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本章から今までに御紹介した居飛車側の急戦策に対抗する新趣向の四間飛車を 見て頂く事にします 「図1」までの手順 ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲6八玉 △9四歩 ▲9六歩 △7二銀 ▲7八玉 △3二銀 ▲5六歩 △4三銀 ▲5八金右 △6二玉 ▲3六歩 △7一玉 ▲6八銀 △8二玉 ▲2五歩 △3三角 ▲5七銀左 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲5七銀(68) まで 「図1」までの手順は今までと違い、先に▽4三銀と上がり4一の金を 動かさずに待機させています しかしこの違いが今まで解説した急戦策に 対して劇的な変化をもたらす事になるのです 「図1」から後手側には、いくつかの手が有ります それぞれの手に対して 今まで御紹介した居飛車側が▲5七銀左型急戦策に出た場合の各戦法の変化に どんな違った結果が生じるかを見て頂きます ただしこの戦型も極めて変化が 多く難解になってしまうので、代表的で分かり易い変化を紹介する事にします 「図1」から「図2」までの手順 △5四歩 ▲4六銀 △3二金 ▲3五歩 △4五歩 ▲3三角成 △同 桂 ▲5七銀引 △4四角 ▲6六歩 △3五角 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛v金 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v桂v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v角 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=34 ▽3五角(44) まで ▽5四歩に▲4六銀と角頭を狙って銀を繰り出すのは、此処までにも解説した 居飛車側の定番なのですが、この▽4一金保留型には通用しません すかさず▽3ニ金と上がられて仕掛けを封じられてしまいます それでも強行 すれば▽4五歩と迎撃されて以下「図2」まで先手不利となります 「図1」から「図3」までの手順 △6四歩 ▲4六銀 △3二金 ▲3五歩 △4五歩 ▲3三角成 △同 金 ▲3四歩 △同 金 ▲5五銀 △5二銀 ▲5七銀 △6三銀右 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・v銀v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v銀v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v金 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 銀v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=36 ▽6三銀(72) まで ▽6四歩に▲4六銀と出る手に対しても、▽3ニ金と上がる手が有力となります ただし▲3三角成に「図2」までの手順と同じく▽同桂と取るのは、この形では ▲5五銀と出られ▽3五歩に▲6四銀と歩を取り返されてしまい、3三の桂頭が 負担で後手が思わしく無いのです ▽5ニ銀に▲6四銀と歩を取るのは後手にも ▽4六歩と捌かれるので▲5七銀とし後手も▽6三銀左となった「図3」は まだこれからの将棋です ▽6三銀右で▽6三銀左とすると▲2四歩と突き捨て ▽同歩に▲3一角 ▽5ニ飛 ▲2ニ歩と言う手が生じます 「図1」から「図4」までの手順 △1二香 ▲4六銀 △3二金 ▲3五歩 △4五歩 ▲3三角成 △同 桂 ▲5五銀 △3五歩 「図4」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛v金 ・v香|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v桂v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 銀v歩v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=32 ▽3五歩(34) まで 当然「図1」から▽1ニ香と待機する手も有り、この手に▲4六銀としても やはり▽3ニ金が有力手です 形的には▽3ニ金 ▽1ニ香と言うのは一般的に 好形とは言えませんが、この▽4一金保留型四間飛車の場合は例外です 「図3」までと同じく▲5五銀と出ても▲6四銀と歩を取る事が出来ないので 「図4」では先手が指し難い形勢となります 以上、先手が▲4六銀と急戦に出る手を見て頂きましたが、▽4一金保留型には ▲4六銀の瞬間に▽3二金とする手が有り、先手が有利となる変化は有りませんでした この戦型によって、▲4六銀型急戦は概ね封じられていると言えるでしょう |
前章に引き続き▽4一金保留型四間飛車の解説をします 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲5七銀(68) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲5七銀左とした所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3四銀 ▲3八飛 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽4四角 ▲3九飛 ▽9九角成 ▲8八銀 ▽9八馬 ▲3三飛成 ▽3二飛 ▲4四龍 ▽4二香 ▲3三歩 ▽4四香 ▲3二歩成 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽3二金 ▲4一飛 ▽4九飛 ▲5九銀 ▽2九飛成 「図2」 後手の持駒:銀 桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ 飛 ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v香 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 |v馬 銀 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | ・ 桂 ・ 金 銀 ・ ・v龍 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 桂 歩 手数=54 ▽2九飛成(49) まで ▽5四歩に▲3八飛と飛車で角頭を狙う鷺宮定跡は、▽4一金保留▽4三銀型では ▽3ニ飛と対抗され▲4六銀に▽4ニ金と万全の態勢で受けられて得策では有りません そこで▲3五歩と突き捨ててから▲4六銀と出るナナメ棒銀を狙います ▲3五歩に対しては▽3二飛と回る手が、今まで解説した通常の振り飛車定跡ですが ▽4一金保留型では▽同歩と取る手が利くのです ▽4五歩と突く大捌きから ▲3三飛成の瞬間、▽3ニ飛とぶつける手が生じるのです このまま飛車交換すると ▽4九飛車から▽8四香と打たれる手が厳しいので、一旦▲4四龍で▽4ニ香と 香を使わせてから飛車交換しますが、▲3二歩成に▽4六歩と突き捨ててから ▽3二金とする手が好手で以下「図2」では後手が指せる局面となるのです 実際は此処からまだ難解なので進行例を紹介する事にします 「図2」から「図3」までの手順 ▲1一飛成 ▽3一歩 ▲3三歩 ▽4八歩 ▲同 金 ▽6八銀 ▲同 玉 ▽8八馬 ▲3二歩成 ▽4六香 「図3」 後手の持駒:銀 桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・v歩 ・ 龍|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ と ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩v香 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・v馬 ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・|八 | ・ 桂 ・ 金 銀 ・ ・v龍 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金 銀 桂 香 歩 手数=64 ▽4六香(44) まで 「図2」から▲1一飛成、或いは▲4四飛成と、香を取って攻め駒の補充を図るのが 最も普通の進行ですが、▲4四飛成は▽4三銀と打たれて龍を追われ後続が無くなるので ▲1一飛成としますが▽3一歩と底歩を打ち、以下「図3」まで後手の寄せ合い勝ちの 局面となります どちらも▽4一金保留型が生きる形になっています また「図1」で後手が▽5四歩の所、▽1ニ香とした場合は、この選択肢も無くなります 「図2」から「図4」までの手順 ▲3六桂 ▽8四桂 ▲4四桂 ▽7六桂 ▲7七銀 ▽8八銀 ▲7六銀 ▽8九馬 ▲6八玉 ▽7七桂 ▲7八金 ▽6九桂成 ▲同 玉 ▽7八馬 ▲同 玉 ▽7七金 ▲6九玉 ▽7九銀成 ▲同 玉 ▽5九龍 ▲同 金 ▽7八銀 「図4」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ 飛 ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 桂 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩v金 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角二 銀 桂二 香 歩 手数=76 ▽7八銀打 まで 「図3」で最も有力と思われる手は▲3六桂と打ち▲4四桂と香を取り更に▲3二桂成と金を 取る手や▲6ニ香で▽同金なら▲7一角、▽7一金なら▲5ニ桂成や▲5三角打を狙う筋です この▲3六桂は「図1」で後手が▽1ニ香でも有効ですし、▽6四歩とした場合でも ▲6三香と打つ手が有り、同じく有力な手段となります しかし▽8四桂が決め手で 以下「図4」までは一気に寄せきった一例です。勿論ここまでに変化は有りますが▽7六桂と した所では後手の寄せ合い一手勝ちの局面と言えるでしょう 以上、前章の▲4六銀に対してほど完全に封じていると言う訳では無いですが、▲3五歩に ▽同歩と強く取って応じれば、▽4一金保留型が十二分に生きる形となります |
引き続き本章も▽4一金保留型四間飛車の解説です 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲5七銀(68) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲5七銀左とした所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽3二金 ▲6八金上 ▽6四歩 ▲3七銀 ▽7四歩 ▲2六銀 ▽6三銀 ▲3五歩 ▽7二飛 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3八飛 ▽4三銀 ▲6六銀 ▽6五歩 ▲7七銀 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽6四銀 ▲3五銀 ▽7五銀 ▲9七角 ▽7六歩 ▲8八銀 ▽9五歩 ▲3四銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽9六歩 ▲7五角 ▽同 飛 ▲3三飛成 ▽同 桂 ▲6四角 ▽7三飛打 ▲7五角 ▽同 飛 ▲6四銀 「図2」 後手の持駒:角二 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v桂v歩v歩|三 | ・ ・ ・ 銀v歩v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・v飛v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 |v歩 ・v歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 銀 玉 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 銀 歩二 手数=63 ▲6四銀打 まで ▲4五歩で角交換を狙う早仕掛けに対しても、▽4一金保留型は▲4六歩の瞬間に ▽3二金と上がり完全に封じる事がが出来るのです これには▲6八金直(上)と締めて後手に一手指させての棒銀が有力策の1つです 一手待つ理由は163章〜170章を参照して下さい この形での棒銀に対して▽6三銀から▽7ニ飛と敵玉頭を狙う袖飛車(そでびしゃ)が 大山十五世名人の全盛時代から有る手段ですが、玉形が薄く現在では勝ち難い戦型と されています ▽6四銀からの玉頭攻撃はは変化の一例で迫力が有りますが 以下「図2」では駒がバラバラで纏め難く後手不利な局面と言えます 「図1」から「図3」までの手順 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽3二金 ▲6八金上 ▽4一飛 ▲3七銀 ▽5一飛 ▲3八飛 ▽4二金 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2六銀 ▽4五歩 ▲3五銀 ▽8八角成 ▲同 玉 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽2七角 ▲3七飛 ▽4九角成 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v飛 ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩v歩 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 飛 ・ 歩|七 | ・ 玉 ・ 金 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・v馬 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=44 ▽4九角成(27) まで 先手の▲6八金直(上)に▽6四歩と突かず、▽4一飛と待機して▲3七銀を見てから▽5一飛と 中飛車に振る手段が有ります これに先手が▲3八飛から▲3五歩と突き捨てて▲2六銀と言う 手順で棒銀に出ますが、これは中飛車側に63章で御紹介した▽4五歩からの大捌きが有るので それを避けた工夫です しかしそれでも▽4ニ金と先手の飛車筋から金を外して▽4五歩と捌き 以下「図3」まで後手優勢の局面となります 手順中▲3五銀のところ▲3三角成とすると後に ▽2五桂と飛ばれる筋が生じて更に先手不利となります 「図2」から「図4」までの手順 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽3二金 ▲6八金上 ▽4一飛 ▲3八飛 ▽4五歩 ▲同 歩 ▽8八角成 ▲同 玉 ▽3三桂 ▲4七銀 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v飛 ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀v桂v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 銀 ・ ・ 歩|七 | ・ 玉 ・ 金 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=35 ▲4七銀(48) まで 「図3」までの▽4一飛待機策には、じっと▲3八飛としておく手も有ります これに対して ▽4五歩と捌きに出るのは、先手の金銀4枚の守備力が強く無理筋となります 「図4」で 「図3」までと同様に▽2七角と打つのは▲2八飛 ▽4一角成に▲4八銀とされて次に▲5一金と 馬を殺される手が受からず後手不利となります また▽4五桂とする手も▲4八銀と、かわされて 次に▲4六歩と桂を殺される手が受かりません この▽5四歩に▲4六歩の変化は力戦型の将棋になる事が多く、互いに工夫が必要になって来ますし かなり難解な将棋になる戦型と言えます また後手が中飛車に移行する事も多い形ですが四間飛車の 解説からは外れるので此処までとします 次章では「図1」から▽5四歩以外の手に先手が▲4五歩 早仕掛けを狙った場合の変化を解説致します |
