分も 多かったのではないでしょうか しかしテレビ棋戦などで現れる事が多いと 言う事で 戦法自体の概要が少しでも分かれば見ていて更に面白いのではと そんな思惑で出来る限り、分かりやすく纏めたつもりです |
振り飛車の中でも居飛車側から急戦が仕掛けづらく反撃力も強い 向かい飛車戦法を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲4八銀 ▽2二飛 ▲5六歩 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽4三銀 ▲6八玉 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ 玉 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=13 ▲6八玉(59) まで 相手が飛車先の歩を5段目まで伸ばして来てくれないと基本的には 向かい飛車に出来ません 今は相手の選択肢を狭めるため飛先の歩は一つに 止める事が序盤では多いのですが 逆に相手が居飛車党で振り飛車を指す事が あまり無いと言った場合は2五まで突き▽3三角と形を決めてしまうのも 作戦と言えます 「図1」の▲6八玉は迂闊な一手です 「図1」から「図2」までの手順 ▽2四歩 ▲同 歩 ▽同 角 ▲5九玉 ▽6八角成 ▲同 玉 ▽2八飛成 「図2」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ 玉 金 銀 ・v龍 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=20 ▽2八飛成(22) まで 向かい飛車に限っては この形で▲6八玉と上がるのは大悪手なのです ここで▽2四歩と突かれると▲同歩 ▽同角とした手が王手になり 以下「図2」まで飛車を素抜いて後手の勝勢となります ▽同角の時に▲同飛と取り、▽同飛に▲1五角と準王手飛車で打っても ▽2五飛打が好手で 以下▲2四角 ▽同飛で2筋が受からず やはり後手の勝勢です「図3」 また▽2四歩を取らずに▽2五歩と取られてしまうと 飛先から逆襲され 受けが無く、結果は大同小異です 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩v飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ 玉 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩 手数=22 ▽同 飛(25) まで 向かい飛車に対しては5筋の歩を突かずに玉を上がるか ▲4六歩と突き 王手の筋を消してから上がらないと拙いのです 「図2」また「図3」までは 向かい飛車の変化として序盤の常識と言える物です |
本章では後手が更に積極的に攻勢に出る戦型を見て頂きます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲4八銀 ▽2二飛 ▲6八玉 ▽4二銀 ▲7八玉 ▽4三銀 ▲5八金右 ▽3二金 ▲5六歩 ▽2四歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲2五歩 ▽2二飛 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=20 ▽2二飛(24) まで 前章の手順を避けるべく慎重に先手も駒組みを進めて行きます ▽4三銀まで 向かい飛車の基本骨格が出来上がった後▽3二金と攻撃側に左金を上がります 玉の守備は弱体化しますが 強く攻勢をとる事が出来る戦型です そしてまだ居玉ですが2四歩と早々と仕掛けて行きます 飛車交換は居飛車が 不利となるので▲2五歩と拒否して 以下「図1」となります 「図1」から「図2」までの手順 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲9六歩 ▽7二玉 ▲6八銀 ▽4五歩 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・v金v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 ▽4五歩(44) まで ▽3二金型の向かい飛車は非常に弾力が有り 強く飛車角の交換を迫る事が 出来るのです ▲9六歩に▽7二玉と端も手抜きして素早く形を整え ▽4五歩と角交換を狙うのが攻勢の第二弾です 「図2」から「図3」までの手順 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3七桂 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽2七歩 ▲同 飛 ▽3八角 ▲2六飛 ▽5六角成 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・v金v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・v馬 歩 歩 飛 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 銀 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=36 ▽5六角成(38) まで ▲3三角成 ▽同桂で次に▽2五飛を狙います ▲3三角成で▲6六歩と 角交換を拒否した場合は▽4四角から▽3三桂で、やはり先手の2五の歩を 狙いに行く事になります ▽2五飛とされると飛車交換が避けられず 不利となるので▲3七桂と防ぎますが 以下「図3」まで馬を作り 後手の指しやすい形勢です |
本章では後手がじっくり守備を固める、守勢の向かい飛車を御紹介します 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲7六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽2二飛 ▲6八玉 ▽4二銀 ▲7八玉 ▽4三銀 ▲5八金右 ▽6二玉 ▲5六歩 ▽7二玉 ▲5七銀 ▽8二玉 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲7七角 ▽7二銀 ▲8八玉 ▽5二金左 ▲7八銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 玉 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲7八銀(79) まで 先手が向かい飛車に対して▲5七銀と上がったのは持久戦を目指した手です 今回は後手も玉を固めて 振り飛車の基本姿勢である玉を固めて待つ戦型を 選んで見る事にします 「図1」まで後手は美濃囲い完成そして先手もまた 左美濃囲いに組んでいます 左美濃は通常▲8六歩から▲8七玉 ▲7八銀と 角の上に一旦玉を上げて囲う”天守閣美濃”の手順が多いのですが この後手のように玉を固める向かい飛車には「図1」までの手順がとられます 中央から先攻される心配が無いためです 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲6六歩 ▽6四歩 ▲6七金 ▽7四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲8六歩 ▽6三金 ▲3六歩 ▽7三桂 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v桂v金 ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ ・ 角 金 銀 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 銀 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=36 ▽7三桂(81) まで 美濃囲いの5二の金を6三に上げ▽7四歩とした形を”高美濃囲い”と呼び ▽7三桂と左の桂を攻めに活用する事も出来る好形で、美濃囲いの発展形です 先手も左美濃から同様に組み上げて行きます 「図2」から「図3」までの手順 ▲4六歩 ▽8四歩 ▲8七銀 ▽8三銀 ▲7八金 ▽7二金 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v銀v桂v金 ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 銀 角 金 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=42 ▽7二金(61) まで 高美濃から更に▽8三銀から▽7二金として美濃の形が斜め右に上がって 玉の頭に銀が乗った形が、美濃囲いからの発展形として最終形と言える ”銀冠”と言う囲いです 「図3」では先手も同じく銀冠に組み互角の局面です ただこのような同型で玉形が固い局面ですと どちらからも手が出し難くなり ”千日手(せんにちて)”と言う状態になることが有ります 千日手とは駒の配置、持駒など全て同一の局面が4回現れると その対局は 無勝負引き分けとなり、実戦では先後入れ替えて指し直しと言うルールです ただ同じ局面に循環する間、全て王手で繰り返されると王手を掛けている方が 負けとなるので 手を変えなければなりません 将棋での無勝負引き分けは この千日手の他に”持将棋(じしょうぎ)”と言う お互いに玉が敵陣に入る”入玉(にゅうぎょく)”となり、更に互いに玉を 詰ませる事が出来ず駒を取り合った結果、手が無くなった場合が有ります ただし持将棋の場合は互いに入玉して詰ませる事も駒を取る事も出来なくなった 時点で、それぞれの持駒が次の規定に達していない方が負けとなります 玉を除いて、大駒(飛車角)を5点 小駒を1点として持駒と盤上の駒全てで 24点以上有る事 双方共にこれを満たしている時は引き分けとなります |
映画などでも有名な阪田三吉創案と言われている”阪田流向かい飛車”を 本章では見て頂く事にします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲2五歩 ▽3三角 ▲同角成 ▽同 金 ▲3八銀 ▽2二飛 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=10 ▽2二飛(82) まで 先手の3手目▲2六歩に▽3二金と上がる 独特の立ち上がりから始まり ▲3三角成と角交換した時に▽同金と取ると言う 普通には悪形と言える 形にしてから飛車を2筋に振る この戦法が阪田流向かい飛車です 先手が角交換しなければ別の戦型になるので 互いに同意しての戦型と 言う事が出来ます ▲3八銀は阪田流を想定して2筋に備えた手 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八玉 ▽4二銀 ▲7八玉 ▽5二金 ▲8八銀 ▽2四歩 ▲同 歩 ▽同 金 「図2」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v金 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 玉 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=18 ▽同 金(33) まで この阪田流は攻め9割と言う徹底した作戦で 居玉のまま攻勢に出ます ▽2四歩 ▲同歩 ▽同金と、角交換された時の3三の金を飛先逆襲に 利用する これがこの戦法の狙いなのです 「図2」から「図3」までの手順 ▲5六角 ▽3三銀 ▲8三角成 ▽2五金 ▲5六馬 ▽2六歩 ▲7七銀 ▽3五金 ▲4六歩 ▽5四角 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・ ・v飛 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v角 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 馬 歩 ・v歩 ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=28 ▽5四角打 まで 先手の▲5六角は▲3四角(▽同金は▲2二飛成)と▲8三角成の両狙いで これを同時に防ぐ手は無いので▽3三銀として角を成らせ▽2五金と進めて 以下「図3」では、次の▽2七歩成が受からず後手勝勢の局面となります この阪田流は力戦(定跡形のように実例が多くない形)の向かい飛車として なかなか面白い戦法と言えます |
阪田流と同様に、角道を止めて飛車を振る通常の定跡型振り飛車では無く 力戦型向かい飛車として、20章と21章で解説した鬼殺しに似た狙いを 含んだ”鬼殺し向かい飛車”を本章と次章で御紹介する事に致します 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲7六歩 ▽2二飛 ▲3三角成 ▽同 桂 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=8 ▽同 桂(21) まで ▲2五歩 ▽3三角と決めて▲7六歩と角道を開けた手に、角道を止めず ▽2二飛といきなり飛車を振り ▲3三角成に▽同桂と取った「図1」が 鬼殺し向かい飛車の基本形です この局面で▲6五角と打ち、4三と8三の 両成りを狙う手が見えますが 実はこれは鬼殺し向かい飛車の餌食となります 「図1」から「図2」までの手順 ▲6五角 ▽4五桂 ▲4八銀 ▽3三角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 角 ・v桂 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=12 ▽3三角打 まで ▲6五角に▽4五桂と跳ね 5七の地点を▲4八銀と守った時に▽3三角 まさに鬼殺しの手順そのもので「図2」となり次の▲9九角成が受かりません この形で角の両成りを狙う手は、常に現れますが成立しない事が多いのです そこで先手も慎重に駒組みを進めて行く事になります 「図1」から「図3」までの手順 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲6八玉 ▽3二金 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲8八銀 ▽7二玉 ▲7七銀 ▽1四歩 ▲6八金 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀v金v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=19 ▲6八金(69) まで 対鬼殺しと同じく 今度は先手も▲4八銀から慎重に駒組みを進めて行きます こうなると後手側も急な手は無いので▽3二金と攻勢型にして玉を移動します 以下「図3」まで互いに陣形の整備をして 闘いは、まだこれからと思える 局面ですが ここから後手に意外な手が有ります また「図3」までの手順中 ▽1四歩と後手が端歩を突いた手は重要な一手となります その訳は次章で |
本章では、鬼殺し向かい飛車の、真の狙い筋を見て頂く事にしましょう 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀v金v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=19 ▲6八金(69) まで 「図1」は前章の「図3」と同一局面です ここから鬼殺し向かい飛車の 必殺技が炸裂します 「図1」から「図2」までの手順 ▽2五桂 ▲同 飛 ▽2四歩 ▲2八飛 ▽2五歩 ▲3八金 ▽2六歩 ▲3九桂 ▽4九角 ▲1六角 ▽1五歩 ▲3四角 ▽3八角成 ▲同 飛 ▽2七歩成 「図2」 後手の持駒:金 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀v金v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩vと 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 桂 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=34 ▽2七歩成(26) まで ▽2五桂と先手の飛車先の歩を取って、桂を捨てると言うのが この鬼殺し向かい飛車の狙い筋なのです ▲同飛と取った手に▽2四歩から 逆に飛車先を逆襲して行き▽2六歩に▲3九桂と必死に防戦しますが 実は既に先手陣は潰れになっているのです ▽4九角が最後の決め手で ▲1六角は▽3八角成なら▲同角で受ける意味ですが▽1五歩と角を追い 以下「図4」まで後手の勝勢です ▽1四歩と端を突いておいたのは この変化の時の為なのです ▽2五桂を▲同飛と取ってからは どう変化しても後手の飛車先逆襲を防ぐ 手段は有りません そこで捨てて来た桂を取らない手は考えられます 「図1」から「図3」までの手順 ▽2五桂 ▲5六歩 ▽2四歩 ▲6六歩 ▽1五歩 ▲5八金上 ▽1七桂成 ▲同 香 ▽1六歩 ▲同 香 ▽同 香 ▲1七歩 ▽2五香 「図3」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀v金v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・v香|六 | 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 桂 手数=32 ▽2五香打 まで ▽2五桂を取らなければ 一応飛車先を破られる心配は有りません じっと玉固めをして待ちますが 今度は▽1五歩から端を狙うのが本戦法の 第二の必殺手段です ▽1七桂成から、以下▽2五香と打った「図3」では やはり先手は歩切れで困った事になっています 序盤で無条件で飛車先の歩を 取られて良い筈が無いのです 結果として▽2五桂とされた時点で先手不利と 言う事になります こうなったのも全て▲2六歩から▲2五歩とした手が、後手の向かい飛車を 可能にしたためです それでは初手▲7六歩と角道を開ける手から スタートすれば良いのでは無いかと思われる所です その展開は次章で |
本章では先手が一手目▲7六歩と角道を開ける手からスタートした時に 後手が前章の鬼殺し向かい飛車のような手順を狙う力戦型戦法を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽3三角 ▲同角成 ▽同 桂 ▲6八玉 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 ・v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=7 ▲6八玉(59) まで 4手目に▽3三角と上がる手は実戦例は少ないですが プロ棋戦でも 指された事が有る戦法です 角交換した手に▽同桂、ここで▲2五歩なら 前章の鬼殺し向かい飛車の基本形になりますが 先手も工夫をして来ます この「図1」で▽2二飛とすると、今度こそ▲6五角と打たれて困ります 5七の地点は既に守られているので▽4五桂は意味が有りませんし ▽4四角と打っても▲7七桂で受かってしまいます そうなのです 「図1」の▲6八玉が後手の▽2二飛を封じる、先手の対策なのです 「図1」から「図2」までの手順 ▽6五角 ▲4八銀 ▽7六角 ▲7八玉 ▽2二飛 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=12 ▽2二飛(82) まで 先手の▲6五角に対する対抗手が、逆に後手側から▽6五角と打つ手なのです 初形の2二(先手は8八)の位置からでは 成らない限り行く事の出来ない 6五(先手は4五)に打って 角道を開けた7六(先手は3四)の歩を取る この手法を初形で行ける筋とは違う筋に打つ、という事から”筋違い角” と呼び それ自体一つの戦法となっています この手法を更に加える事により ▽2二飛を実現させ「図2」となります 「図2」から「図3」までの手順 ▲6八銀 ▽2四歩 ▲7七銀 ▽5四角 ▲6六銀 ▽2五歩 ▲同 歩 ▽2七歩 ▲1八飛 ▽2五飛 ▲3八金 ▽2八歩成 ▲同 飛 ▽同飛成 ▲同 金 ▽2七歩 ▲3八金 ▽4九飛 ▲5九飛 ▽2八歩成 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v角 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 金vと ・|八 | 香 桂 ・ 金 飛v飛 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=32 ▽2八歩成(27) まで 先手も警戒して飛車先を2六で止めますが 向かい飛車側は角を5四に引き その角を苛めに、先手が▲7七銀から▲6六銀と進出して来た時に ▽2五歩 ▲同歩 ▽2七歩と飛車先から急襲します 以下▽4九飛と打ち ▽2九飛成と、桂を取る手と ▽8七角成 ▲同玉 ▽6九飛成を狙います この両方を同時に防ぐには▲5九飛か▲3九飛と打つしか有りませんが どちらに打っても ▽2八歩成とされると収拾が、つかなくなっています 前章までの鬼殺し向かい飛車にしても この4手目▽3三角型にしても 先手が角交換した事によって実現した戦法と言えます それでは角交換を しなければどうか と言う事になります |
本章では居飛車側が最も手堅く進めた場合の指し方を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽3三角 ▲4八銀 ▽2二飛 ▲6八玉 ▽4二銀 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲5七銀 ▽7二玉 ▲6六歩 ▽8二玉 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=16 ▽8二玉(72) まで 後手の4手目▽3三角に角交換せず▲4八銀とし ▽2二飛と振って来ても 飛車先を2六で止めて徹底して後手の急戦を封じます ここで▽8八角成と 後手から交換しても その後に急襲する手が有りませんので、普通に駒組みを 進めて行く事になります 先手は角道が開いたままでは玉を固め難いので ▲6六歩として持久戦を目指します 「図1」から「図2」までの手順 ▲5八金右 ▽9二香 ▲7七角 ▽9一玉 ▲8八玉 ▽8二銀 ▲7八銀 ▽7一金 ▲2五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v玉v桂v金 ・ ・v金 ・v桂v香|一 |v香v銀 ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 玉 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲2五歩(26) まで 52章で解説した居飛車の左美濃に対し 後手は▽9二香から▽9一玉と 更に堅固な”穴熊囲い”を構築して行きます この穴熊囲いは玉の守備として 最強の物ですが手数が掛かるのが難点です しかし先手が後手の4手目 ▽3三角としての向かい飛車を警戒して守勢に回ったので、囲い完成まで 仕掛けられる心配が無くなったのです 「図2」から「図3」までの手順 ▽5二金 ▲6七金 ▽5三銀 ▲9六歩 ▽6四歩 ▲8六歩 ▽7四歩 ▲8七銀 ▽6三金 ▲7八金 ▽4四銀 ▲3六歩 ▽5五歩 ▲4六歩 ▽5二飛 ▲5五歩 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽5五銀 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v玉v桂v金 ・ ・ ・ ・v桂v香|一 |v香v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩 ・v金 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩v銀 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 銀 角 金 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=44 ▽5五銀(44) まで 「図3」は途中の手順は違いますが第62期名人戦第1局に現れた局面です 挑戦者の森内竜王・王将が羽生名人・王座に対して 出だしは別戦型ですが やはり角道を止めず▽3三角と上がる策を後手番で採用し「図3」から 完勝したのです 通常の振り飛車だと角を攻めに使おうとすれば▽4四歩と 止まっている歩を▽4五歩としてからでないと「図3」のような攻撃態勢は 作れませんから 結果として2手早く攻める事が出来るのです 「図3」では▲5六歩と打っても▽6六歩とされて後手の攻めは止まりません ▽6五歩と突き捨ててから▽5五銀とした手筋が重要なポイントです この駒組みは一つの例ですが 振り飛車にとって居飛車側の急戦は常に 警戒すべき手段なので それを封じて尚且つ先手を取って攻勢に出られる と言うのは魅力ではないかと思います そう言う意味で4手目▽3三角とする この向かい飛車は、かなり有力な戦法と言えます |
前章までは後手番での向かい飛車を解説しましたが 先手番でも応用は 出来ますし 一手違う事が利点になる事も有ると思います しかし先手側が向かい飛車を採用する場合 初めから攻める事を 第一の主眼とした、特別な先手番限定の手順を用いる事が出来ます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽5四歩 ▲8八飛 ▽6二銀 ▲8六歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽8五歩 ▲7七角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=13 ▲7七角(86) まで 先手が3手目に▲5六歩とするのが一つの序盤作戦です 4手目▽8五歩で ▽5四歩なら▲5八飛、▽3四歩なら▲5五歩から▲5八飛として 中飛車に変化する事になります この▲7六歩から▲5六歩とする指し方は このように後手の出方によって中飛車と向かい飛車を使い分けるのです ただし2手目が▽3四歩の時に▲5六歩とすると角交換から▽5七角で 馬を作られる事になるので、後手の2手目が▽8四歩の時に限られます ▽6二銀で5三の地点を強化した手に▲8六歩と飛先を交換に出ます ▲8六同角で次に50章で解説したと同様の▲4二角成から飛車の素抜きが 有るので、これを▽8五歩と防ぎ▲7七角と引いて「図1」となります 「図1」から「図2」までの手順 ▽3四歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲8四歩 ▽9五角 ▲7七角 ▽同角成 ▲同 桂 ▽3三角 ▲8五飛 ▽7七角成 ▲6八銀 ▽7六馬 ▲8三歩成 ▽8五馬 ▲8二と 「図2」 後手の持駒:飛 桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ と ・v銀 ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v馬 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 歩 手数=29 ▲8二と(83) まで 5三の地点を▽6二銀で守っているので ここで▽3四歩と角道を開ける手は 考えられますが これには▲2二角成から▲8四歩と打つ手が有ります ▽同飛は▲6六角の飛銀両取りが有るので▽9五角で8四の歩を王手で 払いに行きますが、▲7七角以下ほとんど変化の余地が無い手順で進みます 「図2」では、と金の存在が大きく また▽8一飛と打ち込んでも ▲7九金とされると何処に飛車が成っても▲6六角や▲7七角などの 角打が有り不利となる為、飛車打ちの隙も無く、先手優勢の局面です 「図1」から「図3」までの手順 ▽6四歩 ▲4八玉 ▽4二玉 ▲6六角 ▽7四歩 ▲8四歩 ▽7三桂 ▲7七桂 ▽6五歩 ▲同 桂 ▽同 桂 ▲8五飛 ▽5七桂打 ▲8三歩成 ▽6九桂成 ▲8二と ▽7九成桂 ▲6五飛 「図3」 後手の持駒:金 銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・ と ・v銀 ・v玉 ・v角 ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 角 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・v圭 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂 歩二 手数=31 ▲6五飛(85) まで ▽5四歩と5筋が突いて有る為 このままでは▽4二玉とは出来ません ▽6四歩としてから▽4二玉ですが ▲4八玉と先手も玉を移動して ▲6六角と上がったのが優勢を決定づけた妙手です この手は▲8四歩から▲8五飛を狙った手ですが これが意外に受けづらく ▽6五歩とすると▲7五角の王手で、以下▽3二玉 ▲8四歩 ▽7四歩 ▲3一角成 ▽同角 ▲8三銀で先手勝勢です そこで▽7四歩から▽7三桂としてから▽6五歩としますが「図3」まで やはり先手の勝勢となります |
先手が▲8八飛と向かい飛車にした手に、前章では後手が▽6二銀としました 本章では この手に変えて▽3四歩と乱戦含みに角道を開けた場合の変化を 解説する事にしましょう 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽5四歩 ▲8八飛 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲6八銀 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽6四歩 ▲3八玉 ▽4二玉 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v玉 ・v角 ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ 銀 ・ ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=16 ▽4二玉(51) まで 後手の▽3四歩に対して 先手には幾つかの選択肢が有ります その中で最も激しい手が▲2二角成 ▽同銀 ▲5三角と打って馬を作る 狙いですが これには後手も同様に▽5七角として以下乱戦となります もちろん、それで悪くなる訳ではありませんし先手側にも面白い策が 有るのですが 向かい飛車とは大きく外れます また▽3四歩として乱戦を望んだ後手の狙いを外したい所でも有ります 他に▲6八銀と角道を開けたまま攻勢をとる”升田流向かい飛車”と言う 戦型も選べますが これは57章で解説した4手目▽3三角型と重複する 部分が多いので、今回は▲6六歩と角道を止めます ▽7四歩は先手の▲8六歩と逆襲して来る手に▽7三桂或いは▽7三銀を 用意した手です また先手から▲7五歩と位を取られる手を消す意味も 有ります 後の章で解説しますが▲7五歩と突く有力な戦法が有るのです ▽6四歩は、この歩を突かずに▽4二玉とすると すかさず▲8六歩と突かれ 以下、飛車の素抜きの筋で不利となるのは 50章で解説した通りです 「図1」から「図2」までの手順 ▲6五歩 ▽5三銀 ▲6四歩 ▽同 銀 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲6三角 ▽4四角 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v玉 ・v銀 ・|二 |v歩 ・ ・ 角 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩v銀v歩v角v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ 銀 ・ ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=24 ▽4四角打 まで ▲6五歩が先手の狙いの一手です ▽同歩と取ると▲2二角成の角交換から ▲6四角の王手飛車が有ります また▽4四歩では▲6四歩と取り込まれて やはり後手が不利となるので▽5三銀とします 角交換しての▲6三角に 後手の▽4四角は、先手が▲7三銀または▲7三桂と受ければ▽6五銀として ▽7六銀とすり込む手、或いは▽6二歩と角を殺す手が狙いです これで先手が困ったようですが 「図2」から「図3」までの手順 ▲6六歩 ▽同 角 ▲7七銀 ▽5七角成 ▲5四角成 ▽7三銀 ▲5八飛 ▽2四馬 ▲6四歩 ▽6二歩 ▲5五歩 ▽5三歩 ▲6五馬 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v歩 ・v玉 ・v銀 ・|二 |v歩 ・v銀 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 歩 ・ ・v歩v馬 ・|四 | ・v歩 ・ 馬 歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=37 ▲6五馬(54) まで 「図2」で▲6六歩と受けるのが好手です このように飛角香の利きの中間に 歩を打って受ける手筋を”中合い(ちゅうあい)の歩”と呼びます ▽同角と取らせて▲7七銀と角取りの先手で受けられるのが中合いの効果です ▽5七角成に▲5四角成で銀取り ここで▽5三銀と逃げるのは▲5五馬の 飛銀両取りが有るので▽7三銀としますが ▲5八飛と強く交換を迫り ▽同馬なら▲同金右で先手陣に飛車を打ち込む隙が有りません 馬が逃げる事になりますが 大駒の働きに差が有り、先手の優勢です 「図3」までは以下の変化の一例です |
アマ強豪として全国的にも有名な、横山公望氏によって創案された ”メリケン向かい飛車”を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽6二銀 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲7五歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽4二玉 ▲8八飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v玉 ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=13 ▲8八飛(28) まで 先手の振り飛車模様に後手が向かい飛車を嫌い、飛車先の歩を8四で止めて 進めて来た時に▲7五歩として次に▲7八飛から▲7六飛の石田流を狙います ここで▽8五歩と突かないと、その駒組みが実現するので 突いて来ますが これで▲7七角から▲8八飛と向かい飛車に振る事が出来るのです 「図1」から「図2」までの手順 ▽3二玉 ▲7八金 ▽5二金右 ▲8六歩 ▽同 歩 ▲同 飛 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 飛 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=19 ▲同 飛(88) まで ▲7八金と攻勢向かい飛車の形にしますが 7五に突き出た歩が、拳に武具の メリケンサックを装着した形に似ている所からメリケン向かい飛車と 命名されたようです 居玉のまま▲8六歩と飛車先逆襲に出るのは51章で 解説した攻勢向かい飛車と同じですが、▽同歩に▲同飛と飛車交換を迫った 「図2」では驚いた事に先手優勢となっているのです 「図2」から「図3」までの手順 ▽8五歩 ▲8八飛 ▽9四歩 ▲7六銀 ▽9三桂 ▲9六歩 ▽6四歩 ▲6七金 ▽6三銀 ▲9五歩 ▽同 歩 ▲9四歩 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v玉v角 ・|二 |v桂 ・v歩v銀 ・v歩 ・v歩v歩|三 | 歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 |v歩v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 角 金 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲9四歩打 まで 飛車交換は先手陣に飛車を打ち込む隙が無く やはり後手の不利となるので ▽8五歩と拒否しますが ▲8八飛と引いた後に▲7六銀と8五の歩を 取りに行く手が有ります これこそが▲7五歩と突いた効果なのです ▽9四歩から▽9三桂で何とか8五の歩取りを防ぎ、更に▽6四歩で 7六の銀が動いたら▽6五歩と仕掛ける手を狙うなど 後手の必死の手順が 続きますが、▲6七金と6筋を固め▲9五歩と桂頭を攻めた「図3」では 先手の断然優勢となります メリケン向かい飛車の飛車先逆襲に▽8五歩と普通に止める手は 直後に▲7六銀と8五の歩を取りに来られて不利となりました そこで後手も受け方を変える事になります |
本章では先手のメリケン向かい飛車の飛車先逆襲に 後手が一工夫した 受け方をした場合の解説をします 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 飛 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=19 ▲同 飛(88) まで 「図1」は先手が飛車交換を迫った前章の「図2」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽8四歩 ▲4八玉 ▽4二銀 ▲3八玉 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽6四歩 ▲7六飛 ▽6三銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v銀v玉v角 ・|二 | ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・v歩 ・|三 |v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=30 ▽6三銀(62) まで ▽8四歩と一つ控えて受けたのが後手の対策です ▲4八玉で▲7六銀として あくまで飛車先から逆襲に行くのは ▽9四歩 ▲8五歩 ▽同歩 ▲同銀に ▽9三桂 ▲8四歩 ▽8五桂 ▲同飛 ▽7六銀「図3」で不利となります 前章と一手の違いが生じる為 ▲8五銀に▽9三桂が間に合うのです ▽8四歩と謝らせた事で充分ポイントを上げたので ▲7六飛と転回するのが この形では好手となります 44章で御紹介した縦歩取り戦法の変化で 解説した理想的な陣形に似た戦型が組み上げられるのです 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉v角 ・|二 | ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 |v歩 歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・v銀 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 手数=30 ▽7六銀打 まで 「図2」から「図4」までの手順 ▲2八玉 ▽8五歩 ▲3八銀 ▽5三銀 ▲5六銀 ▽5五歩 ▲4五銀 ▽3五歩 ▲3四銀 ▽4二金上 ▲6五歩 ▽5六歩 ▲2二角成 ▽同 玉 ▲5六飛 ▽6五歩 ▲2六飛 ▽3二金 ▲4一角 ▽2四角 ▲同 飛 ▽同 歩 ▲3二角成 ▽同 玉 ▲2三角 ▽2二玉 ▲4一角成 「図4」 後手の持駒:飛 角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ 馬 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・ ・v玉 ・|二 | ・ ・v歩v銀v銀v歩 ・ ・ ・|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 銀v歩v歩|四 | ・v歩 歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 歩二 手数=57 ▲4一角成(23) まで 「図2」から先手側は玉を固め▲5六銀と繰り出し ▲6五歩 ▽同歩 ▲同銀 ▽6四歩 ▲7四歩と言う攻めを狙うと言った分かり易い手順となります この狙いが実現しては拙いので、▽5五歩で銀を撃退しようとしますが ▲4五銀と進出して行きます この玉頭銀は迂闊に出ると銀を殺されますが ここの局面での後手陣は左翼の守備に手を掛け、玉側が手薄なので有効です 以下「図4」までは進行の一例です ▲6五歩に▽5六歩は負担になる角を 捌こうとした手です 角交換して▲5六飛に▽3二金と先に受けたい所ですが 直後に▲7一角が有り▽6二飛に▲5三飛成でそれまでです 「図4」は次に▲2三銀成で詰みですが それが分かっていても受ける手が 有りません このように一手空けても詰みが防げない状態を”必至(ひっし)” と呼びます |
先手が▲2六歩から▲2五歩と序盤で決めてしまう形から ちょっと奇妙な 手段と狙いが有ります 本章では、その戦法と正しい応接法を御紹介します 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲2六飛 ▽3二飛 ▲7六歩 ▽4四歩 ▲4六飛 ▽4二飛 ▲3六飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=11 ▲3六飛(46) まで ▲2五歩 ▽3三角としてから 5手目に▲2六飛と浮き飛車にします この▲2六飛は、次に▲3六飛として3四の歩を取りに行くのが狙いです 後手の▽3二飛は▲3六飛には▽2二角を用意して当然と思えるのですが 「図1」まで変化する余地の無い手で いつの間にか3四の歩取りが 受からなくなっていて 思わず狐につままれているような気分になると言う 何とも不思議な戦法です しかしこんな序盤で無条件に歩損して良い訳が 有りません そこで別の受け方を考えて見ます 「図2」までの手順 ▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲2六飛 ▽8四歩 ▲3六飛 ▽8五歩 ▲9六歩 ▽8四飛 ▲9七角 ▽6二銀 ▲7五角 ▽7四飛 ▲6六角 ▽同 角 ▲同 飛 ▽7二金 ▲6五飛 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・v金v銀 ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v飛 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 飛 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=19 ▲6五飛(66) まで ▲2六飛に▽8四歩と突き ▲3六飛にも▽8五歩と更に突いて行きます これで次に先手が▲3四飛と歩を取れば ▽8六歩と突く狙いです 流石にそれは拙いので▲9六歩とします そこで▽8四飛と飛車で受け これで無事に受かったように見えますが ▲7五角から▲6六角と捌かれ 以下角交換後の▲8三角を防いで▽7二金としますが ▲6五飛と浮かれた 「図2」では次の▲8五飛が受かりません ▽8四飛と受けようとすると ▲6六角が有る訳です 途中に変化も有りますが思わしくないうえに どうも▲2六飛を咎める決定的な手段には いずれもなっていません さあそれでは、どう指すのが良いか 前章までを見て頂いた方には なぜ本章で、この戦法を紹介したか そう考えて見ると気がついた方も 居るのではないでしょうか 「図3」までの手順 ▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲2六飛 ▽2二飛 ▲3六飛 ▽2四歩 ▲3四飛 ▽2五歩 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=10 ▽2五歩(24) まで そうなのです この戦法を咎める最強の手段が前章まで解説した▽2二飛と 振る向かい飛車なのです 冷静に考えて見れば相手から近づいて来てくれた 訳ですから、願っても無い標的なのです 以下は「図3」まで先手は 予定通り3四の歩を取りましたが、後手も▽2五歩と歩を取り返します この交換は2筋からの逆襲が有り 明らかに後手が得をしています 手順中▽2四歩に▲同歩と取るのは▽同飛で 3四の歩も取れず▲2八歩と 守らなければならなくなり やはり先手不利となります ▲3六飛とせず このまま駒組みを進めるのも▲2六飛の形が向かい飛車を 相手にするには非常に危険な位置で有る事は 前章までを見て頂ければ 御理解いただける物と思います |
本章から中飛車編に入ります 現在プロ間でも力戦型の中飛車が大流行と なっていて、居飛車党の棋士までもが採用しているような状況です 8章で初心者の定番として原始中飛車を紹介しましたが、此処からは 本格的な中飛車を、現在の流行形に至るまで解説して行きたいと思います まずは昔、本格中飛車の代表だった”ツノ銀中飛車”から解説いたします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲5八金右 ▽5二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲6八銀 ▽4三銀 ▲3六歩 ▽8二玉 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲4六歩 ▽3二金 ▲5七銀左 ▽7二銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・v金 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 ▽7二銀(71) まで 「図1」までがツノ銀中飛車と居飛車▲5七銀左型急戦の基本の形です ツノ銀の名称は4三の銀が飛車のツノのように見える所からです この後▽6四歩から▽6三銀とすれば完全なツノ銀中飛車となります ▲4六歩とする手で▲4六銀とするのは、▽3二金で▲3五歩としても ▽4五歩で撃退されます ▽3二金型にナナメ棒銀は通用しません 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八金上 ▽6四歩 ▲3七銀 ▽5一飛 ▲2六銀 ▽4五歩 ▲同 歩 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲5六歩 ▽4五飛 ▲4六歩 ▽4四飛 ▲3七銀 ▽5四飛 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲4八銀右 ▽5一飛 ▲4七銀 ▽7四歩 ▲6六歩 ▽6三銀 ▲6七金右 ▽7二金 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩 ・v銀 ・v銀v桂v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 金 銀 銀 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=52 ▽7二金(61) まで 基本図から居飛車側の有力な策として棒銀が有りますが▲2六銀の瞬間に ▽4五歩から豪快に捌きに出て「図2」まで後手の優勢となります 手順中▽同飛と5五に飛び出した後手の飛車を▲同角と取るのは▽同角で 飛車香両取りで先手不利となります 同様に▽4四飛と引いた手に▲同角も ▽同角で以下▲6六歩に▽6五歩と攻められ、やはり思わしくありません 角交換の後、先手は棒銀を引き上げ陣形を建て直しますが「図2」では ▽6三銀と完全に両方のツノ銀を完成させ4、5筋で二歩を手持ちにした 後手が指しやすい形勢と言えます 「図2」から「図3」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽1五角 ▲2八飛 ▽2七歩 ▲同 飛 ▽2六歩 ▲2八飛 ▽2一飛 ▲1六歩 ▽2七歩成 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩 ・v銀 ・v銀v桂 ・v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 銀 銀 ・vと ・|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=64 ▽2七歩成(26) まで 「図2」で先手から▲2四歩と飛車先を交換する手が見えますが▽2一飛から 逆に飛車先を逆襲されて「図3」では先手の敗勢と言っても良い局面です ▲2四歩が無理となれば「図2」では先手に有効な手が無いと言う事になります |
前章では後手のツノ銀中飛車に▲5七銀左型から棒銀の攻防を解説しましたが 本章では▲5七銀左型から、先手が別な有力戦法をとった場合のツノ銀側の 対抗手段を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・v金 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 ▽7二銀(71) まで 「図1」は前章の「図1」と同じ、ツノ銀中飛車対▲5七銀左型の基本図です 「図1」から「図2」までの手順 ▲4七銀 ▽6四歩 ▲6八金上 ▽1四歩 ▲3八飛 ▽3一金 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽3二飛 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・v金v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 銀 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=36 ▽3二飛(52) まで ▲4七銀から▲3八飛と二枚銀から後手の角頭を狙う”袖飛車”は居飛車側の 対中飛車の有力戦法です ▲3八飛に前章と同じく▽4五歩と行くのは 中央の二枚銀が強靭で無理筋です ここでは▽3一金と引き▲3五歩からの 歩交換に▽3二飛と迎撃するのが有効な対抗策です 「図2」から「図3」までの手順 ▲3八飛 ▽4五歩 ▲6六歩 ▽4六歩 ▲同銀左 ▽6五歩 ▲5五歩 ▽4五歩 ▲5七銀 ▽5五角 ▲3二飛成 ▽同 金 「図3」 後手の持駒:飛 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・v歩v角v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 銀 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩二 手数=48 ▽同 金(31) まで ▲3八飛と引いた手に▽4五歩と大捌きに出ます ▲6六歩とする手で ▲3三角成から飛車角の総交換をするのは陣形的に、居飛車側が急戦型では 不利となるのは他の振り飛車同様です ▽4六歩に▲同銀左で、▲同銀右とすると飛車が浮く為▽6六角が有ります ▽6五歩から以下「図3」までとなり、やはり後手優勢の局面です このように強力な守備力で大捌きに出る豪快な戦法で魅力の有る物ですが 現在ではツノ銀中飛車はプロ間は元よりアマ間でも、ほとんど指される事が 無くなっています それは天敵とも言える戦法が現れたからです 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5六歩 ▽5二飛 ▲6八玉 ▽4三銀 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5七銀 ▽7二玉 ▲7七角 ▽5四歩 ▲8八玉 ▽8二玉 ▲9八香 ▽7二銀 ▲9九玉 ▽3三角 ▲2五歩 ▽3二金 ▲8八銀 ▽6四歩 ▲7九金 ▽7四歩 ▲6六銀 ▽6三銀 ▲8六角 ▽7二金 ▲7八飛 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・v飛 ・v金 ・ ・|二 |v歩v歩 ・v銀 ・v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ 角 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=33 ▲7八飛(28) まで それがこの”居飛車穴熊”です 「図4」では7筋から闘いになりますが 駒一枚くらい損をしても後手陣から比べると同じ金銀二枚の囲いでも 堅さが断然違う為に終盤で寄せ勝ってしまう事が多いからです |
本章では伊藤果七段がツノ銀中飛車からの発展形として編み出した ”風車(かざぐるま)戦法”を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5六歩 ▽4三銀 ▲6八玉 ▽5二飛 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5七銀 ▽7二玉 ▲7七角 ▽5四歩 ▲8八玉 ▽3三角 ▲2五歩 ▽6二銀 ▲9八香 ▽6四歩 ▲9九玉 ▽7四歩 ▲8八銀 ▽6三銀 ▲7九金 ▽6二金 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉v金v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩 ・v銀 ・v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=28 ▽6二金(61) まで 「図1」まで一挙に手順を進めましたが、ポイントは通常のツノ銀と違い 玉を7二と一つ中央寄りに囲い▽6三銀 ▽6二金と早目に両ツノを完成 しておく事です これから見て頂くと分かりますが、この風車は 居飛車穴熊の対策として考えられたと言う意味合いも有るのです 「図1」から「図2」までの手順 ▲5九金 ▽3二金 ▲6九金右 ▽5一飛 ▲7八金右 ▽7三桂 ▲6六歩 ▽4二角 ▲3六歩 ▽9四歩 ▲5九角 ▽8四歩 ▲3七角 ▽3三桂 ▲4六歩 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽9五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉v金 ・v角v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v銀v桂v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ ・ 銀 ・ 角 ・ ・|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=46 ▽9五歩(94) まで 角を4二に引いて▽3三桂と跳ね、一段目に引いた飛車が2筋から8筋まで 自由に転回する事が出来るようにします このように飛車がくるくると一段目を動き回る所から風車と命名されました その極意は徹底して相手の攻めを封じる事で 相手が攻めて来たら手に乗って 反撃しますが、こちらからは手を出さないと言う物です 「図2」では5七の浮いた銀も5一の飛車に睨まれて動けず かと言って 下手に攻めて桂などを渡すと9筋の端攻めが強烈になります ここでは後手の作戦勝ちとなっているのです 居飛車側も、これではあまりに無策過ぎるので手を変えて見ましょう 「図1」の▽6二金に▲5九金とする手で▲5八金とする手が有ります 「図1」から「図3」までの手順 ▲5八金 ▽7三桂 ▲6六歩 ▽3二金 ▲6七金 ▽5一飛 ▲3六歩 ▽4二角 ▲4六歩 ▽3三桂 ▲5九角 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽8四歩 ▲7八飛 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉v金 ・v角v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v銀v桂v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・|七 | 香 銀 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ 角 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=45 ▲7八飛(28) まで ▲5八金から▲6七金として▲7八飛と回り、7筋からの攻めを先手が狙って 「図3」となります これは前章の「図4」と同じく後手が不利のように 見えますが ここから風車の面目躍如の手順が有るのです |
本章では風車の真髄とも言える形を見て頂く事にします 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉v金 ・v角v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v銀v桂v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・|七 | 香 銀 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ 角 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=45 ▲7八飛(28) まで 「図1」は前章の「図3」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6一玉 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽7四歩 ▲7八飛 ▽5二玉 ▲2八飛 ▽8一飛 ▲6八角 ▽5三角 ▲4八銀 ▽7二金 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v金 ・v玉 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v角v銀v桂v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=58 ▽7二金(62) まで ▽6一玉から▽5二玉と中央に玉を移動させ左右どちらから攻められても 反撃できるようにするのが風車の本領発揮の手順です これで相手の攻め方によっては入玉を狙ったり 桂香が手に入れば9筋から 反撃して行くと言うのが この局面の方針となります ただ相手が動いて来ないと 風車側から攻めに行くのは無理筋になります 基本的には千日手が狙いとなるので後手番の時に有効な作戦と言えるでしょう 最後に少しだけ攻め味を加えた”新風車戦法”を見て頂く事にします 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5六歩 ▽4三銀 ▲6八玉 ▽6二銀 ▲7八玉 ▽6四歩 ▲5八金右 ▽6三銀 ▲6八銀 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3七銀 ▽3二金 ▲7七銀 ▽6二玉 ▲7九角 ▽8五歩 ▲6六歩 ▽7三桂 ▲6七金 ▽8一飛 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽5二金 ▲3六銀 ▽4五歩 ▲同 銀 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽8五歩 ▲3八飛 ▽8六歩 ▲8八歩 ▽8五飛 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v飛 ・ ・ ・ 銀 角 歩 ・|五 | 歩v歩 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 銀 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 歩 玉 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=46 ▽8五飛(81) まで この新風車は中飛車では無く居飛車の”右玉”と呼ばれる戦型になります 先手が角で3筋の歩交換をして来た手に▽4五歩と角道を開け8筋から 反撃した「図3」では後手優勢の局面です 途中、振り飛車にする余地も残す事によって 相手を翻弄し作戦勝ちを 狙うのが極意となります 手順中▽8六歩に▲同歩と取った手に、また▽8五歩と歩を合わせて行く この手筋を”継ぎ歩”と呼びます ▲同歩なら▽同桂で▲8八銀 ▽8六歩 としてから次に▽6五歩を狙って行けば後手優勢となります 新風車は中飛車から外れますので この紹介だけに留めます 風車にしても新風車にしても指しこなすには、かなりの棋力を必要とします したがって初級の方には あまりお奨めできる戦法では無いのですが 中飛車型の一つとして このような指し方も有ると言う事を見て頂きました |
58章と59章で御紹介した、先手の攻勢向かい飛車の手順中で 後手の応手によっては中飛車に変化する場合が有る事に触れましたが 本章から、その戦型について解説をする事にします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲5八飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=5 ▲5八飛(28) まで 先手の▲5六歩に後手が▽8五歩と突かず先に▽5四歩と5筋を受けた場合は ▲5八飛と回り中飛車にするのが有効な手段です ここで▽3四歩と角道を 開けると角交換から▲5三角と打ち先手だけ馬が作れます 向かい飛車の時と 違い▽5七角打が無いのです それではここで▽8五歩はどうかと言う事に なります ▲7七角なら向かい飛車を封じて先手の作戦範囲を狭められ 後手の得になるのですが 「図1」から「図2」までの手順 ▽8五歩 ▲5五歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲5四歩 ▽5二歩 ▲7八金 ▽6二銀 ▲5六飛 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=15 ▲5六飛(58) まで ▽8五歩には構わず▲5五歩と行く手が有るのです これを▽同歩だと ▲同角と取られ、そこで▽8六歩としても▲同歩 ▽同飛に▲7七角で 開き王手飛車取りで先手の勝ちとなります「図3」 そこで▽8六歩と強行手段に出ますが玉頭に、と金を作られる訳には 行かないので▽5二歩と受け 更に▲7八金 ▽6二銀と互いに 飛車の成り込みを防ぎ▲5六飛とした「図2」では5筋を詰めて歩得のうえ 後手は歩切れとなり先手優勢の局面です 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=13 ▲7七角(55) まで 「図1」から「図4」までの手順 ▽6二銀 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽4二玉 ▲7七角 ▽3四歩 ▲5五歩 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v玉 ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=13 ▲5五歩打 まで ▽8五歩は得にはならないので▽6二銀と中央を厚くして 次に▽3四歩と 角道を開ける手を見せます そこで▲5五歩と突きますが▽同歩に対して ▲同角と▲同飛が有ります まず▲同角と取る手から見てみましょう これに後手が▽8五歩などとすると▲3三角成の両王手で、いきなり詰んで 負けとなります そこで▽4二玉とかわして両王手を防いだ時に▲7七角と 引きますが この局面は単に▲7七角とした場合より先手の一手得となります ▽3四歩に▲5五歩で「図4」となり形勢はまだ互角ですが この▲5五歩型の中飛車は有力な戦法です これについては後の章で また解説する事にします ▽5五同歩に▲同飛と取る変化は次章で |
