先手の攻める向かい飛車[2]


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 先手が▲8八飛と向かい飛車にした手に、前章では後手が▽6二銀としました。 本章では この手に変えて▽3四歩と乱戦含みに角道を開けた場合の変化を解説する事にしましょう。

「図1」までの手順

▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽5四歩
▲8八飛 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲6八銀 ▽7四歩
▲4八玉 ▽6四歩 ▲3八玉 ▽4二玉

「図1」


 後手の▽3四歩に対して、先手には幾つかの選択肢が有ります。 その中で最も激しい手が▲2二角成 ▽同銀 ▲5三角と打って馬を作る狙いですが、 これには後手も同様に▽5七角として以下乱戦となります。 もちろん、それで悪くなる訳ではありませんし先手側にも面白い策が有るのですが、 向かい飛車とは大きく外れます。また▽3四歩として乱戦を望んだ後手の狙いを外したい所でも有ります。

 他に▲6八銀と角道を開けたまま攻勢をとる”升田流向かい飛車”と言う戦型も選べますが、 これは57章で解説した4手目▽3三角型と重複する部分が多いので、 今回は▲6六歩と角道を止めます。 ▽7四歩は先手の▲8六歩と逆襲して来る手に▽7三桂或いは▽7三銀を用意した手です。 また先手から▲7五歩と位を取られる手を消す意味も有ります。 後の章で解説しますが▲7五歩と突く有力な戦法が有るのです。▽6四歩は、この歩を突かずに▽4二玉とすると、 すかさず▲8六歩と突かれ以下、飛車の素抜きの筋で不利となるのは、50章で解説した通りです。

「図1」から「図2」までの手順

▲6五歩 ▽5三銀 ▲6四歩 ▽同 銀
▲2二角成 ▽同 銀 ▲6三角 ▽4四角
「図2」


 ▲6五歩が先手の狙いの一手です。▽同歩と取ると▲2二角成の角交換から▲6四角の王手飛車が有ります。 また▽4四歩では▲6四歩と取り込まれて、やはり後手が不利となるので▽5三銀とします。 角交換しての▲6三角に後手の▽4四角は、先手が▲7三銀または▲7三桂と受ければ▽6五銀として▽7六銀とすり込む手、 或いは▽6二歩と角を殺す手が狙いです。これで先手が困ったようですが。

「図2」から「図3」までの手順

▲6六歩 ▽同 角 ▲7七銀 ▽5七角成
▲5四角成 ▽7三銀 ▲5八飛 ▽2四馬
▲6四歩 ▽6二歩 ▲5五歩 ▽5三歩
▲6五馬
「図3」


 「図2」で▲6六歩と受けるのが好手です。 このように飛角香の利きの中間に歩を打って受ける手筋を”中合い(ちゅうあい)の歩”と呼びます。 ▽同角と取らせて▲7七銀と角取りの先手で受けられるのが中合いの効果です。▽5七角成に▲5四角成で銀取り ここで▽5三銀と逃げるのは▲5五馬の飛銀両取りが有るので▽7三銀としますが、 ▲5八飛と強く交換を迫り▽同馬なら▲同金右で先手陣に飛車を打ち込む隙が有りません。 馬が逃げる事になりますが、大駒の働きに差が有り、先手の優勢です。
「図3」までは以下の変化の一例です。


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