本章では先手の▲4五歩早仕掛けの狙いに対して後手が▽4一金型四間飛車の 特徴を発揮し積極的に対抗する変化を御紹介したいと思います 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=23 ▲5七銀(68) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲5七銀左とした所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6四歩 ▲4六歩 ▽5四銀 ▲5五歩 ▽6五銀 ▲7五歩 ▽5四歩 ▲6六歩 ▽7六銀 ▲5四歩 ▽5二飛 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・v銀 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=34 ▽5二飛(42) まで 15章と158章で解説した▲4六歩に▽5四銀と迎撃する手段が、▽4一金保留型により 大きな進化を遂げる事になります ▲5五歩 ▽6五銀に▲3五歩 ▽同歩 ▲3八飛と行くのは この形では▽3ニ飛と対抗され▲3五飛には▽2ニ角と飛車交換を図られ成立しません そこで▲7五歩と銀を殺しに行きますが以下「図2」では後手が指し易い局面と言えます 「図1から「図3」までの手順 ▽6四歩 ▲4六歩 ▽5四銀 ▲3七桂 ▽6五銀 ▲4五歩 ▽7六銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽3二金 ▲4五桂 ▽4四角 ▲同 角 ▽同 飛 ▲5三桂成 「図3」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ 圭 ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v飛v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・v銀 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=39 ▲5三桂成(45) まで ▽5四銀に▲3七桂と4五の地点に力を溜めます 此処で▽6五銀と7六の歩を狙いに 行くのは▽6四歩と突いている為、▽8四飛と回って先手の8七の地点を狙う手が 無く▲4五歩以下「図3」まで後手が不利となります 「図1」から「図4」までの手順 ▽1二香 ▲4六歩 ▽5四銀 ▲3七桂 ▽6五銀 ▲4五歩 ▽7六銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽3二金 ▲7七歩 ▽8五銀 ▲4五桂 ▽4四角 ▲2四飛 ▽2三歩 ▲2五飛 ▽8四歩 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛v金 ・v香|二 | ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩 ・ ・|四 | ・v銀 ・ ・ ・ 桂 ・ 飛 ・|五 | 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 歩 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=42 ▽8四歩(83) まで 「図1」で▽1ニ香とした手に対して「図3」までの攻め筋を先手が仕掛けると、今度は同じ手順で ▲5三桂成まで進んだ時に▽8四飛とされて先手が不利となります そこで▽3ニ金に▲7七歩 ▽8五銀と銀を追ってから▲4五桂と行きますが以下、▽8四歩と2五の飛車で銀を取られる手を 事前に防いだ「図5」では、先手の角と玉頭をこの8五の銀で押さえ込んだ後手が優勢の局面です 「図1」から「図5」までの手順 ▽1二香 ▲6八金上 ▽5二金左 ▲4六歩 ▽5四銀 ▲3八飛 ▽4三銀 「図5」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・v香|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 ▽4三銀(54) まで ▽1ニ香に▲6八金直(上)と一旦締めます この手を見て後手も▽5ニ金左と上がります しかし▲4五歩早仕掛けに▽1ニ香型は損になるので▲4六歩に▽5四銀と迎撃します この数手についての理由は139章から此処まで解説して来ました ▽5四銀に▲5五歩や▲3七桂は思わしく無い事は「図2」と「図4」までで見て頂きました そこで▲3八飛として後手の出方によって棒銀などを狙いますが 此処で▽4三銀と2手損して 銀が戻る手が有るのです この四間飛車急戦型の将棋では双方共一手も指さない方が良いと 言う場合が有るのも今まで解説した通りです こうして互いに得を求めながらの手の応酬が 続く事になるのです これで▽4一金型四間飛車の解説は終わりとしますが、この戦型はかなり高度な物となるので 難解だったと思いますし、他にも多数の戦型変化が有りますが、その中でも分かり易い形を 御紹介しました 139章〜170章までの戦型に対しての変幻作戦として、特に 四間飛車側を持って指したい方は▲5七銀左型急戦で苦しめられている相手に使って見ると 意外な好結果を出せると思います |
本章から対四間飛車5筋位取り戦法を御紹介して行く事に致します 四間飛車側が 5筋の歩を突かない場合に採用する居飛車側の作戦です 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲5六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲6八玉 ▽3二銀 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5八金右 ▽7一玉 ▲3六歩 ▽8二玉 ▲6八銀 ▽5二金左 ▲2五歩 ▽3三角 ▲5七銀左 ▽4三銀 ▲5五歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=25 ▲5五歩(56) まで 先手の▲5七銀左に対して▽4三銀と上がった後手の対抗型に▲5五歩と5筋の歩を 突いた手が中央を制圧し、振り飛車の捌きを封じようとする5筋位取り戦法の意思表示です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6四歩 ▲5六銀 ▽7四歩 ▲3七桂 ▽1二香 ▲4六歩 ▽4一飛 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v飛 ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・v香|二 | ・v歩 ・ ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=32 ▽4一飛(42) まで この▲5七銀左型での5筋位取りは、主力となる狙いが▲4六歩 ▲3七桂として次に ▲4五歩 ▽同歩 ▲同桂 ▽4四角と角を動かして▲2四歩と言う物ですが、これには ▽1ニ香 ▽4一飛と言う「図2」が四間飛車側最善の布陣です 他に「図1」では ▽4五歩と突き▲5六銀に▽4四銀と対抗する手段も有りますが、先手が4五の地点に 戦力を集中しているので、この位は逆に争点を与えて維持するのが難しいでしょう 「図2」までの手順中で注意すべき事は、先に▽4一飛とすると▲7九角と引かれて 困る事です 必ず▽1ニ香を先にし、▲4六歩を見てから▽4一飛とします 「図2」から「図3」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4五桂 ▽5一角 ▲4二歩 ▽同 角 ▲5四歩 ▽同 銀 ▲2二角成 ▽4五銀 ▲3二馬 ▽5六銀 ▲4一馬 ▽3三角 ▲7七桂 ▽7五歩 「図3」 後手の持駒:銀 桂 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ 馬 ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・v香|二 | ・v歩 ・ ・v歩 ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・v銀 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 桂 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 手数=50 ▽7五歩(74) まで この最強の布陣に前述の▲4五桂の仕掛けは無理筋となります 手順中▽4五銀を▲同銀は ▽3三角 ▲同馬 ▽同桂で後手勝勢となります ▲3二馬には思い切って▽5六銀と 飛車を見切り、以下「図3」では、やはり後手勝勢の局面です 「図2」から「図4」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4四歩 ▲5六銀 ▽6三金 ▲7九角 ▽4二飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2二飛 ▲3三角成 ▽2八飛成 ▲4三馬 「図4」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・v歩 ・v金v歩 馬 ・ ・v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・v龍 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩二 手数=47 ▲4三馬(33) まで 「図2」から▲4五歩 ▽同歩に▲同銀と歩交換をしておくのが先手側の正しい手段です これに対して▽4四歩と打ってしまうと四間飛車側は動き難い将棋となってしまいます 高美濃の好形に進展させるのが、振り飛車の持久戦時の手段ですが、▽6三金と 上がった瞬間に4三の銀が浮き「図4」までの仕掛けが成立してしまいます もちろん▽4ニ飛などとすると、すかさず▲4五歩から▲4五桂の攻め筋を喰らいます こう言う展開が位取りに対して最も拙いのです ▽4四歩 ▲5六銀となった時点で 後手の作戦負けと言えます この先手の攻めに対しての正しい応手は次章で |
前章に引き続き対四間飛車5筋位取り戦法の変化を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v飛 ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・v香|二 | ・v歩 ・ ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=32 ▽4一飛(42) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面、後手が▽4一飛と引いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5一角 ▲7九角 ▽3三桂 ▲5六銀 ▽3五歩 ▲2六飛 ▽4四銀 ▲3五歩 ▽8四角 ▲4二歩 ▽同 飛 ▲3四歩 ▽4八角成 ▲同 金 ▽3五銀 ▲2八飛 ▽3九銀 ▲3三歩成 ▽4八飛成 ▲同 飛 ▽同銀不成 ▲4三と ▽同 金 ▲8六桂 ▽6三金 ▲3五角 「図2」 後手の持駒:飛 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・v歩 ・v金v歩v金 ・v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 角 歩 ・|五 | 歩 桂 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・v銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 銀 歩 手数=61 ▲3五角(79) まで 「図1」からの▲4五歩に対しては▽同歩 ▲同銀に▽5一角と引くのが▽3三桂跳ねを 用意して作戦負けを避ける後手側の手段です しかしすぐに▽3三桂から▽3五歩と反撃するのは 以下激しい応酬が続きますが▲8六桂と打つ手が厳しく「図2」まで後手が不利となります 「図1」から「図3」までの手順 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5一角 ▲7九角 ▽6三金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽3三桂 ▲4四歩 ▽3二銀 ▲3四銀 ▽4四飛 ▲3五歩 ▽3六歩 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v角 ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v銀 ・v香|二 | ・v歩 ・v金v歩 ・v桂 ・v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v飛 銀 角 ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=48 ▽3六歩打 まで 「図2」までの手順中で▲7九角に対して平然と▽6三金と高美濃に組み上げておくのが 意外にもこの形の最善なのです ▲2四歩から▲同角と出た瞬間に▽3三桂と跳ねます 次に▽2一飛と回られると困るので、▲5六銀と逃げる訳には行きません 勢い▲4四歩と 攻め掛かりますが、以下「図3」まで後手の指し易い局面となります 此処まで他にも変化は 有りますが▲4五歩から▲同銀と交換に行く手も、この対抗手段により先手不利となるのです [図1から「図4」までの手順 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲5七銀 ▽6三金 ▲6八金上 ▽7三桂 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・v飛 ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・v歩v桂v金v歩v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=38 ▽7三桂(81) まで 結局「図1」から▲4五歩と突く手自体が成立しないとなると、逆に先手が動き難い将棋と なってしまいます 「図4」以降は後手には▽5四歩や▽5一飛としてから▽5四歩そして ▽8四歩と玉形を進展させる手、また場合によっては▽1三香 ▽4ニ飛から▽1五歩と 端から攻め▲同歩なら▽1ニ飛など指す手に困りません 以上の理由で▲5七銀左型からの 5筋位取りは指されなくなりました 次章では位取り本来の押さえ込みを狙う形を御紹介します |