本章では先手が積極的に攻めに出る攻勢中飛車本来の狙いを見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=5 ▲5八飛(28) まで 「図1」は先手の攻める中飛車基本形の、前章「図1」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6二銀 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4二玉 ▲4八玉 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v玉 ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=11 ▲4八玉(59) まで ▲5五歩 ▽同歩に前章では▲同角と取った変化を解説しましたが 今度は▲同飛と王手で取ってみます ▽4二玉の所▽5三歩打などと 言う手は間違ってもやってはいけません 先手だけ歩を持たれたうえに ▽5四歩と突いた手が全く無駄になってしまい一方的に損をします 5五に飛車を置いたまま▲4八玉として「図2」となります 「図2」から「図3」までの手順 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3二玉 ▲7八金 ▽3四歩 ▲5四飛 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽4五角 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=20 ▽4五角打 まで 後手はここで▽8五歩 ▲7七角と飛先を決めておきます 今なら▲7七角の 一手なので時期と言えます ▽3二玉に▲7八金と左翼を固め▽3四歩と 角道を開けた瞬間▲5四飛とします この手は飛車が逃げたと言うより 3四の歩を狙った手です しかし角交換をして▽4五角と打った手が 3四の歩を守りつつ飛車取りとなり、更に▽2七角成を狙う一石三丁の好手で 「図3」は先手の失敗に見えますが 実は逆に後手のハマり形なのです 「図3」から「図4」までの手順 ▲5五飛 ▽2七角成 ▲2五飛 ▽5四馬 ▲2四歩 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v馬 ・v歩 歩 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=25 ▲2四歩打 まで ▲5五飛と角取りで飛車を逃げ▽2七角成 その瞬間に▲2五飛と馬取りに 当てると▽5四馬とする一手です こうして変化する余地の無い手順が続き ▲2四歩と打った「図4」は既に先手の勝勢となっているのです どうしてと思う方もいると思いますが ここからはどう変化しても先手の 勝ちは動かないのです 次章でそれを検証しましょう |
本章では前章「図4」の▲2四歩打からの変化を見て頂く事にします 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v馬 ・v歩 歩 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=25 ▲2四歩打 まで 「図1」は前章「図4」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4四馬 ▲2三角 ▽3三玉 ▲4一角成 ▽2四玉 ▲3一馬 「図2」 後手の持駒:飛 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ 馬v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v馬v歩v玉 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 歩 手数=33 ▲3一馬(41) まで この歩を取らずに▽2二銀と受けるのは▲2三歩成 ▽同銀 ▲2四歩打で 銀が何処に逃げても▲2三角打と強襲して潰れます しかたなく▽同歩と取りますが▲同飛に▽2三歩打と受けると▲3四飛が 王手馬取りで、それまでとなります そこで▲同飛に▽4四馬と受けますが ▲2三角打以下「図2」まで先手の勝勢となります ▲2三角打に▽4二玉と 逃げるのは▲4一角成から▲2一飛成が有ります 「図1」から「図3」までの手順 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4四歩 ▲2三角 ▽4二玉 ▲3四角成 ▽5二金右 ▲2二歩 「図3」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金v玉 ・ 歩 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v馬v歩 馬 飛 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=33 ▲2二歩打 まで 次は▲同飛に▽4四歩と受けた場合です この手は▲3四飛の王手馬取りを 防ぎつつ2一の桂にひもをつけ、前述の▲4一飛成からの筋を消して ▽4二玉と逃げる意味ですが▲3四角成から▲2二歩と打った「図3」では やはり先手の勝勢です 以上のように「図1」からは、どう変化しても先手の 勝ちとなるのです それでは最後に攻勢中飛車に対して後手が慎重に 進めた場合を見て頂きましょう 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲5八飛 ▽6二銀 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4二玉 ▲4八玉 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3二玉 ▲7八金 ▽5二金右 ▲3八玉 ▽4二銀 ▲2八玉 ▽3四歩 ▲5六飛 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩 ▽8二飛 ▲7五歩 ▽6四歩 ▲8六歩 ▽6三銀 ▲8五歩 ▽7四歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5五角 ▽3三銀 ▲6四角 ▽7三角 ▲同角成 ▽同 桂 ▲5四歩 「図4」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v桂 ・ ・v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・v銀 ・ 歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 桂 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 玉 ・|八 | 香 ・ 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=43 ▲5四歩打 まで ▽5二金右 ▽4二銀と慎重に固めてから▽3四歩とされると▲5四飛は ▽3三銀と受けられて手になりません 以下「図4」までは進行の一例です この5筋から左翼に転回を狙う手段は非常に有力で 別の戦型にも登場する 事になりますので、またその時に解説する事にします |
漫画家つのだじろうさんの作品で「5五の龍」と言う将棋のプロ棋士を 目指す少年達を描いた物が有り、その中で主人公の駒形竜が得意とする ”5五龍中飛車”と言う戦法が登場します 「図1」までの手順 ▲5八飛 ▽8四歩 ▲9六歩 ▽8五歩 ▲9七角 ▽6二銀 ▲5六歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 角 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=7 ▲5六歩(57) まで ▽8四歩から▽8五歩と後手が飛車先を突いて来た手に▲9六歩から ▲9七角と、こちら側から飛先交換を拒否するのが5五龍中飛車の 骨子なのです 以下「図1」となった局面で▽9四歩と突いて▽9五歩を 狙われたらどうするのかと言う疑問が生まれると思います 「図1」から「図2」までの手順 ▽9四歩 ▲9八香 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽同 香 ▲7五角 ▽9八香成 ▲同 飛 ▽9三歩 ▲8四香 「図2」 後手の持駒:香 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三 | ・ 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v歩 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=17 ▲8四香打 まで ▽9四歩に▲9八香として▽9五歩 ▲同歩 ▽同香の瞬間▲7五角と 飛び出すのです そして▽9八香成に▲同飛と取ります 以下「図2」の▲8四香で、後手の飛車は助からず先手勝勢となります 「図1」から「図3」までの手順 ▽3四歩 ▲5五歩 ▽9四歩 ▲5六飛 ▽4二銀 ▲6八銀 ▽5二金右 ▲5七銀 ▽4四歩 ▲6六銀 ▽4三銀 ▲6五銀 ▽4二金上 ▲3八銀 ▽4一玉 ▲4六歩 ▽3二玉 ▲3六歩 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽3三角 ▲4八玉 ▽2二玉 ▲3九玉 ▽3二金 ▲5八金左 ▽4二金右 ▲4七金 ▽2四歩 ▲2八玉 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v金v金v玉 ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v銀v角 ・ ・|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩v歩|四 | ・v歩 ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ 飛 歩 歩 ・ 歩|六 | 角 歩 歩 歩 ・ 金 ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=37 ▲2八玉(39) まで 闘いになるのを避け慎重に指された場合は、自然に「図3」まで進めますが 先手にはいつでも▲5四歩と開戦する手が有って、主導権を握っています 更に後手側には、もう既に有効な指す手が無くなっているのです ここでは先手が作戦勝ちの局面と言えます 5五の地点を中心に押さえ込む と言うのが5五龍中飛車の真の狙いだった訳です 手順中▲6六銀に▽4三銀の所で、飛車の横利きが消えたので▽9五歩と行く 手はどうかと言う事になりますが これには平然と▲6五銀と上がり ▽9六歩の取り込みに▲7五角と、乱戦を狙えばこれもまた5五龍中飛車の ペースとなるのです「図4」 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金v銀 ・v角 ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 角 銀 歩 ・ ・ ・ ・|五 |v歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=21 ▲7五角(97) まで つのださん自身が当時、既に高段者だったのとプロ棋士が監修していた為 この5五龍中飛車は意外に優秀な戦法なのです |
前章に続いて本章でも変則的な中飛車の一種として”ヒラメ戦法”を 御紹介します 「図1」までの手順 ▲5八飛 ▽8四歩 ▲7六歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲6八銀 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3八玉 ▽4二玉 ▲2八玉 ▽3二玉 ▲3八銀 ▽1四歩 ▲1六歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 銀 飛 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲1六歩(17) まで 一手目に▲5八飛と振った後、後手の▽3四歩に対して角道を止めず ▲6八銀とするのが”ヒラメ戦法”の特徴です それ以外は普通の 中飛車と同じく玉を美濃囲いにして駒組みを進めて行きます 「図1」から「図2」までの手順 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8九飛成 ▲5九金左 ▽8二龍 ▲8三歩 ▽7二龍 ▲8五飛 ▽7一銀 ▲8二角 ▽9四角 ▲7一角成 ▽同 龍 ▲8二歩成 ▽5一龍 ▲8四飛 ▽4二金寄 ▲9一と ▽8三歩 ▲3四飛 ▽3三歩 ▲3六飛 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | とv桂 ・ ・v龍v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・|三 |v角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ 歩|六 | 歩 ・ 桂 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 銀 ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ 金 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 香 歩二 手数=47 ▲3六飛(34) まで 角を交換された時に、普通は▲同銀と取って飛車先交換を防ぐのですが ヒラメ戦法の場合は▲同桂と取ります そして後手が▽8六歩と突いて 飛車先の歩を交換した瞬間に▲5五歩から5筋を交換して飛車を捌きます ▽8九飛成に▲5九金左と寄せて駒組みが完成します この低く構えた形が 海底に貼りついたヒラメのような所から命名されたのです 以下「図2」までは進行の一例ですが、軽く捌いて行くのがコツとなります 「図1」から「図3」までの手順 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽8七角 ▲5九金左 ▽7六角成 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8七歩 ▲5六飛 ▽9四馬 ▲5四歩 ▽6四歩 ▲5五角 ▽2二銀 ▲6四角 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉v銀 ・|二 |v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・|三 |v馬 ・ ・ 角 歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 歩|六 | 歩v歩 桂 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 銀 ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ 金 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=37 ▲6四角(55) まで ▽8六歩 ▲同歩に▽8七角と金取りに打つ手も有りますが これにも▲5九金左とヒラメを完成させます ▽7六角成に▲5五歩から やはり飛車を捌きに出ます 以下「図3」まで5筋に攻めを集中させて 先手の優勢となります 手順中▲5六飛に▽9四馬の所で▽7五馬ですと 以下▲6六角 ▽7四馬 ▲5四飛 ▽2二銀 ▲7四飛 ▽同歩 ▲5五角打で先手の勝ちとなります「図4」 「図4」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉v銀 ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 ・ 角 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩v歩 桂 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 銀 ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ 金 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=39 ▲5五角打 まで |
本章では後手が早目に角を交換してヒラメの理想形に組ませない策に 出た場合の指し方を御紹介します 「図1」までの手順 ▲5八飛 ▽3四歩 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲7六歩 ▽6二銀 ▲4八玉 ▽4二玉 ▲3八玉 ▽3二玉 ▲2八玉 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽5二金右 ▲3八銀 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽8四歩 ▲5九金左 ▽8五歩 ▲7七銀 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 金 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=21 ▲7七銀(88) まで ▲5八飛に▽3四歩と先に角道を開け 駒組みの途中で▽8八角成 ▲同銀と 早い時期に角交換して前章のヒラメの形を防ぎます ▽8五歩には▲7七銀と 先手も、この形では普通に飛車先交換を一旦拒否しておきます 「図1」から「図2」までの手順 ▽4二銀 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲6六銀 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲7七桂 ▽8九飛成 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀v金v銀v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ 桂 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ 銀 玉 ・|八 | 香v龍 ・ ・ 金 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=30 ▽8九飛成(86) まで ▲5五歩 ▽同歩に▲6六銀と進出すするのがヒラメ戦法の、この形での 捌き方になります 飛車先交換に▲7七桂として完成です 「図2」から「図3」までの手順 ▲5四歩 ▽6四歩 ▲5五銀 ▽6三金 ▲4六角 ▽5二歩 ▲6四銀 ▽同 金 ▲同 角 ▽2二角 ▲5五角 ▽同 角 ▲同 飛 ▽2二角 ▲8五飛 ▽同 龍 ▲同 桂 ▽9九角成 ▲8二飛 「図3」 後手の持駒:飛 銀 香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・ 飛 ・v銀v歩v銀v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・ 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 |v馬 ・ ・ ・ 金 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金 歩二 手数=49 ▲8二飛打 まで ▲5四歩と打ち、次に▲6五桂を狙います これを▽6四歩と防ぎますが ▲5五銀から以下飛車角総交換して「図3」となります 「図3」から「図4」までの手順 ▽5一銀右 ▲8一飛成 ▽8九飛 ▲5三歩成 ▽同 歩 ▲8八歩 「図4」 後手の持駒:銀 香 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 龍 ・ ・v銀v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v銀v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 |v馬v飛 ・ ・ 金 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金 桂 歩 手数=55 ▲8八歩打 まで ▽8九飛と打ち込んで来た手に▲5三歩成と成り捨てておくのが重要です これを怠ると▽5五香打が厳しい手になりますが 歩を成り捨てておけば 香打ちには歩で受かるのです ▽同歩に▲8八歩と打って「図4」ですが この歩はこのままならば▽7三桂不成が有りますし▽同飛なら▲5五角打 また▽同馬ならば やはり▲7三桂不成で先手の断然優勢となります 不成で行くのがポイントで、次に▲6一桂成が狙いとなるのです 「図4」の▲8八歩打のように相手の駒が複数利いている場所に 打つ歩を”焦点の歩”と呼び、是非覚えておいて欲しい歩の手筋です |
今のプロ棋界で居飛車党にさえも指されるほど流行となっている中飛車が 近藤正和五段創案の”ゴキゲン中飛車”です 近藤五段の人当たりの 良さから、いつもにこやかな笑顔を印象づけられる為にと言う ちょっと珍しい戦法名の由来となっています 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽5四歩 ▲2五歩 ▽5二飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=6 ▽5二飛(82) まで 居飛車の3手目▲2六歩に▽5四歩と突くのがゴキゲン中飛車の手始めです この手に角交換して▲5三角と打つのは▽4二角とされて2六の歩が 邪魔になり、成れないと言う訳です そして▲2五歩に▽5二飛と回ります 当然▲2四歩と突く手が有る訳ですが 「図1」から「図2」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽3三角 ▲2八飛 ▽2六歩 ▲7七桂 ▽2二飛 ▲3八銀 ▽4二銀 ▲6八玉 ▽4四角 ▲7八玉 ▽3三桂 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・ ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v角v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 玉 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 ・ ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=22 ▽3三桂(21) まで 他の戦型紹介でも度々現れた角交換から▽3三角が、ここでも有るのです ▲2八飛と引く手で▲2一飛成は、以下▽8八角成 ▲7七角 ▽8九馬 ▲1一角成 ▽5五桂と、47章で解説した19手定跡と同様の手順で 先手不利となります「図3」 ▲2八飛に▽2六歩は、次に▽2七歩成から▽8八角成を狙った手ですが これに対しての▲7七桂では形良く▲7七銀が普通ですが この場合は▽2二飛 ▲3八銀の時に▽7七角成から▽2七銀打が有ります 以下「図2」までは一例ですが先手が飛車先を切った得が有るとは 言えない局面です 更に後手側にはもう一つ手段が有ります 「図3」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 龍 馬|一 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香v馬 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 香 歩 手数=18 ▽5五桂打 まで 「図1」から「図4」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲2八飛 ▽2七歩 ▲1八飛 ▽3三銀 ▲3八金 ▽6二玉 ▲6八玉 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v玉v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v銀 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩v歩 歩|七 | ・ 銀 ・ 玉 ・ ・ 金 ・ 飛|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=19 ▲6八玉(59) まで それがこの飛車先を切った手に、角交換から▽2二銀とする手です これは次に▽3五角が狙いです それを避けた▲2八飛に▽2七歩と叩き ▲同飛なら▽4五角ですので▲1八飛と逃げて、以下「図4」までとなり ここから、いろいろ変化は有り難解ですが やはり飛車先を切った手が得に なっているとは言えません このように「図1」から▲2四歩と、飛先交換に行くのは悪いと言う事は 無いのですが先手にとって得策では無いのです |
前章に続きゴキゲン中飛車の基本となる、序盤の変化を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=6 ▽5二飛(82) まで 「図1」はゴキゲン中飛車の基本図の、前章「図1」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲4八銀 ▽5五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽5六歩 ▲同 歩 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽3三角 ▲2一飛成 ▽8八角成 「図2」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 龍v香|一 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・v馬 ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 桂 歩二 手数=18 ▽8八角成(33) まで ▲4八銀と中央に備えた手に▽5五歩と位を取ります ここで位について説明しておきます まず端は5段目まで歩を伸ばしても 位とは呼びません ”端を詰める”または”端を突き越す”と言います また居飛車の飛車先の歩(先手は2筋、後手は8筋)も位とは言いません ただし飛車が他の筋に移動した場合は 時によっては位と言う事も有ります 飛車が下に居ても、この例のように振り飛車の時は位と呼びます つまり2筋から8筋で居飛車の飛車先を除いた歩を5段目まで進め 尚且つ一時的では無く、その歩の位置を維持できる状態を言うと思って下さい ▽5五歩で角道が止まった瞬間に▲2四歩と突きますが▽同歩 ▲同飛に ▽5六歩と突かれ、以下▽3三角打まで前章の変化と類似した進行となった時 4八に銀が有る為▲2八飛は無く▲2一飛成の一手となります 以下▽8八角成とした局面は▲4八銀が壁になり先手不利の形勢です ここから▲7七角としても▽8九馬 ▲1一角成 ▽7八銀打で 金を取って▽2二金とする手も残り、後手側を持ちたい局面となります 「図1」から「図3」までの手順 ▲5八金右 ▽5五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽5六歩 ▲同 歩 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽3三角 ▲2一飛成 ▽8八角成 「図3」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 龍v香|一 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・v馬 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 桂 歩二 手数=18 ▽8八角成(33) まで ▲5八金右に対しても▽5五歩とします これに対して▲2四歩と突いた場合 「図2」までと同一進行で▽8八角成となった時、先手玉の右辺が広いので 状況が変わるのです 「図3」からは▲5五桂打など先手側にも有力手が有り 難解で激しい闘いとなります また「図1」では▲6八金と上がる手も有り、狙いとしては▲5八金右と同様 ▲2四歩からの飛先交換をする事で、「図3」までと同じ進行となった時に ▲5八金右より玉形が優ると言う事ですが これも一長一短と言えます ゴキゲン中飛車の基本図「図1」までの先手の5手目▲2五歩では▲5六歩と 突けば一応5筋の位を取られませんが 角道を開けたままの力戦型中飛車に 対して、序盤で▲5六歩と突くと 中飛車側にいろいろと手段を与える事は 67〜72章で解説しました そう言う事も有り、今は後手の5筋位取りは 甘受する「図1」以降の手順で、先手も進める事が多くなっています |
本章もまたゴキゲン中飛車の序盤解説の続きです 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=6 ▽5二飛(82) まで 「図1」はゴキゲン中飛車の基本図で、前章「図1」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲7八金 ▽5五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽5六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲6九玉 ▽3二金 ▲4八銀 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・v飛 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 玉 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=17 ▲4八銀(39) まで ▲7八金は後手の角交換から▽3三角と打つ筋を消して▲2四歩の飛先交換を 狙うと言う手ですが 当然中央からの捌きが気になる所です しかし▽5五歩から▽5六歩に対して▲同歩 ▽同飛 ▲6九玉とかわし ▽3二金に▲4八銀とした「図2」では後手からの急襲は有りません ここからは穏やかな流れになりますが 飛車先が切れて先手も不満が無いと 言えますが、闘い自体はまだこれからの局面です ただし▲7八金に対して後手には別の手段も有るのです 「図1」から「図3」までの手順 ▲7八金 ▽6二玉 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二飛 ▲2三歩 ▽1二飛 ▲2二角 ▽3五角 ▲2八飛 ▽5七角成 ▲1一角成 ▽同 飛 ▲2二歩成 ▽2七歩 ▲同 飛 ▽2六歩 ▲同 飛 ▽4四角 ▲1一と ▽2六角 ▲2一と ▽4四角 ▲6六香 ▽4二銀 「図3」 後手の持駒:飛 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・ と ・|一 | ・ ・ ・v玉 ・v銀 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v角v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 香 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩v馬 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂 歩二 手数=34 ▽4二銀(31) まで ▲7八金に▽6二玉とするのが後手側のもう一つの有力手です これに対して▲2四歩と行くと、角交換から▽2二飛とぶつける手が有ります 飛車交換は後手が有利なので▲2三歩と打ち、以下激しい手順が続きますが 「図3」では駒が綺麗に捌け、玉形も固く後手優勢の局面と言えます 手順中▲6六香と打つ所で、▲3一ととすると▽8八角成とされて ▲同金なら▽6八銀打で詰まされてしまいます「図4」 ▲7八金以外の手でも▽6二玉は有力で いずれの場合でも▲2四歩は 先手不利となるのは言うまでも有りません 「図4」 後手の持駒:飛 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 と ・ ・|一 | ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩v馬 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 金 ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 銀 桂 香 歩二 手数=36 ▽6八銀打 まで ここまでゴキゲン中飛車の基本図「図1」から、先手が▲2四歩と飛先交換を 実現しようとする変化を見て頂きました この戦型には居飛車側が飛車先を 切る事が出来るかどうかと言うのが序盤の一つのポイントになります |
本章では居飛車側が序盤から角交換に出た場合を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=6 ▽5二飛(82) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、ゴキゲン中飛車基本形です 「図1」から「図2」までの手順 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲8八銀 ▽3三銀 ▲4八銀 ▽6二玉 ▲6八玉 ▽7二玉 ▲4六歩 ▽6二銀 ▲7八玉 ▽2二飛 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉v銀 ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=18 ▽2二飛(52) まで 「図1」では先手から角交換する手が有ります 一時はこれが最も有効な 手段とされていました しかし後手側に強力な対策が生まれたのです それが▽6二銀として▲5三角打の筋を防いでから▽2二飛と 向かい飛車にする「図2」までの手順です 「図2」から「図3」までの手順 ▲7七銀 ▽2四歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲4七銀 ▽2五銀 ▲3八金 ▽2六銀 ▲2七歩 ▽同銀成 ▲同 飛 ▽同飛成 ▲同 金 ▽2六歩 「図3」 後手の持駒:飛 角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 銀 歩 金 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 銀 手数=32 ▽2六歩打 まで ▲7七銀は普通の手に見えて不用意な手でした それは▽2四歩からの 強襲が有るからで、以下かなり強引な攻めですが「図3」の局面では ▽2六歩に、どう応じても飛車打ちが厳しく先手が不利となります 手順中▲同飛と銀を取る所で▲同金は▽3九角打が有ります この「図3」で▲7七銀に変えて、もし▲3六歩と突いて有れば▲3七金と かわす手が有り、▽2八飛と打たれても▲3八銀打で受かるのです 「図2」から「図4」までの手順 ▲4七銀 ▽6四歩 ▲7七銀 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽6三銀 ▲5八金右 ▽7三桂 ▲6六歩 ▽8二玉 ▲8八玉 ▽7二金 ▲7八金 ▽4四銀 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v桂v銀 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ 歩 銀 ・ ・ 歩|七 | ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=32 ▽4四銀(33) まで ▲4七銀と一手早く右翼に手を入れれば、▽2四歩 ▲同歩 ▽同銀には ▲3六歩として前述の受けが利く事になります このように相手の動きに合わせて手を進めて行くのが この戦型に限らず 駒組みで作戦負けしないコツです しかし「図4」までとなって見ると 先手には有効な手が見当たらず 後手には▽5五銀から▽6五歩とする手や このまま動かず千日手を狙う手さえも、後手番としては考えられ 先手に思わしくない局面です 「図1」から角交換は得策では無いようです 以上73〜76章に渡り、ゴキゲン中飛車基本形に対する先手の序盤の手を 考えられるだけ全て見て頂きました 次章からは、これらの手からの攻防を いくつか御紹介して行く事にします |
ゴキゲン中飛車は現在プロ間で盛んに指されており、次々に新手や新型が 生まれていて、今日の結論が明日ひっくり返るなどと言う事が実際に 起こっています 本章からその中で代表的な例を御紹介いたしますが そう言う訳でこれらもほんの一例と思ってください それでは、まず先手が急戦策に出た場合からです 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽5四歩 ▲2五歩 ▽5二飛 ▲4八銀 ▽5五歩 ▲5八金右 ▽3三角 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=14 ▽7二玉(62) まで 74章で解説した通りゴキゲン中飛車基本形に▲4八銀 ▽5五歩の形で ▲2四歩と飛先交換に出るのは拙いので、▲5八金右と中央を固めます 後手も▽3三角と上がり 以下お互いに玉を移動して「図1」となります 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八銀 ▽4二銀 ▲3六歩 ▽5三銀 ▲3七銀 ▽5四銀 ▲4六銀 ▽6五銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=22 ▽6五銀(54) まで ”位を取ったら位の確保”と言う事で▽4二銀から銀を繰り出して行きます 対して▲6八銀と中央を補強して▲3六歩から先手が銀を4六に出たのは 急戦の意思表示です 「図2」から「図3」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5六歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲5六歩 ▽同 飛 「図3」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・ ・v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v桂v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・v銀 ・ ・ 銀 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・v飛 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 銀 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=30 ▽同 飛(52) まで 「図2」の▽6五銀は先手の急戦策に対する有力手です ▲3五歩から速攻に 出ますが▽5六歩から捌きに出て、以下「図3」となり▽5五角や▽3六飛 また▽7六飛など手に困らず後手優勢の局面です ▲3五歩で▲4五銀でも ▽5六歩と捌いて同様に後手が優勢となります 「図2」から「図4」までの手順 ▲7七銀 ▽8二玉 ▲6六歩 ▽5四銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5一角 ▲2四歩 ▽3二飛 ▲3四歩 ▽2四歩 ▲同 銀 ▽3四飛 ▲2三銀成 ▽3九飛成 「図4」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v角v金 ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ 全v歩|三 | ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・v龍 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=38 ▽3九飛成(34) まで ▽6五銀には銀を追ってから攻めに出るのが安全と言えますが、対して ▽5一角▽3二飛と軽く迎撃するのが振り飛車の常套手段で好手順です 以下「図4」まで、やはり後手優勢の局面となります ゴキゲン中飛車に限らず、振り飛車は捌ける時は大きく捌き 相手の攻めが 重くて押さえ込まれそうな時は、この例のように軽く攻めをいなして 捌いて行くのが指しこなすコツです |
本章では先手が持久戦に持ち込む例を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金v銀v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=14 ▽7二玉(62) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲4六歩 ▽4二銀 ▲4七銀 ▽5三銀 ▲7七角 ▽5四銀 ▲6六歩 ▽4四歩 ▲6七金 ▽8二玉 ▲8八玉 ▽7二銀 ▲9八香 ▽4二飛 ▲4八飛 ▽5二金左 ▲9九玉 ▽6四歩 ▲8八銀 ▽6三金 ▲7九金 ▽7四歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩 ・v金 ・ ・v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 金 歩 銀 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=36 ▽7四歩(73) まで ▲4六歩 ▲4七銀と中央の守備を固めてから▲9八香 ▲9九玉と潜ります 今までも何度か紹介しましたが、この居飛車穴熊が対振り飛車の最強手段と 言える物で有るのは確かです しかしこのゴキゲン中飛車には疑問なのです ▽5四銀の形は好形で▽4二飛から▽5二金 ▽6三金と駒組みの整備をして 「図2」となった局面では後手の作戦勝ちです ここでは先手に有効な手が 無くなっており、既に動きにくくなっています 「図1」から「図3」までの手順 ▲6六歩 ▽4二銀 ▲6七金 ▽5三銀 ▲7七角 ▽8二玉 ▲8八玉 ▽7四歩 ▲7八銀 ▽9二香 ▲4六歩 ▽9一玉 ▲3六歩 ▽8二銀 ▲4七銀 ▽5四銀 ▲1六歩 ▽7一金 ▲3七桂 ▽4四歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v玉v桂v金 ・ ・v金 ・v桂v香|一 |v香v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩 ・v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v銀v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 角 金 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 銀 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=34 ▽4四歩(43) まで ▲4八銀のまま▲6六歩から居飛車穴熊に素早く囲いに行く手も有りますが 5三に銀を置いてから▽7四歩とされると、先手の狙いは実現出来ません ▲7八銀の所で▲9八香とすると▽6四銀 ▲9九玉 ▽7二飛で角頭が 受からず困る事になるのです「図4」 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩 ・v歩 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩v銀 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 金 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 ▽7二飛(52) まで 左美濃に変更を余儀無くされた先手の駒組みを見て、逆に後手だけ穴熊に入り 「図3」まで、やはり後手の作戦勝ちとなります このようにゴキゲン中飛車は振り飛車にとって最大の難敵である居飛車穴熊に しにくいと言う特徴が有り 先手側の手段を限定させる事が出来るのです |
77、78章では先手が7手目▲4八銀とした場合の変化を御紹介しました 本章では7手目▲7八金とした場合の攻防となります 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽5四歩 ▲2五歩 ▽5二飛 ▲7八金 ▽6二玉 ▲4八銀 ▽7二玉 ▲6九玉 ▽5五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽3二金 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v飛 ・v金v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 玉 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=16 ▽3二金(41) まで ▲7八金に▽5五歩としても▲2四歩は成立するので▽6二玉とします この手に▲2四歩と行くのが危険なのは75章で解説した通りです ▽7二玉と玉を移動してから▽5五歩とします この瞬間に▲2四歩と 飛車先を交換に来ますが、ここで▽5六歩は当然有効では無いので 普通に▽3二金と守ります 「図1」から「図2」までの手順 ▲2八飛 ▽5六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲6六歩 ▽2七歩 ▲同 飛 ▽2六歩 ▲2八飛 ▽6六飛 ▲同 角 ▽同 角 ▲7七桂 ▽2七角 ▲5九金 ▽4四角 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v角v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・|六 | 歩 歩 桂 ・ ・ 歩 歩v角 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 ・ 銀 玉 金 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩三 手数=32 ▽4四角(66) まで 「図1」では▲2八飛と引くのが自然に見えますが 穏やかに▽2三歩とは 打ってくれず ▽5六歩と突かれ▲同歩 ▽同飛に局面を納めようと▲6六歩 としても▽2七歩から飛車を押え、以下「図2」まで後手優勢となります 次に▽5四角成が鉄壁となりますし 後手陣に飛車を打ち込む隙も有りません 2八に引いた飛車が、かえって攻撃目標になってしまったのです 「図1」から「図3」までの手順 ▲6八銀 ▽3五歩 ▲2八飛 ▽2三歩 ▲6六歩 ▽5四飛 ▲4六歩 ▽2四飛 ▲2五歩 ▽3四飛 ▲4七銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 銀 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲4七銀(48) まで ▲6八銀と中央を固めて前述の筋を消してから▲2八飛と引きます これには▽3五歩から飛車を5四、2四、3四と捌く手が有力です 先手の▲7八金は、横から攻められる事が多い振り飛車戦では良い形とは 言えない為、玉が8八に入るような囲いが出来る前に捌いてしまうと 言う策が考えられるからです 手順中▽2四飛に▲同飛と飛車交換をするのが拙いのは言うまでも無く 飛車先を切った歩を、▲2五歩と打たせる事が出来ます ここで玉の囲いについて解説しておきます 今までいろいろな戦型を見て 頂きましたが 居飛車は角の頭に敵の飛車先の歩が伸びてくるので ▲7八金として守る手が良い形となりますが 振り飛車の場合は7八に 玉を持って行くのが駒組みの手順としては安全となるのです そう言う意味で7手目に▲7八金とする手は ゴキゲン中飛車の序盤での 角交換からの速攻を押える事は出来ますが 飛車交換などの大捌きには より以上に弱いと言えるのです 「図3」からは変化は多岐に渡りますが 5筋を押えているので 石田流や、ひねり飛車と比べて見ても後手側の手段が多く 逆に先手側は 動きを制限されて、この形は先手の方が気を使う事になると言えるでしょう |
本章では先手がゴキゲン中飛車を採用した例を見て頂きます 先手と後手で同じ戦法でも大きく変わってくるのは、どんな戦法でも 有る事なのですが このゴキゲン中飛車は特に先手番で指した場合に事情が 激的に変わるのです 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲1六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽8五歩 ▲5八飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ 角 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=7 ▲5八飛(28) まで ▲1六歩は▽8四歩を待ってから▲5六歩と突く為の手待ちです この手ですぐに▲5六歩ですと角交換して▽5七角と打たれる手が有り この時に8四の地点が塞がっていないので角成りが防げないのです 「図1」から「図2」までの手順 ▽5二金右 ▲5五歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲5四歩 ▽同 歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲7七角 ▽8九飛成 ▲2二角成 ▽5五桂 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ 馬 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香v龍 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=20 ▽5五桂打 まで ▽5二金右と上がり▲5五歩に▽8六歩と言う、最も激しい変化に突入します これは74章「図3」までの手順を先後逆にした物で▲1六歩と端歩が 突いて有る所が違うだけです 「図2」の▽5五桂打が、この局面での有力手でゴキゲン側にとって 警戒すべき手となります 迂闊に応じるといっぺんに負けになるからです 「図2」から「図3」までの手順 ▲5六銀 ▽7七角 ▲4八玉 ▽4七桂成 ▲同 銀 ▽2二角成 「図3」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・ ・v馬 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 玉 ・ ・ ・|八 | 香v龍 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩 手数=26 ▽2二角成(77) まで ▲5六銀と打つのは”桂先の銀、定跡なり”と言われ、桂に対する最強の受けと されていて、事実4七と6七両方を同時に受け▲5五銀と取る事も出来るので 部分的には好手なのですが この局面では▽7七角と打たれて拙い事になります この王手に、どう応じても桂を捨てて 以下2二の馬を取られてしまうのです ▲4八玉と逃げる所で▲6八銀としても▽6七桂不成(王手)で結果は同じ事に なると言う訳です 「図2」から「図4」までの手順 ▲4八玉 ▽9九龍 ▲2一馬 ▽6七桂成 ▲5四飛 ▽5三香 「図4」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金 ・ 馬v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v香v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ ・v圭 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 |v龍 ・ 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 歩二 手数=26 ▽5三香打 まで ここでは▲4八玉と逃げる手が最善です 以下は絶対手順では無く一例ですが 手順中の▲2一馬は、後手番での手順では▽8九馬と言う事になりますが 実は後手番でのこの手は、思わしく無いと言う事になっています では先手番では違うのかと言う事ですが、この局面では全く違ってくるのです それは何故なのか 次章でその訳を解説します |
それでは先手ゴキゲン中飛車の優秀性を見て頂く事にしましょう 「図1」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金 ・ 馬v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v香v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ ・v圭 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 |v龍 ・ 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 歩二 手数=26 ▽5三香打 まで 「図1」は前章「図4」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3四飛 ▽5七角 ▲3八玉 ▽7九角成 ▲同 金 ▽同 龍 「図2」 後手の持駒:金 銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金 ・ 馬v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v香v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ ・v圭 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・|八 | ・ ・v龍 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 桂 歩三 手数=32 ▽同 龍(99) まで 「図1」では飛車取りになっているので、左右どちらかに逃げる手が一番に 考えられる所ですが、▽5七角と打たれて 以下「図2」となっては後手玉は 広く5三の香も攻防に良く利いていて、先手の指し難い形勢と言えます もし「図2」で▽5二金右では無く▽6二銀となっていれば先手が指しやすい 局面となります 右側が壁になり後手玉が狭いので事情が違ってくるのです 「図1」から「図3」までの手順 ▲同飛成 ▽同 金 ▲6五桂 ▽5七角 ▲3八玉 ▽7九角成 ▲5三桂成 ▽6九馬 ▲4三馬 ▽4七馬 ▲2八玉 「図3」 後手の持駒:飛 金 銀 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金 ・ ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 圭 馬 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ ・v圭 ・v馬 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・|八 |v龍 ・ ・ ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 香 歩三 手数=37 ▲2八玉(38) まで ”終盤は駒得より速度”と言う格言が有り、終盤では相手玉を如何に早く 寄せるかと言う事が最優先となるのです 飛車を切り▲6五桂と迫ります 対して後手も、金を逃げず▽5七角から▽7九角成と互いに我が道を行く 一手違いの寄せ合いを目指します この▽7九角成に▲同金は▽同龍で 後手の攻めが早くなるので、かまわず▲5三桂成 ▽6九馬 ▲4三馬と 激しい手順で迫り、以下▽4七馬に▲2八玉とした「図3」では先手の勝ちと なっています ▽4七馬に▲同玉は▽4九龍で詰まされます 実はこの「図3」で、もし▲1六歩が突いていないと▽3八金打から 先手玉は即詰みで後手の勝ちになるのです つまり74章「図3」から 同じ進行となった時は▽7二金打から詰んでしまい逆の結果になるのです 詰み手順は実戦詰め将棋として考えて見て下さい「図4」 「図4」 後手の持駒:金 銀 香 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・ ・ 龍|一 | ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩 馬 ・ 圭 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・v馬v圭 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 金 銀 歩四 手数=36 ▽8二玉(72) まで 序盤で突いた▲1六歩は、単に後手の▽8四歩を待つだけの手では無く 終盤で勝敗を左右するほどの物だったのです この▲1六歩が入っていると この変化だけでは無く 他の手順でも後手番のゴキゲン中飛車には通用した 手が利かなくなってしまう事が多く、より強力な戦法となるのです |
本章では先手が別の手順でゴキゲン中飛車を目指す方法と居飛車側の 有力手段を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽3四歩 ▲5五歩 ▽6二銀 ▲5八飛 ▽8五歩 ▲7七角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=9 ▲7七角(88) まで 58、59章と67〜69章で御紹介した先手番限定の攻勢振り飛車の手順で ▲5六歩に後手が▽3四歩と角道を開けた場合、中央位取り型の中飛車に する事が出来るのは少し解説しましたが この戦型そのものは昔から有り その頃は、もちろんゴキゲン中飛車とは呼びませんでした 現在の流行によって中央位取りの理想形にしやすい、この手順も見直され ゴキゲン中飛車の一戦型として指されるようになったのです この他にも一手目に▲5八飛(▽5二飛)と振る手も先手後手共に有ります ゴキゲン中飛車が流行してからプロ間でも一手目に飛車を振るなどの手段が とられるようになりました これが8章の最後で少しだけ触れた事情なのです 「図2」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽3四歩 ▲5五歩 ▽6二銀 ▲5八飛 ▽4二玉 ▲4八玉 ▽3二玉 ▲3八玉 ▽4二銀 ▲7七角 ▽6四歩 ▲2八玉 ▽6三銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 玉 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=16 ▽6三銀(62) まで 「図2」までは谷川浩司王位・棋王対羽生善治王座の第45期王位戦第2局の 進行手順です 先手の谷川浩司王位・棋王が「図1」と同じ手順で ゴキゲン中飛車中央位取り型を採用しました 対して後手の羽生善治王座が飛車先を8四で止め、▽6三銀と右銀を繰り出し 「図2」となります 「図2」から「図3」までの手順 ▲6八銀 ▽5二金右 ▲3八銀 ▽3三銀 ▲5七銀 ▽7四銀 ▲5六銀 ▽8五銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v銀 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽8五銀(74) まで 「図3」の▽8五銀は森下卓九段創案の対ゴキゲン中飛車作戦で 現在有力な対策の一つとなっています 手順中▽3三銀は▽4四銀から先手の5五の歩を取りに行く手を見せて ▲5六銀を強要する意味と、更に▽7四銀から▽8五銀と角頭を狙った時に ▲4五銀から▲5四歩と77章で解説した大捌きを封じる一石二鳥の好手です この辺りは流石に一手一手が緻密に計算され尽くされていてトッププロの 凄さを窺い知れる所です この対局はここから激しい攻防が続きますが、後手の羽生善治王座が勝利を 収めています この対策は後手番のゴキゲン中飛車でも▽5五歩と中央の 位を取る形には応用が利く物で、居飛車側の有力策としてこれからも プロ間で指される事と思います 現在の最新型を御紹介した所で、ゴキゲン中飛車編の締めと致します 77章冒頭で述べたように、横歩取り▽8五飛と並んでタイトル戦で指される 流行戦法の一つで、これからも刻一刻と変わって行く事が考えられますので 73章から御紹介した内容も、この戦型の現時点での状況と言う事になります |
今までこの【戦法図鑑】でも、いろいろな振り飛車戦法を御紹介しましたが その威力の強大さに 相手に飛車を振られたらどうしようと思っている方も 居るのではないかと思います そこで先手番に限っては振り飛車を完全に 封じる手段が有るので御紹介する事に致します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲4五角 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=5 ▲4五角打 まで その秘策が56章でも登場した”筋違い角戦法”です ただ角を交換しただけでは振り飛車を封じる事が出来ないのは今まで解説 して来た通りです しかしこの▲4五角と打った手に▽6二銀や▽5二金と 言った受け方をすれば飛車を左翼に持って行く事が出来なくなる訳です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6二飛 ▲3四角 ▽4二飛 ▲5六角 ▽7二銀 ▲8八銀 ▽6二玉 ▲7七銀 ▽5二金左 ▲8八飛 ▽7一玉 ▲8六歩 ▽8二玉 ▲8五歩 ▽5四歩 ▲6六銀 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・v銀 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 銀 角 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=21 ▲6六銀(77) まで 「図1」となっても尚且つ飛車を振る手は無いか、と言う事になりますが ▽6二飛から▽4二飛と、手損など関係無く飛車で角成りを防ぎ強引に振る と言う手が唯一残された手段です これには▲5六角と引いて、以下 こちらも飛車を8筋に振り、後手の美濃囲いの玉頭に狙いをつけます 「図2」から「図3」までの手順 ▽4四歩 ▲7七桂 ▽4五歩 ▲7五銀 ▽5五歩 ▲6五角 ▽4三金 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v金 ・v歩v歩|三 | ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 角v歩v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=31 ▲同 銀(75) まで 5六の角に睨まれているので後手は動きが取りにくくなっています ▽5五歩と角を追おうとしますが、「図3」まで銀を繰り出して後手の玉頭に 攻め駒をを集中させ必勝の体勢となりました この無理矢理に飛車を振る、「図1」から▽6二飛とする手段はプロの対局で 実際に指された物ですが 流石に無理筋となるようです 一種特殊な戦法で、使う側もいろいろと後の工夫が必要にはなりますが 振り飛車しか指さない相手には これを封じる最有力な戦法と言えるでしょう 次章では後手側が普通に受けた場合の、筋違い角の進行例を御紹介します |
