対四間飛車棒銀戦法[1]


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 本章から対四間飛車の棒銀戦法を解説致します。棒銀戦法は、今までもあらゆる戦型で現れましたが、飛車と銀の協力形は将棋の攻めの基本と言える物で、対振り飛車戦でも広く応用されます。


「図1」


 「図1」は先手の▲5七銀左に対して▽4三銀と上がった所です。

対振り飛車の棒銀戦法は後手がこの24手目に他の手、例えば▽6四歩或いは ▽5四歩などでも変わらず採用出来るので、本章では現在最も有力な後手の対抗型と言える▽4三銀型に絞って解説する事にします

「図1」から「図2」までの手順

▲6八金上 ▽5四歩 ▲3七銀 ▽3二飛
▲2六銀 ▽1二香 ▲3八飛 ▽6四歩
▲3五歩

「図2」


 ▲3七銀から▲2六銀と言うコースで銀を繰り出して行くのが対振り飛車棒銀の動きです。 これにより▽4三銀と上がっていない形では▲2六銀の所で▲3五歩と仕掛ける手が有り、 ▽同歩なら▲4六銀と変形ナナメ棒銀の手段が生じます。二枚の銀で腰の重い攻めとなり 四間飛車側としては対応が厄介なので、結局▽4三銀と上がる事になります。 その結果「図1」で後手が▽4三銀以外の応手でも同じ進行となる事が多いのです。

「図2」から「図3」までの手順

▽2二角 ▲4六歩 ▽7四歩 ▲3四歩
▽同 銀 ▲4五歩 ▽5三金 ▲4四歩
▽5五歩 ▲3三歩 ▽同 飛 ▲5五角
▽4五銀 ▲3三飛成 ▽同 角 ▲4一飛
▽5一飛 ▲同飛成 ▽同 角 ▲4三歩成
▽同 金 ▲4一飛

「図3」

「図3」では先手の棒銀も2六に捌けず残っていますが、それ以上に後手の陣形は バラバラな為です。ここまでにも変化は有りますが、▽2二角が直接先手の飛車と銀に ぶつかる形となるので棒銀が全くの空振りになる心配が無いのです。


 棒銀戦法に対しての振り飛車側の心得としては棒銀を捌かせないようにすると言う事です。 ですから▲3五歩に▽同歩と取るのは殆どの場合疑問手となります。 ▽2二角と2筋に角を引くのは、昔よく指された対抗手段ですが棒銀の目標となり易く 現在では指されなくなりました。
ただ居飛車側の形によっては有効な場合も有りますし、棒銀以外の戦型では今でも 度々現れる振り飛車側の対応手です。

▲3四歩 ▽同銀に▲4五歩と突くのが棒銀戦法の定番の狙い筋となります。 ▲3四歩に▽同飛と取るのは▲3五銀 ▽3二飛 ▲3四歩と押さえられ、これもまた 振り飛車側は殆どの場合、絶対に避けなければならない形です。そこで▽同銀に▲4五歩ですが ▽同歩は▲2二角成とされて一巻の終わりですので▽5三金から▽5五歩と防戦します。 ▲同角に▽4五銀と何とか捌きに出ますが、以下「図3」まで先手有利となります。





「図2」から「図4」までの手順

▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲8八角
▽3五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲2四歩
▽同 歩 ▲3五銀 ▽2七角 ▲2八飛
▽3六角成 ▲3四歩 ▽3五馬 ▲3三歩成
▽4四銀 ▲3二飛

「図4」


 「図2」では▽4五歩と角交換を狙って大捌きに出る手も振り飛車側の常套手段ですが この形では単純な角交換は「図4」まで、あまり変化の余地も無く四間飛車側の不利となります。 ただし形が変わると逆に居飛車側が不利となる事も有り、警戒すべき手段では有ります。

「図2」から▽2二角と引く手と▽4五歩と大捌きに出る手を御紹介しましたが いずれも四間飛車側に思わしい結果とならず、現在は姿を消した対抗手段です。



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