本章では5筋位取りの主流戦型と言える形を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽6二玉 ▲5八金右 ▽7一玉 ▲5七銀 ▽5二金左 ▲2五歩 ▽3三角 ▲5五歩 ▽4三銀 ▲5六銀 ▽6四歩 ▲6八銀 ▽8二玉 ▲6六歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲6六歩(67) まで 右の銀を繰り出して行き、玉側に勢力を張って行くのが5筋位取りの主流作戦で この形の場合は序盤で▲3六歩と突かないようにするのが、居飛車側の注意点です 玉側の整備を急ぐ必要が有るのと右翼が薄いので、狙われる恐れが有るからです また四間飛車側は「図1」までの手順中で▲5六銀に▽6四歩と突くのが要となり この手で先に▽8ニ玉とすると▲6六歩と突かれ、そこで▽6四歩だと▲6五歩 ▽同歩 ▲同銀で損となります また▽6四歩と突かず▲6五歩と6筋の位まで 取られると作戦負けになる可能性が高くなります 「図1」から「図2までの手順 ▽6三金 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽6四歩 ▲5六銀 ▽7四歩 ▲6七金 ▽8四歩 ▲5七銀 ▽8三銀 ▲6八金上 ▽7二金 ▲6六銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v銀 ・v金v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=41 ▲6六銀(57) まで 先手は6筋の歩を交換して金銀を盛り上げて行きます 後手も高美濃から銀冠へと 駒組みを整備して「図2」となった局面は、まだ優劣を言う段階では無いですが 一歩を手にして中央を制圧した先手に不満は無い局面です この形の5筋位取りは 狙いが漠然とした戦型で、普通に指し進めても一気に悪くなる事は少ないですが あまり相手の出方に無関心でも、いつの間にか形勢を損じている場合が有ります 「図1」から「図3」までの手順 ▽6三金 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽6四歩 ▲5六銀 ▽3五歩 ▲6七金 ▽3二飛 ▲1六歩 ▽5一角 ▲2六飛 ▽3四飛 ▲5七銀 ▽3三桂 ▲4六歩 ▽7四歩 ▲6八金上 ▽6二角 ▲6六銀 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽4五歩 ▲同 歩 ▽5四歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀v角 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・v金 ・v銀v桂v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩 ・v飛 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 銀 ・ 歩 飛 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ 角 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=52 ▽5四歩(53) まで 先手が3筋の歩を突かないので、当然▽3五歩から石田流に行く手は有力手段です 先手が、かまわず「図2」と同様に駒組みを進め、無条件でこれを許すのは流石に 形勢を損じる事になります 「図3」までは代表的な一例ですが既に後手勝勢と 言っても過言では無い局面です 「図1」から「図4」までの手順 ▽6三金 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽6四歩 ▲5六銀 ▽3五歩 ▲5七銀 ▽3二飛 ▲1六歩 ▽5一角 ▲2六飛 ▽7四歩 ▲6七金 ▽1四歩 ▲6八金上 ▽3四銀 ▲4六銀 ▽8四角 ▲5四歩 ▽同 金 ▲5五歩 ▽6五金 ▲5四歩 ▽5六金 ▲同 金 ▽5四歩 ▲4四角 ▽3三桂 ▲5七銀 ▽2五銀 ▲2八飛 「図4」 後手の持駒:銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v桂v歩 ・|三 |v歩v角v歩v歩v歩 角 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v銀 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 金 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 歩 手数=59 ▲2八飛(26) まで 後手が石田流に組み替えようと▽3四飛とする手を、▲4六銀から▲7九角または ▲4六銀から▲3六歩 ▽同歩 ▲3五歩を常に見せてこれを阻止しながら進めます 石田流に組めない後手は▽3四銀と方針変更しますが、この形ならば一気に捌かれる 心配は無くなります 「図4」までは後手が何とか捌こうとした進行例ですが 先手優勢の局面です 手順中の▲5四歩突き捨ても5筋位取りには常に有る手筋で 特にこの形では5,6筋両方に歩が打てるので攻防共に行かせる形となります やはりこの戦型でも6筋の歩を無条件で交換させるのは損と言えます 次章では後手の 反発手段を解説します |
本章では後手が先手の6筋歩交換に反発する手段を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲6六歩(67) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲6六歩と突いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5五歩 ▽6三銀引 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽6四歩 ▲5六銀 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽4三金 ▲4六歩 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・v銀 ・v金v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=41 ▲4六歩(47) まで 先手に6筋の歩交換をされる前に▽5四歩から5筋をの歩を交換して▽6三銀と 組み変える指し方は昔から有る物で、この形の5筋位取りには有力な手段ですが 力戦の将棋となり、はっきりと6筋歩交換に反発したとは言えません ただこの形は171章〜174章で御紹介したような▽3二金型の振り飛車にも 出やすい変化では有ります 「図1」から「図3」までの手順 ▽6三金 ▲6五歩 ▽6二飛 ▲7七銀 ▽4五歩 ▲6六銀 ▽6五歩 ▲同銀右 ▽6四歩 ▲5六銀 ▽4四銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀v飛 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=38 ▽4四銀(43) まで ▲6五歩とされた瞬間に▽6ニ飛と回る手が最強の反発手段です これには先手も ▲7七銀から銀を応援に繰り出します 以下「図3」まで5筋の位にプレッシャーを 掛け、先手に自由な駒組みを許さない体制が出来て、後手に不満の無い形勢です 「図1」から「図4」までの手順 ▽6三金 ▲6五歩 ▽6二飛 ▲7七銀 ▽4五歩 ▲6六銀 ▽6五歩 ▲同銀右 ▽5四歩 ▲6八金上 ▽5三金 ▲5四歩 ▽同 銀 ▲同 銀 ▽同 金 ▲6七歩 「図4」 後手の持駒:銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀v飛 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v金 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=43 ▲6七歩打 まで 先手が▽6五歩に▲同銀右と取った瞬間に▽5四歩と突き、▽5三金と飛車先を 通すのも強力な反発手段です この形も変化は有りますが「図4」までが先手の 応手としては最善で形勢は互角と言えますが、5筋の位は完全に解消されて 後手の反発手段は成功です 以上で5筋位取りの解説を終了します かなり以前は対四間飛車の主流戦法でしたが ここまで見て頂いた通り、敢て選ぶ戦型では無くなっています 更に今は持久戦策として 遥かに優秀な戦法が有る為、指され無くなっています ただし対応を知らないと 何で悪くなったのか、分からないうちに負かされる事も有る戦型なので御紹介しました 次章ではその、いつ悪くなったか相手が分からないうちに倒してしまうと言う恐ろしい 戦法を御紹介する事にします |
本章では相手が自然な手を重ねているにも関らず、いつのまにかその相手を斬ってしまう、 と言う対四間飛車”かまいたち戦法”を御紹介します。これは47章の19手定跡と同じく アマ強豪の鈴木英春氏創案の戦法です。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲4八銀 ▽4四歩 ▲5六歩 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5七銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=13 ▲5七銀(48) まで 19手定跡と同じく飛車先を突かずに▲4八銀と上がるのが英春流です。 後手が4手目▽8四歩と突いて来た場合は、その19手定跡の進行で 相居飛車型の別な将棋となります。7八まで玉を移動して▲5七銀と上がった 「図1」が、かまいたちへの基本図です。 「図1」から「図2」までの手順 ▽4三銀 ▲5五歩 ▽6二玉 ▲5六銀 ▽5二金左 ▲6五銀 ▽7一玉 ▲5八飛 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=21 ▲5八飛(28) まで 前章までの5筋位取りと同様に▲5五歩と突きますが、そこから▲6五銀と出て ▲5八飛と中飛車に振るのが、かまいたち戦法の骨子です。ここから▲5四歩と すぐに突いて行くのも有力ですが、本来の英春流かまいたちとは違って来るので 今回は、この戦法独自の闘い方の方を御紹介する事に致します 「図2」から「図3」までの手順 ▽8二玉 ▲5六飛 ▽3五歩 ▲2六飛 ▽3四銀 ▲5四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5三歩 ▲6五銀 ▽3三角 ▲7五歩 ▽2四歩 ▲7六飛 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v銀v歩 ・|四 | ・ ・ 歩 銀 ・ ・v歩 ・ ・|五 | 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=35 ▲7六飛(26) まで ▲5六飛と中断に浮くのが、この戦法独特の飛車捌きとなります。この手に対し 後手が▽3五歩と突き、次に▽3ニ飛を狙う手には▲2六飛と回り▽3四銀の形を 強要し5筋の歩を交換してから▲7六飛と転回します。こうして以下▲7四歩から ▲5五角を狙い先手有利となります。飛車先を突いていない効果で▲2六飛と 回る手がいつでも有る為、後手側はこれに注意して駒組みしなければならないのです 「図2」から「図4」までの手順 ▽4五歩 ▲5六飛 ▽3三角 ▲6八銀 ▽4四銀 ▲5七銀 ▽8二玉 ▲5八金右 ▽2四歩 ▲6八金寄 ▽2五歩 ▲7七角 ▽2二飛 ▲6六銀 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 銀 歩v歩 ・v歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 飛 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲6六銀(57) まで 先手の右翼側の駒が遅れているので、後手は▽4五歩から▽4四銀と位を取り、▽2五歩と 伸ばしてから▽2ニ飛と回ります。先手はその間▲6六銀まで左翼に駒を集め、「図4」と なった、この局面はまだ何も駒もぶつかっていませんし、後手側にも2筋からの攻撃が有り、 これからの将棋に見えますが、実は既に後手は、先手のかまいたちに斬られているのです。 何故なのか、それは次章で見て頂きましょう |
