それでは本章から矢倉の本格戦法の中から代表的な物を御紹介して行きます
分かり易いように後手側は122〜124章と同じ総矢倉に統一して見ます
現在の矢倉の主流になっている戦型が▲3七銀戦法と呼ばれる物です
10〜12章で御紹介した矢倉崩しと棒銀も、その分類に入りますが後手の
手順も研究されて、前述したような形には簡単に出来なくなっているのです
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5二金 ▲6七金右 ▽3三銀
▲7七銀 ▽7四歩 ▲7九角 ▽3一角 ▲3六歩 ▽4四歩
▲3七銀
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三
| ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 銀 歩 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=25 ▲3七銀(48) まで
この25手目に先手が▲3七銀と上がった形が矢倉▲3七銀戦法です
ここまでは10〜12章でも解説した形です
「図1」から「図2」までの手順
▽6四角 ▲6八角 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽3一玉 ▲8八玉
▽2二玉 ▲4六銀
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v玉 ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩v歩|三
| ・v歩v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 銀 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=33 ▲4六銀(37) まで
▲3七銀に▽6四角と出るのが後手側の最善の応手です これで▲3五歩と
突けなくなります もし▲3五歩と行くと▽同歩 ▲同角に▽3六歩打で
銀を取られて終わりになります 先手側の現在主流となっている戦型が
「図2」の▲4六銀と上がる形なのです この他に▽6四角に▲6五歩と
突く手などが有りますが、あまり指される事は無くなっています
「図2」から「図3」までの手順
▽8五歩 ▲3七桂 ▽5三銀 ▲1六歩 ▽7三角 ▲1五歩
▽9四歩 ▲9六歩 ▽6四歩 ▲2六歩 ▽8四角 ▲3八飛
▽7三桂
「図3」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v桂 ・v銀v金v銀v歩v歩|三
|v歩v角v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 銀 歩 歩 ・|六
| ・ 歩 銀 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=46 ▽7三桂(81) まで
この「図3」が現在▲3七銀からの理想形です
「図3」から「図4」までの手順
▲3五歩 ▽同 歩 ▲2五桂 ▽2四銀 ▲3五銀 ▽同 銀
▲同 角 ▽3四歩 ▲6八角 ▽6五歩 ▲3三歩 ▽同 桂
▲1三桂成 ▽同 香 ▲1四歩 ▽同 香 ▲同 香
「図4」
後手の持駒:銀 桂 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v桂 ・v銀v金v桂v歩 ・|三
|v歩v角v歩 ・v歩v歩v歩 ・ 香|四
| ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩 ・|六
| ・ 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 香 歩
手数=63 ▲同 香(19) まで
「図3」から「図4」が、この理想形からの攻め筋で先手勝勢となります
後手がこの理想形を許さないようにしたり、この形にさせても簡単に
攻め切れないようにすると言った対策を打ち出す事によって激戦となるのが
近代矢倉の最も主流となる攻防なのです