前章で先手の筋違い角に対して後手側が振り飛車にするのは無理と言う事が 分かりましたが 本章では通常の進行例をいくつか御紹介します 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=5 ▲4五角打 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、筋違い角の基本図です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5二金右 ▲3四角 ▽8四歩 ▲8八銀 ▽8五歩 ▲7七銀 ▽3二金 ▲8八飛 ▽3三銀 ▲5六角 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽5五歩 ▲4七角 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 角 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=19 ▲4七角(56) まで 筋違い角に対しての後手側は、居飛車で対抗するのが普通の形となります 早い時期に飛車先を突いて来た場合は「図2」までの向かい飛車が有効な 手段となりますが、ここからは56章で解説した進行と同じような狙いで 指し進める事になりますので、そちらを御覧下さい 「図1」から「図3」までの手順 ▽5二金右 ▲3四角 ▽5四歩 ▲8八銀 ▽5五歩 ▲7七銀 ▽3二金 ▲6六歩 ▽3三銀 ▲7八角 ▽6二銀 ▲6八飛 ▽5三銀 ▲4八玉 ▽5四銀 ▲3八玉 ▽4四歩 ▲2八玉 ▽4五歩 ▲3八銀 ▽6四歩 ▲5八金左 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩v歩v歩 ・ ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 角 飛 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=27 ▲5八金(69) まで 筋違い角に居飛車での対抗策としては、飛車先を突くのを保留して中央に手を 掛ける方が最善です ▽5二金右から▽5五歩として先手の角をどちらに 引くか早めに決めさせ作戦を制限します これに対して先手も飛車先を 突いて▲3八銀から銀を繰り出し棒銀にする手も有りますが 角を手放して いるので狙いが単調になる為、現在は疑問と言われています この形では「図3」までのように筋違い角側が四間飛車にする作戦が有力です ここまでは進行例の一つで、先手の玉の囲い方も▲3八金から▲4八銀と 金美濃にする手なども、後手の中央位取りには美濃囲いより有効な場合が有り この辺りは指し方がいろいろ有りそうな所です 後手も3筋の歩が無いので 玉形の整備が難しいと言えます 「図1」から「図4」までの手順 ▽6五角 ▲5八金右 ▽5二金右 ▲3四角 ▽7六角 ▲8八銀 ▽3二金 ▲6六歩 ▽3三銀 ▲7八角 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・v角 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 銀 角 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=15 ▲7八角(34) まで 後手の対策として、先手と同じく▽6五角と筋違い角に打つ手も有ります これには互いに角を成り込むなどの激しい変化も有り「図4」までは穏やかな 例ですが いずれにしても全くの手将棋となるでしょう |
下記の部分が、どうしても理解できずに質問します。 > ゴキゲン中飛車の基本図「図1」までの先手の5手目▲2五歩では▲5六歩と > 突けば一応5筋の位を取られませんが 角道を開けたままの力戦型中飛車に > 対して、序盤で▲5六歩と突くと 中飛車側にいろいろと手段を与える事は > 67〜72章で解説しました そう言う事も有り、今は後手の5筋位取りは > 甘受する「図1」以降の手順で、先手も進める事が多くなっています 67〜69章は、先手中飛車であるため、それを受ける後手の角道が開いていないのに対し、 74章の(ゴキゲン)中飛車(を準備している)方は後手であり、受ける先手の角道が開いているため、 67〜69章のように、△5五歩とすると、同歩とされて失敗しています。 また、ソフトでは、△8四歩が示されましたが、それでは、先後同型で面白くありません。 そこで、角交換からの角打ちを試みましたが、先手が正確に受け、特に11手目で7五角成とするのが絶妙で、こうなると、後手が指しづらくなってしまいます。 1 7六歩(77) 2 3四歩(33) 3 2六歩(27) 4 5四歩(53) 5 5六歩(57) 6 8八角成(22) 7 同 銀(79) 8 5七角打 9 5三角打 10 2四角成(57) 11 7五角成(53) 12 3三馬(24) 13 7七銀(88) 6手目以降の、後手の美味い指し方はありますか? 宜しくおねがい致します。 |
千鳥銀です この【戦法図鑑】は気に入った戦法を見つけて貰う為のサイトです。 中飛車が気に入ったなら、それを研究されると良いと思います。 その為の紹介で有り主に初、中級者を対象とした戦法紹介です。 従って内容としては、さわりだけで有段者が疑問を質問する様な内容は 書いていません。しかし折角ご質問頂いたので、お答えすれば 私が16手目を指すとすれば、取り敢えず▽5二飛と指します。 力戦でどう指すのが最善か分からない将棋なので形を決めて構築を急ぎます。 |
このホームページの主旨を理解しました。 > 私が16手目を指すとすれば、取り敢えず▽5二飛と指します。 この点は、6手目ではなく、16手目(??)なのでしょうか? |
6手目でしたか、完全に見間違えです。この指し方は今はあまり見られませんが、 研究すれば面白い手が見つかるかも知れませんよ。力戦に持ち込んで見るのも 相手は不慣れですから、研究している方に分が有りますよ。 |
阪田龍・鬼殺し・4手目3三角の向飛車で質問です。 何故3三角から、相手方からの角交換を待つのですか?? 3三角ではなく、8八角成・同銀だと後手側が不都合なのでしょうか?? せっかちなんで、交換してくるのを待ってられません(^^; |
一言で言うと「少しでも得をしたいから」です。 それは将棋の場合「少しでも損をしない」と同じ意味ですが。 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし ここは先手番なので▲3三角成り△同桂と進むと 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 ここで先手番。 ところが後手から角交換して桂を跳ねると 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀 ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 ここで同じく先手番だけど銀を上がった一手を 先手が「得した」と考えるからです。 いちばんシンプルな形で言うと 初手から▲7六歩△3四歩▲2二角成り△同銀▲8八銀 とすると、まったく同じ形なのに次は後手が指す番。 つまり先手と後手が逆になってしまうのです。 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 ところが最近はわざと一手損して角交換する指し方もあります。 一手の損が単純に損ではないんじゃないか、という考え方で 将棋は奥が深いですね。 |
ごめんなさい、3枚目の図面、間違えてました。 後手から角交換する前に先手が一手指せるので 都合「2手得」になります。 |
鬼殺しは、もともと『可章馬戦法』と言われていたようです。 この『可章馬』というのは何でしょうか?? |
> 鬼殺しは、もともと『可章馬戦法』と言われていたようです。 > この『可章馬』というのは何でしょうか?? 私も知らなかったです。 検索してみたけど、わからなかった。 金田一先生に聞いてみたいですね。 |
15. 四間飛車戦法 戦闘編[2] 「図3」 37手 先手 how about▲7七歩打 ――》▲6六銀?? |
例えば1図で▽7二飛が▽7三飛だと、 先手の▲6一銀が割り打ちにならず、 飛車が逃げる展開にならないですよね。 その場合この攻めは成立しないんですか? > それでは駒組み編の「図2」から先手が一気に後手の固い矢倉囲いを > 木っ端微塵に粉砕する所を見て頂きましょう > > 「図1」 > 後手の持駒:歩 > 9 8 7 6 5 4 3 2 1 > +---------------------------+ > |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 > | ・ ・v飛 ・ ・v角v金v玉 ・|二 > | ・ ・ ・v銀 ・v金v銀v歩 ・|三 > |v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 > | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 > | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 銀 角 歩|六 > | ・ 歩 銀 金 ・ ・ 桂 歩 ・|七 > | ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 > | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 > +---------------------------+ > 先手の持駒:歩 > 手数=52 ▽7二飛(75) まで > > 「図1」は駒組み編の「図2」と同一局面です ここまでの手順は前章の > 駒組み編を見てください この先手側の攻撃陣は"矢倉崩し”と呼ばれる > 矢倉に対する理想的な攻撃形の一つです そして陣形全体も9章の > 駒組み3大原則を全てクリアしている事を確認してください > > 「図1」から「図2」までの手順 > > ▲4五歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五銀 ▽同 銀 > ▲4四歩 ▽5三金 ▲4五桂 ▽5二金 ▲6一銀 ▽8二飛 > ▲5二銀成 ▽同 銀 ▲4三歩成 ▽同 金 ▲5三桂成 > > 「図2」 > 後手の持駒:銀二 歩四 > 9 8 7 6 5 4 3 2 1 > +---------------------------+ > |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 > | ・v飛 ・ ・v銀v角 ・v玉 ・|二 > | ・ ・ ・ ・ 圭v金 ・v歩 ・|三 > |v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四 > | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 > | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 角 歩|六 > | ・ 歩 銀 金 ・ ・ ・ 歩 ・|七 > | ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 > | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 > +---------------------------+ > 先手の持駒:金 > 手数=69 ▲5三桂成(45) まで > > 「図2」までとなって先手の必勝となります ここまでの手順で重要な > ポイントとして▲4五歩 ▽同歩と取った時に▲4四歩と打つ手筋です > この手で単に▲同銀と取ると▽4四歩と受けられ以下▲同銀 ▽同銀 > ▲同角 ▽同金 ▲同飛と攻めても▽4三銀と受けられ思ったより > うまく行かないと言う事です 失敗例として「図3」に示しておきます > > 「図3」 > 後手の持駒:角 歩 > 9 8 7 6 5 4 3 2 1 > +---------------------------+ > |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 > | ・ ・v飛 ・ ・v角v金v玉 ・|二 > | ・ ・ ・v銀 ・v銀 ・v歩 ・|三 > |v歩v歩 ・v歩v歩 飛v歩 ・v歩|四 > | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 > | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六 > | ・ 歩 銀 金 ・ ・ 桂 歩 ・|七 > | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 > | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 > +---------------------------+ > 先手の持駒:金 銀 歩三 > 手数=62 ▽4三銀打 まで > > 後手に▽4四歩と受けられないように▲4五銀 ▽同銀に再度▲4四歩 > ▽5三金とさせてから▲4五桂と金取りで銀を取って行きます > 以下「図2」となった局面では後手陣は収拾がつきません > > なお途中▲6一銀と飛銀両取りに打った形を"割り打ちの銀”と呼びます > 「図2」までの手順も変化は有りますが ▲4五歩の後どう指しても > 先手の勝ちに変わり有りません それだけ「図1」の先手陣は理想形 > と言える最高の布陣なのです |
引き続きこちらも、お答えします。 この先手の攻め形は理想形で、既に戦わずして勝負はついている状態ですので 攻めが成立しないと言う事は有りません、 もちろん、相手の形によって攻め筋は変わって来ますので、この攻め方を 丸暗記では拙いですね。 飛車が7三の場合ですが、その場合は先手が▲4五歩と突っかけた時に後手は ▽同歩と取る事が出来ません(▲6ニ角成が有ります)ので、更に不利となります。 この矢倉崩しの布陣は、これに匹敵するかそれ以上の見返り無しで許してしまうと それだけで敗勢と言っても良いほどの攻めの理想形なのです。 以上2件について、簡単で申し訳無いですが、お答えとさせて頂きます。 【戦法図鑑】は当然まだ完結では無いので、時間が取れ次第再開したいと思います。 これからも宜しくどうぞ。 駒が動かせるjava版も有るので、宜しければご覧下さい。 http://www.shogi-chess.net/senpouzukan/index.htm |
千鳥銀さん、お忙しいところつたない質問に、 お時間を取らせてしましい、申し訳ありませんでした。 ▽7二飛は、この筋の角成りを防ぐ意味で、 必然手なのですね。このくらい直ぐ分からないと いけませんね。ありがとうございました。 > 引き続きこちらも、お答えします。 > > この先手の攻め形は理想形で、既に戦わずして勝負はついている状態ですので > 攻めが成立しないと言う事は有りません、 > もちろん、相手の形によって攻め筋は変わって来ますので、この攻め方を > 丸暗記では拙いですね。 > > 飛車が7三の場合ですが、その場合は先手が▲4五歩と突っかけた時に後手は > ▽同歩と取る事が出来ません(▲6ニ角成が有ります)ので、更に不利となります。 > > この矢倉崩しの布陣は、これに匹敵するかそれ以上の見返り無しで許してしまうと > それだけで敗勢と言っても良いほどの攻めの理想形なのです。 > > 以上2件について、簡単で申し訳無いですが、お答えとさせて頂きます。 > 【戦法図鑑】は当然まだ完結では無いので、時間が取れ次第再開したいと思います。 > これからも宜しくどうぞ。 > > 駒が動かせるjava版も有るので、宜しければご覧下さい。 > http://www.shogi-chess.net/senpouzukan/index.htm |
本章から、”【戦法図鑑】セカンドステップ”に入ります したがって 本章以降の内容は前章までを、ある程度理解して頂けている事を前提に 進めて行く事になるので、内容的に難しい部分も多くなる事を御了承下さい とは言っても前章までの内容の延長線である事には違いないですので 出来る限り難解な部分も分かり易くして行くつもりです 3章で序盤の形3として御紹介した、角換りについて解説して行きたいと 思いますが その3章の最後で述べたように戦型としては高度で難解な 物となるので ここまで御紹介をしませんでした 角換りは時代と共に、その序盤から大きな移り変わりを見せて来ました 順番にその手順の違いを見て行く事にしましょう 「図1」までの手順 (角換りパターン1) ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7八金 ▽3三銀 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=14 ▽3三銀(22) まで 「図1」まで先後同型になりましたが ここまでの手順は別のルートが 有るにしても この形が最も昔から有る角換りの基本図です ▲7七角に対して▽3四歩と角道を開ける手で、別の手ですと先手にだけ 飛車先を切られてしまうので 以下角交換に進む事になる訳です ▲7八金で▲2四歩と突くと▽同歩 ▲同飛に▽3五角が有るのは 今まで別の機会でも解説した通りです 「図2」までの手順(角換りパターン2) ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽4二銀 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=12 ▽4二銀(31) まで 「図2」は角換りが暫く指されなくなってから 再び復活するきっかけを 作る事になった新工夫です しかしただ先手の飛車先が一つで止まっている と言うだけなのですが これがそれまでの定跡を覆す事になるのです 「図2」の▽4二銀は先手が飛車先を伸ばしていないので、通常の▽2二銀に 比べると得な形です 「図3」までの手順(角換りパターン3) ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7七銀 ▽3二金 ▲7八金 ▽3三銀 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=12 ▽3三銀(22) まで そして最後が本当にごく最近指され始めた新手順で 後手が早目に角道を開け なんと先手が▲7七角と上がっていない状態で角交換してしまうと言う物です これですと後手の方が一手損する事になり 先手から比べると都合2手も 手が遅れる事になるのです しかし「図1」と比べて後手の飛車先の歩が一つ伸びていない この事が後に 重大な違いを生む事になるのです この形には2手目▽3四歩で横歩取り模様から変化する場合も有ります この角換りの序盤の変遷は その主となる”角換り腰掛け銀戦法”の変化に その要因が有るのですが 次章から上記の3パターンを元に順番に解説を して行こうと思います |
角換りの駒組みを進めて行くうえで重要な常識が一つ有ります それは俗に”角交換に5筋を突くな”と言われる物で 先手なら▲5六歩 後手の場合は▽5四歩と突いてはいけないと言う事なのです しかしこれが常識になるには 先人達の長い闘いの歴史が有ったのです 「図1」までの手順 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽6二銀 ▲4八銀 ▽3四歩 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩 ▽8二飛 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲5八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽5三銀 ▲4七銀 ▽5五歩 ▲3六歩 ▽5四銀 ▲6八銀 ▽4二銀 ▲3七桂 ▽5二金 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v銀v金v角 ・|二 | ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 飛 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ 角 金 銀 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=38 ▽5二金(61) まで 「図1」までの手順を見て これは角換りじゃ無くて相掛りでは無いのか そう思われた方が多いと思います そうなのです、角交換での常識は元々 この”相掛り新旧対抗型”から端を発しているのです 5筋を突いている後手側が旧型、4筋を突いている先手が新型です 木村義雄実力制初代名人など戦前戦後の名棋士達によって指されていた物で 当時は”相掛りに有らざれば将棋に有らず”と言われ、振り飛車などは 消極的で良い戦法では無いと思われていた時代でした その頃の居飛車の駒組みには序盤は奇数の歩を突けと言う事と、5五の位置 つまり盤の中央は天王山と言う常識が有ったのです それ自体は現代でも当てはまる部分が有ります たとえば奇数の歩を突く と言うのは角と銀の動きを楽にするのが目的ですし 5五の位を取るのは ゴキゲン中飛車等で有力な作戦なのは解説した通りです 「図2」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7八金 ▽3三銀 ▲3八銀 ▽6二銀 ▲4六歩 ▽5四歩 ▲4七銀 ▽5三銀 ▲3六歩 ▽5五歩 ▲5八金 ▽5二金 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲6八玉 ▽4一玉 ▲3七桂 ▽4四歩 ▲6六歩 ▽5四銀 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v歩 ・ ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 玉 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=34 ▽5四銀(53) まで 「図2」は(角換りパターン1)の手順から上記「図1」の新旧対抗型と 同じく先手が4筋を、後手が5筋を突いて 以下▽5五歩と、天王山である 中央の位を後手が取った局面です 「図2」から「図3」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲7一角 ▽8四飛 ▲3五角成 「図3」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v歩 ・ ・v銀v歩 ・|三 |v歩v飛 ・ ・v銀 ・ ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・v歩v歩 馬 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 玉 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=41 ▲3五角成(71) まで 「図3」までは典型的な例ですが 5筋の歩が突かれていると角を打ち込む 隙が出来易いのです 新旧対抗型の相掛り戦でも研究が進むにつれ段々に 旧型の5筋を突く形が不利である事が判明していき 角交換の可能性が有る 戦型では5筋の歩を突かない方が良いと言う結論になったのです |
角換りの将棋には主として3つの戦法が有ります 「図1」(角換りパターン1)までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7八金 ▽3三銀 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=14 ▽3三銀(22) まで 「図1」は(角換りパターン1)の局面です パターンによって手順も 変わってくるので ここまでの手順も再掲しました 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲3六歩 ▽7四歩 ▲3七銀 ▽7三銀 ▲4六銀 ▽6四銀 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽1四歩 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v銀 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=26 ▽1四歩(13) まで ▲3六歩と突き3七から4六に銀を繰り出して行く手法を”早繰り銀”と呼び ここから▲3五歩と突き、▽同歩なら▲同銀で 次に▲2四歩で飛車先と銀の 交換を狙うと言う 棒銀に類似した攻撃法をとる戦法です ただ「図1」の 先後共に早繰り銀にする戦型は 今はあまり指される事が有りません 「図1」までの手順中 先手の▲1六歩と後手の▽9四歩は絶対に必要な手で これを突いておかないと飛車先と銀を交換して2四(8六)に飛車が出た時に ▽1五角(▲9五角)と王手飛車取りをくいます 「図1」から「図3」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲2七銀 ▽7四歩 ▲2六銀 ▽7三銀 ▲1五銀 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 銀|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=21 ▲1五銀(26) まで 「図3」は先手が棒銀、これまで何度も登場した戦法です 後手が「図2」の 早繰り銀を目指す対抗型で ここから激戦が展開される定跡の一局面です この「図3」からは”角換り棒銀”の章で解説致します 「図1」から「図4」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽5二金 ▲3六歩 ▽7四歩 ▲6八玉 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽4二玉 ▲7九玉 ▽3一玉 ▲3七桂 ▽7三桂 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩v歩v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=36 ▽7三桂(81) まで 「図4」が角換りの中で、最も多く指されている腰掛け銀先後同形の局面です 以上が主として角換りで指される3戦法ですが これらは互いにジャンケンの グー チョキ パーの関係に有り、腰掛け銀には棒銀 棒銀には早繰り銀 早繰り銀には腰掛け銀と言う相関関係となります ただその形になれば それだけで有利と言う訳では無く、有力策になると言う事です |
前章の3戦法に入らない番外戦法を御紹介します 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=14 ▽3三銀(22) まで 「図1」は(角換りパターン1)の局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽5二金 ▲6八玉 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽7三桂 ▲5六銀 ▽8一飛 ▲3七桂 ▽6二玉 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 玉 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=34 ▽6二玉(51) まで 「図2」は先手の腰掛け銀に、後手が途中まで同様に腰掛け銀模様の手順から 右玉に変化した局面です 66章で御紹介した新風車とは形も違い、角換りの 場合はより守勢の戦型となり 後手番で千日手を狙うのが目的と言えます ただし先手の腰掛け銀に後手が有力策の棒銀に来た場合、その対抗策として 先手番でも採用される時が有ります 最後に83、84章で解説した筋違い角に、角換りの手順から入る形が 有るので御紹介しておきます 「図3までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲4五角 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 角 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=13 ▲4五角打 まで (角換りパターン1)に至る途中の12手目▽2二銀に▲4五角と打つのです 「図3」から「図4」までの手順 ▽5二金 ▲3四角 ▽3三銀 ▲5六角 ▽5四歩 ▲6六歩 ▽5五歩 ▲7八角 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽5三銀 ▲2七銀 ▽5四銀 ▲2六銀 ▽4四歩 ▲3五銀 ▽4三金右 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽2二歩 「図4」 後手の持駒:角 銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v歩 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v金 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ 飛 ・|四 | ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=36 ▽2二歩打 まで この形からの筋違い角は居飛車で指す策しか選択出来ず「図3」の▽2二歩と 低く受けられた局面では、次に後手には▽3五角など厳しい反撃が有り 先手が有利とは言えません 84章で棒銀策が思わしく無いと言うのは 「図3」の局面が原因でした あまりにも攻めが単調過ぎるのです そう言う理由で、角換りからの筋違い角は現在指されなくなっています |
まず角換り戦法の手始めとして棒銀戦法の解説から行って見たいと思います 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=14 ▽3三銀(22) まで 「図1」は(角換りパターン1)です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲2七銀 ▽6四歩 ▲2六銀 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽6三銀 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 香 ▲同 香 ▽1三歩 ▲1二歩 ▽2二銀 ▲1一歩成 ▽同 銀 ▲8四香 ▽同 飛 ▲6六角 「図2」 後手の持駒:角 銀 香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v銀|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v飛 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 香|五 | ・ ・ 歩 角 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲6六角打 まで 「図1」の(角換りパターン1)から「図2」までは途中変化は有りますが 角換り棒銀の最も基本となる定跡です ▽1四歩と突き先手の▲1五銀を 拒否した手に▲1六歩から端攻めに出るのは12章でも解説した棒銀の 常套手段で、その後の▲1二歩も広く応用の利く手筋です 以下▲6六角まで 先手が勝勢となります 棒銀に腰掛け銀模様の▽6三銀は得策では無いのです 「図1」から「図3」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲2七銀 ▽7四歩 ▲2六銀 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽7三銀 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 香 ▲同 香 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩v歩v銀v歩 ・|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 香|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 香 歩 手数=27 ▲同 香(19) まで 「図3」は先手の棒銀に、後手が▽7三銀と早繰り銀模様に来たのに対し 「図2」までと同様▲1五歩と端攻めに出て、以下銀香交換となった局面です ここから後手には▽1三歩と▽1六歩の2つの手段が有ります 「図3」から「図4」までの手順 ▽1三歩 ▲1二歩 ▽2二銀 ▲1一歩成 ▽同 銀 ▲8四香 ▽同 飛 ▲6六角 ▽2二銀 ▲8四角 ▽同 銀 ▲8二飛 ▽6二角 ▲8一飛成 ▽7二銀 ▲9一龍 ▽6四角 ▲8二香 ▽7三角上 「図4」 後手の持駒:香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | 龍 ・ ・v金v玉 ・ ・v桂 ・|一 | ・ 香v銀 ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v角v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v銀v歩v角 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 香|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 手数=46 ▽7三角(62) まで ▽1三歩に「図2」までと同じように▲1二歩から▲8四香と攻めますが 今度は後手陣に隙が無く「図4」では次に▽8二角で香を取って飛車を 殺す手と▽3七角成 ▲同桂 ▽同角成 ▲4八飛 ▽3六桂と攻め込む手の 両方の狙いが有り、後手が有利な局面です 7三の銀が8四に利いている為に ▽6三銀型に対する定跡手順は無理筋となるのです ▽1三歩には▲1九香と打ってから▲6八玉として端攻めの機会を窺うなどと 言った展開になるでしょうが、いずれにしても難解な将棋となります |
前章に引き続いて先手の棒銀に、後手が▽7三銀型で対抗する変化を 解説します 「図1」 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩v歩v銀v歩 ・|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 香|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 香 歩 手数=27 ▲同 香(19) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面、先手が棒銀からの端攻めで銀香交換に なった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽1六歩 ▲1八歩 ▽4四銀 ▲2四歩 ▽1九角 ▲2七飛 ▽2四歩 ▲同 飛 ▽2三銀 ▲2六飛 ▽3五銀 ▲5六飛 ▽2八角成 ▲5三飛成 ▽5二歩 ▲5六龍 ▽2九馬 ▲2七香 ▽6二玉 ▲6八玉 ▽2八馬 ▲2三香成 ▽同 金 ▲1二香成 ▽3三桂 「図2」 後手の持駒:桂 香 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・v玉v歩 ・ ・ ・ 杏|二 |v歩 ・v銀v歩 ・v歩v桂v金 ・|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 龍 ・ ・ ・v歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ ・v馬 歩|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩二 手数=52 ▽3三桂(21) まで 「図1」から後手側の、もう一つの手段がこの▽1六歩と垂らす手です こちらの方が実戦例としては遥かに多い変化となります この手は次に ▽1七歩成から▽1九角打の狙いなので▲1八歩と受ける一手となり 以下「図2」までは途中に変化は多数有りますが、互いに手順を尽くして 指し進めた一例です しかし形勢は不明で以下も難解な将棋となるでしょう 手順中▽2八角成で▽4二玉なら▲3九金 ▽2八歩 ▲4八玉で後手が 困る事になります「図3」 しかし後手の▽7三銀型は、更に別の手段も選択する事が出来るのです 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・v玉v金 ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩v歩 ・v銀 ・|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v銀 ・ 香|五 | ・ ・ 歩 ・ 飛 ・ ・ ・v歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・v歩 歩|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 金 桂v角|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 香 歩 手数=43 ▲4八玉(59) まで 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7八金 ▽3三銀 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲2七銀 ▽7四歩 ▲2六銀 ▽7三銀 ▲1五銀 ▽5四角 ▲3八角 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v角 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 銀|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 角 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲3八角打 まで 先手の▲2六銀に▽1四歩と突かずに▽7三銀で、▲1五銀と出させてから ▽5四角と打つのが、後手側の別ルートの手段です この手は今までも似た 狙いの角打ちが出てきましたが、▲2四歩なら▽同歩 ▲同銀に▽2七歩と 打って飛車先を止める狙いです この手に対する▲3八角はそれまでに ▲2六飛や▲5八金または▲3六角など、いろいろな手が指された末に 発見された手で 5四の角と相殺するのが目的です ▽5四角は塚田正夫実力制第二代名人に、▲3八角は同じく升田幸三第四代 名人によって50年代に指された手です 正に時の最高棋士達によって それぞれ生み出された名手と言えます 以下は次章で |
本章では一見単純に見える棒銀戦法の意外な奥深さを見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v角 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 銀|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 角 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲3八角打 まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、升田流▲3八角打の局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽4四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽3三金 「図2」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩 ・v金 ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・v角v歩v歩 飛 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 角 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=30 ▽3三金(32) まで 「図1」から紆余曲折の末に発見された手が▽4四歩と突く手です この瞬間は意味不明な手に見えますが「図2」まで進んで見ると2一の桂に 紐がついて、先手の飛車は引く一手となっています 「図2」から「図3」までの手順 ▲2八飛 ▽2七歩 ▲同 飛 ▽同角成 ▲同 角 ▽2二飛 ▲2八歩 ▽6二金 「図3」 後手の持駒:飛 銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v金 ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩 ・v金 ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 角 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=38 ▽6二金(61) まで 「図2」から▲2八飛と深く引くのは▽2七歩と打たれ▲同角だと▽2二飛に ▲3八金とする一手となり▽3九銀で敗勢となるので、▲同飛と取りますが 以下「図3」となった局面は はっきり悪いと言う訳では有りませんが 先手にとって思わしい形勢とは言えません 「図2」から「図4」までの手順 ▲2五飛 ▽2四歩 ▲2八飛 ▽2二飛 ▲2六歩 ▽4五歩 「図4」 後手の持駒:銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩 ・v金 ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・v角 ・v歩v歩 ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 角 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=36 ▽4五歩(44) まで ▲2五飛と途中下車する手が一時有力と言われました 当初は▲2五飛に対し ▽2四銀と打つのが定跡だったのですが 研究が進むにつれ▽2四銀では 平凡に▽2四歩と受けて▽2二飛とすれば 次に▽2五歩から飛先を逆襲する 手が厳しく、▲2六歩とせざるを得ない先手が難局と言う結論になりました そこで▽4四歩に一旦▲6八玉とする手が指される事になります「図5」 「図5」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩 ・v銀v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v角v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 銀|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ 角 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲6八玉(59) まで 以下は次章で解説致します |
前章に引き続き、升田流▲3八角打からの変化を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩 ・v銀v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v角v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 銀|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ 角 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲6八玉(59) まで 「図1」は前章「図5」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽1四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽3三金 ▲2五飛 ▽1三桂 ▲2六飛 ▽2五歩 ▲5六飛 ▽2二飛 ▲2七角 「図2」 後手の持駒:銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩 ・v銀v歩v歩 ・v金 ・v桂|三 | ・ ・v歩 ・v角v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 角 歩|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=39 ▲2七角(38) まで ▲6八玉に▽1四歩と銀交換を催促して、以下▲2五飛に▽1四歩と突いた 手を利用して▽1三桂と飛車に当てる、と手順を尽くしますが▲5六飛から 「図2」の▲2七角と、ただ捨てに出た局面では先手が優勢です この▲2七角に▽同角成なら▲5三飛成 ▽5二銀 ▲3三龍で先手勝勢です 3三の金が▽1三桂で浮いてしまったのが拙かったのです ただし▽2二飛と回る手で▽6四銀とする手は有ります これには▲5四飛と 飛車を切り▽同歩 ▲4六歩 ▽7三銀 ▲6五角で形勢不明で難解ですが 先手も充分に闘える局面です「図3」 「図3」 後手の持駒:飛 銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・ ・v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v銀v歩 ・ ・v金 ・v桂|三 | ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ 角 ・ ・ ・v歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=43 ▲6五角(38) まで 「図1」から「図4」までの局面 ▽2二銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽2三歩 ▲1五銀 ▽6四銀 ▲4六歩 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽7六銀 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v角v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀|五 | ・ 歩v銀 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ 角 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=40 ▽7六銀(75) まで 先手の棒銀に対して▽2二銀とするのは消極的で得策では無いと従来言われて 来たのですが「図1」の局面では有効だったのです 先手の銀を1五に追ってから▽6四銀と早繰り銀で反撃に出ます 手順中▲7六歩に▽同銀だと▲同銀 ▽同角に▲6五銀で角を殺されます また▽8六歩 ▲同歩に▽同銀と、こちらに銀が出ると▲8三歩と飛車先を 押えられて、後手の▽5四角と打った狙い筋を逆にくいます ▲4六歩は これが狙いの好手ですが ▽8六歩と突き捨ててから▽7六銀としたのが それを上回る好手順で「図4」では後手優勢です 以上で角換り棒銀の代表的な変化を御紹介しましたが87章でも触れたように 後手の早繰り銀模様の▽7三銀型には、難局になるケースが多くなってしまい あまり指されなくなっていました しかし最近また指されるようになって来て います 何故なのか、その訳はまた後の章で |
前章までの角換り棒銀に対して、大きな効果を上げていた早繰り銀戦法の 詳細を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7八金 ▽3三銀 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲3六歩 ▽7四歩 ▲3七銀 ▽7三銀 ▲1六歩 ▽9四歩 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v銀v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 銀 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=22 ▽9四歩(93) まで 「図1」は(角換りパターン1)から互いに早繰り銀模様に進んだ局面です ▲3六歩から▲3七銀に▽7四歩から▽7三銀と、先手後手共に早繰り銀を 目指します この形では▽1五角と打つ王手飛車の筋を消しておかないと ▲2四歩から銀交換をする事が出来ませんので、▲1六歩が必要となります 王手飛車の筋を消すには他に▲6八玉も考えられますが それですと後手に ▽8三銀と棒銀にされて玉に当りがきつくなり▲3六歩から▲3七銀としても 前章までの解説と違い▲6八玉型が思わしく無い変化を生む事になる為 指されなくなりました 後手も▽4二玉は危険なので▽9四歩と突きます 「図1」から「図2」までの手順 ▲4六銀 ▽9五歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽8五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛 ▽8六歩 ▲8四歩 ▽同 銀 ▲4五角 ▽7三銀 ▲8三歩 ▽同 飛 ▲2三角成 ▽同 金 ▲同飛成 ▽8七歩成 ▲2一龍 ▽6二玉 「図2」 後手の持駒:角二 銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 龍v香|一 | ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v飛v銀v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩vと 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 桂 歩二 手数=50 ▽6二玉(51) まで 先手の▲4六銀に対して▽6四銀と上がらずに▽9五歩と突き越し7三銀型で 待機するのが、対棒銀と同様に後手側の有力な対抗手段です これに▲3五歩 と仕掛けますが、▽8六歩から▽8五歩と十字飛車を狙う継ぎ歩の反撃が この形には有ります まず▽8六歩に▲同銀は▽5五角が有るので▽同歩の 一手ですが、次の▽8五歩に▲同歩と取るのは▽同飛で3五の銀取りと ▽8九飛成が受からず先手不利となります そこで▲2四歩と攻め合いに行きますが、以下▲8四歩で▽同飛なら▲6六角 と言う狙いも▽同銀と取られ、やはり7三の銀が8四に利いて「図2」では 後手の攻めのスピードが勝り勝勢となっています 手順中▲8四歩 ▽同銀に▲5五角と打つのは▽7三角と受けられて手に なりません また▲4五角に▽7三銀の時に▲8八歩と受けるのは▽4四角で ▲6三角成には▽5四銀 ▽2三角成には▽2七歩から▽2六歩と飛先を 押えられ、やはり先手不利となります「図3」 「図3」 後手の持駒:銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v銀v歩v歩v歩 ・ 馬v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・v角 ・ ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・v歩 歩|六 | 歩 ・ 銀 歩 歩 歩 ・ 飛 ・|七 | ・ 歩 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩三 手数=48 ▽2六歩打 まで 解説が長くなりましたが、この辺りは一番大事な所で手抜き出来ないので 是非、盤上に並べるなどして見て頂きたいと思います 後手の▽9五歩突き越し▽7三銀型に▲3五歩と仕掛けるのは危険です やはり▽6四銀と上がるのを待ってから仕掛ける方が得策と言えます |
前章に引き続き相早繰り銀の激戦を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v銀v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 銀 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=22 ▽9四歩(93) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲4六銀 ▽9五歩 ▲1五歩 ▽6四銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽9八歩 ▲同 香 ▽6五角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ 歩v角 ・ ・ 銀 歩 歩|五 | 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | 香 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩五 手数=38 ▽6五角打 まで 前章では「図1」から▲4六銀 ▽9五歩に▲3五歩と仕掛けて行きましたが 後手の▽7三銀型の守備力が強く、厳しい反撃に遭い不利に陥りました そこで先手も同じく▲1五歩と突き越し、▽6四銀を待ってから▲3五歩と 仕掛けてみます ▽同歩 ▲同銀の時に前章「図2」までと同様▽8六歩から 継ぎ歩で反撃するのは、今度は▲8四歩から▲6六角の狙いで後手が不利に なります 8四に銀の利きが無いので▲8四歩に▽同飛と取る事になる為です しかし、この形には別の攻め筋が生じます ▽7五歩 ▽9六歩 ▽8六歩と 連続に突き捨て▽9八歩から▽6五角と打つのが、その反撃手段となります 「図2」から「図3」までの手順 ▲8七角 ▽4七角成 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3四歩 ▽2二銀 ▲4四歩 ▽7六歩 ▲同 角 ▽7五銀 ▲4三角成 ▽同 金 ▲同歩成 ▽4二歩 ▲3二と ▽8六銀 ▲同 銀 ▽6四角 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v歩 とv銀 ・|二 | ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・v角 ・ ・ 歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 歩|五 | 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ 歩 歩v馬 ・ ・ ・|七 | 香 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 歩五 手数=56 ▽6四角打 まで ▲8七角と打つのが盤上唯一の強手です これを▽同角成と取ると▲同金で 再度▽6五角と打っても▲6九角がピッタリの受けとなります「図4」 ▽4七角成に▲2四歩と突き捨て▲3四歩 ▽2二銀に▲4四歩と ▲8七角の利き筋を最大限に利用して攻めます 以下、激しく攻め合い 「図3」となった局面では後手が一手勝ちの形勢です 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ 歩v角 ・ ・ 銀 歩 歩|五 | 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 金 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 ・ 角 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩五 手数=43 ▲6九角打 まで 結局「図1」から▲4六銀と出るのは▽9五歩と突き越され、仕掛けが難しく なってしまいます そこで▲9六歩と受ける事になりますが、以下は次章で |
前章「図1」から▲9六歩と受ける変化を解説します 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v銀v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 銀 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=22 ▽9四歩(93) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、後手が▽9四歩と端を突いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲4六銀 ▽6四銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5五銀 ▲2四歩 ▽同 銀 ▲同 銀 ▽同 歩 「図2」 後手の持駒:角 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩|四 | ・v歩 ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=34 ▽同 歩(23) まで ▽9四歩に▲9六歩、そして後手も▽1四歩と突いて ▲4六銀 ▽6四銀と 互いに上がり87章「図2」の早繰り銀先後同型となります これ以上待つ手は無いので▲3五歩と仕掛けます ▽同歩 ▲同銀に ▽8六歩からの継ぎ歩狙いは▲8四歩からの返し技が有って成立しないのは 前章で解説しました しかしここで後手に有力な対抗手が有ります それが▽5五銀と右銀を中央に出る手ですが、一見ぼんやりとして狙いが 分からない手に見えます 「図2」から「図3」までの手順 ▲5六歩 ▽同 銀 ▲4六角 ▽6四角 ▲同 角 ▽同 歩 ▲6三角 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・ 角v歩v歩 ・ ・ ・|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・v銀 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=41 ▲6三角打 まで ▲5六歩で銀を移動させてから▲4六角と打つのが、この形では有力です ▲5六歩では、▲同飛と2四の歩を取り返しに行くのが自然に見えますが 以下▽2三歩 ▲2八飛に▽4四銀と形良く引かれると、次に▽7三角と 言う厳しい反撃手段が有り、先手不利となります ▽4四銀で攻めの銀が 守りの銀に掏り変わる事になると言うのが▽5五銀の狙いだった訳です ▽6四角 ▲同角 ▽同歩に▲6三角と打った「図3」は形勢不明で 難解な局面と言えるでしょう 「図1」から「図4」までの手順 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲4六銀 ▽6四銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5五銀 ▲6八玉 ▽6四角 ▲3七歩 ▽7三桂 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 「図4」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v歩v歩v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v角 ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=41 ▲2六飛(24) まで 「図1」から後手の▽5五銀に▲6八玉とする手も有ります 今までの変化で ▲6八玉は危険だったのですが、▽5五銀で7筋の圧力が緩和された為 この局面では成立しています 以下「図4」までの局面も有力な手順ですが これもまた形勢不明で、これからの将棋です ここまで見て来たように先後同型早繰り銀は、先後共に充分闘えそうです しかし87章でも述べたように今は指されていません その訳は次章で |
本章では先後同型早繰り銀が指されなくなった謎を解き明かします 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=14 ▽3三銀(22) まで 「図1」は(角換りパターン1)の局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲3六歩 ▽6四歩 ▲3七銀 ▽6三銀 ▲1六歩 ▽5四銀 ▲4六銀 ▽4四歩 ▲3五歩 ▽4五歩 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩 ・v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・v歩 歩 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 銀 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=26 ▽4五歩(44) まで 「図2」となって銀を撤退せざるを得ず、先手の早繰り銀は失敗です 棒銀に対しては絶大な威力を誇った早繰り銀も▽6四歩から天敵である 腰掛け銀にされると、うまく行かないのです ▲4六銀に▽4四歩は ”歩越し銀には歩対抗”と呼ばれる 急戦の歩越し銀に対する有力手で ▲3五歩に▽4五歩で銀を撃退する事が出来るのです そこで▲3六歩の所では▲1六歩と一旦後手の出方を見る手が考えられます これに後手が▽6四歩なら▲2七銀から棒銀 ▽7四歩なら▲4六歩から 腰掛け銀、そして▽8三銀と棒銀に来れば▲3六歩から早繰り銀と 先に後手側が何で来るのか決めさせて、それに対して有効な策を選ぶ と言う手待ち戦術です 「図1」から「図3」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲3六歩 ▽6四歩 ▲3七銀 ▽6三銀 ▲4六銀 ▽5四銀 ▲3五歩 ▽4四歩 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三金 ▲2八飛 ▽2四歩 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・v金 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀v歩v銀v歩v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=36 ▽2四歩打 まで ▲1六歩には後手側も当然▽9四歩か▽1四歩と端を突いて来る事になるのは 前章まで解説した通りです 結局両方の端歩を突き合った所で先手側から 動いて行くしか無くなりますが▲3六歩に▽6四歩と、やはり腰掛け銀で 迎撃して来ます 「図2」までと一手、違いが有りますが結果は大同小異です 「図3」までとなって後手の形を乱し、ポイントを上げたように見えますが これ以上攻める手が無く、逆に厚みで押さえ込まれる恐れが有り、この手順も 先手に思わしくありません したがって手順中▽6四歩に▲3七銀では、先手も▲4六歩として 腰掛け銀を目指す事になるでしょう しかし腰掛け銀にするなら、あまり早く 形を決め過ぎない方が得なので、▲3六歩の所で▲4六歩と指す事になり 早繰り銀にする事が出来なくなってしまうのです ただ後手側も▲4六歩なら▽6四歩では無く、▽8三銀と棒銀にする手が 考えられます しかし先後の違いが、難解な変化を生む事になりますが これについては、また後の章で解説します 以上のように、いくら先手が早繰り銀を目指しても後手側に拒否されると 誘導する事が出来ないのです 元々角換りその物が双方の同意が有って 指される戦型なのは3章で述べた通りですが 特に先手側に棒銀が無くなった 時点で後手としては早繰り銀同型にするより、腰掛け銀にする方が有力と 思える為、指される事が無い戦型となったのです それでは次章より、その角換りの主役、腰掛け銀戦法の解説に入ります |
本章から角換りの中で主役と言える腰掛け銀戦法について解説して行きます 85章の最後で述べたように 角換りの序盤に変化をもたらした元なのです 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=14 ▽3三銀(22) まで 「図1」は(角換りパターン1)です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲6六歩 ▽5二金 ▲5八金 ▽4二玉 ▲6八玉 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽3一玉 ▲7九玉 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七桂 ▽7三桂 ▲8八玉 ▽2二玉 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=40 ▽2二玉(31) まで 「図2」が古くから有る形の腰掛け銀先後同型です しかし今は互いに玉が 8八、2二に囲う先後同型は消滅しています その訳を見て頂きます 手順中▽7二銀に▲9六歩と突いていますが、前章までは▲1六歩と 1筋から先に突きました しかし現在では後手の棒銀を牽制する▲9六歩が 最善とされています その詳細はまた後の章で解説します 「図2」から「図3」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4四銀 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛 ▽6三角 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲1三歩 ▽同 香 ▲2五桂 ▽1四香 ▲3四歩 ▽2四歩 ▲3三桂成 ▽同 桂 ▲2四飛 ▽2三金 ▲1一角 ▽3二玉 ▲3三歩成 ▽同 銀 ▲4四桂 ▽同 銀 ▲2三飛成 ▽同 玉 ▲4四角成 ▽4三金 ▲4五銀 ▽4四金 ▲同 銀 「図3」 後手の持駒:飛 角 桂二 歩五 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v角v歩 ・ ・v玉 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀 銀 ・ ・v香|四 | ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金二 銀 歩三 手数=77 ▲同 銀(45) まで 「図3」までで先手勝ちと言うのが木村義雄実力制初代名人(十四世名人) により確立された先後同型腰掛銀の決定版と言うべき”木村定跡”です ▲7五歩と後手の桂頭を突き捨てて▲7四歩で桂を殺す手を含みに指し進める と言う現在でも指されている手順は 既にこの時に生み出されています 手順中▲3五歩に▽4四銀の所、▽同歩と取ると▲4五桂で銀取りになり 銀が逃げると▲2四歩や▲3三歩そして▲7四歩を狙われて後手陣は支え切れ なくなります また▽6三角と桂頭を守る所で▽6三金とするのは▲7四歩 ▽同金に▲4一角と打たれ、▽8四金に▲4五銀とされると玉が弱体化して 攻めが厳しくなる上に▲7四歩と打たれる手も残っていて受けた事になって いないのです 以下は変化は有りますが▲4五歩と開戦した時点で先手優勢と 言う結論が、その後も現在に至るまで変わる事が有りません この木村定跡によって「図2」の▲8八玉、▽2二玉と入る形は無くなり ▲7九玉、▽3一玉の形で仕掛ける先後同型が現在に至るまで指されています その先後同型の攻防は後の章で詳しく御紹介します |