本章では、知らぬ間に相手を斬る英春流かまいたち戦法の威力を見て頂く事にします 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 銀 歩v歩 ・v歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 飛 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲6六銀(57) まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、かまいたち完成の図です 「図1」から「図2」までの手順 ▽3五銀 ▲5四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4四銀 ▲5三歩 ▽4二金 ▲4六歩 ▽5五歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽4六歩 ▲4五飛 「図2」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v金 ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩v歩 歩 ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ 銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・v歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 角 歩 ・ ・ 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=49 ▲4五飛(55) まで ▽3五銀から2筋攻めに銀を進出させますが、銀が離れた瞬間に先手が▲5四歩と 攻め掛かると、もう2筋攻めは間に合わなくなっています。仕方なく▽4四銀と中央の 守備に銀を戻りますが▲5三歩と押さえ以下、「図2」まで先手優勢となります。 「図1」から「図3」 ▽2六歩 ▲同 歩 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽2六飛 ▲4五歩 ▽5六飛 ▲同 銀 ▽3五銀 ▲2三飛 「図3」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角 飛v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 歩v銀 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 角 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=45 ▲2三飛打 まで 単に銀が出たのでは間に合わないので、先に▽2六歩、▽4六歩と突き捨ててから ▽2六飛と捌いて来ますが、▲4五歩として飛車交換の大捌きから▲2三飛と先着した 「図3」は先手優勢の局面です。ここから▽2四飛なら▲同飛成りで、▽同銀なら▲3一飛、 ▽同角なら▲2三飛と打ち直し、桂や香を手に入れた後▽9五歩と端攻めに出て、先手が 指し易くなります。この端攻めが狙いなので「図3」までの手順中▽2六歩に▲同歩と 応じて持ち歩を稼いだと言う訳です。また次の▽4六歩にも▲同歩と取るのは、▲同飛と 取ると▽3五銀と手順に出られて、後手の攻めが早くなり拙いからです。、 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=13 ▲5七銀(48) まで 「図4」は前章「図1」と同一局面、英春流かまいたちを狙う基本図です 「図4」から「図5」までの手順 ▽6二玉 ▲5五歩 ▽5二金左 ▲5六銀 ▽6四歩 ▲6六歩 ▽6三金 ▲6八飛 ▽7四歩 ▲6五歩 ▽7三銀 ▲6四歩 ▽同 銀 ▲9七角 「図5」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v玉 ・v飛v銀v角 ・|二 | ・v歩 ・v金v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v銀 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ ・|六 | 角 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=27 ▲9七角(88) まで 実は対四間飛車かまいたちは175章〜178章でご紹介した5筋位取りまでの手順を更に スピードアップし、逸早く▲6五銀として後手に▽6四歩を突かせず、美濃囲いの発展性を 抑えて、闘う前から勝ちと言う陣形を作るのが狙いの戦法なのです。そこで早目に▽6四歩と 突き、その▲6五銀を防ぎに出ますが、今度はそれを狙い▲6八飛と回る手が生じるのです。 これも右銀以外の金銀の動きを後回しにした、かまいたちの特徴となります。以下「図5」と なっては6筋は持ち堪えられません。手順中▲5五歩に対し▽5ニ金左の所で▽4五歩と突き、 ▲5六銀なら▽4六歩を狙う手は、▽4五歩の瞬間に▲4八飛と回られ逆に▲4六歩 ▽同歩 ▲同銀と逆襲する手が有るので成立しません これで、かまいたち編は終わりとしますが、本来、かまいたちと言う名称は英春流そのものを 指す意味も有るので、相居飛車型や対振り飛車でも他の変化戦型も有ります。しかし▲4八銀に ▽8四歩と突かれるのは、現在では少し損と言われているのと、特にこの対四間飛車作戦は 他には無い独創的な物なので御紹介致しました。次章では逆に角道を開けずに闘う対四間飛車 戦法を御紹介します。 |
本章では対四間飛車の有力作戦として前章のかまいたちとは逆に、今度は角道を 開けないで闘う鳥刺し戦法を御紹介します。この戦法も同様に相手が振り飛車の 時にしか使えない変幻作戦です。 「図1」までの手順 ▲4八銀 ▽3四歩 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲6八銀 ▽4二飛 ▲5七銀左 ▽6二玉 ▲6八玉 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽7一玉 ▲3六歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=17 ▲3六歩(37) まで 初手いきなり▲4八銀から入るのは、後手が▽8四歩と居飛車に来た場合の対処です。 ▲4八銀〜▲2六歩までの手に対し、後手から▽8四歩とされたらその時点で、常に ▲7六歩と角道を開け相居飛車型に対応するようにします。▽4四歩には▲2五歩と突き ▽3三角と受けるか▽3三銀と受けるかを見て、▽3三銀なら▲7六歩で、やはり普通に 矢倉などを目指します。次の▲6八銀も同様に▽8四歩なら▲7六歩から▲7七銀として 8筋を受ける為の警戒手です。後手が▽4四歩の所で▽4ニ飛と先に振って来たら、 ▲2五歩 ▽3三角とした後▲6八玉でも問題は無くなります。こうして完全に相手が 振り飛車である事を見届けてから本戦法は採用しないと、思った以上に指し難くして しまうので、冒頭から詳しく解説致しました。 ▲3六歩と突き、「図1」となった局面は未完成の▲5七銀左型に見えますが、なんと 鳥刺し戦法はこれで攻撃準備完了なのです。「図1」までの手順中もう1つ注意する事は 途中で後手から▽9四歩と突かれても▲9六歩と端を受けてはいけないと言う事です。 上部が塞がっているので、中終盤で端から攻められると形勢を損じる可能性が高いからです。 「図1」から「図2」までの手順 ▽8ニ玉 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3六歩 ▲3五銀 ▽4五歩 ▲7九角 ▽4三銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4四角 ▲3五銀 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀 ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=31 ▲3五銀(24) まで 「図1」で▽8ニ玉とするのは、普通は対居飛車急戦の備えとして当然の手なのですが、 この局面では拙いのです。▲3五歩とナナメ棒銀を仕掛けられると、一見中途半端な 未完成型に見えた4九のままの金と、開けられていない角道が四間飛車側の▽3六歩 突き越しの常套手段による捌きを完全に封じてしまい、「図2」では先手勝勢と言っても 良い局面となります。▲7九角と引き角にしてナナメ棒銀を後方からサポートする形が 昔の鳥刺しの姿に似ている所から命名された戦法です 「図1」から「図3」までの手順 ▽8ニ玉 ▲3五歩 ▽4三銀 ▲3八飛 ▽3五歩 ▲4六銀 ▽3四銀 ▲7九角 ▽4五歩 ▲3五銀 ▽同 銀 ▲同 角 ▽5二金左 ▲3四歩 ▽4四角 ▲同 角 ▽同 飛 ▲2二角 ▽5四飛 ▲5九金右 ▽5六飛 ▲3三歩成 ▽2六飛 ▲4二と ▽同 金 ▲3一飛成 ▽5二金寄 ▲3七桂 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ 龍v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ 角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 金 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=45 ▲3七桂(29) まで ▲3五歩に▽同歩と取るのは、そのあと捌く事が出来ないので▽4三銀と角頭を守りますが、 これには▲3八飛と回り▽3五歩に▲4六銀、▽3四銀に▲7九角と引いてから以下 銀交換で「図3」まで、やはり先手が指し易い形勢です。手順中で▲5九金右と金を寄せて おくのが好手で、後手からの▽2七角打ちに備え、飛車成りにも非常に強い形となります。 「図1」で▽8ニ玉と上がるのは▲3五歩と仕掛けた時点で先手有利と言えます 「図1」から「図4」までの手順 ▽4五歩 ▲3七桂 ▽8ニ玉 ▲7九角 ▽5二金左 ▲6六銀 ▽4一飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽4四角 ▲5五銀 ▽2三歩 ▲4四銀 ▽2四歩 ▲2二角 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v飛 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v銀 角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ 銀v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=33 ▲2二角打 まで 四間飛車側から▽4五歩と早目に突いて、居飛車の急戦策を封じるのも今まで 度々出てきた有力手段ですが、これにはまず▲3七桂として後手の▽4三銀を ▲4五桂を見せて封じておくのが好手で、この迎撃手も不発に終わります。 引き角に対して▽2ニ飛と言う対抗手段が執れない後手は▽4一飛、▽4四角と 軽く受け流そうとしますが、以下「図4」まで先手の指し易い形勢となります 鳥刺し戦法には軽い捌きで対抗する手段は通用しないのです。次章では後手が 事前に守備を固める変化を解説します |
本章では先手の鳥刺し戦法に後手が、角頭の守備を固めて対抗する変化を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=17 ▲3六歩(37) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が角頭に狙いをつけ▲3六歩と突いた所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽4三銀 ▲4六銀 ▽8二玉 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3八飛 ▽4二角 ▲7六歩 ▽1二香 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2二歩 ▽4三銀 ▲2一歩成 ▽3八飛成 ▲同 金 「図2」 後手の持駒:飛 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・ と ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v角 ・ ・v香|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ 銀 金 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂 手数=35 ▲同 金(49) まで 「図1」で▽4三銀と、予め角頭に備えた場合は▲4六銀と上がってから▲3五歩と 突きます。▽3二飛の迎撃手に▲3八飛と回って後手の応手を伺いますが、この手に ▽4ニ角と引いてきた場合は、▲7六歩と角道を開き通常の位置から角を使います。 以下「図2」まで、変化は有りますが先手有利な形勢となります。手順中▲2ニ歩に 後手が▽4三銀と引き、飛車交換を迫る手に、放っておいて▲2一歩成と出来るのも 4九の金が飛車に紐をつけているからです。また飛車交換後の後手からの飛車の 打ち込みにも強い形となっています 「図1」から「図3」までの手順 ▽4三銀 ▲4六銀 ▽8二玉 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3八飛 ▽2二角 ▲7九角 ▽5二金左 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽同 飛 ▲2三銀 「図3」 後手の持駒:飛 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ 銀v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v飛v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 角 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=33 ▲2三銀打 まで ▲3八飛に▽2ニ角と引かれた場合には、▲7九角と引き角で対抗します。▲7六歩と 角道を開けると今度は▽4五歩と捌かれる手が生じて拙いのです。以下激しい攻めで 「図3」まで、先手が指し易い局面となります。急戦型で通常このような強襲は 振飛車側の方が歓迎の筈なのですが、やはり低い陣形が形勢に影響しているのです。 「図1」から「図4」までの手順 ▽4三銀 ▲4六銀 ▽3二金 ▲7九角 ▽4一飛 ▲3五歩 ▽5一角 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3五銀 ▽同 銀 ▲同 角 「図4」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金v角v飛 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=29 ▲同 角(79) まで ▽4三銀から▽3ニ金は、対▲4六銀急戦型には今まで絶対の守備力を誇る 四間飛車側の手段なのですが、鳥刺しにはこの最強防御さえも通用しません。 角道を開けずに▲7九角と引かれた形では▽4五歩と突いても▲同銀と取られ、 その後▲3五歩 ▽同歩 ▲同角で銀は死なず単に一歩損になるだけだからです そこで▽4一飛、▽5一角と徹底防御の姿勢に出ますが、以下「図4」まで 銀交換し、角を捌いた先手に不満の無い形勢です 鳥刺し戦法は駒組みが簡単で手数も掛からないのと、相手が四間飛車以外の振り飛車でも 同様に採用する事が可能なので、振り飛車専門の相手に一度試されると良いと思います。 以上4章に渡り2つの対四間飛車変幻戦法を見て頂きましたが、初手を▲4八銀から 入れば、どちらの戦法にも行けるので使い分ける事も出来るでしょう。 ただしこの手順は一般の定跡書での鳥刺しとは違っています。通常は初手▲2六歩で、 ▽3四歩に▲2五歩と突いてから▲4八銀と言う手順ですが、これですと後手に▽8四歩と 途中で突かれた場合にどうも先手の動きが難しいので、初手▲4八銀からで解説致しました。 しかし2手目に▽8四歩とされると通常型より、損である事は180章でも述べた通りです。 それでも相手があまり居飛車は得意で無いと言う振り飛車党なら、居飛車にさせただけで 有利と言う考え方も有るかと思います。 |
