先手のゴキゲン中飛車[3]


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 本章では先手が別の手順でゴキゲン中飛車を目指す方法と居飛車側の有力手段を御紹介します。

「図1」までの手順

▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽3四歩 ▲5五歩 ▽6二銀
▲5八飛 ▽8五歩 ▲7七角


「図1」


 58、59章と67〜69章で御紹介した先手番限定の攻勢振り飛車の手順で、5六歩に後手が▽3四歩と角道を開けた場合、 中央位取り型の中飛車にする事が出来るのは少し解説しましたが、この戦型そのものは昔から有り、 その頃はもちろんゴキゲン中飛車とは呼びませんでした。現在の流行によって中央位取りの理想形にしやすい、 この手順も見直され、ゴキゲン中飛車の一戦型として指されるようになったのです。

 この他にも一手目に▲5八飛(▽5二飛)と振る手も先手後手共に有ります。 ゴキゲン中飛車が流行してからプロ間でも一手目に飛車を振るなどの手段がとられるようになりました。 これが8章の最後で少しだけ触れた事情なのです。

「図2」までの手順

▲7六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽3四歩 ▲5五歩
▽6二銀 ▲5八飛 ▽4二玉 ▲4八玉 ▽3二玉
▲3八玉 ▽4二銀 ▲7七角 ▽6四歩 ▲2八玉
▽6三銀
「図2」


 「図2」までは谷川浩司王位・棋王羽生善治王座の第45期王位戦第2局の進行手順です。 先手の谷川浩司王位・棋王が「図1」と同じ手順でゴキゲン中飛車中央位取り型を採用しました。 対して後手の羽生善治王座が飛車先を8四で止め、▽6三銀と右銀を繰り出し「図2」となります。

「図2」から「図3」までの手順

▲6八銀 ▽5二金右 ▲3八銀 ▽3三銀
▲5七銀 ▽7四銀 ▲5六銀 ▽8五銀
「図3」

 「図3」の▽8五銀は森下卓九段創案の対ゴキゲン中飛車作戦で、現在有力な対策の一つとなっています。

 手順中▽3三銀は▽4四銀から先手の5五の歩を取りに行く手を見せて▲5六銀を強要する意味と、 更に▽7四銀から▽8五銀と角頭を狙った時に▲4五銀から▲5四歩と77章で解説した大捌きを封じる一石二鳥の好手です。 この辺りは流石に一手一手が緻密に計算され尽くされていてトッププロの凄さを窺い知れる所です。 この対局はここから激しい攻防が続きますが、後手の羽生善治王座が勝利を収めています。 この対策は後手番のゴキゲン中飛車でも▽5五歩と中央の位を取る形には応用が利く物で、 居飛車側の有力策としてこれからもプロ間で指される事と思います。

 現在の最新型を御紹介した所で、ゴキゲン中飛車編の締めと致します。 77章冒頭で述べたように、横歩取り▽8五飛と並んでタイトル戦で指される流行戦法の一つで、 これからも刻一刻と変わって行く事が考えられますので、73章から御紹介した内容も、この戦型の現時点での状況と言う事になります。


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