前章の木村定跡によって▲7九玉、▽3一玉型の先後同型が指されるように なったのですが、これも升田幸三実力制第四代名人の創案した、現在でも この形の仕掛けの骨子となっている攻め筋で、やや先手に分が有るのでは と言うのが第一次隆盛期の当時では定説となり、後手側が徹底的に防御に 回る方策がとられるようになったのです 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=14 ▽3三銀(22) まで 「図1」は(角換りパターン1)です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲6六歩 ▽5二金 ▲5八金 ▽4二玉 ▲6八玉 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽3一玉 ▲7九玉 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七桂 ▽4三金右 ▲8八玉 ▽2二玉 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩v金v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=40 ▽2二玉(31) まで 「図2」の形が後手側の専守防衛の布陣です この陣形に先手が仕掛けるのは 難しく▲4八飛と回る手や▲2六角と打つ手などが試みられましたが 結果は思わしく無く 結局ここからは千日手になるしか無かったのです 後手が▽7三桂と跳ねれば▲5一角と打つ手などが有り、打開も可能ですが この形のまま、▽4二金 ▽4三金を繰り返されると攻めるのは無理筋です こうして角換りの第一期隆盛期は終わりを迎えました しかしそれから数十年 経った後 この専守防衛型を打破する手段が編み出されるのです 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽4二銀 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=12 ▽4二銀(31) まで 「図3」は(角換りパターン2)の局面です そう、これこそが「図2」の 千日手を打開し、尚且つ角換り第二期隆盛期を棋界にもたらす事になるのです 「図3」から「図4」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽4一玉 ▲6八玉 ▽5二金 ▲5六銀 ▽5四銀 ▲7九玉 ▽3一玉 ▲6六歩 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七桂 ▽3三銀 ▲4八飛 ▽4三金右 ▲8八玉 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩v金v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=39 ▲8八玉(79) まで 「図4」の局面が(角換りパターン2」から後手が専守防衛型を志向した場合の 基本図となります、ここからは次章で |
本章では後手の専守防衛型からの千日手を、先手が打開する手順を紹介します 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩v金v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=39 ▲8八玉(79) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽2二玉 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲4一角 ▽4四銀 ▲7四角成 ▽3五歩 ▲6四馬 ▽7三角 ▲同 馬 ▽同 桂 ▲6四角 ▽3六歩 ▲7三角成 ▽3七歩成 ▲同 馬 ▽8一飛 ▲3六桂 ▽3五銀 ▲4四歩 ▽3四金 ▲6五銀 ▽6三銀 ▲7三馬 ▽6一飛 ▲6三馬 ▽同 飛 ▲5二銀 「図2」 後手の持駒:角二 桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ 銀 ・v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・v飛v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ 歩v金 ・v歩|四 | ・v歩 ・ 銀 ・v歩v銀 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ 桂 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=67 ▲5二銀打 まで 前章「図2」と同じく▽2二玉と上がると▲4五歩の突き捨てから▲4一角と 打つ手が有ります この時に▲2五歩と突いた形では▽2六角と打たれる手が 有る為成立しなかったのです 以下は変化は有りますが▲4一角が効けば先手の 攻めは切れません 「図2」までは後手も善戦していますが飛車が逃げれば ▲4三歩成が有り、先手が勝勢です 「図1」から「図3」までの手順 ▽4二金引 ▲2八角 ▽6二飛 ▲2五桂 ▽2四銀 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・v金v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩v銀v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 飛 ・ 桂 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 角 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=49 ▲同 飛(48) まで それでは動かずに▽4二金とするのはどうか これなら▲4一角は有りません しかし今度は▲2八角と打つ手が有るのです 以下▲2五桂から「図3」 までとなり先手優勢です この▲2五桂が、やはり▲2六歩と飛車先を 一つで止めた効果なのです 「図1」から「図4」までの手順 ▽3五歩 ▲同 歩 ▽2四銀 ▲4五歩 ▽3五銀 ▲3六歩 ▽同 銀 ▲4四歩 ▽4二金引 ▲4六角 ▽4七歩 ▲2八飛 ▽9二飛 ▲2五歩 ▽3七銀成 ▲同 角 ▽3六歩 ▲4六角 ▽3七角 ▲同 角 ▽同歩成 ▲2九飛 ▽4八歩成 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲6七金右 ▽3八角 ▲2四飛 ▽2三歩 ▲3四飛 「図4」 後手の持駒:桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 |v飛 ・ ・ ・ ・v金v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀 歩 飛 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 歩 ・vと ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・vとv角 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩二 手数=69 ▲3四飛(24) まで 最後に▽3五歩から▽2四銀と、▲2五歩と突いていないのを利用して反撃を 狙う手には強く攻め合って先手が有望です 手順中▲4六角が攻防の好手で これに▽7三角は▲7五歩です 「図4」の直前▲2四歩と突き捨てたのも 大事な手で、▽3八角に▲2四飛と走れるのです 「図4」となってこれも 先手有利な形勢です こうして後手の千日手策は粉砕されたのです |
飛車先を一つで止めると言う新しい手順により復活した角換り腰掛け銀は 再び先後同型が指される事になります 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=12 ▽4二銀(31) まで 「図1」は(角換りパターン2)です この手順が指されるようになって 初めから▲2五歩と決めてしまう(角換りパターン1)は指されなくなり 棋界から消えました したがってここからは「図1」を基本として解説して 行く事になります 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽4一玉 ▲6八玉 ▽5二金 ▲7九玉 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽3一玉 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲6六歩 ▽7四歩 ▲3七桂 ▽7三桂 ▲2五歩 ▽3三銀 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=38 ▽3三銀(42) まで 「図2」は87章「図4」と同一局面の腰掛け銀先後同型ですが、その手順が 大きく違っているのは今まで解説した理由による物です 「図2」から「図3」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4四銀 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2九飛 「図3」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀v銀v歩 ・ ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・v歩 歩 ・v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=51 ▲2九飛(24) まで 「図2」で▲8八玉と上がると▽6五歩と後手に先攻されて木村定跡の 逆バージョンで先手が不利な形勢となります そこで▲7九玉の形の時に ▲4五歩と仕掛けますが これは既に第一期隆盛期に升田幸三実力制第四代 名人によって確立された攻撃法です 木村定跡に似た手順ですが互いの 玉型が違う事により全く別の将棋となるのです 「図3」の▲2九飛までは 最近まで最善と言われていた物で ここまでも長い間に紆余曲折が有って 導かれた局面です 「図3」から「図4」までの手順 ▽6三金 ▲1二歩 ▽同 香 ▲1一角 「図4」 後手の持駒:角 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂 角|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・v香|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀v銀v歩 ・ ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・v歩 歩 ・v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=55 ▲1一角打 まで 桂頭を守る為に木村定跡では▽6三角しか有りませんでしたが▽3一玉型が ▲4一角と打つ手を消しているので▽6三金とする事が可能となります ここからの先手の攻め筋も、様々な方法がとられた結果▲1二歩 ▽同香 ▲1一角と銀取りに打つ手が創案され、これが意外に受け難く結論として 角換り腰掛け銀先後同型は先手有利なのではと言われたのです 以下は次章で |
本章では角換り腰掛け銀先後同型の攻防を解説しますが、この戦型は 昔から指されていて、現在でもプロ間で結論の出ていない変化も多く したがって現状での最新状況を御紹介すると言う事になります 「図1」 後手の持駒:角 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂 角|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・v香|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀v銀v歩 ・ ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・v歩 歩 ・v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=55 ▲1一角打 まで 「図1」は前章「図4」と同一局面です 先後同型の形から「図1」までは 丸山九段によって創案された手順です ▲2九飛と深く引いているのは 後手に▽3六歩から▽3七歩成とする変化の可能性が有り その時に 飛車取りに当たらないようにする為です 「図1」から「図2」までの手順 ▽3五銀 ▲4五銀 ▽3八角 ▲2八飛 ▽4九角成 ▲3三歩 ▽同 桂 ▲3四銀 ▽4二玉 ▲4三歩 ▽同 銀 ▲3三銀成 ▽同 金 ▲5五桂 ▽5四銀打 ▲6三桂成 ▽同 銀 ▲3三角成 ▽同 玉 ▲4五桂 ▽4四玉 ▲2三飛成 ▽5八馬 ▲5六金 「図2」 後手の持駒:角 金 桂 歩七 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・ ・v桂v銀v歩v銀 ・ 龍 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v玉 ・ ・ ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・ 桂v銀 ・v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 金 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・v馬 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 歩 手数=79 ▲5六金打 まで 先手の▲1一角打に対して、まず▽3五銀とかわす手が考えられます ▲4五銀に▽3八角と打つのが後手の狙いの一手ですが 以下「図2」まで 変化は有りますが、一気に攻め潰して先手の勝ちとなります 「図1」から「図3」までの手順 ▽2二角 ▲同角成 ▽同 玉 ▲3四歩 ▽3八角 ▲2八飛 ▽4九角成 ▲2五桂 ▽3九馬 ▲2六飛 「図3」 後手の持駒:歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉v香|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀v銀 歩 ・ ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ 桂v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ 飛 ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・v馬 ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=65 ▲2六飛(28) まで 次に▽2二角と角を合わせる手が、当然考えられるのですが 実はこの手を 先手は想定したうえで▲1一角と打っているのです ▲同角成に▽同玉で 後手の玉を2二に引っ張り出すのが真の狙いと言う訳です ▽3八角から先手の飛車を追って以下「図3」となります ここから参考に なる変化が多数有るので順次紹介します 「図3」から「図4」までの手順 ▽3五銀 ▲1三歩 ▽同 香 ▲1五香 ▽2六銀 ▲1三香成 ▽3一玉 ▲3三香 「図4」 後手の持駒:飛 歩五 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ 香v歩 杏|三 |v歩 ・ ・v歩v銀 ・ 歩 ・ ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ 桂 ・|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・v銀 ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・v馬 ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=73 ▲3三香打 まで ▲2六飛に▽3五銀と当てるのが幸便に思えますが、▲1三歩と打つ手が有り 先手勝勢となります この手に▽2六銀と飛車を取るのは▲1二歩成 ▽同玉 ▲4四角 ▽2四歩 ▲3三歩成で潰れます「図4」では次に▲2三成香が 厳しく、後手は飛車一枚では有効な手が有りません 「図3」から後手の別な応手については次章で解説します |
前章に引き続き、角換り腰掛け銀先後同型の攻防を見て頂く事にします 「図1」 後手の持駒:歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉v香|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀v銀 歩 ・ ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ 桂v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ 飛 ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・v馬 ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=65 ▲2六飛(28) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面、▽3一馬に▲2六飛と逃げた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽4九馬 ▲4七銀 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽4六歩 ▲2九飛 ▽4七歩成 ▲4九飛 ▽5八と ▲4四飛 ▽4三金打 ▲5一角 ▽4二歩 ▲3三銀 ▽3一玉 ▲3二銀成 ▽同 玉 ▲3三歩成 ▽同 桂 ▲3四歩 ▽4一玉 ▲4二角成 ▽同 飛 ▲3三歩成 「図2」 後手の持駒:角 銀二 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・|一 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・v香|二 | ・ ・v桂v金v歩v金 とv歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀 飛 ・ ・ ・|四 | ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ 桂v歩|五 | 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・vと ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金 桂 歩二 手数=89 ▲3三歩成(34) まで ▽4九馬と金取りに寄せる手も有り これは▲2九飛なら▽3八馬で千日手を 狙うと言う後手としては一つの有効策ですが▲4七銀が好手で、以下の手順が 示す通り馬を殺す事が出来るのです これも途中に変化は有る物の「図2」と なった局面は先手の勝ちです 「図1」から「図3」までの手順 ▽2四歩 ▲3三角 ▽同 桂 ▲同歩成 ▽同 銀 ▲同桂成 ▽同 金 ▲3四歩 ▽2三金 ▲3三銀 ▽1三玉 ▲1五香 ▽1四歩 ▲2四銀成 ▽同 金 ▲2五桂 ▽2二玉 ▲3三桂成 ▽1三玉 ▲2五歩 ▽1五金 ▲2四歩 「図3」 後手の持駒:角 銀 桂 香 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ 圭 ・v玉|三 |v歩 ・ ・v歩v銀 ・ 歩 歩v歩|四 | ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・v金|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ 飛 ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・v馬 ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=87 ▲2四歩(25) まで 最後に▽2四歩で先手の攻めを催促する手ですが これにも▲3三角と露骨に 打ち込んで先手が有利な進行となります ▲3五飛が馬に当たるのが手順中 常について回るため 例えば▲3四歩に▽2三金の所▽同金と取ると▲3五飛 とした手が馬金両取りになるのです 以下「図3」で後手玉は必至で先手玉は 詰まず、やはりこれも先手の勝ちとなります 以上101章「図1」から全て先手の勝ちとなりました これ以外にも変化は 有りますが、先手が▲1一角と打った局面は既に先手が優勢と言う結論になり またその他の戦型も含めて、角換り自体が先手が有望では無いかと言われ 第二期隆盛期も陰りを見せ始めたのです この【戦法図鑑】では、出来るだけ変化の解説は避けるのが主旨ですが今回に 限っては例外で、先手が▲1一角と打った局面から有力な変化を複数見て頂き ました それは何故かと言うと、実はここまでの手順の中に第三期隆盛期の 兆しを迎える事になりそうな、後手側の打開策のヒントが有るからです |
前章までの解説で角換り腰掛け銀先後同型は先手優勢と言う結論になると 思われた時、これを覆す妙手順が生み出されます 「図1」 後手の持駒:角 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂 角|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・v香|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀v銀v歩 ・ ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・v歩 歩 ・v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=55 ▲1一角打 まで 「図1」は101章「図1」と同一局面、先手が▲1一角と打った所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽3五銀 ▲4五銀 ▽2二角 ▲3三歩 ▽同 金 ▲2二角成 ▽同 玉 ▲5四銀 ▽同 歩 ▲4五桂 ▽2四金 「図2」 後手の持駒:角 銀 歩六 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v玉v香|二 | ・ ・v桂v金 ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩v金 ・|四 | ・v歩v歩 ・ ・ 桂v銀 ・v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 手数=66 ▽2四金(33) まで ▲1一角に▽3五銀は▲4五銀で潰れと言う101章「図2」までの手順は 誰もが固く信じていました しかし▲4五銀の瞬間に▽2二角と合わせる と言う二つの手筋の組み合わせによって 先手の狙いを見事封じたのです ▲3三歩と、101章「図2」までと同様の攻め筋で必死に迫りますが ▽2四金とかわされた「図2」では、これ以上の攻めは難しく後手優勢と なっています この▲4五銀に▽2二角は佐藤康光棋聖の新手ですが この手を始めて指した時は▲4五桂に▽3二金とした為、先手に上手く 手をつながれてしまいました しかしその後、この▽2四金とする手が 発見され、先後同型から先手の一連の仕掛けは少し無理では無いかと言う 全く逆の見解が囁かれ始めたのです 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=38 ▽3三銀(42) まで 「図3」は100章「図2」と同一局面、角換り腰掛け銀先後同型です ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4四銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽7五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2三歩 「図4」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・ 歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v銀v銀v歩v歩v歩|四 | ・ ・v歩 歩 ・v歩 歩 ・ ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=55 ▲2三歩打 まで 「図3」までの手順が発見され、丸山新手は先手必勝では無くなりました 実際はまた新手が現れて変わるかも知れませんが この事によって先手側も 後手の▽4四銀に▲2四歩 ▽同歩 ▲同飛と、ただ飛車先を交換しておく と言う、これまでの解説より穏やかな手順も指されるようになりました 「図4」までは羽生善治名人・王座(当時)に森内俊之竜王・王将(当時) が挑戦した第62期名人戦第5局で指された手順です この将棋は先手の羽生名人・王座(当時)が勝っていますが、後手にも 勝ち筋が有り形勢は何とも言えませんでした 「図3」の先後同型は、これからも指し続けられ研究されて行くと 思いますので また起死回生の新手が生まれるかも知れません |
腰掛け銀には棒銀が有力と言う事で、後手が追従して先後同型にせず 棒銀で対抗する変化を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽4二銀 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・v銀v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=15 ▲9六歩(97) まで 「図1」は(角換りパターン2)から以下、先手が▲9六歩と端を突き後手の 出方を打診した局面です ここで▽8三銀と行くのは▲3六歩から早繰り銀に されて思わしく無いのは89、90章で解説しました 「図1」から「図2」までの手順 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽8三銀 ▲4七銀 ▽8四銀 ▲5八金 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・|三 |v歩v銀 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 銀 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=23 ▲5八金(49) まで 端を受け、▲4六歩を見てから▽8三銀と出るのが後手側の有力策なのは これもここまで解説した通りですが、先後の違いと▲2五歩 ▽3三銀の 2手が入っていない事により大きな違いが生じます 「図2」から「図3」までの手順 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲同 香 ▽同 香 ▲9四歩 ▽9二歩 ▲7五歩 ▽9八香成 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲5五角 「図3」 後手の持駒:角 香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 |v歩v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・|三 | 歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ 角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 銀 歩 ・ ・|七 |v杏 ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=35 ▲5五角打 まで 「図2」の局面ですぐに▽9五歩と端攻めに行くのは▲7五歩から▲7四歩が ▽4二銀の形を咎めて好手となり、「図3」までを狙いとされると変化は 有りますが後手側に思わしい形勢ではありません 「図2」から「図4」までの手順 ▽3三銀 ▲6六歩 ▽4二玉 ▲3六歩 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲同 香 ▽同 香 ▲9四歩 ▽9二歩 ▲4八玉 ▽9八香成 ▲3七桂 ▽8九成香 ▲2九飛 「図4」 後手の持駒:角 桂 香 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 |v歩v飛 ・ ・ ・v玉v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩 ・|三 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | ・v杏 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 手数=39 ▲2九飛(28) まで 自陣を固めてから▽9五歩と来た場合は端で銀香交換した後に▲9七歩と 受けておいても難しい将棋になります 飛車先を一つで止めているのと ▲1六歩と端を突いている形の為、▽2六香から▽4四角或いは▽1五角と 言った手が無いので89章で御紹介した形とは事情が違ってくるのです ▽4二玉の所で▽9五歩と仕掛けて来た時は、この進行を選ぶ事になります ▽4二玉ともう一手、手を入れてからの▽9五歩には▲4八玉から右玉も 棒銀の端攻めから遠ざかるので有力で、「図3」では次に▲8九飛の 成香取りが受からず先手の指せる形勢です |
前章に引き続き後手棒銀策の攻防を御紹介します 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・v銀v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=15 ▲9六歩(97) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、後手の出方を打診した所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽3三銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽8三銀 ▲4七銀 ▽8四銀 ▲6六歩 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩 ・|三 | ・v銀 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=23 ▲6六歩(67) まで ▽9四歩と受ける所で端を手抜きで▽3三銀と上がる手も有ります これに▲2五歩だと(角換りパターン1)の進行と同じになってしまい 千日手を狙われる事になります 後手のこの変化には先に▲6六歩と するのが大事な手順です 「図2」から「図3」までの手順 ▽4二玉 ▲6五歩 ▽7四歩 ▲6八飛 ▽7三銀 ▲3八金 ▽5二金 ▲3六歩 ▽3一玉 ▲3七桂 ▽4四歩 ▲6九玉 ▽9四歩 ▲5六銀 ▽4三金右 ▲4七金 ▽5四歩 ▲7九玉 ▽2二玉 ▲2五桂 ▽2四銀 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲6六角 ▽3三桂 ▲4五銀 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v銀v歩 ・v金v桂v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩v銀v歩|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ 銀 ・ 桂 ・|五 | 歩 ・ 歩 角 ・ ・ 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 金 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 飛 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=49 ▲4五銀(56) まで この後手の策には▲5八金を保留して▲6五歩から▲6八飛を用意する と言うのが▲6六歩を先にした理由です ▲6四歩を受けるのに▽7三銀と 引かせる事は出来ますが ▲6八飛も好形とは言えないので後の指し方が 難しい所です 「図3」までが狙いで、こうなれば先手優勢となります 「図2」から「図4」までの手順 ▽7四歩 ▲5六銀 ▽7五歩 ▲6五銀 ▽7六歩 ▲同銀引 ▽6四歩 ▲7五歩 ▽4二玉 ▲5八金 ▽5二金 ▲6八玉 ▽7三銀 ▲7九玉 ▽7四歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲7五歩 ▽6三銀 「図4」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 銀 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=42 ▽6三銀(74) まで 自陣に手を入れていると▲6八飛と迎撃される手が有るので▲6六歩に ▽7四歩から▽7五歩と速攻する手も考えられます これには▲5六銀から▲6五銀と厚く構えるのが好手順です 以下「図4」となった局面は形勢は不明ですが、手厚い先手陣も充分に 指せる将棋です 以上代表的な手順を紹介しましたが他にも変化は多数有り、後手側には 棒銀以外にも先後同型になる手前で先に▽6五歩と攻める策や、序盤で ▽6五歩と位を取ると言った手段も有るのですが今はいずれも指される事が 少なくなりました これは103章で解説したように先後同型の先手有利が 御破算になったのと 後手側に意外な手段が生まれた為かも知れません その新手段は次章で |
後手が序盤早々、一手損して駒組みを進めると言う一見奇策と見える 新手段の狙いを本章では見て頂きます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7七銀 ▽3二金 ▲7八金 ▽3三銀 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=12 ▽3三銀(22) まで 「図1」は(角換りパターン3)ですが、ここまでの手順は85章「図3」 までとは違うルートになっています この一手損戦術を後手が志向する場合 2手目に▽3四歩とする事も多いので一例として示しました 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽5二金 ▲6八玉 ▽4二玉 ▲7九玉 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽3一玉 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲6六歩 ▽7四歩 ▲3七桂 ▽7三桂 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=36 ▽7三桂(81) まで 「図2」は角換り腰掛け銀先後同型と似た局面ですが、後手側の飛車先が 一つで止まっている所が違います しかしこの局面こそ後手の狙いなのです 「図2」から「図3」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4四銀 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2九飛 ▽3八角 ▲2八飛 ▽4九角成 ▲7四歩 ▽8五桂 「図3」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|三 |v歩v歩 歩v歩v銀v銀v歩 ・ ・|四 | ・v桂v歩 ・ ・v歩 歩 ・v歩|五 | 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・v馬 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=54 ▽8五桂(73) まで 先手が従来の腰掛け銀先後同型に対するのと同じく▲4五歩から仕掛けますが ▲7五歩突き捨てから▲7四歩に▽8五桂と跳ねる事が出来る為▽6三金など 桂頭の防御が必要無くなるのです 一手早く角を打ち込み▽8五桂となった 「図3」では後手有利な形勢です 「図1」から「図4」までの手順 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲6八玉 ▽6四歩 ▲2七銀 ▽6三銀 ▲2六銀 ▽1四歩 ▲1六歩 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三 | ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 銀 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=21 ▲1六歩(17) まで 先手の対抗策の一つとして、後手の手が更に一手遅れているのを咎めると言う 意味で▲6八玉とする手が有力となります 普通は後手側の棒銀を警戒し この手は保留して後に回すのですが 速攻性の棒銀には手が遅れているので しづらいだろうと言う事なのです こうして▽6四歩を見て逆に▲2七銀から 棒銀にするのが狙いです 対して後手も右玉にすると言うような手も有り 角換りジャンケンは果てしなく続くのです |
角換り編の最後として駒組み途中で優位になろうとする変化戦術が先手後手 共に有るので御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽4二銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 角 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=10 ▽4二銀(31) まで (角換りパターン2)までの手順途中で先手の9手目▲8八銀に角交換せず ▽4二銀とする手が有ります これで角交換しなければ▽3三銀とする手を 見せて、先手から交換させると言うのが狙いです 「図1」から「図2」までの手順 ▲2二角成 ▽同 金 ▲7七銀 ▽6二銀 ▲2五歩 ▽3三銀 ▲3八銀 ▽6四歩 ▲2七銀 ▽6三銀 ▲2六銀 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽5二金 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・ ・v金 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 銀 歩|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=24 ▽5二金(61) まで ▲2二角成 ▽同金と取った形は悪形で一見無意味な手に見えますが 「図2」まで先手が棒銀に来た場合に端を2二の金が守っている形になり この局面は先手が2手損をして端攻めも無く、思わしい形勢ではありません これを先手が避ける事によって棒銀の選択肢を無くさせる これが後手の真の狙いです 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽4二銀 ▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3六歩 ▽6四歩 「図3」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・v銀v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=20 ▽6四歩(63) まで 今度は先手側の変化戦術です 先後同型そして後手棒銀策の解説では先手の ▲4六歩から進行して行きましたが この手で▲3六歩とすると対して後手は 早繰り銀を警戒する意味で▽6四歩が有力なのは96章で解説しました しかしこれを利用する手段が有るのです 「図3」から「図4」までの手順 ▲5五角 ▽3三銀 ▲6四角 ▽5二金 ▲2五歩 ▽6三銀 ▲3七角 ▽5四銀 ▲4六歩 ▽4四歩 ▲4七銀 ▽4五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲4六歩 ▽5四銀 「図4」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 銀 角 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=36 ▽5四銀(45) まで ▲5五角と打って6四の歩を取ると言うのが実戦例は少ないですが、ちょっと 面白い変化です 以下「図4」まで歩得と持ち角の対抗で先手の角が働くか どうかと言う局面です 手順中▽6三銀と角を追う手で▽4四銀とこちらの 銀が上がる手も有り いずれも難しい将棋でしょう 「図3」からは他にも 狙いが有るので次章で御紹介します |
前章に引き続き、先手の変化戦術を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・v銀v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=20 ▽6四歩(63) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面、▽6四歩と後手が腰掛け銀模様に 突いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲4六歩 ▽6三銀 ▲3七桂 「図2」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=23 ▲3七桂(29) まで ▲4六歩と先手も腰掛け銀を志向して、▽6三銀に▲3七桂と跳ねます この手では▲4七銀とするのが普通ですが、いずれ跳ねる事になるので大差は 無いように思えます しかし 「図2」から「図3」までの手順 ▽5四銀 ▲6八玉 ▽5二金 ▲2五歩 ▽3三銀 ▲4五桂 ▽2二銀 ▲7一角 ▽7二飛 ▲5三角成 ▽4五銀 ▲6四馬 ▽3六銀 ▲3七歩 「図3」 後手の持駒:角 桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・v金 ・v金v銀 ・|二 | ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ 馬 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩v銀 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=37 ▲3七歩打 まで 「図2」で▽5四銀とすると「図3」までの速攻が有って危険なのです この局面は後手の銀が死んでいるので結果として銀桂交換必至となり 馬も出来ているので先手断然優勢と言えます 「図2」から「図4」までの手順 ▽4一玉 ▲6八玉 ▽5二金 ▲2五歩 ▽3三銀 ▲4五桂 ▽2二銀 ▲7一角 ▽7二飛 ▲5三角成 ▽4四角 ▲同 馬 ▽同 歩 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・v金 ・v金v銀 ・|二 | ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 桂 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 玉 ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=36 ▽同 歩(43) まで ▽5四銀を保留して固く指されると「図3」までと同じ速攻は上手く行かず 「図4」は桂損必至で先手不利な局面です この攻め筋は▲5三角成が5四の 銀取りに当たらないと成立しません しかしこの攻め筋を見せる事によって 後手の手を牽制すると言うのが本当の狙いで、▽6五歩と位を取る手など 後手側に変化される手を、し難くして先後同型に持ち込むと言う事なのです 106章から本章まで御紹介した物は戦法と言うより、相手の選択肢を 減らしたり従来の定跡型に向った時、その攻め筋を不発にさせたりと より有利な対抗型を引いて作戦勝ちを狙う為の手段です 特に106章の後手一手損は、早繰り銀や棒銀と言った戦法も先手の対抗策 として復活させました 以上で角換り編を終わりますが、セカンドステップと言う事で1章からの 内容をある程度理解して頂いた事を前提の内容の為、少し難しかったのでは ないかと思います しかし初級の方にはここで端歩の重要性や一手の違いに より局面や形勢が大きく変わる事を知って頂ければと思っています これを知る事によりテレビ棋戦などで、プロが序盤から何をそんなに考えて いるのか 少し垣間見る事が出来るのではないでしょうか |
本章から、6章で序盤の形6として御紹介した相振り飛車の解説を致します ただしこの戦型は力戦の手将棋で、まだ定跡と言える物も少ないので 闘い方の例を見て頂くと言う事になります まず序盤の進行で要注意の局面が 有るので御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3五歩 ▲7八飛 ▽3二飛 ▲7五歩 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3七歩 ▽6六飛 ▲同 角 ▽同 角 「図1」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 手数=14 ▽同 角(22) まで ▲6六歩に▽3五歩と言う手順が、相振り飛車では多いのですが先手側は 「図1」までの手順に気をつけなければいけません 6六の歩を十字飛車で 払われては、いきなり不利となってしまいます 「図2」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3五歩 ▲6八銀 ▽3二飛 ▲6七銀 ▽6二玉 ▲7七角 ▽7二玉 ▲8八飛 ▽4二銀 ▲4八玉 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀v飛v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=13 ▲4八玉(59) まで 後手側が相振り飛車の意思を表明した場合、先手側は▲8八飛と向かい飛車に 振るのが現在最有力と思われる手段ですが「図2」のタイミングで▲4八玉と 上がるのは面倒な事になります これに▽3六歩と突かれる手が有るからです 「図2」から「図3」までの手順 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽5五角 ▲6五歩 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽5五角 ▲6六角 ▽同 角 ▲同 銀 ▽6七角 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀v飛 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 銀 ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 桂v角 歩 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=24 ▽6七角打 まで ▽3六歩に▲同歩と取るのは悪手で「図3」まで先手不利となります ▲同歩では▲2八銀として▽3七歩成なら▲同銀 ▽3六歩 ▲4六銀で 後手の3六の歩を負担にさせるように指せば悪くはありません しかし形と しては気持ちの良い物では無いので「図2」の▲4八玉では▲2八銀などの 方が無難と言えます 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3五歩 ▲6八飛 ▽3二飛 ▲2八銀 ▽6二金 ▲4八玉 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3七歩 ▽3四飛 ▲3八玉 ▽7四飛 ▲7八飛 ▽8四飛 ▲7七飛 ▽6六角 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩v角 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 飛 ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ 玉 銀 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=20 ▽6六角(22) まで 「図4」までも要注意の手順で、三間飛車の場合も▽8四飛と回られて困る時が 有ります 相手が浮き飛車に構えた時は常に横に捌いて来るのを警戒しなければ これもいきなりリードを奪われる事になります |
前章に引き続き、相振り飛車序盤の要注意局面を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽3五歩 ▲7八飛 ▽3二飛 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽5五角 ▲7七角 ▽1九角成 ▲1一角成 ▽7二香 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂 馬|一 | ・ ・v香 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 |v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂v馬|九 +---------------------------+ 先手の持駒:香 歩二 手数=18 ▽7二香打 まで 先手が▲7五歩と石田流模様に出た手に▽3五歩と同じく石田流含みに 対抗すると言う手も実戦例は極めて少ないのですが面白い手段です 対して飛車先を切りに▲7四歩と行くのは「図1」まで先手不利となります ここでも▲2八銀または▲4八玉と右翼の整備を図るのが無難と言えます 「図2」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3三角 ▲6八銀 ▽2二飛 ▲6七銀 ▽2四歩 ▲7七角 ▽2五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=10 ▽2五歩(24) まで 後手側の手法として最近よく指されるようになったのが▲6六歩に▽3三角と 上がり▽2二飛と向かい飛車にする戦型です 「図2」から「図3」までの手順 ▲8八飛 ▽2六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲2八銀 ▽2七歩 ▲3九銀 ▽3五歩 ▲3八金 ▽2四飛 ▲2八歩 ▽同歩成 ▲同 銀 ▽2六歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・v歩 ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 金 銀 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=24 ▽2六歩打 まで ▽2五歩と伸ばして来た手に▲8八飛は「図3」の展開になると不利です ただ飛車先を切って来られた時に▲2八銀で無く▲2八飛とすれば乱戦には なりますが相振り飛車では無くなりますから、先手の振り飛車を阻止した事で 後手としては作戦成功と言えるでしょう 「図2」から「図4」までの手順 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲3七銀 ▽7二玉 ▲2六歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5五角 ▲6五歩 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽4四角 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v角v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 銀 ・|六 | 歩 歩 桂 銀 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 ・ ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=24 ▽4四角打 まで 後手の▽3三角から向かい飛車にする手には▲4八銀から▲3七銀と2筋を 受けてから8八に回れば良いのですが ここで欲を出して▲2六歩とすると 「図4」までいっぺんに負けになります この他にも危険な局面は有りますが、一応代表的と言える相振り飛車の序盤を 見て頂きました この戦型は飛車角が早い時期に飛び交う可能性が高いので 慎重に指す必要が有り、また逆に相手の陣形に隙が出来たのを見逃さず 咎めるようにしないとチャンスを失う事になるのです |
本章から相振り飛車の中でも実戦例が多く、昔から指されている向かい飛車と 三間飛車の対抗型を見て頂きます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3二飛 ▲6八銀 ▽6二玉 ▲6七銀 ▽7二玉 ▲7七角 ▽3五歩 ▲8八飛 ▽4二銀 ▲8六歩 ▽5二金左 ▲2八銀 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金v銀 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 歩 歩 ・ ・v飛 ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=18 ▽同 飛(32) まで 109章では▲6六歩に▽3五歩としましたが、今回は▽3二飛と先に飛車を 振ります もちろん▽3五歩でも悪い訳では無いですが▽3五歩は急ぐ必要は 無いのと▲6八銀の所で▲6八飛と四間に振り、▽3二飛に▲6五歩と言う 煩わしい手順を防ぐ意味です「図2」 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=7 ▲6五歩(66) まで 「図2」では角交換が必至ですが ここから互いに動き難い将棋となり 千日手模様になり易く、派手にに見える割に先手として得策とは言えません したがって後手側も特に恐れる事は無いのですが、面倒は避けるに越した事は 有りません 先に▽3二飛として先手の動きを見て▽3五歩とする訳です 「図1」から「図3」までの手順 ▲3七歩 ▽3四飛 ▲4八玉 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽4四歩 ▲5八金左 ▽6二金上 ▲3八玉 ▽8二銀 ▲8五歩 ▽4三銀 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三歩 ▲8六飛 ▽4五歩 ▲6五歩 ▽3三桂 ▲7五歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽5四銀 ▲5六銀 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v銀v玉v金v金 ・ ・v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v桂v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・v歩|四 | ・ ・ 歩 歩 ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 飛 ・ ・ 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 角 ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 玉 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=43 ▲5六銀(67) まで 「図3」が相振り飛車の最も基本と言える陣形で▲4八金右とすれば先後共 同型の玉形となりますが この囲いを二枚金囲い、又は金無双と呼びます また相振り飛車では浮き飛車に構えるのが基本的には好形となるのです 「図3」から「図4」までの手順 ▽2四歩 ▲7六飛 ▽2五歩 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽7三歩 ▲7六飛 ▽2四飛 ▲8六角 ▽2六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲2七歩 ▽2四飛 ▲7七桂 ▽3四飛 ▲4八金上 ▽1三角 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲6四歩 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽4五歩 ▲6五銀 「図4」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v銀v玉v金v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・v桂 ・v角|三 |v歩 ・ ・ 歩v銀 ・v飛 ・v歩|四 | ・ ・ ・ 銀 ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 角 飛 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 桂 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 金 玉 銀 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=71 ▲6五銀(56) まで 金無双の弱点は意外にも、その金二枚と玉が集結した6筋(4筋)で▲6四歩 から▲6五歩の継ぎ歩が最も有力な攻め筋です 「図4」では先手が勝勢と 言っても過言では無い局面です |
本章では先手が金無双よりも堅固な矢倉囲いを目指す戦型を御紹介します 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金v銀 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 歩 歩 ・ ・v飛 ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=18 ▽同 飛(32) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、後手が3筋の歩を交換した所です 前章では▲3七歩としましたが 実は先手には、ここで一つの狙いを実現 出来る手段が有るのです 「図1」から「図2」までの手順 ▲5八金左 ▽3四飛 ▲4六歩 ▽4四歩 ▲4七金 ▽4三銀 ▲3七銀 ▽1四歩 ▲3六歩 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金 ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v飛 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 金 銀 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲3六歩打 まで 3筋の歩が切れたのを利用して金銀を盛り上げて行き、矢倉囲いを目指す と言うのが、その有力手段です 相振り飛車の場合は矢倉に組めれば 作戦勝ちとなる事が多いのです 前章で御紹介した金無双は上部に固い守りですが意外に粘りが効かないと 言う事で最近では美濃囲いにする手段もとられています しかし後の章で 御紹介しますが敵の攻撃陣が上部にいるので不用意に組むと危ないのです それに比べると矢倉は固く粘りも効く好形なのは相居飛車戦同様なのです 「図2」から「図3」までの手順 ▽1三角 ▲6五歩 ▽3三桂 ▲5六銀 ▽5四銀 ▲4八玉 ▽6二金上 ▲3八金 ▽1二香 ▲2六銀 ▽4五歩 ▲3五歩 ▽同 角 ▲同 銀 ▽同 飛 ▲4四角打 「図3」 後手の持駒:銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・ ・v玉v金v金 ・ ・ ・v香|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v桂v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・v銀 角 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ 歩 ・v歩v飛 ・ ・|五 | ・ 歩 歩 ・ 銀 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 ・ 歩 金 ・ 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ 玉 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=43 ▲4四角打 まで 矢倉に対して、金無双には好形だった石田流に組むのは敵の金銀に近づき 過ぎて危険なのです ▲2六銀が矢倉の厚みを生かした好手で「図3」では 先手優勢の局面となっています 「図2」から「図4」までの手順 ▽2四歩 ▲4八玉 ▽2五歩 ▲3八金 ▽1三角 ▲5六銀 ▽3三桂 ▲6五歩 ▽5四銀 ▲8五歩 ▽8二銀 ▲3九玉 ▽1二香 ▲1六歩 ▽6二金上 ▲2八玉 ▽4五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲4五銀 「図4」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v銀v玉v金v金 ・ ・ ・v香|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v飛 ・v角|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 銀 ・v歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 ・ ・ ・ 歩 金 銀 歩 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 歩 手数=49 ▲4五銀(56) まで ▲2六銀を許しては不利となるので、▽2四歩から▽2五歩と伸ばしてから ▽4五歩と攻めますが、やはり先手の矢倉は手厚く「図4」まで後手の攻めは 失敗となります ▽4五歩 ▲同歩に▽同銀の所、▽同桂と取るのは同じく ▲同銀と取られ ▽同銀に▲4六歩 ▽5四銀と追ってから▲1一角成で 次の▲1二馬が厳しく、やはり先手優勢となります |
