本章では先手の矢倉模様に後手が一直線に棒銀を繰り出して来る超急戦策を
御紹介致します 122章でも先手の駒組み手順によっては早繰り銀での
急戦が有るのを見て頂きましたが、それから比べると破壊力が全く違い
対抗法を知らないと一気に敗勢となるので、本格的な戦型を御紹介する前に
解説しておきます
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七銀 ▽7二銀
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛v銀 ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=8 ▽7二銀(71) まで
▲6八銀から▲6六歩と矢倉を思わせる先手の手順に▽8五歩と突いて
先手が▲7七銀と、はっきり矢倉模様にしたのを見てから▽7二銀とします
矢倉には▽6二銀が普通の形ですので この▽7二銀は明らかに▽8三銀
から棒銀に来る事を明示した手です これには先手も▲4八銀などと指して
いる暇は有りません 迎え撃つ体勢を整える必要が有るのです
「図1」から「図2」までの手順
▲7八金 ▽8三銀 ▲5八金 ▽8四銀 ▲7九角 ▽6四歩
▲6七金右
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・v銀 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 角 ・ 玉 ・ 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=15 ▲6七金(58) まで
▽8三銀から繰り出されて来る棒銀に対して「図2」まで素早く矢倉を
組み上げる事が出来ました これで▽9五銀と出られても▲6八角とすれば
ピッタリ受かるので心配無いように見えますが
「図2」から「図3」までの手順
▽6五歩 ▲同 歩 ▽9五銀 ▲6八角 ▽8六歩 ▲同 歩
▽同 銀 ▲同 銀 ▽9九角成
「図3」
後手の持駒:香 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 ・ ・ 金 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
|v馬 桂 ・ ・ 玉 ・ 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 歩二
手数=24 ▽9九角成(22) まで
▽6四歩と直前に突いた手が、実は後手の強烈な狙い筋の下準備でした
▽6五歩 ▲同歩としてから▽9五銀で以下「図3」まで角が成り込んで
後手が優勢となりました この手順はプロの対局にも現れた物で単純ですが
意外に防ぎ難い急戦策なのです ▽6五歩を取らずに▲6八角としても
▽9五銀 ▲9六歩 ▽8六歩 ▲同歩 ▽6六歩と多少手順が変わっても
以下ほとんど「図3」と同じ結果になります
「図1」から「図4」までの手順
▲5六歩 ▽8三銀 ▲7八金 ▽8四銀 ▲7九角 ▽6四歩
▲6八角
「図4」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・v銀 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=15 ▲6八角(79) まで
▲5六歩から「図4」まで先手の形が少し変わりましたが、寧ろ「図2」の
形の方が堅固に思われるうえに▽6五歩から▽9五銀とされると「図3」と
あまり結果に違いは無いように見えます しかしこの僅かな違いが決定的な
差となって現れるのです その先手の対抗策は次章で