千 日 亭
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タイトル 女流王位戦五番勝負第3局
投稿日: 2018/05/30(Wed) 18:35
投稿者丹善人

1勝1敗のタイで迎えた女流王位戦五番勝負第3局が行われ、134手で
後手の挑戦者渡部愛が勝ち、タイトル奪取に王手をかけました。

先手里見香奈、先手番ゴキゲン中飛車の出だしに、後手渡部愛は居飛車で
ゴキゲン対策は後回しに、玉の囲いを優先します。穴熊に組むのかと
思われた後手でしたが、先手は銀を中央に繰り出して行き、それを見た後手は
小考の後美濃に組みました。両者とも美濃囲いになりました。

先手が守り駒を玉方に集めているのに対し、後手は金銀が中央と玉の守りに
分散されているのがやや損をしている印象です。
そこで後手も中央の守りに上げていた銀を玉の守りに移行させていきます。
先手は4筋の歩を上げて4筋からの攻撃を見せます。後手は続けて金も
4三に上げ、金銀4枚のダイアモンド美濃くずれを構築します。

後手の守りが堅いので、先手は桂馬も上げて攻め駒を増やします。後手は
2四歩と上げて守りますが、この盤面は第1局と同じ盤面。第1局では
渡部優勢の内に終盤に入りましたが、終盤初めに渡部が1手ミスをしたために
あっという間の逆転。、里見が相手玉に必至をかけたところで、渡部は形作りの
里見玉への詰めろ。ところが、里見の大きな勘違いで大逆点。駒を渡した結果
里見玉が必至となって寄せきられた対局が蘇ります。ミスさえしなければ
渡部の優勢が維持できたとの判断から選んだのかもしれません。
先手はここで手を変えて飛車を7筋に振ります。同じ流れでは不利だと
判断したのかもしれません。

ごてはここで銀冠から穴熊に入ります。まだ蓋が閉じられないうちに先手は
角を下げて飛車が7筋突入の構え。後手は飛車を上げてこれを受けます。
先手は桂馬を上げ、5筋の歩を突いて交換から桂馬が5三に突入の構え。
後手が金上がりと角を下げてここを守ります。ならばと4筋の歩の交換から
先手は右の桂馬も跳ねてあくまで5三の突破を図ります。

ここで先手玉のこびんが開いたことで後手は角を飛び出して王手。後手は桂頭に
桂取りの歩打ち。先手はここで角が7七に上がって後手玉のこびんがら空きで、
歩を動かせない手が考えられますが、この時に金捨てからの王手飛車という
恐ろしい手が待ち受けているので単純には進めません。

先手は長考の末、あえてこの順に飛び込むことを選択しました。あるいは先手は
この順が読めていなかったのか、金捨ての手が指されると再び長考に入ります。
先手は取った金を使って後手が取った桂馬を打ちたかった地点に打ち、無理矢理に
でも後手の角道を止める手に出ました。
この手も読んでいたでしょうが、後手は確認の後、予定通りに4筋の歩を進め、
先手もこれを受けます。

後手の角が金に当たってはいますが、金との交換は損ではないと踏んでいるのか、
後手はこれを放置して端攻めに出ます。持ち駒は桂馬のみでも、角及び金が
質駒であるので、攻めの拠点を先に作っておこうという所でしょう。
先手はこれを放置。5三に歩成りとして桂成りから角を使う手を目指します。

我関せずと端歩をのばす後手。持ち駒の金を使ってしまった先手はここで
角金交換の手に。後手は交換は後回しに、先に端歩を成って王手をかけてから
金を補充します。先手は奪った角を貼って後手玉に王手をかけると共に浮き駒の
金に紐を付けます。しかしこれで持ち駒は歩1枚となり、攻めにも守りにも
手がありません。

先手里見香奈は浮き駒で今にも取られそうな金を下げて守りを固めます。
ミスさえしなければ圧倒的優位に立っている後手渡部愛は確実にも日駒を
増やしていきます。
先手は目障りな飛車を追い払おうとしますが、後手は横利きを利かしたままに
移動。逆に目障りな角を追い払おうとの桂馬打ちから飛車が4筋に戻り、
成り込んでいると金取りと飛車切りからの銀取り及び一気の寄せを狙います。

先手はと金を逃がした後、飛車先を止める歩打ちで持ち駒を使い果たします。
ひしゃを取られてもZの後手は角取りに歩を突き出します。いよいよミスが
出ない限り渡部愛の2勝目が見えてきました。

持ち駒を打ってなんとか角を取らせまいとする先手ですが、後手の攻撃は
緩まず、数手の応酬で結果的に飛車角交換に持ち込みました。角を打ち
込まれると一気に寄ってしまう先手玉は持ち駒を守りに追加して必死の
抵抗を見せますが、しっかりとしばる後手。ならばと玉の早逃げ。しかし
そうはさせじと角銀での挟撃態勢。

逃れるのが難しい先手は最後のお願いに端攻めを敢行。受けると悩ましい
展開になりそうで、悩んだ後手は放置して詰めろの形に。一気に寄せる手が
見つからなければ自玉がyせられてしまうのが確実な先手はやむなく攻めの
拠点の飛車を戻しますが、後手はその竜を取る手に。交換するしか策のない
先手は交換に応じます。

最後のお願いの端攻めに時間の許す限り後手は放置。攻め駒をじわじわ
先手玉に近づける方針。追い詰められた先手玉にもはや逃げ道はありません。
里見香奈の必死の受けもここまで。慎重に慎重を重ねた渡部愛の完勝譜と
なりました。


【第29期女流王位戦五番勝負】

里見 香奈 ●  ○ 渡部 愛

+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|   |  氏  名   | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
| 王位|里見 香奈女流五冠|  先● |  ○  |  先● |     |     |
+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者|渡部 愛 女流二段|  ○  |  先● |  先● |  先  |     |
+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|   |         |114手|106手|134手|   手|   手|
+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 5月 9日(水)札幌市中央区「京王プラザホテル札幌」
第2局 5月22日(火)兵庫県姫路市「夢乃井」
第3局 5月30日(水)福岡県飯塚市「旧伊藤伝右衛門邸」
第4局 6月13日(水)徳島県徳島市「JRホテルクレメント徳島」
第5局 6月26日(火)東京都渋谷区「東京・将棋会館」


÷  丹善人  ÷


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