前章で先手の矢倉が非常に手厚く有力な手段で有る事を、御紹介しましたが 本章では対する後手側の有力対抗策を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金v銀 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 歩 歩 ・ ・v飛 ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=18 ▽同 飛(32) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、後手が3筋の歩を切った所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲5八金左 ▽8二玉 ▲3七銀 ▽3一飛 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲4六歩 ▽4三銀 ▲4七金 ▽3四銀 ▲8五歩 ▽4一飛 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三歩 ▲8六飛 ▽7二金 ▲3八金 ▽9二香 ▲4八玉 ▽9一玉 ▲3九玉 ▽8二銀 ▲2八玉 ▽3三角 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲9六歩 ▽2四角 ▲9五歩 ▽3三桂 ▲5六銀 ▽6二金左 ▲6五歩 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v玉v桂 ・ ・ ・v飛 ・ ・v香|一 |v香v銀v金v金 ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v桂v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v銀v角v歩|四 | 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 飛 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ ・ 角 ・ 歩 金 銀 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=53 ▲6五歩(66) まで 前章では先手の▲5八金左に、すぐに飛車を引きましたが今回は保留して ▲3七銀と矢倉模様に当てられてから引きます ▽3四飛と浮き飛車に 構えるのは矢倉に対して思わしく無いのは前章で解説した通りなので ▽3一飛と深く引き更に先手の矢倉以上に堅固な穴熊囲いを目指します 相振り飛車での穴熊は「図2」のように金を横に並べるのが上からの 攻めに強く好形となります 「図2」から「図3」までの手順 ▽1五歩 ▲同 歩 ▽1七歩 ▲同 香 ▽2五桂 ▲2六銀 ▽4五歩 ▲同 歩 ▽1七桂成 ▲同 銀 ▽1五香 ▲1六歩 ▽4六歩 ▲3七金寄 ▽4五銀 「図3」 後手の持駒:香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v玉v桂 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|一 |v香v銀v金v金 ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|四 | 歩 ・ ・ 歩 ・v銀 ・ ・v香|五 | ・ 飛 歩 ・ 銀v歩 歩 ・ 歩|六 | ・ ・ 角 ・ 歩 ・ 金 歩 銀|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩三 手数=68 ▽4五銀(34) まで 「図2」では既に後手の作戦勝ちになっているのです この後手の攻撃形は 11章で御紹介した矢倉崩しと同じ形で、理想形の一つです ただ漠然と矢倉を目指すのは相振り飛車の場合でも、作戦負けを喫する事に なるのです 「図3」では後手は穴熊の堅陣で大勢は決しています 「図1」から「図2」に至るまでに何処かで動く必要が有ったのです 一例として43手目の▲2八玉で▲8五飛と後手の攻撃陣を牽制するのも 有力です「図4」 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v玉v桂 ・ ・ ・v飛 ・v桂v香|一 |v香v銀v金 ・v金 ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v銀 ・ ・|四 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 金 銀 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=43 ▲8五飛(86) まで これで次に▲3五歩と後手の銀を撃退する手を狙えば先手の駒組みの方が 進展性が有り、指す手が分かり易いと言えます しかし形勢は不明です ただ後手は穴熊では無く美濃囲いにして「図2」の攻撃形を狙う手も有り その場合先手は更に早い応戦が必要になるでしょう それなら逆に陣形決定 を保留して後手の動きを見る手は考えられます 後は次章で |
本章で向かい飛車と三間飛車対抗型の解説は最後となります 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金v銀 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 歩 歩 ・ ・v飛 ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=18 ▽同 飛(32) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、後手が3筋の歩を切った所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲5八金左 ▽8二玉 ▲4八玉 ▽9二香 ▲3七歩 ▽3四飛 ▲3八玉 ▽9一玉 ▲6五歩 ▽4四歩 ▲5六銀 ▽3三桂 ▲8五歩 ▽8二銀 ▲9六歩 ▽7二金 ▲9五歩 ▽4三銀 ▲6六角 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽1三角 ▲8四歩 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v玉v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 |v香v銀v金 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v桂v歩v角|三 | ・ 歩 ・ ・ ・v歩v飛 ・v歩|四 | 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 角 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ 金 ・ 玉 銀 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=41 ▲8四歩(85) まで 後手が飛車を引かないのなら先手も態度を保留して、後手の動きを見ます ▽9二香を見て▲3七歩と矢倉を放棄して金無双を目指し、後手も浮き飛車に と言った感じで 互いに相手の動き次第で戦型を選び、より有利な形を 目指し合いますが、手数の掛かる後手の穴熊に対して素早く攻撃形を整え 「図2」となった所では先手が指しやすい局面と言えます また「図1」では▲6五歩として後手の応手を見る手も有り、3筋での歩の 交換を上手く利用すれば先手が有望でしょう そう言う意味で後手も3筋の 交換をもう少し保留して様子を見る方が良いかも知れません 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3二飛 ▲6八銀 ▽6二玉 ▲6七銀 ▽7二玉 ▲7七角 ▽3五歩 ▲8八飛 ▽5二金左 ▲3八銀 ▽3六歩 ▲4八玉 ▽2四歩 ▲3六歩 ▽同 飛 ▲3七歩 ▽3四飛 ▲3九玉 ▽2五歩 ▲5八金左 ▽3二銀 ▲2八玉 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金 ・v銀v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲2八玉(39) まで 最後に普通の振り飛車と同様の形に 何も考えず進めて行くとどうなるか と言う例を見て頂きます「図3」の先手陣は向かい飛車に美濃囲いと言う 振り飛車としては普通の戦型です 「図3」から「図4」までの手順 ▽2三銀 ▲8六歩 ▽2四銀 ▲8五歩 ▽3五銀 ▲7五歩 ▽2四飛 ▲7六銀 ▽4四角 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三歩 ▲8六飛 ▽2六歩 ▲同 歩 ▽2七歩 ▲同 銀 ▽2六銀 ▲同 銀 ▽2七歩 ▲同 玉 ▽2六飛 ▲3八玉 ▽2七銀 ▲4八玉 ▽2八銀成 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 飛 銀 歩 ・ ・ ・v飛 ・|六 | 歩 ・ 角 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・v全 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩四 手数=52 ▽2八銀成(27) まで 「図4」までは一例に過ぎませんが、相手の動きに敏感に対応しないと 作戦負けから、何も出来ず敗勢となってしまうのは玉頭に敵攻撃陣がいない 振り飛車との違いです |
本章では先手の向かい飛車に後手側が四間飛車に振った場合の攻防を見て 頂く事にします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽4四歩 ▲6八銀 ▽4二飛 ▲6七銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=7 ▲6七銀(68) まで ▲6六歩に▽4四歩と後手も角道を止めて同型に進み▲6八銀に▽4二飛と 早々と四間飛車に振って来ます 「図1」から「図2」までの手順 ▽4五歩 ▲5六銀 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲4八飛 ▽同飛成 ▲同 金 「図2」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩 手数=15 ▲同 金(49) まで ▽4五歩から▽4六歩と、いきなり4筋の歩交換をして来る手が気になる 所ですが「図2」まで飛車交換となった局面は手得で先手が指しやすい形勢 と言えます 「図1」から「図3」までの手順 ▽3二銀 ▲7七角 ▽4三銀 ▲8八飛 ▽8二銀 ▲7五歩 ▽6二玉 ▲8六歩 ▽7二玉 ▲8五歩 ▽5二金左 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三歩 ▲8六飛 ▽4五歩 ▲3八銀 ▽5四銀 ▲4八玉 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲4七歩 ▽4二飛 ▲3九玉 ▽3三角 ▲5八金左 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽6二金上 ▲5六銀 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v銀v玉v金v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 飛 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 角 ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=41 ▲5六銀(67) まで 四間飛車側から序盤早々に攻めに出るのは無理なので持久戦にします 対して▽8二銀に▲7五歩とするのがポイントで、これで後手の玉型に制約 を加えるのです これを怠ると▽7四歩から▽7三銀と矢倉に組む手を 狙われます 先手は8筋の歩を交換し、後手も4筋の歩交換に出ますが ▽4四飛と浮き飛車にするのは先手の角筋に入り危険なので▽4二飛と深く 引くしかありません この浮き飛車にし難いと言うのが四間飛車の弱点です 先手側は対四間飛車には美濃囲いに組む方が、4筋が固く金無双より安心と 言えます 「図3」から「図4」までの手順 ▽2四歩 ▲6五歩 ▽2五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲6六角 ▽4三飛 ▲7七桂 ▽1二香 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 桂 ▽6四歩 ▲4四銀 ▽4一飛 ▲5三桂成 「図4」 後手の持駒:角 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|一 | ・v銀v玉v金v金 ・ ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ 圭 ・v桂 ・ ・|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ 銀v歩 ・v歩|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・|五 | 歩 飛 ・ 角 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=61 ▲5三桂成(65) まで ▲6五歩と角道を開き、角交換から▲6六角と再度角を打つのが有力な手段です 以下「図4」までは一例ですが、玉頭を直接狙える向かい飛車の方が戦型的に 勝っているようです |
本章では後手側が中飛車に振る対抗型を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽5四歩 ▲6八銀 ▽5二飛 ▲6七銀 ▽5五歩 ▲7七角 ▽4二銀 ▲8八飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v飛v銀 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=11 ▲8八飛(28) まで ▽5四歩から後手は中飛車に振り、先手は前章までと同じく▲8八飛と 向かい飛車に振ります 「図1」から「図2」までの手順 ▽5三銀 ▲4八玉 ▽5四銀 ▲3八玉 ▽4五銀 ▲6五歩 ▽6二玉 ▲5八金左 ▽7二玉 ▲8六歩 ▽3三角 ▲8五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ 歩 ・ 歩v歩v銀 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ 金 ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲8五歩(86) まで ▽5三銀から銀を中央に繰り出し速攻に来る手は、対中飛車では真っ先に 気になる手段と言えますが、▽4五銀に▲6五歩と角道を開け8筋の歩を 突き、迎え打つ体勢を築きます 「図2」から「図3」までの手順 ▽5六歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲同 銀 ▽同 飛 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲8四飛 ▽8三歩 ▲6四飛 ▽6三歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3四飛 ▽4五桂 ▲6四歩 ▽6二銀 ▲6三歩成 ▽同 銀 ▲6四歩 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・ ・v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・v飛 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩三 手数=45 ▲6四歩打 まで 「図3」までは▽5六歩から中飛車側が攻勢に出た場合の進行例で、手順中 ▲8四飛と反撃に出る所で、一旦▲5七歩と受ける手も有力で後手の飛車は 引き場所が難しく先手が指しやすい形勢となります ▲8四歩、▲6四歩と 突き捨てて捌いて行く感覚は相振り飛車独特の駒捌きで「図3」となっては 先手の手勝ちは確実です 「図1」から「図4」までの手順 ▽5三銀 ▲4八玉 ▽5四銀 ▲3八玉 ▽3三角 ▲5八金左 ▽6二玉 ▲8六歩 ▽7二玉 ▲8五歩 ▽8二玉 ▲7五歩 ▽7二銀 ▲2八玉 ▽6四歩 ▲3八銀 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v歩v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・ 歩 歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲9六歩(97) まで 急戦で攻め合うのは先手の向かい飛車の方が玉に近く得策とは言えないので 5筋の位を生かすべく持久戦に持って行くのはどうかと言う事になります 「図4」までは互いに自然に進めて行けば、この向かい飛車と中飛車の 対抗型では最もオーソドックスな局面と言えます 先手は対四間飛車同様に ▲7五歩とこの位を取るのが重要なポイントです 以下は次章で |
前章に引き続き、向かい飛車と中飛車の対抗型を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v歩v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・ 歩 歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲9六歩(97) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、向かい飛車対中飛車の持久戦模様です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5一金左 ▲4六歩 ▽6二金左 ▲3六歩 ▽6三金 ▲4七金 ▽4四歩 ▲3七桂 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金 ・ ・v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・ 歩 歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ ・ 角 銀 歩 金 桂 歩 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=39 ▲3七桂(29) まで 「図2」まで高美濃の好形に組んだ先手陣には隙が無く、後手の5筋の位と 先手の7筋の位を比べて見た場合に先手の位の方が、相手の玉に対する 影響力から、よりポイントが高いと言えます 「図1」から「図3」までの手順 ▽5一金左 ▲4六歩 ▽6二金左 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三歩 ▲8六飛 ▽6三金 ▲7六銀 ▽4四歩 ▲8五銀 ▽4五歩 ▲9四銀 ▽4六歩 ▲9五歩 ▽4五銀 ▲6五歩 ▽5六歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲6四歩 ▽6二金引 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲8三歩 ▽同 銀 ▲同銀成 ▽同 玉 ▲5六飛 ▽同 飛 ▲6五角 「図3」 後手の持駒:飛 角 銀 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v玉v歩 ・ ・ ・v桂v歩 ・|三 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | 歩 ・ 歩 角 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・v飛v歩 ・ ・ 歩|六 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀二 歩二 手数=65 ▲6五角打 まで 8筋の歩交換の後、銀を繰り出し▲9四銀と端を攻めるのも「図1」からの 有力手段です ▲9四銀に▽同香は▲9五歩で端から一方的に攻められて 敗勢となるので、▽4六歩の取り込みから▽4五銀で攻め合いに出ますが やはり玉の響きに大きな違いが有り「図3」までは一例ですが、中飛車側に 思わしく無い結果となります 最後に後手が▽5四歩から、いきなりゴキゲン中飛車模様に来た場合の 先手の対抗策を見て頂きます 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽5四歩 ▲7七角 ▽5二飛 ▲8八飛 ▽5五歩 ▲4八玉 ▽5六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲5八飛 ▽同飛成 ▲同金左 「図4」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩 手数=13 ▲同 金(69) まで 後手が角道を開けず中飛車に振って来た時に、これを相振り飛車で迎え撃つと 言った場合は3手目に▲7七角と上がり▽5二飛に▲8八飛と振れば大丈夫です 以下、5筋から歩交換に来れば「図4」まで飛車交換に持ち込み115章の 「図2」と同じく手得で先手が指しやすくなります 115章から先手の向かい飛車に四間飛車、そして中飛車で後手が対抗した時の 変化を御紹介しましたが、相振り飛車に限っては相手玉に対する攻撃力が 向かい飛車が一番強力で作戦勝ちを狙えるように思えます |
本章では先手の向かい飛車に後手も向かい飛車で対抗する形を解説します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3三角 ▲6八銀 ▽2二飛 ▲6七銀 ▽2四歩 ▲7七角 ▽2五歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲3七銀 ▽7二玉 ▲8八飛 ▽4四歩 ▲3八金 ▽4三銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 銀 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=20 ▽4三銀(42) まで 110章でも紹介したように、最近良く指されるようになったのが4手目に ▽3三角と上がり先手に先んじて▽2二飛と向かい飛車にする手法で後手番 での相振り飛車対抗型として、非常に優れた戦型と思います 「図1」から「図2」までの手順 ▲4六歩 ▽5二金左 ▲5八金 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽6二金上 ▲4九玉 ▽4二飛 ▲3九玉 ▽2四角 ▲6五歩 ▽3三桂 ▲4七金左 ▽4五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉v金v金v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v角 ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・v銀 ・v歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 金 銀 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=36 ▽同 銀(54) まで ▲3七銀型にしてから▲8八飛と回った形を生かすには矢倉に組むと言うのが 自然の流れですが、「図1」から▲4六歩とすぐに矢倉に組むのは4筋に 狙いをつけ例のごとく矢倉崩しを狙われます 向かい飛車は攻め足が速いため ただ守勢になると、好きなように攻められる事になるのです 「図1」から「図3」までの手順 ▲8六歩 ▽5二金左 ▲8五歩 ▽8二銀 ▲7五歩 ▽6二金上 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三歩 ▲8六飛 ▽4五歩 ▲5八金 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽1四歩 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲4九玉 ▽1五歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v銀v玉v金v金 ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角 ・ ・|三 |v歩 ・ ・ ・v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩|五 | 歩 飛 ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ ・ 角 ・ 歩 歩 銀 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 玉 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=40 ▽1五歩(14) まで 「図1」からは8筋の歩を伸ばし、攻勢の形を先に築いて行く方が最善と 思います ▽5四銀型には4筋を迂闊に突かない方が得策なのです 玉の移動も場合によりますが、後手の攻撃陣に遠く▲4九玉から囲いに 近づける方が安全です それだけ後手に攻撃力が有るのです 「図3」から「図4」までの手順 ▲6五歩 ▽9三銀 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲6六角 ▽4二金 ▲7七桂 ▽8四銀 ▲8五歩 ▽9三銀 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲5五銀 「図4」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉v金 ・v金 ・v飛 ・|二 |v銀v歩 ・v歩v歩 ・v桂 ・ ・|三 |v歩 ・v歩 ・v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ 歩 ・ 歩 銀v歩 ・v歩v歩|五 | 歩 飛 ・ 角 ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ ・ 桂 ・ 歩 歩 銀 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 玉 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=53 ▲5五銀(56) まで ▲6五歩から115章の対四間飛車同様、角交換から▲6六角と打ちます この相向かい飛車型には▲3七銀で後手の飛車先交換を防ぎ、先手だけ歩を 切って攻勢に出るのが秘訣で、以下「図4」のような形を狙えば先手が 指せる形勢となります |
前章に引き続き、先後共に向かい飛車にする戦型の解説をします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3三角 ▲6八銀 ▽2二飛 ▲6七銀 ▽2四歩 ▲7七角 ▽2五歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲3七銀 ▽7二銀 ▲7五歩 ▽7一玉 ▲8八飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 銀 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲8八飛(28) まで ▽6二玉の後▽7二銀と美濃囲いに後手が組んで行く形を見て頂きます ▲7五歩として▽7四歩から▽7三銀の形を阻止します 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲3八金 ▽5二金左 ▲5八金 ▽5三銀 ▲4九玉 ▽6四銀 ▲7六銀 ▽5五銀 ▲6八飛 ▽8二玉 ▲6五歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽1五歩 ▲4七金左 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v角 ・ ・|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 歩v銀 ・ ・v歩v歩|五 | ・ ・ 銀 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 金 銀 歩 歩|七 | ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 玉 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲4七金(58) まで ▲7五歩を狙って▽5四歩から銀を6四に繰り出して来る手が気になる所 ですが▲7六銀から「図2」の形まで進めれば、次の▲4五歩で銀が 助からなくなるので▽4四銀と下がる事になり手得で作戦勝ちとなります 「図1」から「図3」までの手順 ▽5二金左 ▲3八金 ▽4四歩 ▲5八金 ▽4三銀 ▲4九玉 ▽5四銀 ▲8六歩 ▽6四歩 ▲8五歩 ▽6三金 ▲3九玉 ▽4五歩 ▲9六歩 ▽8二玉 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三歩 ▲8六飛 ▽1四歩 ▲9五歩 ▽1五歩 ▲6八角 ▽4四角 ▲7七桂 ▽3三桂 ▲5六歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v金v歩 ・v桂 ・ ・|三 | ・ ・ ・v歩v銀v角v歩 ・ ・|四 | 歩 ・ 歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩|五 | ・ 飛 ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ ・ 桂 銀 ・ 歩 銀 歩 歩|七 | ・ ・ ・ 角 金 ・ 金 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=47 ▲5六歩(57) まで 7五の歩を取りに行く手は無理筋なので、後手も玉を固めて持久戦にします ▽1四歩には、ここまでいずれも受けていませんが向かい飛車には受けない 方が安全な事が多いのです 後手も▽9四歩と受けると117章の「図3」 までのように▲9四銀と端を攻める手が有るので手抜きします これには角を引き▲7七桂と跳ね、9筋を桂で攻める形を狙うのが有力です 「図3」では後手は手詰まりで指す手に困っています 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3三角 ▲6八銀 ▽2二飛 ▲6七銀 ▽2四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲7七角 ▽7四歩 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩 ・v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=12 ▽7四歩(73) まで 後手側の手段として▽2四歩で▲4八銀を誘い▽7四歩と突く手が有ります ここで▲6五歩と突いても▽8二銀で心配は有りません これで▲7五歩とされる手は阻止出来ます ここからの変化は次章で |
本章では序盤で互いに作戦勝ちを目指し合う攻防を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩 ・v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=12 ▽7四歩(73) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3六歩 ▽8二銀 ▲3七銀 ▽7三銀 ▲8八飛 ▽7二金 ▲3八金 ▽6一玉 ▲5八金 ▽5二金 ▲4九玉 ▽4四歩 ▲5六銀 ▽4三銀 ▲3九玉 ▽5四銀 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲8六歩 ▽7一玉 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉 ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v金 ・v金 ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v銀v歩v歩 ・v角 ・ ・|三 |v歩 ・v歩 ・v銀v歩v歩v歩v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 歩 歩 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ ・ 角 ・ 歩 歩 銀 歩 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=34 ▽7一玉(61) まで ▽2四歩で▲4八銀を誘い、▽7四歩から▽7三銀の形を実現するのが 後手側の狙いで 以下「図2」まで相居飛車を左右逆にしたような局面に なりますが 先手側が振り飛車しか指さない相手の場合には有効な策と なり得ます 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3三角 ▲7八銀 ▽2二飛 ▲4八銀 ▽7四歩 ▲7七角 ▽8二銀 ▲3六歩 ▽7三銀 ▲3七銀 ▽7二金 ▲5八金右 ▽4二銀 ▲6八玉 ▽5二金 ▲7九玉 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v金 ・v金v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩v銀v歩v歩v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 歩 銀 歩 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲7九玉(68) まで ▽3三角に▲7八銀と上がり、▽7四歩から後手が早い時期に▽7三銀型に 組んだ場合は居飛車左美濃に変化するのが有力な手段となります 居飛車対振り飛車の対抗型には▽7三銀、▽7二金の形は良い布陣とは 言い難いのです この形は上からの攻めには強いですが「図3」の局面は 横から玉を攻める事が多い為、先手陣の方が好形なのです ただし▽2二飛の所で▽8四歩と後手が居飛車に変化する手が有り そうなると先手の▲7八銀は損になる事が有るのです この辺りは難しく 相振り飛車からも外れるので別の章に回します 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3三角 ▲6八銀 ▽2二飛 ▲6七銀 ▽2四歩 ▲7七角 ▽4二銀 ▲8八飛 ▽2五歩 ▲2八銀 ▽2六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲2七歩 ▽2四飛 ▲8六歩 ▽6二玉 ▲8五歩 ▽3五歩 ▲4八玉 ▽7二玉 ▲3八玉 ▽8二銀 ▲6五歩 ▽4四歩 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三歩 ▲8六飛 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v銀v玉 ・ ・v銀 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v飛 ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 銀 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=33 ▲8六飛(84) まで 牽制し合えば「図4」までのように互いに金無双の対抗型も有ります しかし後手が向かい飛車の場合は、先手は▲3七銀型を築く方が得です 後手も早目に2五歩を決めて先手の形を限定させる方が分かり易いのです |
本章では先手側が玉を左側に持って行く、居飛車の右玉と同様の戦型を 御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3三角 ▲6八銀 ▽2二飛 ▲6七銀 ▽2四歩 ▲7七角 ▽4二銀 ▲8八飛 ▽2五歩 ▲3八金 ▽2六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲2七歩 ▽2四飛 ▲7五歩 ▽6二玉 ▲8六歩 ▽7二玉 ▲8五歩 ▽3五歩 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|四 | ・ 歩 歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽3五歩(34) まで 後手が▽2五歩を保留した場合は▲8八飛と先に振る事が出来ますが 前章の「図4」のような展開ではつまりません そこで右翼の守備を簡単に 構えて変化する手段が有るのです 「図1」から「図2」までの手順 ▲7八金 ▽5二金左 ▲7六銀 ▽8二銀 ▲6七金 ▽3四飛 ▲4八銀 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3七歩 ▽3四飛 ▲5六歩 ▽6二金上 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲6八角 ▽1四歩 ▲7七桂 ▽1五歩 ▲8九飛 ▽5四歩 ▲6九玉 ▽5三銀 ▲7八玉 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v銀v玉v金v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v銀v歩v角 ・ ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・v飛 ・ ・|四 | ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩|五 | 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 桂 金 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 玉 角 ・ 銀 金 ・ ・|八 | 香 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=49 ▲7八玉(69) まで ▲7六銀から▲6七金と盛り上がり玉を左側に持って行くのです これが意外に有力で後手側から攻略し難い形なのです 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩 ・v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=12 ▽7四歩(73) まで 「図3」は前章「図1」と同一局面、後手が▽7四歩と早目に突き先手に ▲7五歩と突かれるのを防いだ所です 「図3」から「図4」までの手順 ▲4六歩 ▽8二銀 ▲4七銀 ▽7三銀 ▲3六歩 ▽2五歩 ▲3八金 ▽6二玉 ▲3七桂 ▽4四歩 ▲5八金 ▽7二金 ▲2九飛 ▽7一玉 ▲6八玉 ▽8二玉 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲7八玉 ▽4三銀 ▲6八角 ▽5二金 ▲5六歩 ▽6四歩 ▲7七桂 ▽6三金左 ▲5七角 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v銀v金v歩v銀v角 ・ ・|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 桂 銀 角 銀 桂 歩 ・|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ 金 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=41 ▲5七角(68) まで 「図4」の局面を見て、気づかれた方も多いと思いますが先手の布陣は 65、66章で御紹介した風車或いは新風車に似た物となっています これは後手が▽2五歩と早目に決めて来た場合でも採用出来る戦型です 以上で相振り飛車編を終了しますが、この戦型は相居飛車を逆にしただけに 思えますが今まで御紹介した居飛車戦型のどれとも違う事を分かって頂けた でしょうか それを感じて貰う為に本戦型をセカンドステップとしました この戦型はプロ間でも実戦例が少なくこれからも新型が生まれる事と思います |
本章から基本3大原則に添った戦法として10〜12章で御紹介した矢倉を セカンドステップとして更に詳しく解説して行きたいと思います それではまず、その原点と言える戦型から 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 > 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=6 ▽6二銀(71) まで 5手目は▲7七銀として矢倉にする手も有るのは前述しました 「図1」から「図2」までの手順 ▲4八銀 ▽8五歩 ▲7七銀 ▽7四歩 ▲7八金 ▽7三銀 ▲5八金 ▽6四銀 ▲6七金右 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=18 ▽同 銀(64) まで 「図1」から▲4八銀とすると▽8五歩から「図2」までのように後手に 速攻されてしまうのです これで悪くなると言う訳では無いのですが 主導権は後手が握る事になります 「図1」から「図3」までの手順 ▲5六歩 ▽8五歩 ▲7七銀 ▽7四歩 ▲5八金右 ▽7三銀 ▲6七金 ▽6四銀 ▲7九角 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲4六角 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 歩 歩 角 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=19 ▲4六角(79) まで 「図1」からは▲5六歩とするのが現在最善とされています それでも 「図2」までの速攻に来れば角を転換して「図3」まで無理筋となるのです 「図1」から「図4」までの手順 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金 ▲7八金 ▽4一玉 ▲6七金右 ▽5二金 ▲6九玉 ▽3三銀 ▲3六歩 ▽7四歩 ▲7七銀 ▽4四歩 ▲7九角 ▽3一角 ▲2六歩 ▽8五歩 ▲2五歩 ▽4三金右 ▲4六角 ▽6四角 ▲3七角 ▽7三角 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲5七銀 ▽5三銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲2六角 ▽3一玉 ▲7九玉 ▽8四角 ▲8八玉 ▽2二玉 ▲3七桂 ▽7三桂 ▲4五歩 ▽6五歩 ▲2九飛 ▽8一飛 ▲4九飛 ▽6一飛 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩 ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六 | ・ 歩 銀 金 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=54 ▽6一飛(81) まで この「図4」が矢倉の原点と言える局面なのです 手順中先後共に角交換 するのは手損となります 共に金銀4枚の総矢倉と呼ばれる堅陣を築き 全くの同型となりました この局面は千日手と言うのが結論で常識とされて いるのです これを先手が避ける所から様々な戦型が生まれるのですが 本当に攻め込んで行く事は出来ない物なのでしょうか 次章からそれを 検証して行きたいと思います |
本章では相総矢倉基本図から先手が攻めると、実際はどうなるのか それを見て頂く事にします 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩 ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六 | ・ 歩 銀 金 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=54 ▽6一飛(81) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、相総矢倉先後同型の基本図です 「図1」から「図2」までの手順 ▲4四歩 ▽同銀右 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2五歩 ▽同 歩 ▲同 桂 ▽2四銀 ▲4四角 ▽同 金 ▲同 飛 「図2」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩 飛v歩v銀v歩|四 | ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ 桂 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 銀 歩 手数=65 ▲同 飛(49) まで ▲4四歩と取り込んだ手に▽同銀右と取るのは悪手で、以下▲2四歩から ▲2五歩と継ぎ歩の手筋が有り「図2」まで先手勝勢となります ▲2四歩を▽同銀と取れば▲4四角が有るので▽同歩と取りますが▲2五歩 として以下4筋で二枚換えとなり結果は同じ事になります 「図1」から「図3」までの手順 ▲4四歩 ▽同銀左 ▲4五桂 ▽4二銀 ▲4四角 ▽同 金 ▲5三銀 ▽4三銀 ▲4四銀成 ▽同 銀 ▲5二金 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ 金 ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩v銀v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・v歩 ・ 桂 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=65 ▲5二金打 まで ▲4四歩には▽同銀左と取るのが正着です ここで緩む事は出来ないので 角を切って強攻に出ますが総矢倉は流石に固く一気に攻め切るのは無理です 飛車の位置が6二ならば▲5三銀と打った手が飛車取りとなり、攻めが成立 します それで互いに飛車を引いてから6筋(4筋)に回ったのです 「図3」の▲5二金は飛車が逃げれば▲5三桂成とするのが狙いですが 勿論ここで手番を手にした後手は反撃に出ます 「図3」から「図4」までの手順 ▽5八角 ▲4八飛 ▽6七角成 ▲同 金 ▽6六歩 ▲同銀左 ▽6五歩 ▲7七銀 ▽6六銀 ▲同銀左 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 飛 ▲同 金 ▽同 角 ▲7七角 ▽同角成 ▲同 桂 ▽6六角 「図4」 後手の持駒:金二 銀二 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ 金 ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v銀v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 桂 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩v角 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 銀 歩三 手数=84 ▽6六角打 まで ▽5八角から後手の反撃が始まりますが、駒を渡しているので「図1」から 先手が攻めた時より更に攻撃力が強く、一気に攻めが決まってしまいました ▽5八角で▽5八銀ですと▲6一金と飛車を取られ▽4九銀不成と飛車を 取るしか無くなり 後の銀の働きが悪く思わしく有りません 以下「図4」 までは途中多少の変化は有るでしょうが、先手が良くなる順は無いのです ▲5二金では▲8三金と角取りに打つ手も有りますが やはり▽6六歩と され結果は変わりません 「図1」から▲4四歩と取り込むのは一番に 考えられる手ですが結果は先手不利となり成立しないのです |
前章に続いて相総矢倉の攻防を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩 ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六 | ・ 歩 銀 金 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=54 ▽6一飛(81) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、相総矢倉先後同型の基本図です 「図1」から「図2」までの手順 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲同 香 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩 ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・ 歩 香|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 ・|六 | ・ 歩 銀 金 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=57 ▲同 香(19) まで 「図1」では端から行く手も有力です ▲1五同香に▽1三歩と謝るのは ▲2四歩から▲2五歩と例の継ぎ歩が有ります 一歩手に入れこれを実現 するのが狙いなのです 「図2」から「図3」までの手順 ▽同 香 ▲同 角 ▽6六歩 ▲同銀左 ▽6五歩 ▲7七銀 ▽6六香 ▲4四歩 ▽同銀左 ▲4五歩 ▽3三銀 ▲4四香 ▽6七香成 ▲同 金 ▽6六金 ▲同 金 ▽同 歩 ▲4三香成 ▽同 金 ▲4四香 ▽6七歩成 ▲4三香成 ▽7八金 ▲9八玉 ▽7七と ▲3三角成 「図3」 後手の持駒:銀 香 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀 杏 馬v歩 ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩vと ・ 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | 玉 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金三 銀 歩二 手数=83 ▲3三角成(15) まで ▽1五同香と取って▽6六歩から先攻するのは「図3」まで1五の角が 後手の死命を制する事になります 「図2」から「図4」までの手順 ▽1四歩 ▲同 香 ▽同 香 ▲1五歩 ▽6六歩 ▲同銀左 ▽6五歩 ▲7七銀 ▽6六香 ▲1四歩 ▽6七香成 ▲同 金 ▽6六金 ▲4四歩 ▽同銀左 ▲4五歩 ▽6七金 ▲4四歩 ▽7八金打 ▲9八玉 ▽7七金寄 ▲同 桂 ▽同 金 ▲4三歩成 ▽8六桂 ▲同 歩 ▽8七銀 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀 と ・v歩 ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩 ・v歩 ・ 歩|四 | ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 角 ・|六 | ・v銀v金 ・ 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金二 銀 桂 香二 歩二 手数=84 ▽8七銀打 まで ▽1四歩と打って香を先に手に入れ、▲1五歩と取り返しに来た時▽6六歩 と攻めるのが正着で「図4」まで変化は有っても後手の一手勝ちとなります 以上「図1」から攻めるのは無理筋となる為、手待ちするしか無いのですが 飛車を横に動かすのは、その瞬間に▽4二銀左とされ▲4九飛と戻した時に ▽4五歩と取られ▲同桂 ▽4四銀で「図1」から▲4四歩と取り込んだ 前章の「図3」までの途中局面と同じになります これでは手待ちの意味が無いので飛車は縦に動かすしか無いですが▲4八飛 また▲4六飛とするのは▽6六歩から前章「図3」までの先手の攻め筋を 逆に敢行され▽5七銀と打ち込まれる手が飛車取りに当たって拙いのです そこで▲4七飛 ▲4九飛と動かす事になり当然後手も同じく▽6三飛と ▽6一飛の繰り返しになります 結果として「図1」からは先後共に 打開する手は無く千日手と言う事になるのです |
本章では先手の矢倉模様に後手が一直線に棒銀を繰り出して来る超急戦策を 御紹介致します 122章でも先手の駒組み手順によっては早繰り銀での 急戦が有るのを見て頂きましたが、それから比べると破壊力が全く違い 対抗法を知らないと一気に敗勢となるので、本格的な戦型を御紹介する前に 解説しておきます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩 ▲7七銀 ▽7二銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=8 ▽7二銀(71) まで ▲6八銀から▲6六歩と矢倉を思わせる先手の手順に▽8五歩と突いて 先手が▲7七銀と、はっきり矢倉模様にしたのを見てから▽7二銀とします 矢倉には▽6二銀が普通の形ですので この▽7二銀は明らかに▽8三銀 から棒銀に来る事を明示した手です これには先手も▲4八銀などと指して いる暇は有りません 迎え撃つ体勢を整える必要が有るのです 「図1」から「図2」までの手順 ▲7八金 ▽8三銀 ▲5八金 ▽8四銀 ▲7九角 ▽6四歩 ▲6七金右 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v銀 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 ・ 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=15 ▲6七金(58) まで ▽8三銀から繰り出されて来る棒銀に対して「図2」まで素早く矢倉を 組み上げる事が出来ました これで▽9五銀と出られても▲6八角とすれば ピッタリ受かるので心配無いように見えますが 「図2」から「図3」までの手順 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽9五銀 ▲6八角 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲同 銀 ▽9九角成 「図3」 後手の持駒:香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 金 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 |v馬 桂 ・ ・ 玉 ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=24 ▽9九角成(22) まで ▽6四歩と直前に突いた手が、実は後手の強烈な狙い筋の下準備でした ▽6五歩 ▲同歩としてから▽9五銀で以下「図3」まで角が成り込んで 後手が優勢となりました この手順はプロの対局にも現れた物で単純ですが 意外に防ぎ難い急戦策なのです ▽6五歩を取らずに▲6八角としても ▽9五銀 ▲9六歩 ▽8六歩 ▲同歩 ▽6六歩と多少手順が変わっても 以下ほとんど「図3」と同じ結果になります 「図1」から「図4」までの手順 ▲5六歩 ▽8三銀 ▲7八金 ▽8四銀 ▲7九角 ▽6四歩 ▲6八角 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v銀 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=15 ▲6八角(79) まで ▲5六歩から「図4」まで先手の形が少し変わりましたが、寧ろ「図2」の 形の方が堅固に思われるうえに▽6五歩から▽9五銀とされると「図3」と あまり結果に違いは無いように見えます しかしこの僅かな違いが決定的な 差となって現れるのです その先手の対抗策は次章で |
後手の超急戦棒銀に対する先手の対抗策を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v銀 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=15 ▲6八角(79) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面です 前章でも触れたように後手の飛車 そして角銀が先手陣に集中して、これでとても受け切れると思えませんが 「図1」から「図2」までの手順 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽9五銀 ▲5五歩 ▽同 角 ▲5八飛 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 |v銀v歩 ・ 歩v角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=21 ▲5八飛(28) まで ▽6五歩の突き捨てから▽9五銀と前章「図2」と同じように後手が攻めて 来た瞬間に▲5五歩と突き出します 角道が止まっていたのでは仕掛けは 成立しないので▽同角と取ります そこで▲5八飛と角取りに飛車を回る これが▲6八角を先にして▲5六歩と5筋の歩を突いておいた狙いなのです 「図2」から「図3」までの手順 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5五飛 ▽7七銀成 ▲同 桂 ▽8九飛成 ▲7九銀 ▽9九龍 「図3」 後手の持駒:銀 香 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 飛 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 桂 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 |v龍 ・ 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=30 ▽9九龍(89) まで ▽4四角と引いたのでは▲5五歩と打たれて完全に攻めは受け止められて しまいますので 当然▽8六歩と角を捨てて攻める事になります 以下は一本道で「図3」となりますが この局面で次の一手が分かれば 相当の棋力と言えます 「図3」から「図4」までの手順 ▲6四歩 ▽5四香 ▲同 飛 ▽同 歩 ▲6三歩成 ▽6七歩 ▲4六角 ▽6八銀 ▲4八玉 ▽7九銀成 ▲同 金 ▽6八銀 ▲同 角 ▽同歩成 ▲5三銀 「図4」 後手の持駒:飛 角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩 と 銀v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 桂 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ ・vと ・ 玉 ・ ・ ・|八 |v龍 ・ 金 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 香 歩二 手数=45 ▲5三銀打 まで 「図3」では次に▽5四香と飛車を田楽刺しにして王手飛車取り状態にする 手が見えるので飛車を逃がしたい所です しかし平然と▲6四歩と突くのが 用意の一手なのです 当然後手は▽5四香と来ますが▲同飛から▲6三歩成 として、と金を作り先手優勢となります ▽5四香で▽6二歩と受けると ▲8五飛と回る手が有るので後手も▽5四香と打つしか無いでしょう 以下▽6七歩と攻め合いに来ると▲4六角から「図4」まで先手が勝勢と なるので▽6七歩の所では▽4二玉と早逃げする手も有りますが、それには ▲6九歩と受けておいて、やはり先手が指せる形勢です 玉の側にと金が 作れると言うのは大変な得と言え、「図4」のような形になると受けが 無くなってしまうのです 以上、後手の超急戦棒銀には「図1」のように 迎撃体勢を敷く事によって撃退出来る事が分かりました 次章からは矢倉の本格的戦法を御紹介します |
それでは本章から矢倉の本格戦法の中から代表的な物を御紹介して行きます 分かり易いように後手側は122〜124章と同じ総矢倉に統一して見ます 現在の矢倉の主流になっている戦型が▲3七銀戦法と呼ばれる物です 10〜12章で御紹介した矢倉崩しと棒銀も、その分類に入りますが後手の 手順も研究されて、前述したような形には簡単に出来なくなっているのです 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金 ▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5二金 ▲6七金右 ▽3三銀 ▲7七銀 ▽7四歩 ▲7九角 ▽3一角 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 銀 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲3七銀(48) まで この25手目に先手が▲3七銀と上がった形が矢倉▲3七銀戦法です ここまでは10〜12章でも解説した形です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6四角 ▲6八角 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽3一玉 ▲8八玉 ▽2二玉 ▲4六銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 銀 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=33 ▲4六銀(37) まで ▲3七銀に▽6四角と出るのが後手側の最善の応手です これで▲3五歩と 突けなくなります もし▲3五歩と行くと▽同歩 ▲同角に▽3六歩打で 銀を取られて終わりになります 先手側の現在主流となっている戦型が 「図2」の▲4六銀と上がる形なのです この他に▽6四角に▲6五歩と 突く手などが有りますが、あまり指される事は無くなっています 「図2」から「図3」までの手順 ▽8五歩 ▲3七桂 ▽5三銀 ▲1六歩 ▽7三角 ▲1五歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽6四歩 ▲2六歩 ▽8四角 ▲3八飛 ▽7三桂 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩v歩|三 |v歩v角v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 銀 歩 歩 ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=46 ▽7三桂(81) まで この「図3」が現在▲3七銀からの理想形です 「図3」から「図4」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2五桂 ▽2四銀 ▲3五銀 ▽同 銀 ▲同 角 ▽3四歩 ▲6八角 ▽6五歩 ▲3三歩 ▽同 桂 ▲1三桂成 ▽同 香 ▲1四歩 ▽同 香 ▲同 香 「図4」 後手の持駒:銀 桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀v金v桂v歩 ・|三 |v歩v角v歩 ・v歩v歩v歩 ・ 香|四 | ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 香 歩 手数=63 ▲同 香(19) まで 「図3」から「図4」が、この理想形からの攻め筋で先手勝勢となります 後手がこの理想形を許さないようにしたり、この形にさせても簡単に 攻め切れないようにすると言った対策を打ち出す事によって激戦となるのが 近代矢倉の最も主流となる攻防なのです |
