本章では先手が25手目▲3七銀と上がる所で、▲3五歩と角で歩交換を
しに行く戦法を御紹介します
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三
| ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=24 ▽4四歩(43) まで
「図1」は前章「図1」の一手前、後手が24手目▽4四歩と指した局面です
この局面までが現代矢倉の基本形となります 俗に矢倉24手組みと呼ばれる
定跡型なのです これは10〜12章でも出てきた形です
「図1」から「図2」までの手順
▲3五歩 ▽6四角 ▲1八飛 ▽3五歩 ▲同 角 ▽4三金右
▲7九玉 ▽3一玉 ▲8八玉 ▽2二玉
「図2」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v玉 ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩v歩|三
| ・v歩v歩v角v歩v歩 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 銀 ・ ・ 飛|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=34 ▽2二玉(31) まで
前章では「図1」で▲3七銀と上がりましたが、ここで▲3五歩とすぐに
突いて行く手が有ります 対して後手は▽6四角で矢倉崩しなどの理想形を
牽制して来ます ▲1八飛と端に飛車を追われて悪いように見えますが
実はこの手には恐ろしい狙いが秘められているのです
「図2」から「図3」までの手順
▲3七銀 ▽5三銀 ▲6八角 ▽8五歩 ▲1六歩 ▽3四歩
▲1五歩 ▽7三角 ▲2六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽6四歩
▲2五歩 ▽8四角 ▲3六銀 ▽7三桂
「図3」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩v歩|三
|v歩v角v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 銀 ・ ・|六
| ・ 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ ・ 飛|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=50 ▽7三桂(81) まで
後手は毎度お馴染みの総矢倉から▽6五歩を狙う形ですが 先手側の形は
今までの戦法から比べると、あまり大した事は無いように見えると思います
しかしこの「図3」も既に先手の作戦勝ちなのです
「図3」から「図4」までの手順
▲1四歩 ▽同 歩 ▲1三歩 ▽同 香 ▲同角成 ▽同 桂
▲1四飛 ▽1二歩 ▲1八飛 ▽6五歩 ▲1四歩 ▽6六歩
▲同 銀 ▽6五歩 ▲1三歩成
「図4」
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉v歩|二
| ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩 と|三
|v歩v角v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ 銀 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 香 歩
手数=65 ▲1三歩成(14) まで
▲1四歩から▲1三歩打そして▽同香に▲同角成と、角を切り端から攻める
と言うのが▲1八飛とした時からの狙いだったのです 飛車の下にいる香が
後手陣への飛車成を防げ無くしていて「図4」では先手勝勢です
▲3六銀としたのは▲1八飛と一旦下がった時に、▽2七角と打たれる手を
防ぐ為だったのです 「図4」からは▽3一玉なら一旦▲5七銀と銀を
逃げておけば、後は端から飛車を成り込んで自然に先手が勝てる将棋です
この先手が25手目▲3五歩と行く戦型も他に変化は多数有りますが「図4」
までの端飛車作戦は後手側の▽6四角に応対した手を、そのまま利用出来る
と言う物で意外と優秀な戦法です