本章から四間飛車に対して、居飛車側が玉を固めて闘う戦法を御紹介して行く事に 致します。まず始めは5筋位取りと並び、昔はこの手の戦型の主流となっていた 玉頭位取り戦法から見て頂きます。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5八金右 ▽4三銀 ▲5六歩 ▽5二金左 ▲5七銀 ▽6二玉 ▲6八銀上 ▽7一玉 ▲7五歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=21 ▲7五歩(76) まで その名の通り玉側の位を取る戦法と言う事で、他にも手順は有りますが▲5七銀右型から ▲6八銀上と上がり、▲7五歩と玉頭の歩を突き越した「図1」が玉頭位取りへの基本形です。 「図1」から「図2」までの手順 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲7七銀 ▽6三金 ▲7六銀 ▽8四歩 ▲6六歩 ▽5四銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v歩v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 ▽5四銀(43) まで 位取り作戦全般に言える事ですが、対する側が全く無頓着に駒組みを進めて行くと 作戦負けを喫してしまうのは、今まで解説した通りで、この玉頭位取りもまた 例外では有りません。そこで後手が▽6四歩、▽8四歩と7筋以外の位を確保し ▽5四銀で▲6五歩からの歩交換も拒否する事によって、先手の理想形を阻む 手段に出た局面が「図2」です。 「図2」から「図3」までの手順 ▲6七金 ▽8二玉 ▲7七角 ▽8三銀 ▲8八玉 ▽7二飛 ▲8六角 ▽7四歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲7五歩 ▽8五銀 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・ ・v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・ ・|四 | ・v銀 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 角 銀 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 金 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=42 ▽8五銀(74) まで 「図2」で▲6七金と先手が無警戒に駒組みを進めて行くと、▽8三銀から▽7ニ飛で 袖飛車からの逆襲を喰らいます。▲8六角と7五の位に増援を送りますが「図3」まで 先手が不利となります。 「図2」から「図4」までの手順 ▲3六歩 ▽8二玉 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲3八飛 ▽8三銀 ▲3五飛 ▽7二飛 ▲3四歩 ▽5一角 ▲8六歩 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v角 ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v銀v歩v金v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩v歩 ・v歩v銀v歩 歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 歩 ・|五 | 歩 歩 銀 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=41 ▲8六歩(87) まで ▽5四銀の形は玉側の守備力に優れる代わりに、3三の角頭が薄くなるのが弱点です。 そこで▲3六歩と突いて▲3五歩を狙います。この形にも後手が▽7ニ飛からの袖飛車に 出ると以下「図4」まで飛車の横利きを使って、7五の位を守られ失敗に終わります。 「図2」から「図5」までの手順 ▲3六歩 ▽4五歩 ▲6七金 ▽8二玉 ▲6八金上 ▽1二香 ▲8六歩 ▽8三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲6五歩 ▽8八角成 ▲同 玉 ▽6五銀 ▲8七銀 ▽7二金 ▲7七角 ▽3三角 ▲同角成 ▽同 桂 ▲7七桂 ▽5四銀 ▲2四飛 「図5」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・v香|二 | ・v銀v歩v金v歩 ・v桂 ・v歩|三 |v歩v歩 ・v歩v銀 ・ ・ 飛 ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・|五 | 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 銀 桂 金 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=55 ▲2四飛(28) まで 「図2」から先手に▲3六歩とされ、次に▲3五歩から角頭の歩交換を狙われた場合は ▽4五歩と突き▲3八飛には▽4四角を用意して、これを防ぐ事になりますが、角道を開けて しまうと、いつでも先手側から▲6五歩と角交換を迫る手が有り、後手は動き難くなります。 「図5」までは変化の一例ですが▲8六歩で▽8三銀を誘い、離れ駒が出来た瞬間に▲3五歩 と突き捨てて、以下飛車先を突破した先手が優勢の局面です。 ▽5四銀と上がるのは▲6五歩からの歩交換を防ぎ、固い守備ですが、反撃の手段としては ▽7ニ飛から先手の位に直接ぶつかって行くか、反抗手段を取らず7五の位を取られたまま銀冠に 組む事になり、対抗手段としては、あまり得策とは言えません。次章では後手側が左翼から積極的に 動いて行く変化を御紹介します。 |
本章では先手の玉頭位取りに対し、後手が3筋に飛車を転回して石田流で対抗する 変化を見て頂く事にします。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=21 ▲7五歩(76) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲7五歩と玉頭位取りに出た所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽3二飛 ▲2五歩 ▽3三角 ▲7七銀 ▽3五歩 ▲1六歩 ▽4二角 ▲2六飛 ▽5四歩 ▲7六銀 ▽8二玉 ▲6六歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v角v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・ 飛 歩|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=33 ▲6六歩(67) まで 「図1」から後手が▽3ニ飛と3筋に飛車を振り直し、石田流に組み替える手段も有力です。 ▽3五歩に▲1六歩と突いて▽1五角出を消しておくのは、対振り飛車での居飛車側の税金とも 言われる手ですが、特にこの形では▽4ニ角に▲2六飛と3筋を受ける形になる為、▽3五歩と されたらすぐに▲1六歩と突かなければなりません。以下、先手が▲6六歩と突いた「図2」は この形での重要局面となります。 「図2」から「図3」までの手順 ▽3四飛 ▲6五歩 ▽3三桂 ▲6八金上 ▽5三角 ▲6七金右 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽4五歩 ▲2八飛 ▽3六飛 ▲3七歩 ▽3五飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2五飛 ▲3三角成 ▽2四飛 ▲同 馬 「図3」 後手の持駒:飛 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v角v銀 ・ ・v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ 馬 ・|四 | ・ ・ 歩 歩 ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 銀 歩 歩 ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂 歩 手数=53 ▲同 馬(33) まで ▽3四飛から石田流を完成させて、177章「図3」で御紹介した攻撃法と同様手段に出るのは、 玉頭位取りに対しても有力な手段です。しかし▲6五歩と角道を開けつつ位を取られてしまうと 残念ながら上手く行きません。▲3七歩に▽2六飛とするのは飛車交換後▲3三角成が有るので ▽3五飛から▽2五飛でその桂を捌きに出ますが、やはり▲3三角成が有り「図3」では先手が 優勢となります。もちろん先手の6筋の歩が6六の位置ならば▲3七歩に▽2六飛で後手が優勢です。 「図3」からは▲8六桂と控えて打ち▲7四歩や▲9五歩の端攻め、または▲6四歩と突き捨てて ▲6ニ歩打や、局面によっては▲6九歩の底歩などが有り、攻防共に先手は手に困りません。 玉頭位取りに対して、このような局面にしてしまうのが最も拙い対応なのです。 「図2」から「図4」までの手順 ▽6四歩 ▲6七金 ▽3四飛 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽6四歩 ▲7六銀 ▽3三桂 ▲7七角 ▽5三角 ▲6八金上 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽4五歩 ▲2八飛 ▽3六飛 ▲3七歩 ▽3四飛 ▲8六歩 ▽6三金 ▲8五歩 ▽1四歩 ▲8八玉 ▽5二銀 ▲7八金 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v銀 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金v角 ・v桂v歩 ・|三 |v歩 ・ ・v歩v歩 ・v飛 ・v歩|四 | ・ 歩 歩 ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ 角 金 銀 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=59 ▲7八金(68) まで 「図2」では▽6四歩と、先手から▲6五歩と位を取られる手を防いでおくのが正着です。 それでも先手側は▲6五歩から歩交換して、石田流からの捌きを牽制します。以下玉頭位取りの 完成形である銀立ち矢倉を組み上げますが、後手側も金銀を連係良く引きつけ、石田流に構えた 「図4」は形勢不明、互角の局面と言えます。手順中▲6五歩と歩交換する手で▲4六銀と出て石田流を 阻止しようとするのは、▲4六銀の瞬間に▽4五歩と突かれ、▲同銀なら▽3一飛で、次に▽3三桂と 銀を殺されるので、この形では成立しません。また後手が▲6五歩 ▽同歩 ▲同銀の時に▽7五角と 歩を取るのは▲6四歩と打たれて、次に▲6六銀で角を殺される事になります。石田流は対玉頭位取りに 有効な手段では有りますが対抗策の決定版とは言えないようです。次章では最も有力な後手の対抗策を 見て頂きます。 |
本章では玉頭位取りに対して、最も強力な後手の対抗手段を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 銀 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=21 ▲7五歩(76) まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲7五歩と玉頭位取りに出た所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽6四歩 ▲7七銀 ▽4五歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲7六銀 ▽4四銀 ▲6六歩 ▽6三金 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 ▽6三金(52) まで 「図1」から▽6四歩と位を確保し、▲7七銀で角道が止まった瞬間に▽4五歩と突き ▲7六銀に▽4四銀と上がった形が、玉頭位取りに対して最も有力な対抗策です。 この形は先手が玉を固める他の持久戦策にも有力な戦型で、これからも度々登場します。 そしてその狙い筋も共通点が多いので、覚えておくと他の戦型にも応用が利くと思います。 「図2」から「図3」までの手順 ▲8六歩 ▽8二玉 ▲6七金 ▽5四歩 ▲8五歩 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5六歩 ▽4六歩 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ 歩 歩 ・v銀 ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 歩 歩v歩 ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ 金 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=40 ▽4六歩(45) まで 4筋から中央に厚みを築かれたので▲8六歩から8筋の位を取り、後手の銀冠への進展を 押えるのが、この形では有力な手段ですが、▽5四歩に対して無神経に囲いの完成を 目指すのは、すかさず▽5五歩と突かれ、以下「図3」まで先手不利となります。 この攻撃筋こそが▽4四銀型の狙いの主眼なのです。 「図2」から「図4」までの手順 ▲8六歩 ▽8二玉 ▲6七金 ▽5四歩 ▲4八飛 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5六歩 ▽同 銀 ▲同 銀 ▽5五歩 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・v歩v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 銀 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=42 ▽5五歩打 まで 「図3」までの攻め筋を防ぐには、この形では▽5四歩に▲4八飛と飛車を回るのが正着です。 しかし▲6七金と上がっている形ですと、今度は▲5六歩に銀を引かず▽同銀と取る手が成立します。 以下「図4」まで銀交換をして後手が十分となるのです。▽4四銀型には、あまり早く▲6七金と 上がらないようにしないといけません。このように先手側は駒組みの手順にかなりの慎重さが要求され、 この事も現在あまり指されなくなった原因と言えます。次章では先手の正しい手順をお見せします。 |