本章では先手が25手目▲3七銀と上がる所で、▲3五歩と角で歩交換を しに行く戦法を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4四歩(43) まで 「図1」は前章「図1」の一手前、後手が24手目▽4四歩と指した局面です この局面までが現代矢倉の基本形となります 俗に矢倉24手組みと呼ばれる 定跡型なのです これは10〜12章でも出てきた形です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3五歩 ▽6四角 ▲1八飛 ▽3五歩 ▲同 角 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽3一玉 ▲8八玉 ▽2二玉 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩v角v歩v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 玉 金 ・ ・ 銀 ・ ・ 飛|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=34 ▽2二玉(31) まで 前章では「図1」で▲3七銀と上がりましたが、ここで▲3五歩とすぐに 突いて行く手が有ります 対して後手は▽6四角で矢倉崩しなどの理想形を 牽制して来ます ▲1八飛と端に飛車を追われて悪いように見えますが 実はこの手には恐ろしい狙いが秘められているのです 「図2」から「図3」までの手順 ▲3七銀 ▽5三銀 ▲6八角 ▽8五歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲1五歩 ▽7三角 ▲2六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽8四角 ▲3六銀 ▽7三桂 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩v歩|三 |v歩v角v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 銀 ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ ・ 飛|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=50 ▽7三桂(81) まで 後手は毎度お馴染みの総矢倉から▽6五歩を狙う形ですが 先手側の形は 今までの戦法から比べると、あまり大した事は無いように見えると思います しかしこの「図3」も既に先手の作戦勝ちなのです 「図3」から「図4」までの手順 ▲1四歩 ▽同 歩 ▲1三歩 ▽同 香 ▲同角成 ▽同 桂 ▲1四飛 ▽1二歩 ▲1八飛 ▽6五歩 ▲1四歩 ▽6六歩 ▲同 銀 ▽6五歩 ▲1三歩成 「図4」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉v歩|二 | ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩 と|三 |v歩v角v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ 銀 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 香 歩 手数=65 ▲1三歩成(14) まで ▲1四歩から▲1三歩打そして▽同香に▲同角成と、角を切り端から攻める と言うのが▲1八飛とした時からの狙いだったのです 飛車の下にいる香が 後手陣への飛車成を防げ無くしていて「図4」では先手勝勢です ▲3六銀としたのは▲1八飛と一旦下がった時に、▽2七角と打たれる手を 防ぐ為だったのです 「図4」からは▽3一玉なら一旦▲5七銀と銀を 逃げておけば、後は端から飛車を成り込んで自然に先手が勝てる将棋です この先手が25手目▲3五歩と行く戦型も他に変化は多数有りますが「図4」 までの端飛車作戦は後手側の▽6四角に応対した手を、そのまま利用出来る と言う物で意外と優秀な戦法です |
本章では矢倉の端を狙う最も代表的な戦法としてスズメ刺しを御紹介します この戦法の元々の原型は升田幸三実力制第四代名人の創案となる物です 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4四歩(43) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、矢倉基本の24手組みです 「図1」から「図2」までの手順 ▲3七桂 ▽4三金右 ▲1六歩 ▽8五歩 ▲1五歩 ▽6四角 ▲2六歩 ▽3一玉 ▲1七香 ▽2二玉 ▲1八飛 ▽5三銀 ▲6八角 ▽7三角 ▲7九玉 ▽6四歩 ▲8八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽8四角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・ ・v銀v金v銀v歩v歩|三 |v歩v角v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 桂 ・ 香|七 | ・ 玉 金 角 ・ 銀 ・ ・ 飛|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=44 ▽8四角(73) まで 「図1」から▽3七桂と、桂が跳ねるのがスズメ刺し戦法の第一歩です ただしこの戦型が盛んに指された頃は▲2六歩と一つだけ飛車先の歩は 早いうちに突いていて、更に▲3七桂ももっと早い時期に跳ねていました しかしここでは現代の24手組みからの進行で解説する事にします ▲1七香から▲1八飛として端に攻め駒を集中した「図2」の形が スズメ刺し戦法の完成図です 「図2」から「図3」までの手順 ▲2五桂 ▽2四銀 ▲1三桂成 ▽同 銀 ▲1四歩 ▽同 銀 ▲同 香 ▽同 香 ▲同 飛 ▽1一香 ▲1三歩 ▽同 香 ▲同角成 ▽同 桂 ▲3五歩 「図3」 後手の持駒:角 桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・ ・v銀v金 ・v歩v桂|三 |v歩v角v歩v歩v歩v歩v歩 ・ 飛|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 香二 手数=59 ▲3五歩(36) まで ▲2五桂から▲1三桂成と成り捨てて以下「図3」まで猛烈に攻め続けます 「図3」の▲3五歩は▽同歩なら▲3四香と打つのが狙いです ここでは既に先手優勢となっています 「図3」から「図4」までの手順 ▽3六角 ▲2五歩 ▽同 角 ▲1九飛 ▽3五歩 ▲2八香 ▽3六角 ▲3八香 ▽1八歩 ▲2九飛 「図4」 後手の持駒:桂 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・ ・v銀v金 ・v歩v桂|三 |v歩v角v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・v角 ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ 銀 香 香v歩|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=69 ▲2九飛(19) まで 「図3」で▽3六角と打つのが後手の有力な反撃手段ですが、▲2五歩が それを上回る好手です ▽同角と取らせて▲1九飛と深く引くのです 以下2枚の香を打った「図4」は先手が優勢の局面です 以上127〜129章まで先手側の代表的な戦型を御紹介しましたが 最初に述べたように後手の形を前述した総矢倉に固定して解説しました しかし実際には後手の陣形も、それぞれの戦型に対して対応する為に全く 違う形に変化して来ます ただ戦法の狙い筋が何処に有るのかは知って 頂けたのでは無いかと思います |
本章から24手組みまでに後手側が変化して先攻する戦型を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽6四歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=8 ▽6四歩(63) まで 前章までは▽5四歩と後手も5筋の歩を突きましたが、▽6四歩と早くも 変化して来ます これで後手が急戦で先攻して来る可能性が見えて来ました 「図1」から「図2」までの手順 ▲7八金 ▽6三銀 ▲7七銀 ▽5四銀 ▲5八金 ▽6二飛 ▲6七金右 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7四歩 ▲4八銀 ▽7三桂 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v角 ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=20 ▽7三桂(81) まで 「図2」の後手の攻撃態勢が右四間飛車です この戦型は対振り飛車でも 採用されます 先手は自然に矢倉に組んで何も問題は無いように見えます 当然ここから玉を入城させて矢倉囲いの完成を目指す事になるのですが 「図2」から「図3」までの手順 ▲6九玉 ▽3二金 ▲7九角 ▽4一玉 ▲6八角 ▽4二銀 ▲7九玉 ▽3一玉 ▲8八玉 ▽8五桂 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・v玉v桂v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・v銀v金v角 ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 玉 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 ▽8五桂(73) まで 「図3」の▽8五桂に▲8六銀と逃げると▽6五歩と突かれて潰れですので このまま▽7七桂成と銀桂交換に甘んじるしかありません ここでは既に 先手不利となっています 右四間飛車に矢倉囲いで応じるのは後手の狙いに 嵌まる事になるのです 「図1」から「図4」までの手順 ▲7八金 ▽6三銀 ▲4八銀 ▽5四銀 ▲5七銀右 ▽6二飛 ▲5八金 ▽6五歩 ▲6七金右 ▽6六歩 ▲同 銀 ▽6五歩 ▲5五銀 ▽4二金 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・v金 ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 銀 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=22 ▽4二金(41) まで ▲7七銀と上がるのを保留して▲6八銀の形のまま角も8八に置いて受ける と言うのが対右四間飛車の基本です 「図4」まではプロの実戦にも現れた 一つの例ですが、これなら簡単に潰される事はありません ただこうして仕掛けておいてから駒組みに入ると言うのが現在の後手側の 狙いで、先手が主導権を握る一般的な矢倉基本の24手組みを避けて逆に 後手が主導権を握ると言う物です 120章「図3」の解説で後手が相振り飛車では無く、居飛車に変化した時 ▲7八銀とした手が損になる場合が有ると言いましたが それは次の章で 御紹介する矢倉中飛車や、この右四間飛車のような戦型にされると8八の 角が浮いてしまい危険になる可能性が有るからなのです |
本章では矢倉の先手5手目を▲7七銀から▲6六歩に変える元となった 後手の変化戦法、矢倉中飛車を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲7七銀 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金 ▲6六歩 ▽7四歩 ▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽6四歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v銀v金v角 ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 金 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=18 ▽6四歩(63) まで 以前はこの「図1」までのように矢倉の5手目は▲7七銀としていました これには前章の右四間飛車は使えません ▲6六歩と突いていないので 6筋を争点に出来ないからです 後手が▽5四歩と突いたのを見てから ▲6六歩と突く訳です しかし▽6四歩と、ここで変化して来ます 「図1」から「図2」までの手順 ▲6七金右 ▽6三銀 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽5二飛 ▲5七銀 ▽3一玉 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・v玉v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v飛v銀v金v角 ・|二 |v歩 ・ ・v銀 ・v歩 ・v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 銀 歩 歩 歩 ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 ▽3一玉(41) まで ▽6三銀から▽5二飛と中央に飛車を展開するのが、後手の有力戦法となる 矢倉中飛車です 「図2」から「図3」までの手順 ▲7九玉 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲5六歩 ▽5一飛 ▲2六歩 ▽5四銀 ▲2五歩 ▽7三桂 ▲6八銀左 ▽6二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v飛 ・v玉v桂v香|一 | ・ ・ ・v金 ・v銀v金v角 ・|二 |v歩 ・v桂 ・ ・v歩 ・v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 銀 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=43 ▲2八飛(24) まで 「図2」で▲7九角から玉を矢倉に入城させるのは「図3」の▽6二金を ▽7二金に変えて▽6一飛と回り、前章の右四間飛車に類似した攻撃態勢を 組まれると、一歩持っているので更に強烈な攻めを見舞われる事になります 実は一時は▲6八銀左と、上がった銀を戻した「図3」で後手の攻めは 受け切れていると言う事になったのですが 「図3」から「図4」までの手順 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽8八角成 ▲同 玉 ▽4四角 ▲7七角 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5六歩 ▽6六歩 ▲5五歩 ▽6七歩成 ▲同 銀 ▽6五桂 「図4」 後手の持駒:金 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v飛 ・v玉v桂v香|一 | ・ ・ ・v金 ・v銀v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v角v歩 ・|三 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・v桂 歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 角 銀 銀 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩三 手数=58 ▽6五桂(73) まで 「図4」までの攻め筋は▲6八銀左と引く防御布陣に対して生まれた物で 変化は有っても意外に受け難いのです そこで後手の中飛車を避ける意味で 矢倉での先手5手目は▲6六歩とするのが現在の定跡となっているのです ▲7七銀と上がって▲6八銀左と引く無駄な2手を指さず、先に中央を厚く した上で先手は、後手の▽5二金を見てから▲7七銀と上がる訳です |
本章では米長永世棋聖が四冠王となった時の、原動力とも言える後手番の 急戦矢倉を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲7八金 ▽3二金 ▲6九玉 ▽4一玉 ▲5八金 ▽7四歩 ▲6七金右 ▽8五歩 ▲7七銀 ▽6四歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v銀v金v角 ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=20 ▽6四歩(63) まで この「図1」は前章の矢倉中飛車の途中局面に似ています しかし後手が 飛車先を▽8五歩と突いているので、▽7三桂から▽8五桂と言う手が無く 矢倉中飛車での攻め筋を狙う事は出来ません 「図1」から「図2」までの手順 ▲2六歩 ▽5二金 ▲2五歩 ▽7三桂 ▲7九角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金v銀v金v角 ・|二 |v歩 ・v桂 ・ ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲7九角(88) まで 「図2」で先手は2筋の歩を角で切って手得を狙います 対して後手側には 特にまだ仕掛けが有るようには見えませんが 「図2」から「図3」までの手順 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽6五桂 ▲6六銀 ▽8六飛 ▲8七歩 ▽8一飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2三歩 ▲4六角 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽6六角 ▲同 金 ▽8六飛 「図3」 後手の持駒:銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀v金v銀v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩v桂 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 ・ 金 歩 角 ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩四 手数=46 ▽8六飛(81) まで ▽6五歩から仕掛けて行くのが、米長流急戦矢倉の最も早い時期の攻め筋で 手順中▽7五歩に▲同歩と取ったのが悪手で「図3」では後手勝勢です ▲同歩では▲3六歩として▽7六歩なら▲7三歩を狙うのが正着です 「図2」から「図4」までの手順 ▽5三銀左 ▲3六歩 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽6五桂 ▲6六銀 ▽8六飛 ▲8七歩 ▽8一飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2六歩 ▲5九銀 ▽7五歩 ▲4六角 ▽6六角 ▲同 金 ▽5七銀 ▲6五金 ▽4六銀成 ▲同 歩 ▽4七角 ▲5八銀 ▽5六角成 ▲6六歩 「図4」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・v歩 金 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩v馬 歩 歩v歩 ・|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 桂 歩 手数=53 ▲6六歩打 まで この「図4」までは、新鋭の渡辺明六段が森内俊之三冠王に挑戦する 第17期竜王戦第1局に現れた局面と途中の手順は違いますが同一局面です この53手目▲6六歩が好手で以下、渡辺六段が快勝しました 以上130〜132章まで後手が先攻する戦法を御紹介しましたが共通して 言えるのは先手側は矢倉に玉を囲うのは危険だと言う事です |
本章では森下卓九段が体系づけ、一時期矢倉は全てこの形と言うほど一世を 風靡した森下システムを御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金 ▲7八金 ▽4一玉 ▲6七金右 ▽7四歩 ▲6九玉 ▽5二金 ▲7七銀 ▽4四歩 ▲3六歩 ▽3三銀 ▲7九角 ▽3一角 ▲6八角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲6八角(79) まで 「図1」は現代矢倉24手組みから▲6八角と上がった所ですが、飛車側の 形を決めず玉の入城準備をする、この形が森下システムの基本形です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6四角 ▲3七桂 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽8五歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八飛 ▽3一玉 ▲8八玉 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩 ・|三 | ・ ・v歩v角v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 桂 歩 ・|七 | ・ 玉 金 角 ・ 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲8八玉(79) まで ▽6四角に対して▲3七銀と上がれば矢倉3七銀戦法系の将棋に戻りますが ここで▲3七桂と上がって銀の動向を決めないのが、この戦型の特徴です 「図2」から「図3」までの手順 ▽2二玉 ▲2六歩 ▽9四歩 ▲1七香 ▽5三銀 ▲9六歩 ▽7三角 ▲4六歩 ▽4二銀右 ▲4七銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二 | ・ ・v角v歩 ・v金v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 銀 桂 ・ 香|七 | ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=45 ▲4七銀(48) まで 「図3」までが後手が▽5三銀から守勢に出た場合の森下システムの対応で 129章で御紹介したスズメ刺し戦法の変化形と言えます 後手の▽2二玉では▽2二銀と引き▽3三桂から▽2一玉と囲う菊水矢倉も 有ります 「図3」から「図4」までの手順 ▽2四銀 ▲2五歩 ▽3三銀引 ▲1八飛 ▽6二飛 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲同 香 ▽1三歩 ▲1七飛 ▽8二飛 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二 | ・ ・v角v歩 ・v金v銀v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・v歩v歩 歩 歩 香|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 銀 桂 ・ 飛|七 | ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=61 ▲3五歩(36) まで 「図4」までは一例ですが端で一歩を手に入れ、▲5五歩から攻勢に出て まだ難解では有りますが、先手が指せる形勢と言えます 手順中▲1七飛と 上がったのは3七の桂が後手の角で取られる手を予め防いだ手です また▲5五歩に▽同角と取れば▲5六金と出て▽7三角に▲6五金と後手の 角を苛めに行く手が有ります 後手の守勢型も他に多数の変化が有り 例えば▲1六歩に後手が、端を受けなければ▲1五歩と突き越し127章で 御紹介した▲4六銀型からの攻撃型を選択するのが先手側の有力策です |
本章では後手が森下システムに対して攻勢に出た場合の対応を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩 ・|三 | ・ ・v歩v角v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 桂 歩 ・|七 | ・ 玉 金 角 ・ 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲8八玉(79) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面、先手玉が矢倉に入城した所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽2二玉 ▲2六歩 ▽7三銀 ▲5七銀 ▽8四銀 ▲6五歩 ▽4二角 ▲6六銀右 ▽7三桂 ▲2五桂 ▽2四銀 ▲4六角 ▽8三飛 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 角 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v角v金v玉 ・|二 |v歩v飛v桂v歩 ・v金 ・v歩 ・|三 | ・v銀v歩 ・ ・v歩v歩v銀v歩|四 | ・v歩 ・ 歩 角 ・ ・ 桂 ・|五 | ・ ・ 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 歩|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=51 ▲同 角(46) まで 後手が▽7三銀から▽8四銀と棒銀で先攻を狙って来た場合は▲5七銀から ▲6五歩 ▲6六銀と盛り上がり以下「図2」まで後手の動きを封じて先手 有利な形勢となります 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲6八角(79) まで 「図1」は前章「図1」同一局面、森下システム基本形です 「図3」から「図4」までの手順 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽7三銀 ▲8八玉 ▽8五歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽同 角 ▲6五歩 ▽3一玉 ▲3八飛 ▽2二玉 ▲4六角 ▽9二飛 ▲5七銀 ▽4二角 ▲6六銀右 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 |v飛 ・ ・ ・ ・v角v金v玉 ・|二 |v歩 ・v銀v歩 ・v金v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ 銀 歩 角 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=45 ▲6六銀(57) まで 森下システムの▲6八角に▽6四角と覗かずに早目に▽7三銀 ▽8五歩と 攻勢の動きを後手が見せた場合は▲3五歩と突き、128章で御紹介した 角で歩交換をする早仕掛けで応戦します ▲4六角と飛車取りに出る手が 有るので、すぐに▽8五銀とは出られないと言う訳なのです そこで後手も ▽7五歩と角で7筋の歩交換に来る事になるのですが やはり以下▲6五歩 から▲5七銀 ▲6六銀と盛り上がる手が有り、先手有利な形勢となります 飛車先を突いていない分を玉側に手が掛けられるので、後手の攻勢にも 充分対応出来るのが、この戦型の特徴です このように森下システムは玉を早く整備して、後手が守勢に出ても攻勢に 来ても対応出来る優れたシステムで 先手の矢倉での勝率が上回るように なり後手側を持っての矢倉は得策では無いのでは、と言う見解もプロ間に 囁かれるようになりました このように矢倉先手での森下システムは正に パーフェクトと見えたのですが 実は一つだけ弱点が有ったのです 先手でありながら後手の動きを見てから、態度を決めるのが極意の この森下システムの唯一の弱点とは何か 以下は次章で |
本章では森下システムの弱点を突く後手の対策を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲6八角(79) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面、森下システム基本形です 「図1」から「図2」までの手順 ▽9四歩 ▲7九玉 ▽9五歩 ▲8八玉 ▽7三桂 ▲3七銀 ▽9三香 ▲2六歩 ▽9二飛 ▲2五歩 ▽4二角 ▲2六銀 ▽8五桂 ▲8六銀 ▽9七桂成 ▲同 銀 ▽9六歩 ▲同 銀 ▽同 香 ▲同 香 ▽同 飛 ▲9九香 ▽9七歩 ▲同 香 ▽同角成 ▲同 桂 ▽7一香 ▲8六歩 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽7二香打 ▲8七玉 ▽9五飛 ▲9六歩 ▽7五飛 ▲7七歩 ▽9五歩 「図2」 後手の持駒:銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・ ・v香 ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・v香v銀v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・v飛 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 銀 ・|六 | 桂 玉 歩 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 桂 歩 手数=62 ▽9五歩打 まで 「図2」まで一気に進めましたが、これは129章で御紹介したスズメ刺し を後手番で採用した物です しかしスズメ刺し自体は森下システムに対して それまでも指されていたのです 後手の工夫は右の金を5二に置いたまま 飛車打ちに備えた点です 更に▽4二角と途中下車して先手の▲2六銀を 誘って飛車のコビンを空けさせてから▽8五桂と仕掛けるのがポイントです あまりに早く玉を囲ってしまう為にスズメ刺しが有効となるのです 「図2」までの対策が優秀で、森下システムが指される事は無くなりました 対スズメ刺しに有効な▲3七銀からの棒銀も矢倉に入城せず仕掛ける後手の 新対策の前に敗れ去ったのです 「図1」から「図3」までの手順 ▽9四歩 ▲7九玉 ▽9五歩 ▲3七銀 ▽9三香 ▲4六銀 ▽9二飛 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4三金右 ▲5八飛 ▽9六歩 ▲5四銀 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 |v飛 ・ ・v銀 ・ ・v金 ・ ・|二 |v香 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・ 銀v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 |v歩 ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=39 ▲5四銀(55) まで プロ棋界では消滅したと思われた森下システムですが、深浦康市八段により ▲7九玉のまま中央の薄さに狙いをつけ▲4六銀から▲5五歩と仕掛ける 新趣向が生み出され、昔ほどでは有りませんがタイトル戦にも登場するなど 再び指されるようになりました「図3」までは一例ですが以下は難解な 将棋となります 手順中▽4三金右で▽9六歩と行くのは▲同歩 ▽同香 ▲同香 ▽同飛に ▲5三歩が絶妙手で、▽同角なら▲5四香 角以外で取れば▲9七香打で 飛車を殺す手が有り先手優勢となります「図4」 「図4」 後手の持駒:香 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩 歩 ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・|五 |v飛 ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:香 歩 手数=41 ▲5三歩打 まで 森下システムは高等戦術で初級者の方には難解と思いますが、矢倉の重要な 戦型の一つなので御紹介しました |
前章までの森下システム同様、棋士の名前を冠した戦型として脇謙二八段が 体系づけ完成させた脇システムを御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金 ▲7八金 ▽4一玉 ▲6七金右 ▽7四歩 ▲6九玉 ▽5二金 ▲7七銀 ▽4四歩 ▲3六歩 ▽3三銀 ▲7九角 ▽3一角 ▲3七銀 ▽6四角 ▲4六角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 角 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 銀 歩 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲4六角(79) まで 「図1」は矢倉3七銀型から、後手の▽6四角に対して▲4六角と出て角を ぶつけた所ですが、この手が脇システムの骨子となる一手です 「図1」から「図2」までの手順 ▽7三銀 ▲7九玉 ▽4三金右 ▲8八玉 ▽3一玉 ▲2六歩 ▽2二玉 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽1四歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v銀v歩 ・v金v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v角v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 角 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 銀 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=40 ▽1四歩(13) まで 互いに角を交換すると手損になるので、角が睨みあったまま駒組みが進んで 「図2」の局面が脇システムの基本図です ただし端の形は互いに突き越す など、いろいろ変化が有ります 「図2」から「図3」までの手順 ▲6四角 ▽同 銀 ▲2六銀 ▽6九角 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 香 ▲同 香 ▽4七角成 ▲1三歩 ▽同 桂 ▲4一角 ▽6二飛 ▲6五歩 ▽5三銀 ▲3二角成 ▽同 飛 ▲1九香 ▽1二歩 ▲1八飛 ▽4六角 ▲1三香成 ▽同 角 「図3」 後手の持駒:銀 香 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v玉v歩|二 | ・ ・ ・v歩v銀v金v銀v歩v角|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・v馬 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 桂 手数=64 ▽同 角(46) まで 角交換は手損になるのですが「図3」から▽6四角と角を交換して▽同銀に ▲2六銀と棒銀に出るのが脇システムの狙い筋です ▽6九角は後手の 有力手で 以下はプロの実戦を参考にした進行例です「図3」から一気に 後手玉を寄せ切ります 「図3」から「図4」までの手順 ▲2四桂 ▽同 歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲1四歩 ▽2三歩 ▲1三歩成 ▽同 歩 ▲4一角 ▽6二飛 ▲3二金 ▽1二玉 ▲2八飛 ▽2五香 ▲同 飛 ▽同 銀 ▲2八香 ▽3六銀 ▲4二金 ▽同 飛 ▲2三香成 ▽2一玉 ▲3三歩 「図4」 後手の持駒:飛 金 銀 桂 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ 角 ・v玉 ・|一 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩v銀v金 歩 杏v歩|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v銀 ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・v馬 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=87 ▲3三歩打 まで 「図4」で先手必勝となります 手順中▲3二金に▽同飛ですと▲1三飛成 の大技が決まります このように脇システムは意外に強力な戦法なのです |
江戸時代の棋客、桧垣是安が編み出したと言われ、寺の屋根の木組みに 駒組みが似ている所から雁木と呼ばれる戦型を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲6七銀 ▽4二玉 ▲4八銀 ▽3二玉 ▲5七銀 ▽4二銀 ▲7八金 ▽5二金右 ▲5八金 ▽8五歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金v銀v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 銀 銀 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=18 ▽8五歩(84) まで ▲6七銀では▲4八銀と態度を決めずにおく手も有りますが、振り飛車を 思わせる手で▽3二玉を誘うのが狙いです「図1」の先手陣が雁木囲いです 「図1」から「図2」までの手順 ▲6九玉 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩 ▽8二飛 ▲3六歩 ▽3三銀 ▲4六歩 ▽4四歩 ▲6五歩 ▽4三金 ▲4八飛 ▽3一角 ▲9六歩 ▽7四歩 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3七桂 ▽6四歩 ▲4五桂 ▽4四銀 ▲4六銀 ▽6五歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲3三歩 ▽同 桂 ▲同桂成 ▽同 銀 ▲3五銀 「図2」 後手の持駒:桂 歩五 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v角 ・v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v金v銀v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ 銀 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ 歩 歩|七 | ・ 角 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩 手数=49 ▲3五銀(46) まで ▽8五歩に飛車先交換を受けないのが雁木の特徴です ▲6五歩で角筋を 通し▲4八飛と右四間飛車にして後は攻めまくります 以下「図2」までは 変化の一例ですが先手必勝となりました 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲6七銀 ▽5二金右 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5七銀 ▽3二金 ▲7八金 ▽4一玉 ▲5八金 ▽8五歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金v銀v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 銀 銀 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=18 ▽8五歩(84) まで 「図3」は▲6七銀に▽3二玉とせず、先手の居飛車を警戒した布陣です 「図3」から「図4」までの手順 ▲6九玉 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩 ▽8二飛 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲4六歩 ▽4三金右 ▲7七角 ▽5三銀右 ▲5九角 ▽3三銀 ▲2六歩 ▽7四歩 ▲2五歩 ▽3一角 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲2六角 ▽4二角 ▲4八飛 ▽3一玉 ▲3七桂 ▽2二玉 ▲4五歩 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v角v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・v歩v銀v金v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六 | ・ 歩 ・ 銀 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=47 ▲4五歩(46) まで 右四間飛車を徹底的に警戒された場合は角を右翼に転回するのが有力で 「図4」は▲4六銀と攻め駒を増援する手などが有り、先手が指し易いと 言える局面です 雁木は柔軟性が有り、意外に優秀な戦法なのです |
矢倉編の最後として矢倉模様の序盤から一気に攻め倒す、児玉孝一七段が 創案したカニカニ銀戦法を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲7七銀 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲2六歩 ▽3二金 ▲2五歩 ▽3三銀 ▲5七銀 ▽5二金 ▲4六銀 ▽4四歩 ▲9六歩 ▽4三金右 ▲9七角 ▽5三銀 ▲6六銀 ▽4一玉 ▲5八飛 ▽3一角 ▲7七桂 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金v銀v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 銀 ・ ・ ・|六 | 角 歩 桂 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲7七桂(89) まで 矢倉5手目▲7七銀から早目に▲2五歩と飛車先を決め▽3三銀とさせて 以下▲6六銀、▲4六銀とした「図1」の形が蟹の左右のハサミのように 見えると言う事からカニカニ銀と命名された独特な力戦戦術です 「図1」から「図2」までの手順 ▽9四歩 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同銀右 ▽5四歩 ▲6五桂 ▽5五歩 ▲5三桂成 ▽同 金 ▲5五銀 「図2」 後手の持駒:銀 桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v歩v金 ・v銀v歩v歩|三 |v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 角 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=37 ▲5五銀(66) まで 「図1」では既に先手作戦勝ちなのです「図2」まで変化は有っても先手の 勝勢となります この戦法は一般常識の外に有る戦法なので、プロでも ツボに嵌まってしまうと一方的に潰されている実戦例が有ります 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲7七銀 ▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲2六歩 ▽5二金右 ▲2五歩 ▽3三銀 ▲5七銀 ▽4四歩 ▲4六銀 ▽4三金 ▲9六歩 ▽5三銀 ▲6六銀 ▽6四歩 ▲9七角 ▽3一角 ▲5八飛 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉v金v角v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v銀v金v銀v歩v歩|三 | ・v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 銀 ・ ・ ・|六 | 角 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲5八飛(28) まで 「図3」は先手の動きに対応して中央に徹底的に備えた局面です 「図3」から「図4」までの手順 ▽6二飛 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲7七桂 ▽4二玉 ▲5五銀左 ▽5四歩 ▲6五桂 ▽同 歩 ▲5四銀 ▽同 金 ▲同 飛 「図4」 後手の持駒:銀 桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v角v桂v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・v玉 ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩 ・v銀 ・v銀v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・ 飛v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|六 | 角 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 歩二 手数=37 ▲同 飛(58) まで 後手は▽6二飛と飛車も6筋に効かせて徹底防戦に努めますが、▲5五歩と 突き捨ててから▲7七桂と桂を攻撃に参加させ 以下「図4」まで強烈な攻めが 炸裂して、やはり後手陣は潰れています カニカニ銀はこの中飛車型の他に 7九に角を引き▲4六銀から▲3五歩と3筋から攻める手や向かい飛車に振る と言ったように変化はいろいろですが、本章で解説した中飛車型は破壊力抜群で 一度試されると面白いでしょう |
本章より13〜15章で御紹介した四間飛車を中心にセカンドステップと 言う事で数多く有る居飛車対振り飛車の対抗型を見て頂く事にします それぞれ膨大な変化が有りますので特に重要なポイントに絞って行きますが アマ間では最も指されていますので出来るだけ多くの戦型を見て頂くように するつもりです 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲5六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲6八玉 ▽3二銀 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5八金右 ▽7一玉 ▲3六歩 ▽8二玉 ▲6八銀 ▽5二金左 ▲2五歩 ▽3三角 ▲5七銀左 ▽6四歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽6四歩(63) まで 後手の四間飛車に対して先手の▲5七銀左型が、対振り飛車急戦の代表的な 戦型で有る事は前にも御紹介しました これは大山十五世名人と死闘を 繰り広げた昭和の名棋士、山田道美九段らの手により確立された物です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 ▲3五銀 ▽4四銀 ▲同 銀 ▽同 飛 ▲3二角 ▽3四飛 ▲2三角成 ▽2七歩 ▲3四馬 ▽2八歩成 ▲4一飛 「図2」 後手の持駒:飛 角 銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ 飛 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・ 馬 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・vと ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=41 ▲4一飛打 まで 後手の▽6四歩に対して▲3五歩と突き捨ててから▲4六銀と出る速攻が ナナメ棒銀と呼ばれる、この形の定跡となります ▲4六銀に▽4五歩と すぐに反撃する手は少し損となり「図2」では先手優勢です ▽4四銀の所では▽3四歩と打つ手も有るので実際には難解ですが 「図1」から「図3」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3六歩 ▲3五銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・v銀v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=32 ▽同 銀(32) まで ▲4六銀には▽3六歩と突き越す方が本筋です 以下▲3五銀から角交換で 「図3」となります 「図3」から「図4」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽3三角 ▲2一飛成 ▽2二飛 ▲同 龍 ▽同 角 ▲6六角 ▽同 角 ▲同 歩 ▽2八飛 「図4」 後手の持駒:角 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・v歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・v飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 銀 桂 歩 手数=46 ▽2八飛打 まで 「図3」からは▲2四歩と行く手は当然の事ながら真っ先に見える手ですが これは銀交換の後▽3三角からの反撃が有り「図4」まで先手不利となります ▲2四歩の前に▽3三角を消しておく必要が有るのです 以下は次章で |
前章に引き続き対四間飛車ナナメ棒銀の変化を御紹介します 「図1」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・v銀v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=32 ▽同 銀(32) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面、ナナメ棒銀から角交換した所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲8八角 ▽5四角 ▲2六飛 ▽1二香 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽2八歩 ▲同 飛 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽3七歩成 ▲同 銀 ▽2七銀 ▲4八飛 ▽3八歩 ▲4九飛 ▽7六角 ▲2八歩 ▽3九歩成 ▲同 飛 ▽3六歩 ▲2七歩 ▽3七歩成 ▲同 飛 「図2」 後手の持駒:銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・v角 ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 飛 歩 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀二 歩五 手数=59 ▲同 飛(39) まで ▲8八角と打つのが銀交換後の▽3三角を消す好手です 対して後手側には いろいろ対抗手が有りますが▽5四角と打つのが最強の手段です 以下「図2」までは変化は有りますが先手優勢となります ただ此処からも 難解な変化が多く先手が勝ち切るのは大変です 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽5四歩(53) まで 「図3」は後手が▽6四歩に変えて▽5四歩と突いた局面です 「図3」から「図4」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3六歩 ▲3五銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲8八角 ▽5三角 ▲2四銀 ▽2七歩 ▲3三銀成 ▽2八歩成 ▲4二成銀 ▽同 金 「図4」 後手の持駒:飛 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v角 ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・vと ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 銀 歩 手数=42 ▽同 金(52) まで ▽6四歩と▽5四歩僅かに歩を突く筋が一つ違うだけですが、これで先手の ナナメ棒銀は不発となるのです ▽6四歩形同様▲8八角と打ちますが 今度は▽5三角と打つ手が有り▲2四歩からの2筋交換には▽2七歩と言う 反撃が生じるのです 以下「図4」の局面では後手優勢となります 手順中▽2七歩に対して▲同飛と取り▽2六歩と打たせてから▲3三銀成と する方が後手を歩切れに出来ますが、そうすると「図4」の2八にいる と金が2七になり、▽2八飛と打つ手が厳しく更に不利となります 以上のように▽6四歩形には▲3五歩からのナナメ棒銀速攻は成立して やや先手が優勢とはなりますが、実戦では居飛車が必ずしも勝てると言う 程では無い為最近では、この攻め筋は見送る事が多いのです 今回御紹介した戦型は昔から有る物で、ほとんど新しい部分は有りませんが これから解説する戦型の基本となる物なので始めに見て頂きました 次章からは出来るだけ現時点での最新例を御紹介して行くようにしますので 多少難しい部分も出てくる事になると思います |
本章では後手の▽5四歩形に対する先手の端角戦法を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽5四歩(53) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面、先手の▲5七銀左型に▽5四歩と 後手が突いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲9七角 ▽4一飛 ▲8六角 ▽4五歩 ▲6六銀 ▽4三銀 ▲3七桂 ▽4四銀 ▲6八角 ▽4二飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2二飛 ▲3三角成 ▽2八飛成 ▲4四馬 「図2」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 馬v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・v龍 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=41 ▲4四馬(33) まで 「図1」の局面では飛車取りに▲9七角と覗く手が有ります 流石にここで 飛車角交換するのは損なので▽4一飛と避けますが、以下「図2」まで先手 優勢と言うのが端角の本当の狙い筋です 手順中▲3七桂で▽4四銀と させておくのがポイントで▽2二飛の振り飛車常套手段の受けに▲3三角成 ▽2八飛成 ▲4四馬で銀得になるので成立する訳です 「図1」から「図3」までの手順 ▲9七角 ▽4一飛 ▲8六角 ▽4三銀 ▲6六銀 ▽4二金 ▲3七銀 ▽3一飛 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3六銀 ▽5二金寄 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3五歩 ▽4三銀 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5四歩 ▲6六銀 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 角 歩 銀 ・ ・ 銀 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=45 ▲6六銀(55) まで ▲8六角に▽4三銀と上がり▲6六銀に▽4二金とする手段も昔から有る この端角に対する後手の応手です これは次に▲6八角と「図2」までと 同じく引き角で来た時に▽3二金として2筋を受けようとする狙いです ▽4二金には▲3七銀とするのが有力で、以下「図3」までとなり次に ▲2四歩から▲2二歩打を狙って先手が優勢です 「図1」から「図4」までの手順 ▲9七角 ▽4一飛 ▲8六角 ▽1四歩 ▲6六銀 ▽4五歩 ▲6八角 ▽6四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽4四角 ▲7九角 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2二歩 ▽1三桂 ▲2一歩成 ▽同 飛 ▲同飛成 ▽同 銀 ▲4一飛 ▽2四飛 「図4」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ 飛 ・v銀v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v角 ・v飛v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=48 ▽2四飛打 まで ▲8六角からの攻め筋には「図4」までの手順が最善で、引き角の攻めを 空振りさせる事が出来ます 直前の▲4一飛で▲2四飛ですと▽2二角で 受けられてしまいます ▽1四歩と突いた手が▽1三桂と逃げる手を可能に した効果です「図4」は飛車角の働きが違い、玉も固く後手優勢の局面です |
本章では端角戦法の先手最新手順を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v飛 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 角 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 ▽4一飛(42) まで 「図1」は▲9七角に後手が▽4一飛と飛車取りを避けた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲7九角 ▽6四歩 ▲6六銀 ▽4五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽4四角 ▲7九角 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2二歩 ▽3三桂 ▲2一歩成 ▽同 飛 ▲同飛成 ▽同 銀 ▲2四飛 ▽4一飛 ▲2三飛成 「図2」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v飛 ・v銀v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v桂 龍v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v角 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=47 ▲2三飛成 まで 前章では▲8六角と上がりましたが、「図1」では▲7九角と引く手が 有るのです この手は▲8六角からの手順より一手早く2筋を狙えるのです 後手が前章「図4」までの手順で対抗して来た場合に、この一手の違いが 結果を大きく変えます 「図2」まで▽1四歩が入っていない為▲2二歩に ▽3三桂と逃げる事になるので▲2四飛に▽2二角と逃げられず今度は逆に 先手優勢となります 「図1」から「図3」までの手順 ▲7九角 ▽1四歩 ▲6六銀 ▽4五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽4四角 ▲7九角 ▽6四歩 ▲8八角 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v飛 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v角v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=37 ▲8八角(79) まで 当然▲7九角に▽1四歩と突いておけば良いのではと、考えられる所ですが それですと▽4四角に▲7九角と引いた後、再び▲8八角と戻して次に ▲5七銀引で角交換を狙う手が有るのです 一手早い▲7九角形に加え更に ▽1四歩が無駄手となる為、先手優勢となります 「図1」から「図4」までの手順 ▲7九角 ▽4三銀 ▲6六銀 ▽4二飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2二飛 ▲2五歩 ▽4五歩 ▲7九角 ▽2三歩 ▲3七桂 ▽4四銀 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽4二飛 ▲7九角 ▽5三銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4七銀 ▽6四銀 ▲4六銀 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・ ・v銀v歩 ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 銀 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=51 ▲4六銀 まで ▲7九角に▽4三銀とする手も有ります これも非常に難解な変化が有り 「図4」のような進行となれば先手が優勢ですし、他の変化も僅かながら 先手が指し易い形勢とはなりますが、やはり勝ち切るには大変です 以上▽5四歩に▲9七角と出る端角戦法を御紹介しましたが互いに最善を 尽くせば、やや先手が作戦勝ちにはなる物の決定的に優勢とは行きません 玉の固さに差が有る為、模様の良さだけでは振り飛車を攻略するのは 難しいのです この為有力ながら端角は主流とはなり得ていません |
