若 葉 亭
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タイトル 【戦法図鑑】208 ミレニアム[1]
投稿日: 2017/09/19(Tue) 20:52
投稿者千鳥銀

本章から三浦弘行九段が升田幸三賞を受賞し、一時は対藤井システムの主力と
なっていたミレニアム囲い、他にトーチカ、かまぼことも呼ばれていた
戦型について解説します。

「図1」までの手順

▲7六歩    ▽3四歩    ▲2六歩    ▽4四歩    ▲4八銀    ▽4二飛
▲6八玉    ▽9四歩    ▲7八玉    ▽7二銀    ▲5六歩    ▽3二銀
▲5八金右  ▽4三銀    ▲2五歩    ▽3三角    ▲3六歩    ▽6二玉
▲6六角

「図1」

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・v銀v玉 ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 角 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=19  ▲6六角  まで

「図1」はミレニアムの出だし独特の角の序盤からの動きとなります。
この角出は他に角田流の端攻めや、振り飛車穴熊に対する地下鉄飛車など
本当に一部の戦型でしか現れません。


「図1」から「図2」までの手順

▽5二金左  ▲7七桂    ▽7一玉    ▲6八金寄  ▽5四銀    ▲3七桂
▽6四歩    ▲8九玉    ▽7四歩    ▲8八銀    ▽8二玉    ▲7九金
▽6三銀引  ▲7八金寄  ▽9五歩    ▲1六歩    ▽7三桂    ▲5九銀    
▽5四歩    ▲6八銀    ▽6五歩    ▲5七角    ▽4五歩

「図2」

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂v銀 ・ ・v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 桂 歩 角 歩 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=42  △4五歩  まで

▲7七桂 ▲3七桂と両方の桂を上がり、6六に上がった角を5四の銀で
狙われないようにし、藤井システムのような後手側の角筋からの攻撃を
▲8九玉とこちら側に避けて囲うのがミレニアムです。
角筋に玉が居なく端攻めに対して、穴熊や串カツよりも影響が少なくなり
後手も急な仕掛けは無いので▽6三銀とダイヤモンド美濃に組み替え、
その間先手も▲1六歩と後手の▽1五角を消す俗にいう”居飛車の税金”から
▲5九銀 ▲6八銀とミレニアムを完成します。この形のミレニアムは他に
トーチカとも呼ばれます。後手も▽6五歩と角を追い▽4五歩として自然な
駒組みとなった「図2」では互いに十分に見えますが、既に先手の術中に
嵌まっていて、このダイヤモンド美濃に固める策は思わしく無いのです。

「図2」から「図3」までの手順

▲2四歩    ▽同 歩    ▲2六飛    ▽4三飛    ▲3五歩    ▽同 歩
▲同 角    ▽7五歩    ▲3四歩    ▽2二角    ▲7五歩    ▽7六歩
▲2四飛    ▽2三歩    ▲2六飛    ▽7七歩成  ▲同銀右    ▽8五桂
▲7六銀    ▽9七桂成  ▲同 銀    ▽9六歩    ▲8六銀    ▽9七歩成
▲同 香    ▽同香成    ▲同 銀    ▽7七香    ▲8六銀

「図3」

後手の持駒:桂 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v角 ・|二
| ・v歩 ・v銀 ・v飛 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩v歩 ・v歩 角 ・ ・|五
| ・ 銀 銀 ・ 歩 ・ ・ 飛 歩|六
| ・ 歩v香 歩 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 香 歩四 
手数=71  ▲8六銀  まで

玉が互角以上の固さが確保出来る場合は引き角系は、かなり強引な攻めも
成立する事が多く、この場合でも▲2四歩から一旦▲2六飛と慎重な手順で
仕掛ける手が有ります。これに1歩を得た後手が▽7五歩と先手の弱点の
桂頭を狙い反撃が決まりそうに見えますが、▽8五桂に▲7六銀と真っ直ぐ
避けるのが好手で以下、「図3」では後手のこれ以上の攻めは難しく先手優勢です。
もし先手の玉形が前章の串カツだった場合、▽4二角から▽9六歩 ▲同歩に
▽9七歩と玉頭を反撃して後手が有利になります。そう言う意味で串カツより
このミレニアム低空バージョンの方が優秀と言えます。

「図1」から「図4」までの手順

▽7一玉    ▲7七桂    ▽8二玉    ▲8八銀    ▽5四歩    ▲3七桂
▽5二金左  ▲6八金寄  ▽6四歩    ▲8九玉    ▽6三金    ▲7九金
▽7四歩    ▲7八金寄  ▽7三桂    ▲1六歩    ▽5二飛    ▲5九銀
▽6五歩    ▲5七角    ▽5五歩

「図4」

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂v金 ・v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 桂 歩 角 歩 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 玉 金 ・ 銀 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=40  △5五歩  まで

この低空バージョンのミレニアムには玉側の桂頭以外に、角頭が弱いと言う点が
有りそこを狙って▽7三桂から▽5二飛と中飛車に振り直し中央から反撃と言う
手段が有効になります。▲1六歩と突く手で▲5九銀と行くのは一旦▽1五角を
利かせてから▽5二飛と回られます。また「図4」で▲2四歩と突いても構わず
▽5六歩と取り込み後手優勢となります。
ミレニアム低空バージョンは藤井システムを避け、穴熊に準ずる堅陣が得られ
優秀な戦法では有るのですが、藤井システム以外だと初めからツノ銀中飛車などで
中央を狙われ上手く行かない場合も多い為、採用されなくなりました。
ただ形に拠っては有効な囲い方です。次章ではミレニアム▲6七金型(▽4三金型}を
解説します。


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