前章に引き続き、玉頭位取りに対する後手側の最強手段の変化を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 ▽6三金(52) まで 「図1」は前章「図2」と同一局面、後手の最強対抗策▽4四銀型の局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲8六歩 ▽8二玉 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽6四歩 ▲7六銀 ▽5四歩 ▲4八飛 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5六歩 ▽4四銀 ▲8五歩 ▽5四金 ▲6七金 ▽6五歩 ▲6八金上 ▽5五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v金v銀v歩 ・ ・|四 | ・ 歩 歩v歩v歩v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ 金 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=50 ▽5五歩打 まで ▲6七金を保留して▽5四歩に▲4八飛と回るのが、先手側の正しい手順なのは前章で 述べましたが、この形にはもう1つ注意点が有るのです。184章で御紹介した後手の 石田流に対しては有効だった▲6五歩と、歩交換する手は、この形では▽5四金から ▽6五歩とする手が有り先手が不利となるのです。以下▽5五歩と中央から攻められた 「図2」の先手陣は持ち堪えられそうに無い形です。 「図1」から「図3」までの手順 ▲8六歩 ▽8二玉 ▲8五歩 ▽5四歩 ▲4八飛 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲5六歩 ▽4四銀 ▲7七角 ▽5四金 ▲8八玉 ▽4一飛 ▲7八金 ▽5一飛 ▲6七金右 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v飛 ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v金 ・v歩 ・ ・|四 | ・ 歩 歩 ・v銀v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 角 金 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=50 ▽同 銀(44) まで ▲6七金を保留し▲6五歩からの歩交換もパスして、ひたすら銀立ち矢倉を目指すのが先手側の 正しい手順ですが、その場合でも後手は▽5四金とするのが有力策です。この手で▽6三銀から ▽7ニ金と組み替える手も有りますが、▽5四金の方が力強く分かり易いでしょう。 以下「図3」の局面では、▲5六歩なら▽同銀で後手が指し易くなりますが、▲2八飛として 難解な形勢となります。しかし後手としては位取りに押さえ込まれる心配は無くなっています。 玉頭位取りは組み上げるまでの手順に神経を使いますし、途中で仕掛けられた時の用意も しなければなりません。その割には「図3」辺りが最善と言う事になると、他に有力な策が存在 する現在では選び難い戦法なのかも知れません。しかも後手の対抗策はこれだけでは無いのです 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲5八金右 ▽8二玉 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲5七銀 ▽4三銀 ▲6八銀上 ▽5二金左 ▲7五歩 ▽9二香 ▲7七銀 ▽4五歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲7六銀 ▽4四銀 ▲6六歩 ▽9一玉 ▲6五歩 ▽8二銀 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v玉v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 |v香v銀 ・ ・v金v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 ▽8二銀(71) まで 「図4」の穴熊囲いが、居飛車側の位取りを空振りさせる、もう1つの有力手段です。 玉頭位取りが猛威を振るっていた当時に、最有力な対策として振り飛車穴熊が大流行する 切っ掛けになったのです。現在では逆に、居飛車側の穴熊を、振り飛車側が警戒して先に ▽9四歩と端を早目に突いて打診するので、この形にはなり難いのですが、端を突かずに ▽7ニ銀とも上がらず、▽7ニ玉、▽8ニ玉と言う動きをする場合は穴熊の確率が高いと 言えるでしょう。その場合、「図4」までのように▲7五歩と突いて位取りにするのは 作戦負けになり易く疑問の構想と言えるでしょう。現在では玉頭位取りは初めから狙う戦法 と言うよりも、力戦型の形から結果的に有力な手段となる場合が多い作戦になっています。 |
本章から四間飛車に対して居飛車側が、互角以上の玉形を築き上げて捌き合いを 目指す左美濃戦法の攻防を見て頂きます。この左美濃は後に解説する居飛車穴熊と、 序盤の手順において、大きく関わって来る戦型でもあります。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲5八金右 ▽7一玉 ▲5七銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=17 ▲5七銀 まで ▲5七銀と右銀を上がる形は、持久戦を意図している場合が多いのですが、途中 後手からの▽9四歩と端を突いて打診した手に、先手が▲9六歩と受けた事で 穴熊の可能性は低くなったと言えます。 「図1」から「図2」までの手順 ▽8二玉 ▲8六歩 ▽4三銀 ▲8七玉 ▽5二金左 ▲7八銀 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲6六銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲6六銀 まで ▲8六歩と角頭の歩を突き、▲8七玉と上がって美濃囲いに囲う形が天守閣美濃と 別名で呼ばれている左美濃の基本形です。他に▲7七角と上がり▲8八玉形で囲う形も 有りますが、相手の角の利きに入ってしまうので、今は居飛車穴熊に囲う途中で 穴熊に出来なかった時に指される事が多く、初めからその形の左美濃を目指す事は 少なくなっています。双方共に美濃囲いの堅陣を築き▲6六銀と、先手が更に堅固な 4枚美濃を目指して「図2」となります 「図2」から「図3」までの手順 ▽6三金 ▲7九角 ▽2二飛 ▲7七銀引 ▽7四歩 ▲6六歩 ▽7三桂 ▲6七金 ▽5四歩 ▲9八玉 ▽8四歩 ▲8七銀 ▽8三銀 ▲7八金 ▽7二金 ▲3六歩 ▽4五歩 ▲1六歩 ▽4四銀 ▲3七桂 ▽1四歩 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 角 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v銀v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 角 歩 ・ 歩|六 | ・ 銀 銀 金 ・ ・ 桂 ・ ・|七 | 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=51 ▲4六同角 まで ▽6三金から自然に陣形を進展させて行くのは、振り飛車としては普通の進行と 言えますが、左美濃に対しては対位取り同様、疑問の作戦となってしまいます。 ▲7九角で▽2ニ飛を強要し、以下「図3」までは一例ですが、先手優勢の局面と なっています。4枚美濃から▲9八玉と端に玉を囲う形は、米長永世棋聖が好んで 指した事から米長玉とも呼ばれている陣形です。振り飛車側の角筋から玉を避けて、 固さでも遥かに上回る囲いで、従来の振り飛車のように強く捌く事が出来るのです。 「図2」から「図4」までの手順 ▽5四銀 ▲7七銀引 ▽6五歩 ▲7九角 ▽4五歩 ▲3六歩 ▽6三銀引 ▲6六歩 ▽同 歩 ▲5七金 ▽7四歩 ▲6六金 ▽7三桂 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲3四歩 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v銀v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 金 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 銀 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=43 ▲3四歩 まで 「図2」で▽5四銀から▽6五歩と突くのは、4枚美濃の理想形を簡単に許さないようにすると 言う意味で、▲7九角にも▽2ニ飛と受けなくても良いので、有力な手段と言えますが、先手陣が ▲8七玉型で角筋を避けて囲っている為、これ以上すぐに攻める手は有りません。そこで▽6三銀と 引いて固めます。この形は4枚の金銀がダイヤ型になるので、ダイヤモンド美濃と呼ばれる極めて 堅固な囲いですが、▲6六歩から歩交換で一歩手に入れ、以下「図4」まで先手が優勢となります。 固いだけでは無く何か反撃する手段が無いと居飛車の方が、元々攻めに出易い形なので、玉形で 勝る事が出来ない左美濃に対しては特に拙いのです。次章では居飛車側が積極的に攻めに出る形を 御紹介します。 |
本章では、左美濃から先手が151章と152章で解説したような▲4六銀右型の 攻撃手段に出る変化を御紹介します。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=17 ▲5七銀 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲5七銀と上がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▽4三銀 ▲3六歩 ▽8二玉 ▲2五歩 ▽3三角 ▲8六歩 ▽5二金左 ▲8七玉 ▽6四歩 ▲7八銀 ▽7四歩 ▲4六銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲4六銀 まで 「図1」で▽4三銀と予め角頭の防備を固めておく手は、此処まで何度も登場した 四間飛車側の定番形ですが、これには▲3六歩と右銀急戦を匂わせてから▲8六歩と突き 左美濃に囲う手段が有ります。そして天守閣型から▲4六銀と出て「図2」となります。 「図2」から「図3」までの手順 ▽3二銀 ▲5五銀 ▽6三銀 ▲7九角 ▽5四歩 ▲6六銀 ▽4三銀 ▲7七銀引 ▽2二飛 ▲6六歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・v金 ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩 ・v銀 ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 玉 銀 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=39 ▲6六歩 まで 当然の事ですが、▲4六銀型の攻撃は後手が▽4三銀と上がった形で無いと▽4五歩と 突かれて成立しません。そこで▽3ニ銀と戻る手が考えられますが、これには▲5五銀と 出る手が有力で、以下「図3」では後手陣を撹乱して前章「図3」のような4枚美濃の 理想形を構築出来る先手が有利な局面です。手順中▲5五銀に▽6三金と形良く受けると ▲7九角と引き角にされた時に困ります。変化は有りますが▽3ニ銀には▲5五銀から 玉側に銀を戻し、陣形を固めれば先手は不満の無い陣形が敷けるでしょう。 「図2」から「図4」までの手順 ▽5四歩 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3八飛 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲5七銀 ▽4三銀 ▲3三飛成 ▽同 桂 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3一飛 ▽4三銀 ▲1一飛成 ▽2七飛 「図4」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 龍|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・v銀v桂v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 ・v飛 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 香 手数=48 ▽2七飛 まで ▲3五歩に▽3ニ飛と回る変化は、通常の▲4六銀型でも定番の変化と言えますが、陣形に 差の有る▲5七銀右型或いは▲5七銀左型と違い、玉の固さが同等以上の左美濃では互角に 捌き合えば十分と言えます。「図4」は先手が通常急戦型の船囲いなら後手が優勢ですが、 この局面では形勢不明です。しかし実戦では、終盤で▲8七玉型が意外に最後で功を奏し、 横からの寄せ合いだと一手勝ちとなる事が多く、これも振り飛車側を悩ませる要因なのです。 攻め好きな方には、この急戦型も魅力の有る形と言えますが、左美濃としては前章のような 4枚美濃など玉を固めて行く持久戦策の方が主力で、振り飛車側にも脅威と言えるでしょう。 玉頭位取りのように組み上げる前に、急戦されて完成に苦労する事も無く、振り飛車に負けない 陣形を組み上げる事が出来て、しかも居飛車側の方が攻めに出易い為、一時期は対振り飛車の 勝率も非常に高い戦法でした。しかしこの左美濃採用を激減させる必殺戦法が現れるのです。 |