本章では青野照市九段と米長永世棋聖が研究を深め完成させた鷺宮定跡を 御紹介します 当時お二人が東京の中野区鷺宮に住んでいた事が定跡名の 由来となっています 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲3八飛 まで 「図1」は前章の後手▽5四歩に対して▲6八金直(上)として▽6四歩に ▲3八飛と寄った所です この飛車寄りが鷺宮定跡の基本となります 先に▽6四歩で▲6八金直に▽5四歩 ▲3八飛でも同じ局面となります 「図1」から「図2」までの手順 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 ▲3一角 ▽6五歩 ▲7七桂 ▽4四角 ▲3七桂 ▽7四歩 ▲3九飛 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ 角v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v銀v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v角v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 桂 歩 銀 歩 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=37 ▲3九飛 まで 「図1」から、まず▽4五歩と角交換を誘い▲3五歩と角頭を攻めて来る手を 外す策が有ります これがそれまで角頭を攻める手には有力とされていて 実際に居飛車側にとって厄介な手段だったのですが「図2」までの手順が 編み出されて先手優勢となりました 最後の▲3九飛が青野九段創案の新手で 9九の香に紐を付けて、次に▲6五桂を実現させる絶妙手なのです 「図1」から「図3」までの手順 ▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五銀 ▽2五桂 ▲3四歩 ▽3二飛 ▲3三角 ▽2七角 ▲2八飛 ▽3六角成 ▲2六銀 ▽1二香 ▲1五角成 ▽3四銀 ▲2五銀 ▽同 銀 ▲4四桂 「図3」 後手の持駒:銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 桂 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v銀 馬|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v馬 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=49 ▲4四桂 まで この鷺宮定跡の本線と言えるのが▽4三銀と角頭を守り、▲3五歩 ▽同歩 ▲4六銀と先手が出た時に▽4五歩と反撃する手段なのです しかしこの形では「図3」まで途中変化は有りますが先手優勢となります 「図1」から「図4」までの手順 ▽6五歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4三銀 ▲4六歩 ▽3二飛 ▲4五歩 ▽4二角 ▲3二飛成 ▽同 銀 ▲4四歩 ▽2八飛 ▲4三歩成 ▽同 銀 ▲1一角成 ▽2九飛成 「図4」 後手の持駒:桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 馬|一 | ・v玉v銀 ・v金v角 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・v龍 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 香 歩二 手数=44 ▽2九飛成 まで 「図1」では▽6五歩と突く手も有力で、この手に▲3五歩 ▽同歩 ▲4六銀と 攻めると▽4五歩 ▲3三角成 ▽同銀 ▲3五銀に▽6四角と打たれて先手不利と なります この▽6四角を実現する為の▽6五歩と言う訳です そこで▲3五歩 ▽同歩 ▲同飛と飛車で歩交換しますが 以下「図4」までの 局面は形勢不明でこれからの将棋です この▽6四角と打つ事が出来ると言う それが実は後手側の対抗策の手掛かりなのです 以下は次章で解説致します |
本章では鷺宮定跡に対する後手の対抗手段を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲6八金(69) まで 「図1」は▽5四歩に先手が▲6八金直(上)と上がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽1二香 ▲3八飛 ▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五銀 ▽2五桂 ▲3四歩 ▽3二飛 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀v桂 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=38 ▽3二飛(42) まで 「図1」で▽1二香と上がるのが後手側の最強の対抗手です 実は「図1で ▽6四歩と突いた手が良くなかったのです ▽5四歩の所で▽1二香として ▲6八金直に▽5四歩でも同じ局面になりますが、この先に▽1二香とする手も 有力なのです 居飛車側の▲5七銀左型に対して▽5四歩或いは▽6四歩と 突く手は難解とは言え139章から142章で解説したナナメ棒銀や端角の 仕掛けが成立するのが不満だからです ▽1二香形については後の章で解説します ▲3五歩から前章「図3」までと同じ手順で進み38手目に後手が▽3二飛と 迎え撃つ体勢をとり「図2」となります 「図2」から「図3」までの手順 ▲3三角 ▽2七角 ▲2八飛 ▽3六角成 ▲2六銀 ▽3四銀 「図3」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ 角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・v銀 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v桂 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v馬 銀 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=44 ▽3四銀 まで 「図2」から前章「図3」までの攻撃手順で▲3三角と打つのは今度は先に 香が1二に逃げているので打った角が空を切る事になり、以下「図3」まで 先手不利となります 「図2」から「図4」までの手順 ▲6六角 ▽3四銀 ▲同 銀 ▽3七歩 ▲2八飛 ▽3四飛 ▲2五飛 ▽2四歩 ▲4五飛 ▽3八歩成 ▲5七銀 ▽4四歩 ▲同 飛 ▽同 飛 ▲同 角 ▽4三歩 ▲1一角成 ▽3九飛 「図4」 後手の持駒:角 銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 馬|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・vと ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・v飛 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 銀 桂 歩二 手数=56 ▽3九飛打 まで 「図2」からは▲6六角と打つ手も有りますが、強く▽3四銀から捌かれて あまり変化の余地も無く「図4」まで後手が優勢となります |
引き続き▽5四歩、▽1二香形に対する先手の対抗手を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀v桂 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=38 ▽3二飛(42) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面、後手が▽3二飛と回った所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲2八飛 ▽2四歩 ▲3三角 ▽6四角 ▲2六飛 ▽4二角 ▲2四銀 ▽3四銀 ▲4二角成 ▽同 金 ▲3五歩 ▽同 銀 ▲2五飛 ▽3六銀 ▲3五飛 ▽同 飛 ▲同 銀 ▽2五飛 「図2」 後手の持駒:角 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀v飛 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v銀 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 桂 手数=56 ▽2五飛 まで ▲2八飛と一旦桂取りに寄って▽2四歩とさせてから▲3三角と打つ事により 2四に角が成れるように一工夫しますが、▽6四角として▲2六飛に▽4二角 と言う絶妙手順が有り以下「図2」まで、やはり先手不利となるのです ▽6四角では単に▽4二角と打つ手も有りますが、飛車を吊り出しておく方が 変化によっては3八に飛車を成る手が生じるので得となります 「図1」から「図3」までの手順 ▲3六飛 ▽2八角 ▲1一角 ▽4二金 ▲2六飛 ▽1九角成 ▲2五飛 ▽3四銀 ▲同 銀 ▽同 飛 ▲2三飛成 ▽3八飛成 ▲1二龍 「図3」 後手の持駒:銀 香 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 角|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金 ・ ・ 龍|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀v龍 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂v馬|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 香 歩 手数=51 ▲1二龍(23) まで 「図1」では▽2七角や▽3七歩と打つ手を事前に防いで▲3六飛と浮くのが 最有力手段となります これに▽2八角と打つのは▲1一角 ▽4二金と させてから▲2六飛とするのが好手で以下「図3」の▲1二龍が金取りに当り 先手優勢となります 「図1」から「図4」までの手順 ▲3六飛 ▽6四角 ▲1一角 ▽4二金 ▲3七桂 ▽同桂成 ▲同 銀 「図4」 後手の持駒:桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 角|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v角v歩 ・ 歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 飛 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 手数=45 ▲同 銀(48) まで ▲3六飛には▽6四角と打つのが実戦では最も多い応手です これに対しても 先手は▲1一角と打ち▽4二金とさせてから▲3七桂とします 以下「図4」まで 形勢不明となります 後手の▽5四歩、▽1二香形には他に▲6六歩と角道を 一旦止める手や▲4六歩と突く手などいろいろ変化は有りますが、いずれも難解です |
鷺宮定跡編の最後として後手側が24手目に▽1二香とした時の変化を 御紹介する事にします 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽1二香(11) まで 「図1」は先手の▲5七銀左に対して▽1二香と上がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3八飛 ▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五銀 ▽2五桂 ▲3四歩 ▽3二飛 ▲3六飛 ▽6四角 ▲1一角 ▽4二金 ▲5五歩 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 角|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v角 ・ ・ 歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩v歩 銀v桂 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=41 ▲5五歩(56) まで ▽1二香には先手も▲3八飛と一手早く攻める手が有ります これに▽4三銀と 上がると前章「図4」までと同じ進行になった時▽6四角に▲5五歩とする手が 有り先手優勢となります 「図1」から「図3」までの手順 ▲3八飛 ▽5四歩 ▲6六歩 ▽6四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3五銀 ▽6五歩 ▲5七銀 ▽6六歩 ▲同 銀 ▽3四歩 ▲同 銀 ▽4六歩 ▲3三銀成 ▽同 銀 ▲4六歩 ▽同 飛 ▲3二角 ▽4九飛成 ▲3九歩 「図3」 後手の持駒:銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ 角 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v銀v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・v龍 歩 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=47 ▲3九歩打 まで ▲3八飛には▽5四歩と突く手も有り、この手に▲3五歩 ▽同歩 ▲4六銀と 攻めると▽4五歩と突かれて、▲3三角成 ▽同銀 ▲3五銀に▽6四角と打つ手が 厳しく先手としては得策と言えません そこで▽5四歩には▲6六歩と角道を一旦 止める手が有力です 次に▲6五歩と位を取る手が有るので▽6四歩と受けますが 今度は▲3五歩からの攻めが成立します 以下「図3」では▲3九歩の底歩が固く 次に▲2一角成と駒得も確実で先手優勢の局面です 「図1」から「図4」までの手順 ▲3八飛 ▽6四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 ▲3五銀 ▽4六歩 ▲3四歩 ▽4七歩成 ▲3三歩成 ▽5八と ▲4二と ▽6九と ▲5二と ▽7九金 ▲8八玉 ▽6八角 ▲4六角 ▽8九金 ▲同 玉 ▽7九と ▲8八玉 ▽8九金 ▲9八玉 ▽7七角成 「図4」 後手の持駒:桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ と ・ ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 角 ・ ・ ・|六 | ・ 歩v馬 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | 玉 ・ ・ ・ ・ 銀 飛 ・ ・|八 | 香v金vと ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 金二 銀 手数=52 ▽7七角成(68) まで ▲3八飛に▽6四歩とする手が、一見▽6四角と打つ手が消えて損のようですが この形では最善となるのです ▽5四歩形と違い▲6六歩と突くのは▽4五歩で 後の手に困ります ▽4五歩に▲6五歩と突いても▽同歩と取られて歩損のうえに 6筋にキズが残り不利となります ▲3五歩から角交換に▲3五銀と出た瞬間 ▽4六歩と突き、これを▲同銀また▲同歩なら▽2七角から▽5四角成と馬を作る これが▽6四歩形の狙いです そこで▲3四歩として▽2二銀なら▲4六銀 ▽4四銀なら▲4六歩を狙いますが構わず▽4七歩成と来られて以下「図4」では 先手の一手負けとなります また途中で自陣に手を戻すと後手にも手を戻され 玉の固さが違い先手不利な形勢となります 以上の事からこの形では▲3五歩の 攻めは成立しません これで鷺宮定跡編を終りますが、143章からここまで御紹介した各戦型にも まだ多数の変化が有り、またちょっとした形の違いで優劣が引っくり返るなど 実際はかなり難解な物となります 今回は鷺宮定跡の特徴が特に分かると思える 変化を選んで御紹介しました |
本章では鷺宮定跡に対して最強の対抗策であった24手目▽1二香に 中原永世十段が多用した有力な戦法が有るので御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽1二香(11) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、▲5七銀左型に後手が24手目 ▽1二香とした所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八金上 ▽5四歩 ▲6六歩 ▽6四歩 ▲9七角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 角 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲9七角(88) まで 前章では▽1二香に▲3八飛と鷺宮定跡に出ましたが結果は思わしい物では 有りませんでした そこで▲6八金直(上)と上がり後手の出方を見ます ここで▽6四歩は▲3八飛としていない局面では有効で無いのと6八の位置が 塞がった事により先手側に141、142章の端角戦法の選択肢が消えたので ▽5四歩と突き▲3八飛なら▽4三銀で144章「図1」からの変化を狙います その▽5四歩に▲6六歩と突いて▲6五歩の位取りを見せ、それを嫌った後手の ▽6四歩に▲9七角と覗くのが中原永世十段創案の有力戦法です 「図2」から「図3」までの手順 ▽5三金 ▲6五歩 ▽9五歩 ▲6四歩 ▽9六歩 ▲8六角 ▽6二飛 ▲9五歩 ▽6四金 ▲9六香 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀v飛 ・ ・v銀 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・v金v歩v歩v歩 ・ ・|四 | 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 香 角 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=39 ▲9六香(99) まで ▽6三金に▲6五歩と突きます これに▽同歩と取ると▲4二角成 ▽同角 ▲2二飛と銀香両取りに打って先手が有利となります ▽1二香とした手が 仇となってしまうのです 香が1一ならば▽4三角で次に▽3三角と飛車を殺す 手が有り逆に先手が不利となり、この戦法その物が成立しないのです ▽5三金から▽6二飛として▲6四歩の取り込みに▽9五歩と角頭を狙いますが 結果は「図4」まで端攻めを逆用されたうえ6四の金も動き難く後手不利となります 「図2」から「図4」までの手順 ▽6三銀 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲4二角成 ▽同 金 ▲7七桂 ▽7二金 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲3八飛 「図4」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v金 ・ ・v金v銀 ・v香|二 | ・v歩v歩v銀 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 桂 ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 飛 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 手数=39 ▲3八飛(28) まで ▲9七角には▽6三銀と受けるしか無く、以下「図4」の局面は形勢は不明ですが 形を乱して振り飛車の特徴である玉の固さが生かせなくなっていて居飛車側に不満は 無いと言えるでしょう 実戦例が少ない戦型ですが、▲5七銀左に対する▽1二香形には有力な手段と言えます どんな形にも完璧と言う物は無く、一つの狙いを封じれば別な策が生じる物なのです |
本章では▲5七銀左型に対して後手が▽4三銀と角頭に備えた時の先手の 攻め筋を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図1」は▲5七銀左に後手が24手目▽4三銀と上がった所です この▽4三銀に 対しては▲3八飛とする鷺宮定跡は使えません ▽3二飛と一手早く備えられて ▲3五歩と仕掛けるのは無理となります この変化は14章で紹介しています 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八金上 ▽5四歩 ▲4六銀 ▽3二飛 ▲3五歩 ▽1二香 ▲3四歩 ▽同 銀 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v銀 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=32 ▽同 銀(43) まで ▲6八金直(上)に対しての後手の応手はいろいろ有りますが、結論を言って しまうと鷺宮定跡の時と同様▽5四歩から▽1二香とするのが最善となるのです したがって今回は、この変化に絞って解説したいと思います 「図2」から「図3」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3八飛 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲8八角 ▽4六歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3四飛 ▽4三金 ▲2四飛 「図3」 後手の持駒:角二 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v金v桂 ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・ 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩v歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 銀 歩二 手数=45 ▲2四飛(34) まで ▲2四歩と突き捨ててから▲3八飛とします 直接▲3八飛とすると「図3」の ▲2四飛とする手が無く、飛車を引くしか無くなります ▽4五歩と迎撃するのが振り飛車の常套手段です これには角交換して▲8八角と 打ちますが、後手がもし▽5四歩では無く▽6四歩と突いている場合は▲8八角の所で ▲5五銀とかわす手が生じるのです これが▽5四歩が最善と言う理由の一つです 「図3」は飛車の成り込みが確実で先手有利な局面です ただしこれは流石に後手が 素直に応じすぎで、あまりに無策だった為です 「図2」から「図4」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3八飛 ▽3六歩 ▲同 飛 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲8八角 ▽4六歩 ▲3三角成 ▽4五銀 ▲3五飛 ▽3三桂 ▲同飛成 ▽5六銀 「図4」 後手の持駒:角二 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ 龍 ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・v銀v歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂 歩二 手数=48 ▽5六銀(45) まで 先手の▲2四歩から▲3八飛には▽3六歩 ▲同飛としてから▽4五歩とするのが 後手側の有力手段です 「図3」と同一進行となりますが▲3三角成に一旦▽4五銀と 飛車に当てる手が有り、以下「図4」まで巧妙な手順で次に▽5五角と▽4七歩成を見て 今度は後手が優勢となります |
前章に引き続き▲4六銀戦法(左銀型)の変化を解説します 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v銀 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=32 ▽同 銀(43) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面、▲3四歩に▽同銀と取った所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3八飛 ▽3六歩 ▲同 飛 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲5七銀引 ▽3五歩 ▲3九飛 ▽3二飛 ▲3三歩 ▽同 桂 ▲2一角 ▽2二飛 ▲5四角成 ▽2八角 ▲2三歩 ▽4二飛 ▲2一馬 ▽2三銀 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 馬 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v桂v銀v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・v角 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 飛 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=54 ▽2三銀(34) まで 前章「図4」までと同一進行で進みますが角交換した後▲5七銀引と自重するのが 居飛車側の有力手段です しかしこの形では「図2」まで後手優勢となります 次章で解説しますが▽1二香と上がっているのが隙を無くしているからです 「図1」から「図3」までの手順 ▲3五歩 △4三銀 ▲3七銀引 △3四歩 ▲3六銀 △4二角 ▲3四歩 △同 銀 ▲2四歩 △同 歩 ▲3五歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 飛 ▲4四角 △3四飛 ▲2二角成 △3九銀 ▲1二馬 △3五飛 ▲3八香 △2八銀成 ▲3五香 △3八成銀 ▲5七銀 △6四角 「図3」 後手の持駒:飛 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ 馬|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・v角v歩 ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・v全 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 銀 歩 手数=58 ▽6四角(42) まで ▲4六銀戦法には▲3八飛と速攻する他に▲3五歩 ▽4三銀と一旦押えて位を取り 以下▲3六銀から▲4六歩と突いて行く準急戦手段が有るのです 更に▲5七銀左型には▽4三銀と引かせた後▲3七銀引と▲3七銀上の二つの位確保の 方法が有ります 後手も位を取らせて指す手も有り、またそれも難解な将棋なのですが この場合は▽3四歩と反発して▲3六銀に▽4二角と迎撃する手段で、やはり▽1二香形が ▲4四角と出た時に直接香取りにならないので後手が指し易い形勢となるのです 「図1」から「図4」までの手順 ▲3五歩 △4三銀 ▲3七銀上 △3八歩 ▲同 飛 △4五歩 ▲3三角成 △同 飛 ▲5七銀 △3五飛 ▲3六銀 △3二飛 ▲3五歩 △6四角 ▲2八角 △同角成 ▲同 飛 △6四角 ▲3七角 △4二角 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v角v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 銀 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 角 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=52 ▽4二角(64) まで ▽4三銀に▲3七銀上と上がるのが一手余計に掛かりますが、▽3四歩からの 反発を封じながら3五の位を確保出来る、もう一つの手段です 以前はこれで前述した難解な将棋となるしか無かったのですが▲3七銀上に▽3八歩と 垂らす手が発見され「図4」以下▲2六角 ▽6四角 ▲3七角 ▽4二角の 繰り返しで千日手となると言うのが現在の結論です |
本章では前章からの後手最善型に対する別手段と、最善型を避けるための先手側の 対策を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図1」は148章「図1」と同一局面、▲5七銀左に▽4三銀と上がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八金上 △5四歩 ▲4六銀 △3二飛 ▲3五歩 △1二香 ▲5五歩 △5三金 ▲5四歩 △同 金 ▲2四歩 △同 角 ▲5五銀 △同 金 ▲同 角 △3五歩 ▲5三金 △4二銀 ▲5四歩 △5二歩 ▲4二金 △同 飛 「図2」 後手の持駒:金 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v歩v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ 歩v歩 ・v角 ・|四 | ・ ・ ・ ・ 角 ・v歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=46 ▽同 飛(32) まで 後手が▽1二香とした局面で先手側には、もう一つ▲5五歩と突く手が有ります しかしこれも「図2」まで後手優勢となります もし後手が▽1二香の所で▽6四歩と 突いていれば▲5五銀 ▽同金 ▲同角と出た後に▲6四角とする手が残って先手が 優勢となるのですが、残念ながらこれも後手最善型には不発となります 結論として▽5四歩、▽1二香の形には▲3五歩と仕掛ける手自体が無理と言う事なのです この2手を指す余裕を与えては駄目なので、一手早く仕掛けるのはどうでしょうか 「図1」から「図3」までの手順 ▲4六銀 △3二飛 ▲3五歩 △5四歩 ▲3四歩 △同 銀 ▲2四歩 △同 歩 ▲3八飛 △3六歩 ▲同 飛 △4五歩 ▲3三角成 △同 飛 ▲5七銀引 △3五歩 ▲3九飛 △3二飛 ▲2三歩 △同 銀 ▲2二歩 △同 飛 ▲3五飛 △3二飛 ▲同飛成 △同 銀 ▲2二角 「図3」 後手の持駒:飛 角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v銀 角 ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩 手数=51 ▲2二角打 まで ▽4三銀にすぐ▲4六銀として一手早く仕掛けます ▽3五歩に▲3九飛そして ▲2二角を防いで▽3二飛まで前章「図2」までと同じ手順で進行しますが ▲2二角打を狙って▲2三歩として以下「図3」まで今度は先手が指し易い形勢と なります 最後の▲2二角が香取りになるのが要で、前章「図1」からこの攻め筋を 同一手順で採用すると▲2二角が空振りとなってしまうので先手が不利になるのです 「図1」から「図4」までの手順 ▲4六銀 ▽3二飛 ▲3五歩 ▽5四歩 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3八飛 ▽2二角 ▲4五銀 ▽4三銀 ▲3二飛成 ▽同 銀 ▲4四銀 ▽4三歩 ▲3三歩 ▽2三銀 ▲4三銀成 ▽同 金 ▲4一飛 「図4」 後手の持駒:飛 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ 飛 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v金 歩v銀v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=45 ▲4一飛打 まで ▲2四歩、▲3八飛に対して▽2二角と引く手も後手側に有りますが、この手は殆どの場合 振り飛車側に有利とはなりません 特にこの形では「図4」まで強攻して一時的には 銀損ですがすぐに駒損は回復でき、後手の左翼の角銀も働きが悪く先手優勢と言えます この▲4六左銀型も更に多くの変化は有りますが、▲6八金直(上)と先手がしてから ▲4六銀とした時の後手の最善型と、先手が▽4三銀にすぐに▲4六銀と上がる手段を 見て頂きました この二例にもまだ変化は有りますが最も重要と思える手順を紹介しました |
▲4六銀と出て急戦を狙う戦型には、もう一つ右の銀を使う方法が有ります 本章では左銀型との違いを見て頂く事にします 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽4三銀 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲5八金右 ▽7一玉 ▲2五歩 ▽3三角 ▲5七銀 ▽8二玉 ▲4六銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲4六銀(57) まで この右銀が出る形は、後の形や仕掛けの手順は現代と違いますが江戸時代の 古典定跡などにも出て来る戦型です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲5四歩 ▽5二金左 ▲3八飛 ▽4三銀 ▲5五銀 ▽4五歩 ▲3三飛成 ▽同 飛 ▲4四銀 ▽同 銀 ▲同 角 ▽3四飛 ▲1一角成 「図2」 後手の持駒:飛 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 馬|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ 歩 ・v飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 香 歩 手数=43 ▲1一角成 まで 左銀型には▽5四歩が有効な手段でしたが、この右銀型の場合は▲5七銀左型で ▲6八金直(上)としてから仕掛ける手順から比べると2手早い仕掛けとなる為に 後手が万全の体制に出来ないと言う利点が有ります その代わり右翼が▲5七銀左型より 薄いと言うのは弱点です ただ玉形は固く強い捌きにも応じ易くなるのです ▽5四歩には▲3五歩 ▽3二飛としてから▲5五歩とする手が、後手の左金が出遅れて いるので成立するのです 以下「図2」まで先手が有利な形勢となります 手順中のポイントとしては▲5四歩と垂らした手と、▽4五歩として次に▽5五角と言う 大技を後手が狙って来た瞬間に▲3三飛成と切って行く手です ▲5四歩の存在が 大きく「図2」の直前銀交換して▲同角に▽3四飛と当てる手で▽3九飛成とすると ▲5三歩成で先手勝勢となります 「図1」から「図3」までの手順 ▽3二金 ▲3七桂 ▽5四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲2六飛 ▽4五歩 ▲同 桂 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽4四銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲3四飛 ▽3三桂 ▲2一角 ▽4三金 ▲4四飛 ▽同 金 ▲3三桂成 「図3」 後手の持駒:飛 角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 角v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ 圭v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v金 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 銀 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 歩三 手数=45 ▲3三桂成 まで ▽3二金とする手も考えられますが、これには▲3七桂とするのが好手となります 端を突き合い▲2六飛と浮き、次に▲3五歩を狙います そうなっては受け難くなるので ▽4五歩と反発します これを▲同銀なら▽3三桂で銀が死にます ▲同桂に▽8八角成 これを▲同銀と取れるのが右銀型の利点です 左銀型だと▲同玉の一手で▽4四角の 王手飛車でそれまでとなります 実は▲4六銀、▲3七桂、▲2六飛と言う形は古典定跡にも 記された攻撃型です ただし古典定跡では後手の左金が5二の形で仕掛けるので「図3」までの 手順中で▲2四歩に手抜きして▽4五銀と強く捌いて後手が優勢となります 「図3」は後手の玉形が薄く飛車取りの先手を握っていて、先手が有利な形勢です ▽3三桂に▲2一角と打った手が、次に▲3二角成 ▽同飛 ▲4四飛を狙った好手です 「図1」から「図4」までの手順 ▽5二金左 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3五歩 ▽4三銀 ▲3七銀 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲3七銀 まで ▽5二金左とするのが一番普通の手で固い構えです これに▲3四歩 ▽同銀 ▲3八飛と するのは右翼が薄いので得策では有りません ここは▲3五歩と押さえ▽4三銀に▲3七銀と するのが有力です 以下は次章で解説します |
前章に引き続き▲4六右銀型の解説です 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲3七銀 まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、先手が▲3七銀と引いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽4二角 ▲3六銀 ▽3四歩 ▲3八飛 ▽3五歩 ▲同 銀 ▽1五角 ▲3六飛 ▽3四歩 ▲4四銀 ▽同 銀 ▲同 角 ▽3五銀 ▲同 飛 ▽同 歩 ▲1一角成 「図2」 後手の持駒:飛 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 馬|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩v角|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀二 香 歩二 手数=47 ▲1一角成 まで ▽4二角と引き▲3六銀に▽3四歩と迎撃する策は有力な手段ですが、左香が1一の ままなので「図2」まで先手有利となります 手順中▽1五角は次に▽3七歩打を狙った ものですが▲3六飛と浮き、以下▽3五銀打にも強く▲同飛と切るのがポイントです このような強手が成立するのも玉形が固い為です 「図1」から「図3」までの手順 ▽3四歩 ▲3六銀 ▽3五歩 ▲同 銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲4四銀 ▽3二飛 ▲2四歩 ▽4三銀 ▲同銀成 ▽同 金 ▲6六角 ▽3九角 ▲2三歩成 ▽3五飛 ▲2六飛 ▽6六角成 ▲同 歩 ▽3九飛成 ▲5七角 ▽3八龍 ▲3九歩 ▽3四龍 ▲2四飛 ▽同 龍 ▲同 角 ▽2八飛 ▲4一飛 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ 飛 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v金 ・ とv歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・v飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ 歩 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=63 ▲4一飛 まで 手順を変えて▽3四歩を先にして▲3六銀 ▽3五歩 ▲同銀 ▽4五歩と捌くのも 振り飛車らしい手段ですが、これも「図3」まで強く応じて先手優勢となります やはり玉形の固さが利点となっていますが、手順中▲6六角が是非覚えて頂きたい手で ▽3九飛成を一時的に防いで▽3九角打に▲2三歩成の一手を稼ぐ妙手です 飛車の取り合いは、と金が残るうえに金が離れている後手が不利となるので▽3五飛と 逃げる事になり結果的に▲2三歩成を無条件で一手余計に指した事になるのです 「図1」から「図4」までの手順 ▽5四歩 ▲3六銀 ▽6四歩 ▲4六歩 ▽7四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲6八銀 ▽6三金 ▲5七銀 ▽7三桂 ▲6八金上 ▽8四歩 ▲3七桂 ▽1三香 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2五飛 ▽4四銀 ▲4五桂 ▽4三飛 ▲3四角 ▽4二飛 ▲2三飛成 「図4」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v金 ・ ・ ・ 龍v香|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 角 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 桂 歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=61 ▲2三飛成 まで 先手に位を取らせて自然に指すとどうなるのか、と言う事ですが「図4」までのように ただ普通に駒組みを続けて行くのは単純に後手側の作戦負けとなってしまいます しかし「図4」に至る前に5二に飛車を回って▽5五歩と突く手や、▽1五歩 ▲同歩に ▽1二飛として端から捌くなど変化は多く実際は難解な将棋となります |
151、152章で後手の▽4三銀に対して右銀を使った急戦を見て頂きましたが 本章では後手が▽4三銀と上がらない場合の▲5七銀右型の急戦型戦法を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽6二玉 ▲5八金右 ▽7一玉 ▲3六歩 ▽8二玉 ▲5七銀 ▽5二金左 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3八飛 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲3八飛 まで 先手の▲5七銀に▽5二金左として左銀を3二においたまま美濃囲いを完成したのに 対して▲3八飛と鷺宮定跡と同じように角頭に狙いをつけ「図1」となります この右銀を5七に上がっての▲3八飛戦法の方が、鷺宮定跡より前から有った戦型です 「図1」から「図2」までの手順 ▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五銀 ▽2五桂 ▲3四歩 「図2」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀v桂 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=33 ▲3四歩 まで ▲3八飛に▽4三銀と角頭を守るのは、鷺宮定跡と同様に当然考えられる手ですが 右銀型▲3八飛戦法に対してははどうでしょうか ▲3四歩と押えるまで全く同じ手順で 進んで「図2」となります 「図2」から「図3」までの手順 ▽3二飛 ▲6六角 ▽3四銀 ▲同 銀 ▽3七歩 ▲2八飛 ▽3四飛 ▲2五飛 ▽2四歩 ▲4五飛 ▽3八歩成 ▲4一飛成 ▽2九と ▲1一龍 ▽3八飛成 ▲9五歩 ▽同 歩 ▲9三歩 「図3」 後手の持駒:角 銀 桂 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 龍|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | 歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 角 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・v龍 ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・vと 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 香 手数=51 ▲9三歩 まで ▲3四歩に▽3二飛と迎撃するのも鷺宮定跡と同様の手順ですが、この形では▲6六角と 打つ手が好手となります ▽3四銀 ▲同銀 ▽3七歩として捌いて来ますが、以下▲4五飛に ▽3八歩成となった時に鷺宮定跡の場合は4八に銀がいる為不利となりましたが この右銀型では、その銀が7九に変わる事により全く結果が変わり「図3」では先手優勢です 「図2」から「図4」までの手順 ▽3二歩 ▲2八飛 ▽2四歩 ▲3三歩成 ▽同 歩 ▲2四銀 ▽3四銀 ▲3三銀成 ▽4四飛 ▲6六角 ▽7四飛 ▲3四成銀 ▽同 飛 ▲2五飛 ▽3八飛成 ▲3九歩 ▽3四龍 ▲2一飛成 「図4」 後手の持駒:角 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 龍v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・v龍 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 角 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ 歩 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 歩 手数=51 ▲2一飛成 まで ▲3四歩に▽3二歩と受ける手も有りますが、これには▲2八飛 ▽2四歩に▲3三歩成と 成り捨ててから▲2四銀と言う巧妙な手段が有り、以下▽4四飛に▲6六角と打つのが やはりこの場合もポイントになります この手は更に自陣の3九の位置にも利いているのが 右銀型では好手となる要因です ▽3八飛成に▲3九歩と打ち飛車を追ってから▲2一飛成とした 「図4」は先手優勢の局面です 右銀型の▲3八飛に対して▽4三銀は悪手となるのです |
前章に引き続き▲5七銀右型の3八飛戦法を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲3八飛 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲3八飛と角頭に狙いをつけた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲9七角 ▽4一飛 ▲8六角 ▽4五歩 ▲6六歩 ▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v飛 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 飛 歩 ・|五 | 歩 角 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=33 ▲3五同飛 まで 「図1」では▽5四歩と突く手が有りますが、これには▲9七角と覗く手がこの 形でも有効です 以下▲6六歩としてから▲3五歩と角頭の歩交換をした「図2」では ▲8八玉から玉を固める手も有り先手が指し易い局面です 「図1」から「図3」までの手順 ▽6四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4三銀 ▲3六飛 ▽3二飛 ▲3五歩 ▽7四歩 ▲4六歩 ▽5四歩 ▲6八銀上 ▽6三金 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3七桂 ▽1三香 ▲4五歩 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩 ・v金 ・v銀v角v歩v香|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 飛 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 角 玉 銀 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=41 ▲4五歩 まで ▽6四歩と待つ手に対しては後手側に▽6四角と打つ手が変化として消えているので すぐに▲3五歩と行きます 手順中▽4三銀に▲3四歩と打つのは▽2二角で後が続きません ここは▲3六飛と引き▲3五歩と位を取っておくのが有力です 以下「図3」のような形を 狙って行く事になりますが途中変化も多く難解な将棋となります 「図1」から「図4」までの手順 ▽4五歩 ▲2八飛 ▽8八角成 ▲同 玉 ▽3三銀 ▲6六歩 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v銀v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 玉 ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=29 ▲6六歩 まで 負担になる角を▽4五歩と突いて捌くのは▽3二銀型の四間飛車には常に有力な手段として 有ります これには▲2八飛として▽8八角成に▲同玉と取っておきます 先手側から▲3三角成と 交換するより手得となります 以下「図4」からは先手は▲7八銀から左美濃にするなど互いに 玉形を整える将棋となりますが形勢は互角で、これからの将棋となるでしょう 151章から右銀型の急戦戦法の変化として代表的な物を見て頂きましたが、▲5七銀左型と比べて 大きな違いが出てくるのが分かって頂けた事と思います ここに御紹介した▲5七銀右型は古くから有る 定跡ですが最近また形を変えて注目される戦型となっています それはまた後の章で解説致します |
本章から15章で少しだけ触れた四間飛車▽4三銀形に対して角交換を狙う 急戦を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図1」は▲5七銀左に後手が▽4三銀と上がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八金上 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲4五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲4五歩(46) まで ▲6八金直(上)と締めますが、この手ですぐに▲4六歩と突く手も有り その方が先手に得な事も多いので、その違いも手順の中で解説して行きます ▲4五歩と仕掛けて「図2」となります ▽同歩は角交換から2筋を破られて 拙いのは15章で御紹介した通りです 「図2」から「図3」までの手順 ▽7四歩 ▲4六銀 ▽6三金 ▲3五歩 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲5七銀引 ▽4四角 ▲6六角 ▽同 角 ▲同 歩 ▽2二飛 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲8八角 ▽5一角 ▲3八飛 ▽3五歩 ▲同 飛 ▽3四歩 ▲4四歩 ▽3五歩 ▲4三歩成 「図3」 後手の持駒:飛 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v角 ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩 ・v金 ・ とv桂v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=53 ▲4三歩成(44) まで ▲4五歩に対して▽同歩と取れないので後手側は手待ちする事になり▽7四歩は 以前は普通の手でしたが、現在は少し損な手となっています ▲4六銀が米長永世棋聖創案の手で、次に▲3五歩と突くのが狙いですが▽4五歩と 取ると角交換から▽3一角が有ると言う訳です ▽6三金に▲3五歩の瞬間▽4五歩と 取りますが、以下「図3」となれば先手が指し易い形勢と言えます 「図2」から「図4」までの手順 ▽7四歩 ▲2四歩 ▽同 角 ▲同 飛 ▽同 歩 ▲3一角 ▽4一飛 ▲2二角成 ▽4五歩 ▲2三馬 ▽5一飛 ▲1一角成 ▽2七飛 ▲3七桂 ▽2九飛成 ▲4五桂 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v飛 ・ ・v桂 馬|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・v銀 ・ 馬v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・v龍 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:香 歩 手数=45 ▲4五桂(37) まで ▽7四歩には、この瞬間▲2四歩と突く手も有ります これに▽同歩なら▲3七桂で 通常の進行になります しかし後手側には更に▽同角と取る有力手が本来有るのですが この▽7四歩の形では「図4」まで先手優勢となります つまり▽7四歩の瞬間 ▲2四歩と突くと後手の応手は▽同歩に限定され、作戦範囲を狭めさせる事が出来ます 以上のような理由で「図2」では▽6三金とする方が得と言う事になったのです |
本章では▲5七銀左型▲4五歩早仕掛けの基本となる変化を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲4五歩(46) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面、先手が▲4五歩と仕掛けた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6三金 ▲3七桂 ▽7四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽5三銀 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲2四飛 ▽4五桂 ▲同 桂 ▽同 飛 ▲2一飛成 ▽2二歩 ▲4一角 ▽6二銀 ▲8六桂 ▽2五飛 ▲7四桂 ▽同 金 ▲同角成 「図2」 後手の持駒:角 桂二 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 龍v香|一 | ・v玉v銀v銀 ・ ・ ・v歩 ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ 馬v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 歩二 手数=53 ▲同 角成(41) まで 前章で御紹介したような手順を避けて▽6三金と上がった手に▲3七桂と桂を跳ね 急戦早仕掛けの基本形となります そして▲2四歩と突き捨てて戦端を開きます ▲4五歩に▽5三銀と引く手は現在では、あまり指されていません 以下「図2」までは 進行の一例ですが先手にだけ飛車を成られてしまう為、得策とは言えないのです 手順中▲2一飛成で▲4六歩 ▽4一飛としてから▲2三飛成とするのは▽6五歩で 次に▽6四桂と打つ手が厳しく先手が思わしく有りません ただし先手の陣形が▲6九金の 形なら成立します また鷺宮定跡や▲4六銀戦法では有力だった▽1二香と上がる手は この▲4五歩早仕掛けには、損な手となる事が多いのです もし▽7四歩で▽1二香とすると 今の▲2三飛成までの変化の後に▲1二龍と香得しながら、飛車を後手玉を睨む好所に据える 手が有って先手が指し易くなるのです 「図1」から「図3」までの手順 ▽6三金 ▲3七桂 ▽7四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽同 銀 「図3」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・v金 ・ ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=38 ▽同 銀(44) まで ▲4五歩には強く▽同銀と取る「図3」が後手側の最有力手です 「図3」から「図4」までの手順 ▲同 桂 ▽8八角成 ▲同 玉 ▽4五飛 ▲2三角 ▽8四桂 「図4」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・v金 ・ ・ ・ 角v歩|三 |v歩v桂v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 玉 ・ 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=44 ▽8四桂打 まで 「図3」では先手に▲同桂と取る手と▲3三角成と角交換する手が有りますが、▲同桂は ▽8八角成から「図4」の▽8四桂打が厳しく、▲7七金と上がってまだ難解とは言え 実戦的には後手を持ちたい形と言えます ただしこの場合も先手の陣形が▲6九金の 形ならば、この▽8四桂が無く先手が有望となります |
前章に引き続き▲4五歩早仕掛けの変化を御紹介します 「図1」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・v金 ・ ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=38 ▽同 銀(44) まで 「図1」は前章「図3」と同一局面、後手が▲4五歩に▽同銀と取った所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲8八角 ▽4三飛 ▲2四飛 ▽4七歩 ▲5九銀 ▽5五歩 ▲同 角 ▽5四銀 ▲4四歩 ▽5三飛 ▲2二飛成 ▽5五銀 ▲同 歩 ▽3五歩 ▲1一龍 ▽6二金引 「図2」 後手の持駒:角二 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 龍|一 | ・v玉v銀v金 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・v飛 ・v桂 ・v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ 歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀v歩 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 銀 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 香 歩 手数=56 ▽6二金(63) まで 「図1」では▲3三角成と角交換して▲8八角と打つ手も有力で、以前はこれで先手が 指せると言われていましたが、現在は▲2四飛に▽4七歩と打つ変化が発見され 以下▲5四香打に備えて▽6二金引とした「図2」では形勢不明です 手順中▲8八角の所で▲4五桂と取るのは▽同桂で先手が不利となります この手順は大抵の場合▽同桂と取った手が5七の銀取りに当るなど桂を捌かれて 芳しく無いのです 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲4五歩(46) まで 「図3」は前章「図1」と同一局面、先手が▲4五歩と仕掛けた所です 「図3」から「図4」までの手順 ▽6三金 ▲3七桂 ▽7四歩 ▲2四歩 ▽同 角 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽3三銀 ▲4七銀 ▽1四歩 ▲4六銀左 ▽7三桂 ▲2九飛 ▽8四歩 ▲6六角 ▽6五歩 ▲8四角 ▽4四歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽5三銀 ▲5七角 ▽6四銀 ▲3五歩 ▽3三角 ▲7七桂 ▽7五歩 ▲3四歩 ▽2二角 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・v角 ・|二 | ・ ・v桂v金 ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v銀v歩 ・ 歩 ・v歩|四 | ・ ・v歩v歩 ・ 歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 桂 歩 角 銀 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=60 ▽2二角(33) まで ▲2四歩と突き捨てた時に▽同角と取る事が155章「図4」までと違い ▽6三金から▽7四歩の手順時には可能となります ▲4五歩に▽3三銀とした形が悪く、昔は後手が不利と言われていたのですが 現在は研究が進み、実際はかなり難しく先手が有利とは言えなくなったのです 「図4」までは進行の一例ですが、この局面となれば後手が優勢となります しかし次の章で御紹介しますが、先手が▲6八金直(上)の所で▲4六歩と突き 一手早く攻めた形では有力な手段が先手に有るのです |
対四間飛車▲4五歩早仕掛けの最終章として、先手が一手早く仕掛ける変化を 御紹介して締めと致します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図1」は▲5七銀左に後手が▽4三銀と上がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲4六歩 ▽5四歩 ▲4五歩 ▽6四歩 ▲3七桂 ▽6三金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽同 銀 ▲同 桂 ▽同 飛 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲2四飛 ▽6五桂 ▲4七歩 ▽5七桂成 ▲同 銀 「図2」 後手の持駒:角 銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金 ・ ・v桂 ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 桂 手数=45 ▲同 銀(48) まで 「図1」ですぐに▲4六歩として一手早く仕掛けるのは有力で▲6八金直(上)と してから仕掛けた時の後手の対応策が通用しなくなるのは、ここまでも解説しました ▲4五歩 ▽同銀 ▲同桂に単に▽同飛と取り、▲3三角成 ▽同桂に▲2四飛まで 互いに最善の応酬をした後、▽6五桂に▲4七歩打が好手で後手の反撃を完封して 以下「図2」は先手優勢の局面です 「図1」から「図3」までの手順 ▲4六歩 ▽5四歩 ▲4五歩 ▽6四歩 ▲3七桂 ▽6三金 ▲2四歩 ▽同 角 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4三歩 ▽同 飛 ▲2四飛 ▽同 歩 ▲3二角 ▽4二飛 ▲2一角成 ▽4一飛打 ▲3三桂 ▽5一飛 ▲9五歩 ▽同 歩 ▲同 香 ▽同 香 ▲4三歩 ▽5二飛寄 ▲4四角 「図3」 後手の持駒:香 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・v金v飛 ・ ・ 馬v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金 ・ 歩 桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・v歩v歩 角v歩v歩 ・|四 |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | ・ 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=51 ▲4四角(88) まで 前章「図4」までの手順で御紹介した▲2四歩に後手が▽同角と取る手に対しての 先手の手段が▲4三歩 ▽同飛としてから▲2四飛と角を取り▲3二角と飛車取りに 打つと言う物です この策は前章「図3」から「図4」までの手順中でも可能なのですが この場合は▽5一飛に▲9五歩と端歩を突いた時、手抜きして▽5五歩と決戦する手が成立して しまうのです しかしこの「図4」までの手順中で▲9五歩に▽5五歩とするのは ▲9四歩と取り込まれ後手玉が狭く、先手を持ちたい形勢と言えます ▽7四歩の一手が 入っているか、いないかが明暗を分ける事になるのです 「図1」から「図4」までの手順 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽5四銀 ▲5五歩 ▽6五銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲3八飛 ▽7六銀 ▲3五飛 ▽6五銀 ▲3四歩 ▽2二角 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽4三飛 ▲5四歩 ▽同 銀 ▲3三歩成 ▽同 飛 ▲同飛成 ▽同 角 ▲2三歩成 ▽5一角 ▲2八飛 「図4」 後手の持駒:飛 歩五 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v角 ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・ と ・|三 |v歩 ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五 | 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=51 ▲2八飛打 まで 「図1」で▲4六歩とした場合に▽5四銀と出る玉頭銀の手段が有る事は15章で御紹介しました ただ15章の手順は理想的な成功例で、流石にあれほど簡単に決まる事は無いと思いますが 先手側にとって厄介な手段で有る事は間違いありません そこで一例ですが玉頭銀を撃破する 作戦として▲1六歩 ▽1四歩と端歩の交換をしてから▲4六歩とする手が有ります 以下「図4」の▲2八飛が後手の飛打ちを消しつつ▲3二とで飛車を成り込む絶妙手で先手優勢 となります この手で▲2二飛などと打つと▽2八飛と打たれて難しくなります 手順中▲2四歩に▽4三飛の所で、▽同歩と取ると▲1五香から▲2三歩打が有ります これが1筋の端歩を突き合った狙いだったのです これを「図3」までの手順のように ▲9五歩と9筋で歩を手に入れるのは玉頭銀が迫って来ている状況では危険です もちろん▲1六歩に手抜きで▽5四歩と突くなどの変化が有って難しいのは確かですが 是非覚えて頂きたい変化です 以上で対四間飛車で角交換を狙う急戦策の御紹介を終わりとします 次章からは三間飛車に 対する▲4五歩早仕掛け急戦を見て頂く事にしたいと思います |
