本章では、左美濃から先手が151章と152章で解説したような▲4六銀右型の
攻撃手段に出る変化を御紹介します。
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀v角 ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=17 ▲5七銀 まで
「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲5七銀と上がった所です
「図1」から「図2」までの手順
▽4三銀 ▲3六歩 ▽8二玉 ▲2五歩 ▽3三角 ▲8六歩
▽5二金左 ▲8七玉 ▽6四歩 ▲7八銀 ▽7四歩 ▲4六銀
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v歩v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|六
| ・ 玉 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=29 ▲4六銀 まで
「図1」で▽4三銀と予め角頭の防備を固めておく手は、此処まで何度も登場した
四間飛車側の定番形ですが、これには▲3六歩と右銀急戦を匂わせてから▲8六歩と突き
左美濃に囲う手段が有ります。そして天守閣型から▲4六銀と出て「図2」となります。
「図2」から「図3」までの手順
▽3二銀 ▲5五銀 ▽6三銀 ▲7九角 ▽5四歩 ▲6六銀
▽4三銀 ▲7七銀引 ▽2二飛 ▲6六歩
「図3」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉 ・ ・v金 ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩 ・v銀 ・v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 玉 銀 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=39 ▲6六歩 まで
当然の事ですが、▲4六銀型の攻撃は後手が▽4三銀と上がった形で無いと▽4五歩と
突かれて成立しません。そこで▽3ニ銀と戻る手が考えられますが、これには▲5五銀と
出る手が有力で、以下「図3」では後手陣を撹乱して前章「図3」のような4枚美濃の
理想形を構築出来る先手が有利な局面です。手順中▲5五銀に▽6三金と形良く受けると
▲7九角と引き角にされた時に困ります。変化は有りますが▽3ニ銀には▲5五銀から
玉側に銀を戻し、陣形を固めれば先手は不満の無い陣形が敷けるでしょう。
「図2」から「図4」までの手順
▽5四歩 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3八飛
▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲5七銀 ▽4三銀 ▲3三飛成
▽同 桂 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3一飛 ▽4三銀 ▲1一飛成
▽2七飛
「図4」
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 龍|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・ ・v銀v桂v歩v歩|三
|v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 ・v飛 歩|七
| ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 香
手数=48 ▽2七飛 まで
▲3五歩に▽3ニ飛と回る変化は、通常の▲4六銀型でも定番の変化と言えますが、陣形に
差の有る▲5七銀右型或いは▲5七銀左型と違い、玉の固さが同等以上の左美濃では互角に
捌き合えば十分と言えます。「図4」は先手が通常急戦型の船囲いなら後手が優勢ですが、
この局面では形勢不明です。しかし実戦では、終盤で▲8七玉型が意外に最後で功を奏し、
横からの寄せ合いだと一手勝ちとなる事が多く、これも振り飛車側を悩ませる要因なのです。
攻め好きな方には、この急戦型も魅力の有る形と言えますが、左美濃としては前章のような
4枚美濃など玉を固めて行く持久戦策の方が主力で、振り飛車側にも脅威と言えるでしょう。
玉頭位取りのように組み上げる前に、急戦されて完成に苦労する事も無く、振り飛車に負けない
陣形を組み上げる事が出来て、しかも居飛車側の方が攻めに出易い為、一時期は対振り飛車の
勝率も非常に高い戦法でした。しかしこの左美濃採用を激減させる必殺戦法が現れるのです。