本章から藤井猛九段が完成させ、居飛車左美濃に壊滅的な打撃を与えた必殺の 新戦法、藤井システムの御紹介です 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=17 ▲5七銀 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲5七銀と上がった所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▽5二金左 ▲8六歩 ▽6四歩 ▲8七玉 ▽7四歩 ▲7八銀 ▽7三桂 ▲2五歩 ▽3三角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v桂 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 ▽3三角 まで 玉を7一に置いたまま、先に▽6四歩、▽7四歩、▽7三桂と言う形を作り、更に 左翼の銀は▽4三銀と上がらず、3二の位置に置いておく。これこそが現在の 振り飛車の駒組み手順全体に大きな影響を与えた、藤井システム第一号の形です。 この一見、どうと言う事も無いように見える形が、振り飛車対策の決定版とさえ 言われた左美濃に恐るべき威力を見せつけるのです。 「図2」から「図3」までの手順 ▲6六銀 ▽6五歩 ▲7七銀引 ▽4五歩 ▲7九角 ▽4三銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 銀 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=32 ▽4三銀 まで まず▲6六銀と4枚美濃を目指して上がった手に、▽6五歩と突いて▲7七銀と引かせます。 次に▽4五歩と突き、▲6六歩から6筋の歩を交換される手を阻止して▽4六歩を狙います。 先手がそれを、次に飛車先交換を目論見つつ▲7九角と、引き角で防いだ手に▽4三銀と 上がり「図3」となります。この形が4枚美濃対策の藤井システム基本形です。 「図3」から「図4」までの手順 ▲3六歩 ▽8四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽3二飛 ▲5七角 ▽8五歩 ▲同 歩 ▽同 桂 ▲8八銀 ▽8六歩 ▲9八玉 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽4四角 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩v銀 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・v角 ・ ・ ・|四 | 歩v桂 ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・v歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ 歩 角 歩 ・ ・ 歩|七 | 玉 銀 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=48 ▽4四角 まで 「図3」では▲7五歩 ▽同歩に▲2四歩と攻める手も有りますが、それは▽同歩 ▲同角 ▽2ニ飛で、以下飛車角交換の後、▽7四飛と攻防に打って後手が寄せ合い勝ちとなります。 こう言う玉頭戦は、元々藤井システムにとっては望む所なので、敢て先手が飛び込む形では 無いでしょう。▲3六歩と角頭に狙いをつけた手に▽8四歩と突くのが、このシステムの要と 言える対抗手で、以下「図4」まで後手が勝勢となります。手順中▽3ニ飛を省いてすぐに ▽8五歩と攻め、▽9五歩 ▲同歩に▽9七歩と打っても優勢とは思いますが、「図4」の ▽4四角から▽3六飛として、次に▽5六飛と飛車を捌いて行く方が分かり易いでしょう。 このように、6五、4五二つの位で先手の進展を封じて、角筋を通し7三の桂を使って玉頭を 序盤から狙い撃ちにするのが、革命的新戦法、藤井システム誕生の形なのです。そしてこれが 現在も振り飛車の序盤での基本的な狙いとして、その動きに変化を与えたのです。次章からは 左美濃に対して如何にこの戦法が優秀か、居飛車側の様々な対抗策と共に見て頂く事にします。 |
前章に引き続き、左美濃に対する藤井システムの変化を見て頂きます。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 銀 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=32 ▽4三銀 まで 「図1」は前章「図3」と同一局面、先手の引き角に▽4三銀と上がった所です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3六歩 ▽8四歩 ▲3七桂 ▽5四銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲5五歩 ▽6三銀引 ▲5七金 ▽5五角 ▲2四飛 ▽3七角成 ▲2一飛成 ▽5五馬 ▲3一龍 ▽8五歩 ▲同 歩 ▽同 桂 ▲8八銀 ▽8六歩 ▲同 玉 ▽6四馬 ▲8七玉 ▽8六歩 ▲9八玉 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽1九馬 「図2」 後手の持駒:桂 香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ 龍 ・v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・ ・v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | 歩v桂 ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・|五 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ ・ ・ 歩 金 歩 ・ ・ 歩|七 | 玉 銀 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ ・v馬|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩四 手数=60 ▽1九馬 まで ▲3七桂で▽5四銀を誘い、▲5五歩と突いて▽同銀なら飛車先交換から2枚換えを狙う手も 有りますが、▽6三銀と手順に引いて固め、以下やはり前章「図4」と同様の玉頭攻めが 炸裂して「図2」まで後手が優勢となります。手順中▽5五馬と絶好の場所に引いて、次に ▽2ニ馬で龍を殺す手を見せ、それを▲3一龍と避けた時に▽8五歩と突くのが好手順です。 この図までを187章の「図4」までと比べて頂くと、その違いが良く分かると思います。 「図1」から「図3」までの手順 ▲3六歩 ▽8四歩 ▲9八玉 ▽5四銀 ▲8七銀 ▽6三銀引 ▲7八金 ▽8二玉 ▲5七角 ▽5四歩 ▲8四角 ▽5五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲5五歩 ▽同 角 ▲2四飛 ▽2二歩 ▲2三歩 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽同 角 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・v歩 ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・ ・ ・ 歩v歩|三 |v歩 角v歩 ・ ・ ・v歩 飛 ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 歩 歩 ・ ・v角 歩 ・ ・|六 | ・ 銀 銀 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | 玉 ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=54 ▽4六同角 まで 「図1」ですぐに攻めると、途中で▽8五歩から玉頭に反撃を加えられて、先手が思わしく 無いと言う事で、▲9八玉と引いて米長玉から上部を固めて玉頭の脅威から逃れる手は 当然考えられますが、この時に▽6五歩、▽4五歩の二つの位が▲6七金からの理想形を 見事に阻止しています。「図3」までは進行の一例ですが、▲5七角で8四の歩を狙った 手に対し後手が▽5五歩と弱い先手の5筋に向かい、以下互いに、飛車角を捌きますが、 玉形も後手の方が連係が良く、▽8五歩からの玉頭攻めも依然として残り、先手が不利の 局面となります。 「図1」から「図4」までの手順 ▲5七角 ▽5四銀 ▲3六歩 ▽6三銀引 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4四飛 ▲3八飛 ▽3五歩 ▲同 角 ▽5四飛 ▲3四歩 ▽2二角 ▲2四角 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽7六歩 ▲8八銀 ▽8四歩 ▲1五角 ▽8五歩 ▲3三歩成 ▽8六歩 ▲同 玉 ▽3三角 ▲同角成 ▽同 桂 ▲同飛成 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽8四飛 「図4」 後手の持駒:角 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩 ・ 龍 ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | 歩 ・ 歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・|五 | ・ 玉v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 銀 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 桂 歩四 手数=64 ▽8四飛 まで ▽8四歩と突かれる手その物を防いで、玉頭攻めを回避すると言う意味で「図1」ですぐに ▲5七角とする手が有ります。これにも▽5四銀から▽6三銀引とダイヤモンド美濃に銀を 繰り替えておくのが最善です。以下▲2四歩からは変化の一例ですが、この藤井システムの 威力をはっきりと認識させるのが「図4」です。2、3筋を軽く受けて飛車を▽5四に浮き、 左翼で手に入れた歩を使って▽7五歩からの玉頭攻めが、見事に決まり後手勝勢の局面です。 ▽7一玉で戦いに入る形は、以前から有りましたが、序盤から先手の▲8七玉をターゲットに して駒組みを進めて行くと言うのが、今までに無い構想なのです。この藤井九段の新戦法は 4枚美濃を容易に組めなくさせた事で、今まで振り飛車の脅威であったこの戦型に大打撃を 与えたのです。そこで居飛車側は藤井システムの中途半端な▽7一玉形を咎めて、早い時期に 後手の左翼へ速攻する手段に出るのです。 |
本章では、先手が藤井システムに対して153章と154章で解説した▲5七銀右型 3八飛戦法と類似した攻めに出る変化を御紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v桂 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 ▽3三角 まで 「図1」は189章「図2」と同一局面、対左美濃の藤井システム基本形です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3六歩 ▽8四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3六歩 ▲2六飛 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 ▲3五銀 ▽3七歩成 ▲同 桂 ▽3四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4四角 ▲3三銀成 ▽同 桂 ▲2一飛成 ▽9九角成 ▲8八銀 ▽9八銀 ▲9七玉 ▽8九馬 ▲同 銀 ▽同銀成 「図2」 後手の持駒:銀 桂 香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・ 龍v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v桂 ・v歩|三 |v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 玉 ・ ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | ・v全 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角二 歩二 手数=54 ▽8九同銀成 まで 「図1」で▲3六歩 ▽8四歩に▲3五歩と▲5七銀右型ナナメ棒銀に出る手は通常の 居飛車急戦から比べて遥かに固い左美濃なので、188章の▲4六銀型同様、有力では 有りますが、この場合は「図2」まで流石に無理な仕掛けとなります。手順中での ▽9一角成は寧ろ通常の船囲いなら▲8八銀と打って、局面によっては必ずしも先手が 不利になるとは限らないのですが、この場合は天守閣型美濃が逆に仇となり▲8八銀に ▽9八銀と打たれて先手不利となってしまいます。 「図1」から「図3」までの手順 ▲3六歩 ▽8四歩 ▲3八飛 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲3八飛 まで ▲5七銀右型3八飛戦法プラス左美濃、これが左翼速攻の主役です。 「図3」から「図4」までの手順 ▽8二玉 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4三銀 ▲3四歩 ▽2二角 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲6六銀 ▽6三金 ▲7五銀 「図4」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・v角 ・|二 | ・ ・v桂v金v歩v銀 ・ ・v歩|三 |v歩v歩 ・v歩 ・v歩 歩v歩 ・|四 | ・ ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|五 | 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=43 ▲7五銀 まで 「図3」の▲3八飛に対して▽4三銀とするのは、▲3五歩 ▽同歩 ▲4六銀で、 また▽4五歩と突くのは、▲5五歩と捌きを押えてから▲3五歩を狙われて、共に この形では後手が不利となります。ここは変に左翼側で動かない方が良いのです。 そこで▽8ニ玉と玉形を通常の位置に収めて待つ手は自然ですが、薄い桂頭に玉を 近づける事になり、2、3筋と7筋を絡めて仕掛けられ、以下「図4」まで後手が 不利となります。この局面では7一のまま玉も、まだ動かさない方が良いのです。 「図3」では意外にも▽6三金と上がるのが正解なのです。桂頭の弱点を防備すると言う 意味は有りますが、▽8ニ玉同様、高美濃に進展させる当たり前の手に見えます。しかし 藤井システムでは、この手に予想だにしない狙いが秘められているのです。 |