▲4五歩と突いて角交換を狙う早仕掛けは三間飛車でも多用される事が多い策で 本章からその変化を御紹介して行きたいと思います 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽3二飛 ▲2五歩 ▽3三角 ▲6八玉 ▽4二銀 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5八金右 ▽7二玉 ▲3六歩 ▽8二玉 ▲4六歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・ ・v銀v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲4六歩(47) まで ▽7二玉に対する▲3六歩では一般的に▲5六歩と突く事が多いのですが ▲3六歩の方が面白い狙いが有るので、この【戦法図鑑】では▲3六歩と突く手で 進めて行きたいと思います 「図1」から「図2」までの手順 ▽7二銀 ▲3七桂 ▽5二金左 ▲4五歩 ▽3五歩 ▲同 歩 ▽4五歩 ▲4四歩 ▽3六歩 ▲1六歩 ▽3七歩成 ▲同 銀 ▽5四歩 ▲3六銀 ▽5三銀 ▲4五銀 「図2」 後手の持駒:桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v銀 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 銀 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=35 ▲4五銀(36) まで ▽7二銀。▽5二金左と美濃囲いを完成するのは自然な手順ですが、▲4五歩と 開戦した時点で後手は不利となっています しかし玉形は堅固なので▽3五歩と 桂頭を狙って捌きに出ます ▽4五歩に角交換すると捌かれて拙いので▲4四歩で 押さえ込みを図ります この後の▽3六歩打に▲1六歩が絶妙手で、以下「図2」まで 先手優勢となります ▲5六歩では無く▲3六歩から突いたのは、この桂損押さえ込み 手順が狙いとして有ったからでした 「図1」から「図3」までの手順 ▽5四歩 ▲5六歩 ▽5三銀 ▲3七桂 ▽7二銀 ▲4五歩 ▽4二飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 角 ▲同 角 ▽同 飛 ▲6六角 ▽3六歩 ▲4四角 ▽同 銀 ▲2四飛 ▽3七歩成 ▲同 銀 「図3」 後手の持駒:角二 桂 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v銀 ・ 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩三 手数=41 ▲同 銀(48) まで ▽5四歩と玉の囲いを後回しにして左翼に手を掛けて来た時には。こちらも▲5六歩と 突いておきます ▽5三銀と上がる形は軽い捌きが特徴の三間飛車には良く指される手で 先手側としては警戒すべき物です ▲3七桂で仕掛けの準備が出来た先手は▽7二銀に ▲4五歩と仕掛けます ▽4二飛は攻められる所に飛車を回る振り飛車の常套手段ですが この形では後手の玉形がしっかりしているので▲3五歩と攻めの幅を広げて仕掛けます ▽同歩に▲4四歩と取り込めば▽同銀は▲3四歩打が有るので▽同角から角交換となり 以下「図3」では先手が指し易い局面と言えます 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽3二飛 ▲2五歩 ▽3三角 ▲6八玉 ▽4二銀 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5八金右 ▽7二玉 ▲3六歩 ▽5二金左 ▲4六歩 ▽5四歩 ▲5六歩 ▽5三銀 ▲3七桂 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v銀 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲3七桂(29) まで ▲3六歩に▽5二金左として、以下玉を7二においたまま先に▽5三銀型を完成させ 先手も▲3七桂で仕掛けの形を作り「図4」となります ここから後手の次の手で 全く違った闘いに発展して行きますが、次章ではその変化を解説致します |
本章では先手の早仕掛けに対して▽7二玉、▽5三銀型で迎え撃つ変化を 御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v銀 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲3七桂(29) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、後手が玉を7二の位置で▽5三銀型を 先に作った手に先手が▲3七桂と仕掛けの準備を完了した所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽3五歩 ▲同 歩 ▽5一角 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4五桂 ▽同 歩 ▲1一角成 ▽3六桂 ▲3八飛 ▽4八桂成 ▲同 金 ▽4六歩 ▲2一馬 ▽4二飛 ▲4三歩 ▽同 飛 ▲同 馬 ▽同 金 ▲4五香 「図2」 後手の持駒:角 銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v角 ・ ・ ・ ・|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v銀v金 ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 香 歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩v歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ 金 飛 ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂二 手数=43 ▲4五香打 まで 三間飛車に早仕掛けを狙う場合に常に警戒しなければならないのが、相手の飛車先に 跳ねた桂の頭を攻められる恐れが有ると言う事です 「図1」からは当然▽3五歩の 突き捨てから▽5一角と引いて桂頭攻めは考えられる手段です しかしこれには▲2四歩と 突き捨て▲4五桂と飛ぶ手が成立します 以下「図2」まで駒得で先手を握った居飛車が 優勢となります 「図1」から「図3」までの手順 ▽8二玉 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4五歩 ▽4二飛 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽5三銀 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲2四飛 ▽4五桂 ▲同 桂 ▽同 飛 ▲2一飛成 ▽7二銀 ▲3三角 ▽4七歩 ▲同 金 ▽4六歩 ▲5七金 ▽6五桂 ▲5八金引 ▽4七歩成 ▲同 銀 ▽4六歩 ▲3八銀 ▽4七角 ▲2七龍 ▽3八角成 ▲同 龍 ▽4七銀 ▲2七龍 ▽5八銀成 ▲同 金 ▽5七金 ▲同 金 ▽同桂成 ▲同 龍 ▽4七歩成 ▲5九龍 ▽3八と ▲6六角成 ▽4七飛成 ▲4八歩 ▽2七龍 ▲6八銀 「図3」 後手の持駒:金 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v銀 ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 馬 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・v龍 歩|七 | ・ ・ 玉 銀 ・ 歩vと ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 龍 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金 銀 桂二 歩二 手数=71 ▲6八銀(79) まで 桂頭攻めが無理なので美濃囲いを目指して▽8二玉と言うのも自然な手ですが これには6一の金が離れ駒になるので▲2四歩から▲4五歩とすぐに仕掛けます ▽5二金、▽5四歩の形では▲2四歩と突き捨てて▽1五角と出る手を消してから ▲4五歩と攻めるのが手順となります これを単に▲4五歩と行くと▽3五歩と突かれ 前章「図2」までと同様の反撃が有って今度は先手がいけません ▽4二飛に▲4四歩と取りこみ、対四間飛車の早仕掛けと同一進行で進みますが 31手目▲4五歩と銀頭に打った時に、▽5三銀と引いて捌いて来ます この手で▽同銀と取るのは先手の陣形が低いので、この場合は損で▽5三銀から 軽く捌く方が本筋となります 以下後手が桂を捌いた後▲2一飛成が6一の金に 当たるのが先手の狙いとなり▲3三角と攻防に打った局面では先手優勢です しかし▽4七歩からの後手の攻めは強烈で侮れない物ですが、冷静に龍と馬を 引きつけて受けに回り「図3」では後手の攻めを指し切らせ先手勝勢となります 「図1」から「図4」までの手順 ▽2二飛 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲5五歩 ▽同 角 ▲同 角 ▽同 歩 ▲4五桂 ▽4四銀 ▲3一角 ▽3二飛 ▲7五角成 「図4」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 馬 ・v歩 桂 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=35 ▲7五角成(31) まで 「図1」では角交換から2筋を破ると言う先手の狙いを封じる策として▽2二飛と 回る手も考えられますが、これには▲4五歩 ▽同歩 ▲5五歩と仕掛ける手が ▲3一角から馬を作る手が有って成立します 「図4」の局面では次に▲2四歩が有り 先手がやや指し易い形勢と言えます ▽4六角と打つ手が気になりますが、▲2九飛と 逃げた後▲4七歩で角を殺す手が有って、この形では心配有りません ▽5三銀と上がる手は三間飛車では銀の動きが楽で好形では有るのですが、先手が急戦を 狙っている場合は陣形が不備なうちに攻められるので危険なのです |
本章では▲4五歩早仕掛けに対する後手側の対応としては本流と言える変化を 御紹介する事にします 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・ ・v銀v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲4六歩(47) まで 「図1」は159章「図1」と同一局面、先手が▲4六歩と早仕掛けの意思表示を した所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲5六歩 ▽5二金左 ▲3七桂 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・v金v銀v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲3七桂(29) まで ▽5四歩、▽4二銀型で迎え撃つのが、居飛車側の早仕掛け急戦には最善の 対応となります ▲3七桂として先手の仕掛け準備完了で「図2」となります 「図2」から「図3」までの手順 ▽7二銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲4五桂 ▽4四角 ▲5四歩 ▽2二飛 ▲4七銀 ▽2五歩 ▲4六銀 ▽2六歩 ▲5五銀 「図3」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v銀 ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ 歩v角v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 銀 桂 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩v歩 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=39 ▲5五銀(46) まで 「図2」で▽7二銀として美濃囲いを完成すれば玉形には隙が無くなりますが やはり先手の仕掛けが成立してしまいます ▲4五歩 ▽同歩に▲5五歩と突くのが 急所で▽同角は▲2四飛と走られるので▽同歩ですが、以下「図3」まで先手が 優勢となります 手順中▽4四角に▲5四歩と垂らす事と、慌てて▲5三歩成と しないで4八の銀を応援に繰り出して行くのがポイントとなります 「図2」から「図4」までの手順 ▽7二銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4五歩 ▽2二飛 ▲4四歩 ▽4三歩 ▲同歩成 ▽同 銀 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲7七角 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽2三飛 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲5四歩 ▽5五歩 ▲8六角 ▽2二角 ▲4二歩 ▽5一金寄 ▲4一歩成 ▽同 金 ▲4五歩 ▽同 桂 ▲同 桂 ▽同 銀 ▲1五桂 ▽4三飛 ▲2四飛 「図4」 後手の持駒:桂 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v飛 ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ 歩 ・v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩v銀 ・ ・ 桂|五 | 歩 角 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=55 ▲2四飛(28) まで 「図3」までの手順中で▲4五歩と来た時に先手の▲2四歩突き捨てを利用して ▽2二飛と、ここで回って2筋を受けておく手も考えられます そして▲4四歩に ▽4三歩と合わせて捌いて来ます この手には角交換から▲7七角と再度角を打つのが好手で、▽5五歩と手筋の突き捨てから ▽2三飛と巧妙に受けて来ますが▲4四歩から、以下▲8六角と覗く手が厳しく先手が 指し易い形勢となります 「図4」までは一例ですが、こうなれば後手陣は潰れです |
前章に引き続き▲4五歩早仕掛けに対する後手の▽5四歩、▽4二銀型からの 対応を見て頂きます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・v金v銀v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲3七桂(29) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▽7二銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4五歩 ▽3五歩 ▲4四歩 ▽3六歩 ▲4五桂 ▽2二角 ▲2四飛 ▽3七歩成 ▲同 銀 ▽同飛成 ▲2二飛成 ▽4六歩 ▲4三歩成 ▽同 銀 ▲4八歩 「図2」 後手の持駒:銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ 龍 ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩v歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・v龍 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 歩 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=41 ▲4八歩打 まで ▲2四歩の突き捨てから▲4五歩と仕掛けた瞬間に▽3五歩と桂頭を攻める手も もちろん考えられる手ですが、これには▲4四歩と取り込み▽3六歩に▲4五桂と 自然に対応して「図2」では先手優勢です 「図1」から「図3」までの手順 ▽7二銀 ▲2四歩 ▽同 角 ▲4四角 ▽3五歩 ▲同 歩 ▽3六歩 ▲4五桂 ▽3五角 ▲1一角成 ▽4六角 ▲2三飛成 ▽3五飛 ▲4四馬 ▽3七歩成 ▲3五馬 ▽同 角 ▲3七銀 「図3」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v銀 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ 龍v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 桂v角 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 香 歩四 手数=41 ▲3七銀(48) まで 最初の▲2四歩突き捨てに▽同角と取る手も3二の飛車先が先手の桂頭に通るので 有力そうに思えますが「図3」まで先手が駒得で優勢となり、これも無理筋と言えます 「図1」から「図4」までの手順 ▽2二飛 ▲6八銀 ▽7二銀 ▲5七銀左 ▽6四歩 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲4五歩 ▽5三銀 ▲4六銀 ▽5四銀 ▲5五銀 ▽同 銀 ▲同 角 ▽4三金 ▲8八角 ▽4五歩 ▲5五銀 ▽4四銀 ▲同 銀 ▽同 金 「図4」 後手の持駒:銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v金v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=44 ▽同 金(43) まで 今まで見て頂いた後手側の手段は全て先手が指し易いと言う結果になりました 実は三間飛車に対する▲4五歩早仕掛けには「図1」で▽2二飛と回るのが 最善かつ唯一と言って良い対策なのです これ以上待つと▽6三金とされて仕掛けを 封じられてしまうので先手も攻めますが、単に▲4五歩は▽同歩で手にならないので ▲5五歩とこちらから仕掛けます ▽同歩に▲4五歩と突いて、以下「図4」まで 形勢は不明となります 手順中▲4六銀に▽5六歩と突き出す手や▽5四銀に▲4四歩と 取りこむ手など変化も多数有り難解な将棋となります これで三間飛車に対して▲4五歩と角交換を狙う早仕掛けの解説は終わりに致しますが 155章からの四間飛車編も含めて、古来から有るにも関わらず難解な変化が多く 今でも答えが出ていない戦型なのです |
本章から対四間飛車の棒銀戦法を解説致します 棒銀戦法は今までも、あらゆる戦型で現れましたが飛車と銀の協力形は 将棋の攻めの基本と言える物で、対振り飛車戦でも広く応用されます 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図1」は先手の▲5七銀左に対して▽4三銀と上がった所です 対振り飛車の棒銀戦法は後手がこの24手目に他の手、例えば▽6四歩或いは ▽5四歩などでも変わらず採用出来るので、本章では現在最も有力な後手の対抗型と言える ▽4三銀型に絞って解説する事にします 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八金上 ▽5四歩 ▲3七銀 ▽3二飛 ▲2六銀 ▽1二香 ▲3八飛 ▽6四歩 ▲3五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=33 ▲3五歩(36) まで ▲3七銀から▲2六銀と言うコースで銀を繰り出して行くのが対振り飛車棒銀の動きです これにより▽4三銀と上がっていない形では▲2六銀の所で▲3五歩と仕掛ける手が有り ▽同歩なら▲4六銀と変形ナナメ棒銀の手段が生じます 二枚の銀で腰の重い攻めとなり 四間飛車側としては対応が厄介なので、結局▽4三銀と上がる事になります その結果「図1」で後手が▽4三銀以外の応手でも同じ進行となる事が多いのです 「図2」から「図3」までの手順 ▽2二角 ▲4六歩 ▽7四歩 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽5三金 ▲4四歩 ▽5五歩 ▲3三歩 ▽同 飛 ▲5五角 ▽4五銀 ▲3三飛成 ▽同 角 ▲4一飛 ▽5一飛 ▲同飛成 ▽同 角 ▲4三歩成 ▽同 金 ▲4一飛 「図3」 後手の持駒:飛 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v角 飛 ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・v歩 ・ ・ ・v金 ・v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 角v銀 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=55 ▲4一飛打 まで 棒銀戦法に対しての振り飛車側の心得としては棒銀を捌かせないようにすると言う事です ですから▲3五歩に▽同歩と取るのは殆どの場合疑問手となります ▽2二角と2筋に角を引くのは、昔よく指された対抗手段ですが棒銀の目標となり易く 現在では指されなくなりました ただ居飛車側の形によっては有効な場合も有りますし、棒銀以外の戦型では今でも 度々現れる振り飛車側の対応手です ▲3四歩 ▽同銀に▲4五歩と突くのが棒銀戦法の定番の狙い筋となります ▲3四歩に▽同飛と取るのは▲3五銀 ▽3二飛 ▲3四歩と押さえられ、これもまた 振り飛車側は殆どの場合、絶対に避けなければならない形です そこで▽同銀に▲4五歩ですが ▽同歩は▲2二角成とされて一巻の終わりですので▽5三金から▽5五歩と防戦します ▲同角に▽4五銀と何とか捌きに出ますが、以下「図3」まで先手有利となります 「図3」では先手の棒銀も2六に捌けず残っていますが、それ以上に後手の陣形は バラバラな為です ここまでにも変化は有りますが▽2二角が直接先手の飛車と銀に ぶつかる形となるので棒銀が全くの空振りになる心配が無いのです 「図2」から「図4」までの手順 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲8八角 ▽3五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3五銀 ▽2七角 ▲2八飛 ▽3六角成 ▲3四歩 ▽3五馬 ▲3三歩成 ▽4四銀 ▲3二飛 「図4」 後手の持駒:角 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ 飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・ と ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v銀 ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v馬 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 手数=51 ▲3二飛打 まで 「図2」では▽4五歩と角交換を狙って大捌きに出る手も振り飛車側の常套手段ですが この形では単純な角交換は「図4」まで、あまり変化の余地も無く四間飛車側の不利となります ただし形が変わると逆に居飛車側が不利となる事も有り、警戒すべき手段では有ります 「図2」から▽2二角と引く手と▽4五歩と大捌きに出る手を御紹介しましたが いずれも四間飛車側に思わしい結果とならず、現在は姿を消した対抗手段です |
前章に引き続き四間飛車対棒銀の攻防を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=33 ▲3五歩(36) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面、先手が▲3五歩と仕掛けた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5一角 ▲4六歩 ▽6二角 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀v角v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v銀 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=39 ▲4五歩(46) まで ▽5一角とこちらに引き▲4六歩に▽6二角と転換する手が遠く先手の2六の銀を睨み 軽く棒銀をいなすのが狙いで、現在でも指されている有力な四間飛車側の対抗型です これにも▲4五歩と突くのが手筋で、やはり▽同歩と取ると▲3三歩と打つ手が有って 取る事は出来ません 「図2」から「図3」までの手順 ▽5五歩 ▲同 角 ▽4三銀 ▲3五銀 ▽5四銀 ▲6四角 ▽4五銀 ▲3三歩 ▽同 飛 ▲3四歩 ▽3二飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2二歩 ▽5三金 ▲8六角 ▽2二飛 ▲3三歩成 ▽同 桂 ▲4四銀 「図3」 後手の持駒:歩六 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀v角 ・ ・ ・v飛v香|二 | ・v歩v歩 ・v金 ・v桂 ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ 銀 ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・|五 | 歩 角 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=59 ▲4四銀(35) まで 「図2」から▽5五歩と突き捨てるのが手筋で、以前はこの手が有力と言われていましたが ▽5四銀に▲6四角から▲8六角とする手が好手で「図3」まで先手有利となり この▽5五歩とする手も指されなくなりました 前章から昔は指されていて現在は指されなくなった対抗手を見て頂きました ここで「図2」からの現在の手段を紹介をする前に、後手の最強と言われる対抗型によって この図までの手順も工夫する必要が出て来てしまった事を解説したいと思います 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図4」は後手が▽4三銀と上がった局面です 「図4」から「図5」までの手順 ▲6八金上 ▽5四歩 ▲3七銀 ▽1四歩 ▲2六銀 ▽3二飛 ▲3八飛 ▽1二香 ▲3五歩 ▽4二角 ▲4六歩 ▽5三角 ▲1六歩 ▽4二金 「図5」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩v角v銀 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=38 ▽4二金(52) まで ▽1四歩は▽6四歩と突かないようにする工夫で、後に▽6四角を残すのが狙いです ▲1六歩の所で▲3四歩 ▽同銀 ▲4五歩は▽6四角が有ると言う訳です 「図5」の後手の布陣が棒銀に対する最善の対抗型で、この局面は先手にとって 最も厄介な形なのです この局面で▲3四歩 ▽同銀 ▲4五歩とするのは今度は▽同歩と 取られてしまい、そこで▲3三歩と打っても▽同金で手にならず2六の銀も後手の5三の角で 取りに当たってしまうのです 以下は次章で |
前章に引き続き対棒銀の四間飛車最善型からの攻防と、居飛車側が後手の最善型を 回避する策を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩v角v銀 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=38 ▽4二金(52) まで 「図1」は前章「図5」と同一局面、後手の対棒銀最善型です 「図1」から「図2」までの手順 ▲9八香 ▽6四歩 ▲4五歩 ▽3三桂 ▲3四歩 ▽4五桂 ▲4八銀 ▽3四飛 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・v角v銀 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v飛 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|七 | 香 角 玉 金 金 銀 飛 ・ ・|八 | ・ 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=46 ▽3四飛(32) まで ▲9八香は奇妙な手ですが次に▲4五歩 ▽同歩 ▲1一角成 ▽4四角 ▲2一馬 ▽9九角成 ▲9七香で桂得と言う進行が狙いで、こうなれば先手有利ですが▲4五歩に ▽3三桂と活用する手が好手となり、以下「図2」では後手の指せる形勢です 「図1」の布陣は強靭な守備力を誇り、棋界から対四間飛車対策としての棒銀戦法が 採用率を激減させるに至るほどでした そこで居飛車側も手順に改良を加え後手の理想形を 回避する工夫をする事になります 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図3」は▲5七銀左に▽4三銀と後手が上がった局面です 「図3」から「図4」までの手順 ▲6八金上 ▽5四歩 ▲3七銀 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽1二香 ▲4六歩 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 銀 ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲4六歩(47) まで ▲2六銀を保留して▽1四歩に▲1六歩と受け▽1二香にも先に▲4六歩と突いた「図4」が 先手側の工夫で、これで「図1」の最善型を防いでいます 何故なのかは次章で |
本章では四間飛車側の対棒銀理想形を回避する手順から、主流となる戦型の解説に入ります 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 銀 ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲4六歩(47) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、後手の理想形を回避すべく▲4六歩と突いた所です 何故この▲4六歩と先に突いた手が後手の最善型を阻止する事になるのか この局面から▽6四歩と突かず、あくまで前章「図1」の理想形を目指すなら▽3二飛と 回って棒銀に備えるしか無いのですが 「図1」から「図2」までの手順 ▽3二飛 ▲4五歩 ▽4二飛 ▲4八銀右 ▽6四歩 ▲3七桂 ▽6三金 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v金 ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=38 ▽6三金(52) まで 「図1」で▽3二飛と後手が棒銀に備えて3筋に飛車を回った瞬間に▲4五歩と突く手が有るのです 以下「図2」となり、ここで▲2四歩と仕掛けるのが155章〜158章で御紹介した ▽4五歩早仕掛けですが、▽7四歩が▽1二香に変わっています この▽1二香は早仕掛けの変化では 後手側にマイナスとなる事が多いのは156章「図2」までの局面の解説でも触れましたが 少なくとも▽7四歩よりは価値が低い手と言え、対棒銀において▽6四歩と突いているより損な手となります 以上のような訳で「図1」では▽6四歩と突く事になり、後手の対棒銀最善型を回避できるのです 「図1」から「図3」までの手順 ▽6四歩 ▲2六銀 ▽3二飛 ▲3五歩 ▽5一角 ▲3八飛 ▽6二角 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀v角v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v銀 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=41 ▲4五歩(46) まで 「図3」は164章「図2」と比べて1筋の突き合いが違うだけの局面です しかし先手が ▲3五歩と開戦するまでの手順は現在最善とされていて、この端歩が突かれているのが 普通になります また▲3五歩の所で先に▲3八飛と回っても同じように思えますが 現在ではそれも手順前後で先手が不利となる変化が有るのです この手順に対する解説は 後の章で要点を解説したいと思います 「図3」から「図4」までの手順 ▽4三金 ▲4四歩 ▽同 金 ▲4五歩 ▽4三金 ▲3七銀 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀v角 ・ ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v金 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・v銀 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 銀 ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=47 ▲3七銀(26) まで 端歩の突き合いで別の変化が生じる事も有りますが、ここで▽5五歩と突き捨てるのは やはり164章「図2」から「図3」までと同じ変化になり、後手の不利となります 「図3」では▽4三金と上がるのが最善となるのです 以下▲4五歩に▽4三金と引いた手に ▲3七銀と銀取りを避けて「図4」となりますが、▲3七銀で▲1一角成と角が成るのは▽2六角と 銀を取られ、駒損で先手が不利です 以下は次章で |
本章では現在でも指されている四間飛車対棒銀の基本的な攻防を御紹介します 「図1」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀v角 ・ ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v金 ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・v銀 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 銀 ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=47 ▲3七銀(26) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、▲3七銀と先手が銀を引いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽3三桂 ▲4六銀右 ▽4四歩 ▲同 歩 ▽同 金 ▲4五歩 ▽同 桂 ▲同 銀 ▽同 金 ▲3三歩 ▽4二飛 ▲3四飛 ▽3五金 ▲5四飛 「図2」 後手の持駒:銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀v角 ・v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・ 歩v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 飛 ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 桂 歩 手数=61 ▲5四飛(34) まで 次に▲1一角成が有るので、角成りを避けつつ桂を活用する▽3三桂は有力手です ▲4六銀右に対して、ゆっくりした手を指していると▲2八飛から▲2四歩と飛車先を 切られて後手側の左翼は動き難い形となり不利を招くので、▽4四歩から金銀を捌きに出ますが 「図2」では3五の金が守備から離れて遊び駒になる可能性が高く先手有利な局面と言えます ▽4四歩では他に▽4二飛や▽3六歩とする手などが有りますが、棒銀を中央に転換して 活用出来る居飛車側に不満は無い形勢となる事が多いと言えます 「図1」から「図3」までの手順 ▽4五銀 ▲1一角成 ▽3三桂 ▲3六銀 ▽4四角 ▲2一馬 ▽4二飛 ▲6六銀 ▽5六銀 ▲3五銀 ▽6六角 ▲同 歩 ▽4七銀打 ▲2八飛 「図3」 後手の持駒:歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 馬 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v金v桂v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩v銀 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=61 ▲2八飛(38) まで 「図1」では先手の▲4六銀右からの中央活用を阻止して、▽4五銀と銀を捌いて行く手段も有ります 当然▲1一角成と角を成られるのは承知の上です 以下▽3三桂から▽4四角と全ての駒を活用して ▲3五銀にも▽6六角と切り▽4七銀打と強く応戦されるのが、居飛車側にとっても怖い手順なのです 「図3」から「図4」までの手順 ▽3七歩 ▲4四歩 ▽同 金 ▲4七金 ▽同銀成 ▲5三銀 ▽3五金 ▲4二銀成 ▽3八歩成 ▲1八飛 ▽4五桂 ▲5四馬 ▽5七桂成 ▲同 金 ▽同成銀 ▲5三桂 ▽7一金 ▲1一飛 「図4」 後手の持駒:金二 銀 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|一 | ・v玉v銀 ・ ・ 全 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ 桂 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩 馬 ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ ・v全 ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ ・vと ・ 飛|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=79 ▲1一飛打 まで 「図3」で▽5二銀成などとするのは▲同金で後が続かないので、▽3七歩と守備力の強い 先手の飛車を攻めて来ますが▲4四歩から強く応戦して、以下「図4」まで先手玉も薄く ここまで変化も有りますが先手の一手勝ちと言える局面です |
本章では先手が棒銀から▲3五歩と開戦するまでの手順についての解説と ▲3五歩に対する後手の別対策を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽4三銀(32) まで 「図1」は先手の▲5七銀左に後手が▽4三銀と上がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲6八金上 ▽5四歩 ▲3七銀 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽1二香 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲2六銀 ▽3二飛 ▲3五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲3五歩(36) まで 「図2」は「図1」から166章「図3」までに至る手順の途中35手目で、先手が▲3五歩と 棒銀を捌こうと戦端を開いた局面です まずここまで互いに最善の手順で来ている事を解説します 後手が▽1二香の前に▽1四歩と端を突いたのは、もしこの「図2」で端が突かれていないと 166章「図3」までの手順で解説した▽5一角には▲2四歩と突き捨てる手が生じて後手が 不利となるからです この手に▽同歩なら▲1五銀と出て▽2四飛に▲4五歩と突く手がピッタリで また▽同角なら▲4五歩 ▽同歩に▲1五銀と銀を捨てて▽同角に▲2三飛成と飛車が成り込んで 居飛車有利と言う、加藤一二三九段創案の”加藤流”の攻め筋が炸裂するのです 次にこの「図2」の▲3五歩では▲3八飛と先に飛車が3筋に回っても変わりが無いように 思えますが、これが後手側の対応によって大きく違って来るのです それを解説する前に ▲3五歩を先にした場合▽同歩と取って▲同銀に▽4五歩と大捌きに出る変化が気になる所なので その変化を先に見て頂く事にします 「図2」から「図3」までの手順 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲3六歩 ▽3四歩 ▲2六銀 ▽4六歩 ▲同 銀 ▽3九角 ▲2七飛 ▽8四角成 ▲1一角 ▽3九馬 ▲3七銀右 ▽3八馬 ▲2六飛 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 角|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v飛v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 飛 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・v馬 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=53 ▲2六飛(27) まで ▲3五歩を▽同歩と取って▽4五歩と捌いて来る手には角交換して▲3六歩と銀の下から 歩を打つのが好手で後手も▽3九角から馬を作る事が出来ますが、「図3」では次の▲2二角成が 厳しく先手の有利な形勢と言えます やはり単純に角交換する手は通用しないのです 「図2」から「図4」までの手順 ▽6五歩 ▲3八飛 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲4五歩 ▽3五歩 ▲4八飛 ▽3四銀 ▲2二角 ▽6三飛 ▲4四角成 ▽4三金 ▲2二馬 ▽3三桂 ▲4四歩 ▽4二金 ▲1二馬 ▽4五桂 ▲4六銀 ▽6六歩 ▲同 歩 ▽3九角 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金 ・ ・ 馬|二 | ・v歩v歩v飛 ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 歩v銀 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v桂v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 銀 ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 金 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・v角 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:香 歩二 手数=58 ▽3九角打 まで 「図2」では▽6五歩と突く手が有るのです ▲3五歩の所で▲3八飛でも同じく▽6五歩と突き ▲3五歩に▽4五歩で、やはり「図4」までと同じ進行になります この大捌きは163章の「図4」までと似た形で、▽6五歩と先手の▲4六歩が入っているのが 違いとなっていますが、この違いが大きく直後に▽4六歩の取り込みや▽6四角などが生じるのです 以下「図4」まで変化は有りますが、いずれも後手優勢となります つまり▲3八飛を先にすると必然的に この変化を辿る事になると言う訳なのです したがって▲3五歩を先にして後手の▽6五歩に対しては ▲3八飛では無く別の手を用意すると言う事になるのです 以下は次章で |
前章に引き続き、先手が棒銀から▲3五歩と仕掛けた局面からの解説です 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲3五歩(36) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面、先手が▲3五歩と戦端を開いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6五歩 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3五歩 ▽4三銀 ▲3七銀 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 銀 ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=41 ▲3七銀(26) まで 前章「図4」までで解説した▲3五歩に対しての後手の▽6五歩と言う変化手には▲3八飛では無く ▲3四歩 ▽同銀 ▲3五歩と押さえて▲3七銀と銀の繰り替えを図る手が有ります これは▲4六銀戦法の章でも御紹介した居飛車側の準急戦手段で、棒銀の場合でも有効となるのです 「図2」から「図3」までの手順 ▽6三金 ▲3六銀 ▽7四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3七桂 ▽3四歩 ▲同 歩 ▽5一角 ▲4七金 ▽3四銀 ▲4四角 ▽3五歩 ▲4五銀 ▽4三銀 ▲1一角成 ▽3三角 ▲同 馬 ▽同 桂 ▲2四飛 ▽4五桂 ▲同 桂 ▽4四歩 ▲2三飛成 ▽3四銀打 ▲2一龍 ▽4五歩 ▲同 歩 ▽5二飛 ▲9五歩 ▽同 歩 ▲9二歩 ▽同 香 ▲9三歩 ▽同 香 ▲9四歩 ▽同香 ▲8六桂 「図3」 後手の持駒:角 桂 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・v金 ・ ・ ・ 龍 ・|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・v香|二 | ・v歩 ・v金 ・v銀 ・ ・ ・|三 |v香 ・v歩 ・v歩 ・v銀 ・v歩|四 |v歩 ・ ・v歩 ・ 歩v歩 ・ ・|五 | ・ 桂 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 金 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=79 ▲8六桂打 まで 「図2」から▽6三金として、ゆっくり陣形を整えていると先手に▲3六銀から ▲3七桂と十分な攻撃態勢を作られてしまい、いろいろな変化は考えられますが後手の 作戦負けとなる可能性が高いのです 「図4」までは変化の一例ですが後手の左翼を破り 端からの攻めが決まり先手優勢の局面です いずれにしても理想的攻撃陣が築ける先手に 不満の無い流れと言えるでしょう 「図2」から「図4」までの手順 ▽3四歩 ▲3六銀 ▽3五歩 ▲同 銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲3六歩 ▽4六歩 ▲2四歩 ▽6四角 ▲3七角 ▽3四銀 ▲4六角 ▽同 角 ▲同銀引 ▽4五歩 ▲3七銀 ▽4四角 ▲7七桂 ▽2四歩 ▲2二角 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ 角v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v飛 ・ ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v角v銀v歩v歩|四 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 桂 歩 銀 ・ 銀 ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=63 ▲2二角打 まで 「図2」では▽3四歩と合わせて捌いて行く手も有ります これは以下▽4五歩とした形が 前章「図3」までの変化と似た物となりますが、▽6五歩と6筋の歩が延びているのを利用して 角交換から▲3六歩と銀取りを受けた時に▽4六歩から▽6四角と打つ手が狙いとなります しかしこれには▲3七角と打って受かっています 以下「図3」まで先手の指し易い形勢です |
本章で四間飛車対棒銀の解説は最後となります 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲3五歩(36) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲3五歩と戦端を開いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽4二角 ▲3八飛 ▽6五歩 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3四歩 ▽6四角 ▲1一角成 ▽1九角成 ▲2一馬 ▽4二金 ▲3三歩成 ▽同 飛 ▲同飛成 ▽同 金 ▲3七桂 「図2」 後手の持駒:飛 香 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 馬 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・v歩v歩 ・ ・v銀v金v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v馬|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂 歩 手数=51 ▲3七桂(29) まで 「図1」の▲3五歩に対しては▽4二角と引く手も有り、▲3八飛と寄らせてから ▽6五歩と突くのが狙いです この手には▲4五歩 ▽同歩としてから▲3四歩と取り込みます これを逆にすると▲4五歩を取ってはくれず▽6四角とされて拙いのです ▲3四歩に▽6四角で、以下互いに角を成り合いますが「図2」の▲3七桂で全ての駒が働き また後手陣も弱体化しているので先手有利と言えます このように非常に有力な戦法と言える棒銀ですが、先手の四間飛車には事情が違って来ます 最後に先手四間飛車に対しての失敗例を御紹介する事にします 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 ▽4二玉 ▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5二金右 ▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽8五歩 ▲7七角 ▽4二銀 ▲3九玉 ▽5三銀左 ▲2八玉 ▽4二金上 ▲5六歩 ▽7三銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲9八香 ▽8四銀 ▲7八飛 ▽6四歩 ▲4七金 ▽7五歩 ▲5九角 ▽7二飛 ▲4八角 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・v金v金v玉v角 ・|二 | ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・v歩 ・|三 |v歩v銀 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 銀 ・ 金 歩 歩 ・|七 | 香 ・ 飛 ・ ・ 角 銀 玉 ・|八 | ・ 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=39 ▲4八角(59) まで 「図3」は▲4七金と金が上がっている所が後手側が四間飛車の場合と違っている点です この一手の違いが全く別の変化を生み出します 「図3」から「図4」までの手順」 ▽7六歩 ▲同 銀 ▽6五歩 ▲5五歩 ▽同 角 ▲6七銀 ▽7五銀 ▲5六金 ▽2二角 ▲6五金 ▽7四歩 ▲5八飛 ▽6三金 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 金 ▽5四歩 ▲4五金 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・ ・v金v玉v角 ・|二 | ・ ・ ・v金v銀v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩v銀 ・ ・ 金 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ 歩 歩 ・|七 | 香 ・ ・ ・ 飛 角 銀 玉 ・|八 | ・ 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=57 ▲4五金(55) まで ▽7六歩 ▲同銀 ▽6五歩と定番の攻めに出た時に、▲5五歩と突き捨てる手が この形では成立するのです 164章「図3」と違うのは▽7五銀に▲5六金と金で角に 当てる事が出来る為、▽4六角とこちらの歩を取って角を捌く手が無い為です ▲6五金で次に▲7三歩から▲7四歩が有るので、▽7四歩と打って防ぎますが 以下「図4」では棒銀の攻めは完全に封じられ中央に駒を捌かれて後手の不利な局面です 先手が四間飛車の場合は棒銀以外でも違いが出て来るのは当たり前ですが、特に棒銀の場合は 後手の居飛車側としては得策と言えない変化が多いのです 以上で四間飛車対棒銀の解説を終わりにしますが、更に多数の変化も有りますし またこれからも新手や新手法が生まれるかも知れません 今まで以上に章数を重ねたのは この戦型の変化は居飛車対四間飛車の対抗型には広く応用が出来る物が多い為でした 次章では今まで御紹介した居飛車の急戦策に対抗する、新趣向の四間飛車を御紹介します |
最終4図で▽3一金と守られたらどうするのでしょう? どなたか教えてください。 > 前章までの森下システム同様、棋士の名前を冠した戦型として脇謙二八段が > 体系づけ完成させた脇システムを御紹介します > > 「図1」までの手順 > > ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 > ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金 > ▲7八金 ▽4一玉 ▲6七金右 ▽7四歩 ▲6九玉 ▽5二金 > ▲7七銀 ▽4四歩 ▲3六歩 ▽3三銀 ▲7九角 ▽3一角 > ▲3七銀 ▽6四角 ▲4六角 > > 「図1」 > 後手の持駒:なし > 9 8 7 6 5 4 3 2 1 > +---------------------------+ > |v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 > | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 > |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 > | ・v歩v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四 > | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 > | ・ ・ 歩 歩 歩 角 歩 ・ ・|六 > | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 銀 歩 歩|七 > | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 > | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 > +---------------------------+ > 先手の持駒:なし > 手数=27 ▲4六角(79) まで > > 「図1」は矢倉3七銀型から、後手の▽6四角に対して▲4六角と出て角を > ぶつけた所ですが、この手が脇システムの骨子となる一手です > > 「図1」から「図2」までの手順 > > ▽7三銀 ▲7九玉 ▽4三金右 ▲8八玉 ▽3一玉 ▲2六歩 > ▽2二玉 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 > ▽1四歩 > > 「図2」 > 後手の持駒:なし > 9 8 7 6 5 4 3 2 1 > +---------------------------+ > |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 > | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 > | ・ ・v銀v歩 ・v金v銀v歩 ・|三 > |v歩 ・v歩v角v歩v歩v歩 ・v歩|四 > | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 > | 歩 ・ 歩 歩 歩 角 歩 ・ 歩|六 > | ・ 歩 銀 金 ・ 歩 銀 ・ ・|七 > | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 > | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 > +---------------------------+ > 先手の持駒:なし > 手数=40 ▽1四歩(13) まで > > 互いに角を交換すると手損になるので、角が睨みあったまま駒組みが進んで > 「図2」の局面が脇システムの基本図です ただし端の形は互いに突き越す > など、いろいろ変化が有ります > > 「図2」から「図3」までの手順 > > ▲6四角 ▽同 銀 ▲2六銀 ▽6九角 ▲1五歩 ▽同 歩 > ▲同 銀 ▽同 香 ▲同 香 ▽4七角成 ▲1三歩 ▽同 桂 > ▲4一角 ▽6二飛 ▲6五歩 ▽5三銀 ▲3二角成 ▽同 飛 > ▲1九香 ▽1二歩 ▲1八飛 ▽4六角 ▲1三香成 ▽同 角 > > 「図3」 > 後手の持駒:銀 香 歩二 > 9 8 7 6 5 4 3 2 1 > +---------------------------+ > |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 > | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v玉v歩|二 > | ・ ・ ・v歩v銀v金v銀v歩v角|三 > |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 > | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 > | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 > | ・ 歩 銀 金 ・v馬 ・ ・ ・|七 > | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八 > | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 > +---------------------------+ > 先手の持駒:金 桂 > 手数=64 ▽同 角(46) まで > > 角交換は手損になるのですが「図3」から▽6四角と角を交換して▽同銀に > ▲2六銀と棒銀に出るのが脇システムの狙い筋です ▽6九角は後手の > 有力手で 以下はプロの実戦を参考にした進行例です「図3」から一気に > 後手玉を寄せ切ります > > 「図3」から「図4」までの手順 > > ▲2四桂 ▽同 歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲1四歩 ▽2三歩 > ▲1三歩成 ▽同 歩 ▲4一角 ▽6二飛 ▲3二金 ▽1二玉 > ▲2八飛 ▽2五香 ▲同 飛 ▽同 銀 ▲2八香 ▽3六銀 > ▲4二金 ▽同 飛 ▲2三香成 ▽2一玉 ▲3三歩 > > 「図4」 > 後手の持駒:飛 金 銀 桂 歩四 > 9 8 7 6 5 4 3 2 1 > +---------------------------+ > |v香v桂 ・ ・ ・ 角 ・v玉 ・|一 > | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 > | ・ ・ ・v歩v銀v金 歩 杏v歩|三 > |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 > | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 > | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v銀 ・ ・|六 > | ・ 歩 銀 金 ・v馬 ・ ・ ・|七 > | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 > | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 > +---------------------------+ > 先手の持駒:なし > 手数=87 ▲3三歩打 まで > > 「図4」で先手必勝となります 手順中▲3二金に▽同飛ですと▲1三飛成 > の大技が決まります このように脇システムは意外に強力な戦法なのです |
終盤10級さん、はじめまして。【戦法図鑑】作者の千鳥銀です 昨年初頭より多忙を極め、こちらにも時折溜まった発言を見に来るのが やっとで、なかなか発言も出来ずにいますが、やはり流石にこれは私が お答えしなければならないですね。 最終図4で、▽3一金と受けた場合は、以下▲3二歩成 ▽同金 ▲同角成 ▽同飛 ▲1三香成で次に▲2ニ金打と▲3二成香 ▽同玉 ▲1ニ飛打からの 詰みが有って、やはり一手一手の寄り筋となります。 更に受けるとすれば、▽9ニ飛打でしょうが、ここで一歩有るのでまた▲3三歩と 打つ手が有り、▽同金 ▲同成香 ▽同飛 ▲2三金打と、あくまでも種駒を 清算せずに攻め続ければ先手の勝ちは動きません。 |
千鳥銀さんご丁寧な回答ありがとうございました。 でもまだ疑問がありまして、最終手▲2三金打のあと ▽同飛、▲同成香となると、飛車1本では私には寄せきれません。 この局面を寄せきれるのは、どのくらいの実力なんですか。 初段ぐらいだと、楽々寄せ切れるんですか? > 終盤10級さん、はじめまして。【戦法図鑑】作者の千鳥銀です > > 昨年初頭より多忙を極め、こちらにも時折溜まった発言を見に来るのが > やっとで、なかなか発言も出来ずにいますが、やはり流石にこれは私が > お答えしなければならないですね。 > > 最終図4で、▽3一金と受けた場合は、以下▲3二歩成 ▽同金 ▲同角成 > ▽同飛 ▲1三香成で次に▲2ニ金打と▲3二成香 ▽同玉 ▲1ニ飛打からの > 詰みが有って、やはり一手一手の寄り筋となります。 > 更に受けるとすれば、▽9ニ飛打でしょうが、ここで一歩有るのでまた▲3三歩と > 打つ手が有り、▽同金 ▲同成香 ▽同飛 ▲2三金打と、あくまでも種駒を > 清算せずに攻め続ければ先手の勝ちは動きません。 |
終盤10級さん こんにちは。 これは局面図を示さなかったのが、いけなかったですね。 後手の持駒:角 金 銀 桂 香 歩六 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|一 |v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・ ・v歩v銀 ・ ・ 杏 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v銀 ・ ・|六 | ・ 歩 銀 金 ・v馬 ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 金 手数=101 ▲同 成香(13) まで この図の通り、持ち駒が飛車と金になりますので十分ですね。 しかし確かに【戦法図鑑】も85章から先はセカンドステップと 言う事で、その前までの章よりレベルが上がっているので多少難解な 部分も出てきますし、またこんな戦法が有りますよと言う、戦法の紹介が 趣旨なので、その例の中には高度な物も含まれる為、有段者で無いと 難しい局面も出てきてしまうのは、仕方が無い所でも有ります。 ただ全く知らないより知っていた方が、ライバルと戦う時、 役にたつのではと思い項を重ねている次第です。 |
右下方向へツリーがものすごく展開していて、若干見づらい気がします。 一発言だけ見たい(またはその発言に対して返信したい)ときには不便なのではないかとなんとなく思いました。 飛燕 |
飛燕さん こんにちは、千鳥銀です。 すいません 此方にコピーする時に途中でツリーを変えるつもりだったんですが 意外に時間が掛かって大変な作業だったので、すっかり忘れて全部繋げてしまいました 次の章からツリーを変える予定ですので m(__)m |