前章の最後で述べた、後手が最善手で先手の左美濃型▲3八飛戦法に対抗した 場合の変化を解説します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀 ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 ▽6三金 まで 「図1」は前章「図3」の▲3八飛に対して、後手が▽6三金と上がった局面です 「図1」から「図2」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 ▲3五銀 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽2七角 ▲3七飛 ▽5四角成 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・v銀v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v馬 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 ・ ・ 飛 ・ 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=42 ▽5四角成 まで ▽6三金で、▽7一玉形の横が薄くなったので、▲3五歩 ▽同歩に▲4六銀と速攻する 手も考えられますが、左美濃型からでも後手が▽3二銀型の場合、やはりこの攻めは重く 「図2」まで先手が不利となります。手順中▲3三角成の所で、単に▲3五銀と出るのは、 ▽8五歩と突かれて困る事になります。 「図1」から「図3」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4三銀 ▲3四歩 ▽2二角 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲9五歩 ▽3二飛 ▲9四歩 ▽3四銀 ▲2三歩 ▽3一角 ▲3九飛 ▽9二歩 ▲4四角 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・v角v桂v香|一 |v歩 ・v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・ 歩v歩|三 | 歩v歩v歩v歩 ・ 角v銀v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ 飛 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=47 ▲4四角 まで ▲3五歩 ▽同歩に▲同飛と、単に取るのが、この場合でも正着となります。これに対し ▽4三銀と角頭を守るのは、▲3四歩と押さえてから、藤井システムのもう1つ薄い場所、 9筋を絡めての、▲3五飛を縦横に活用した攻めで、以下「図3」まで先手が優勢と なります。この形では逆に端の9筋を攻められる場合も有るので、注意が必要なのです。 「図1」から「図4」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三銀 ▲3四歩 ▽2二角 ▲3六飛 ▽8二飛 ▲4六銀 ▽8五歩 ▲同 歩 ▽8四歩 ▲3五銀 ▽8五歩 ▲4四銀 ▽8六歩 ▲同 玉 ▽7二銀 ▲9七玉 ▽8八飛成 ▲同 玉 ▽4四角 「図4」 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・ ・v銀 ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v角 歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 飛 ・ ・|六 | ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 玉 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩三 手数=52 ▽4四角 まで 「図1」からの▲3五歩 ▽同歩 ▲同飛に対しては、これも左翼は動かず▽8三銀と 上がるのが正解なのです。▽6三金に続き、普通に美濃囲いを高美濃から銀冠に進展 させているだけにしか見えませんし、▲3五飛と角頭を攻められている時に、却って 離れ駒を作って危険に見えますが、次の▽8ニ飛で藤井システムの恐るべき正体が 明らかになります。先手は▲3六飛から▲4六銀と攻めに出ますが、以下「図4」まで 後手勝勢となります。この玉頭攻撃こそが▽6三金からの秘策だったのです。 もう1つ先手の▲3五歩からの攻めに対する変化を御紹介します。 「図1」から「図5」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三銀 ▲3四歩 ▽2二角 ▲3七桂 ▽8二飛 ▲4六歩 ▽8五歩 ▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 玉 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽9四銀 ▲同 歩 ▽8五飛 ▲9七玉 ▽9四香 「図5」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・ ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀v角 ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v香 ・ ・v歩 ・v歩 歩 ・ ・|四 | ・v飛 歩 ・ ・ ・ 飛 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六 | 玉 ・ ・ 歩 銀 ・ 桂 ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩四 手数=52 ▽9四香 まで 先手側には▲3七桂と跳ねて、次に▲4五桂或いは▲4六歩から▲4五歩を狙う手も 有ります。▲4六歩で飛車の横利きを守備に活用しながら、攻めの体制を敷いて行きますが、 ▽8五歩 ▲同歩に▽8六歩と打ち捨て、以下「図5」まで後手の勝勢となります。 手順中で▽9五歩、▽7五歩のどちらも、取らないと▽9四銀、▽7四銀と、それぞれ銀を 上がる手が有るので取らざるを得ません。また▽7五歩を▲同飛だと、やはり▽7四銀と 上がる手が有ります。 藤井システムは常に左美濃の▲8七玉を照準に置いて闘うので、3筋攻めに来られても 直接そこには手を掛けず、やはり玉頭から攻める事で結果的に先手の攻めを方向違いで 間に合わない局面にしてしまう事が出来るのです。次章では陽動的な動きで先手が 藤井システムに対抗する手段を御紹介します。 |
本章では藤井システムに対して、先手が複合的な狙いで優位を築こうとする 陽動戦術の変化を解説します。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀 ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 ▽6三金 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、後手が▽6三金と上がった所です 「図1」から「図2」までの局面 ▲6六銀 ▽4五歩 ▲7九角 ▽8五歩 ▲同 歩 ▽同 桂 ▲7七桂 ▽6五歩 ▲5七銀 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽6四金 ▲8六歩 ▽7七桂成 ▲同 銀 ▽7六歩 「図2」 後手の持駒:桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀 ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v金 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩v歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 玉 銀 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 ・ 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩 手数=46 ▽7六歩 まで 「図1」では▽6三金と上がった事で、▽5四銀から▽6三銀引と言う繰り替えが、 無くなっているのを見越して▲6六銀と4枚美濃狙いに変更する手段が考えられます。 しかしこれには、すかさず▽4五歩で▲7九角を誘い、▽8五歩と玉頭から仕掛けて ▽6四金と、今度はその6三の金を活用する手が有るのです、以下「図2」まで 後手が優勢の局面となります。 「図1」から「図3」までの手順 ▲6六歩 ▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3五銀 ▽3四歩 ▲同 銀 ▽同 銀 ▲同 飛 ▽8五歩 ▲同 歩 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲6五歩 ▽8六歩 「図3」 後手の持駒:銀 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・ 飛 ・ ・|四 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩v歩 歩 ・ 歩v飛 ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩四 手数=48 ▽8六歩 まで ▲6六歩で持久戦狙いと見せて、後手の捌きを抑え、▲3五歩と攻撃に出る手も、 角頭攻めでは度々登場する手段ですが、これには▽4三銀と上がり、▲4六銀に ▽4五歩と反発する手が有り、以下先手が▲3五銀から攻め込むと「図3」まで 先手が不利となります。この変化は、もし▽8五歩と突く手が後手に無い場合は ▲6五歩と捌きに出た局面で逆に先手優勢となります。やはり▽8五歩が形勢を 左右する切り札となるのです。 「図1」から「図4」までの手順 ▲5五歩 ▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3二飛 ▲3五銀 ▽4二角 ▲3四歩 ▽8五歩 ▲同 歩 ▽6五歩 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v角v飛 ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩v銀 ・v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・v歩 歩 ・ ・|四 | ・ 歩 ・v歩 歩 ・ 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 銀 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=42 ▽6五歩 まで ▲5五歩と、5筋位取りのように見せて「図3」までと同じく角道を止めた状態で▲3五歩と 攻められると、今度は▲4六銀に▽4五歩と言う反発手段は利きません。▽4五歩を▲同銀と 取られてしまい、そこで▽4四歩と打っても▲5六銀で銀が死なないからです。▽3二飛に ▲3五銀から▲3四歩と押さえ、通常はこれで居飛車側の成功なのですが、以下▽8五歩から ▽6五歩とした「図4」では次に▽5四歩から▽8六歩が有り、やはり後手が指し易い形勢と なります。 「図1」から「図5」までの手順 ▲6六歩 ▽4三銀 ▲6七金 ▽8二玉 ▲6八銀 ▽2二飛 ▲2八飛 ▽5四歩 ▲7七銀右 ▽4五歩 ▲7九角 ▽5五歩 「図5」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・ ・v桂v金 ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 玉 銀 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=42 ▽5五歩 まで ▲6六歩で▽4三銀を誘ってから▲6八銀と、こちら側から4枚美濃に持って行く陽動戦術には、 これを後手側から阻止する手段は有りません。しかし▲6八銀の瞬間、▽2ニ飛で▲2八飛と 戻させて、以下「図5」まで進めると、後手の▽2ニ飛は▲7九角と相殺されて通常の定跡形と 変わらないので、結果的に▲3八飛、▲2八飛の2手が完全に手損となり、その2手分で▽7三桂、 ▽8四歩と言う有効手で万全の体制が作れ、▽5五歩と先攻した後手が指し易い形勢となります。 以上この他にも多数の変化が有りますが、藤井システムの威力を如実に表した代表的な変化を選び 御紹介しました。この新戦法により振り飛車対策として左美濃を常用していた多くの居飛車党が殆ど、 その採用を止めてしまい、あまり見る事の無い作戦となったのです。これで少なくともプロ界では 対四間飛車左美濃は消えゆく戦法となる筈でした。しかし次章から解説する居飛車穴熊の存在が、 この優秀な対抗形に持って行き難い事情を、四間飛車側に生じさせる事になるのです。 |